2015年4月のサッカー

Index

  1. 04/03 ○ 鹿島3-1鳥栖 (J1・1stステージ第4節)
  2. 04/07 ○ 鹿島2-1広州恒大 (ACL・グループH)
  3. 04/12 △ 鹿島1-1新潟 (J1・1stステージ第5節)
  4. 04/16 ○ 柏1-3鹿島 (J1・1stステージ第6節)
  5. 04/21 ○ ウェスタン・シドニー1-2鹿島 (ACL・グループH)
  6. 04/25 ● 鹿島1-2神戸 (J1・1stステージ第7節)
  7. 04/29 ○ 仙台1-2鹿島 (J1・1stステージ第8節)

鹿島アントラーズ3-1サガン鳥栖

J1・1stステージ第1節/2015年4月3日(金)/カシマサッカースタジアム/スカパー!

 訳あってスカパーのJリーグ・パックを契約したので、4月、5月のアントラーズ戦はすべて観られることになった。ということで、およそ半月ぶりとなるアントラーズ戦はJ1ファースト・ステージ第4節、サガン鳥栖戦。
 この試合の先発は、曽ヶ端、西、ファン・ソッコ、昌子、山本、柴崎、梅鉢、カイオ、土居、金崎、高崎というメンバー。小笠原はACLでの怪我のため欠場。全治4週間とのことなので、もうしばらくすれば戻ってくるんだろう。
 代表戦の前に行われた名古屋との第3節では、ついに高崎を見限って、金崎のワントップを選択したトニーニョ・セレーゾだったけれど、この試合ではふたたび高崎のワントップに戻してきた(……と思う。スカパーでのフォーメーション表では金崎のワントップで、高崎は右サイドになっていた)。
 でも、そのせいで遠藤にベンチを温めさせるくらいならば、僕はやはり金崎のワントップのほうがいいと思う。金崎は4試合で3ゴールと意外なゴール・ゲッターばりを発揮しているのだから、もうFW扱いでいいでしょう。リーグ戦いまだノーゴールの高崎がスタメンで、2ゴールと結果を出している遠藤がベンチってのは、どうにも納得がゆかない。高崎、FWがスタメンで出てシュート0本じゃ駄目だろう。
 まぁ、ここで我慢して使ったことで隠れた才能が開花したりしたら、トニーニョ・セレーゾに恐れ入りましたってことになるのだけれど。どうにもこのまま復帰してきたダヴィにスタメンを奪われて、鳴かず飛ばずのまま、出番がなくなっておしまい──なんてことになりそうな気がして仕方ない。高崎にはより一層の奮起を期待せざるを得ない。
 それにしても、この日の相手、鳥栖とはなぜかとても相性が悪くて、テレビの解説によると、なんでもカシマスタジアムではこれまで負け越している(もしくは勝ったことがない?)とかいうことだった。
 かくいう僕自身の記録を見てみても、なんと鳥栖に勝ったところを、これまでに一度も観ていない。僕の個人的経験でいえば、鹿島アントラーズが一度も勝つところを見たことがないJリーグ唯一のクラブ──それがサガン鳥栖だった。なんともはや。
 そんな鳥栖相手にこの試合、鹿島はいきなり先制を許してしまう。前半7分のセットプレーから。決めたのは谷口博之(今年はここにいるのか。すっかりさすらいのJリーガーの貫録たっぷり)。ファーがなんでだ?ってくらいノーマークだった。あれじゃ駄目でしょう。
 J1とACLあわせて6試合連続で白星なしという状況で、カウンターが武器の鳥栖相手に先制を許すという、苦しすぎる展開。あぁ、また勝てないのか……と思ったんだったが。
 この日のアントラーズは違った~。
 前半こそ、あまりいいところなく1点ビハインドのまま終わってしまったけれど、後半はちゃんと盛り返し、今季初勝利をあげてみせてくれた。あぁ、やはり勝利の味は格別だわ……。
 同点ゴールは柴崎の直接FKから金崎のヘディング・シュート。ゴール前のポジション争いで、すっと相手の懐へもぐりこみ、きれいに頭で合わせてみせた。ナイス・ゴール! 君はすっかりエースだ。
 そのあとの殊勲の逆転ゴールはペナルティ・エリア内でドリブルを仕掛けた土居が倒されてPKを獲得したもの。倒したのは元磐田の菊池直哉(この人もここにいたのか。鳥栖は訳ありの好選手と韓国人が多い印象)。PKを決めたのは柴崎。さすがキャプテン。土居もナイス。
 そして勝利を決定づけた3点目は、後半なかばから出場していた遠藤の、右サイド得意の角度からのミドル。
 ほんと遠藤のあの角度からのミドル・シュートは絶品だ。ボールの扱いも最高だし、いいときの彼を見ていると、これなら日本代表に選ばれてもおかしくないと思う。スタメンは無理でもサブならそれなりの戦力になりそうな気がする(まぁ、プレーにむらがあるのがネックだけれど)。なぜにこの遠藤にベンチを温めさせてまで、高崎をスタメンで使うのか、理解に苦しむ。
 あと、途中出場の中村充孝がけっこう出番をもらっているのも疑問。存在感のなさはあいかわらずで、同じ途中出場でも遠藤とは対照的だから(もうひとりの途中出場は青木)。土居の評価も過剰に高いように思えるし、トニーニョ・セレーゾの好みはいまいちよくわからない。
 まぁ、なにはともあれ、ようやく勝てて本当によかった。先制こそ許したものの、終わってみれば、シュート数19-4と内容的には圧倒しているし、やっと去年の感じを取り戻してきたかなという感じ。ここからの巻き返しに期待しよう。
 あ、そういえば、カイオはこの日もらったイエローカードがすでに累積3枚目で、次節は出場停止だとのこと。おいおい、まだ4試合目だよ? 早すぎだろ。なにやってんだか。
(Apr 03, 2015)

鹿島アントラーズ2-1広州恒大

AFCチャンピオンズリーグ/2015年4月7日(火)/カシマサッカースタジアム/スカパー!

 勝った~。ようやくアジアでも勝ちました。待望のACL勝ち点3!
 いやぁ、しかし難しい試合だった。やはり広州恒大は手強い。なんたって前回さんざんな目にあわせてくれたブラジル人ふたりと告林──「こくりん」と書くとかわいいけれど、いかつい顔に似合って「ガオリン」と読むっぽい──からなる攻撃陣が強力だから、ちょっと油断すると、あっという間にピンチなる。おかげで勝っているときでも、いつ失点するかとはらはらしっ放し。
 実際にこの日の失点も、ちょっとしたボール・ロストからのカウンターで、あれよあれよという間に押し込まれ、最後は見事な連係から9番エウケソンに決められたものだった。昌子、マークし切れず。現時点での実力差を見せつけられた。
 とにかくこの試合を見たかぎりでは、ブラジル人のみならず、中国人であっても、1対1では相手のほうが一枚上手な感じがした。フリーでボールを持ったときの技術ではこっちのほうが上手いんじゃないかと思ったりもするけれど、こと接近戦では相手のほうが上。なんかがーっとこられると、こっちは思わずたじたじしちゃう感がある。ハリルホジッチの意見を待つまでもなく、前々から代表では言われていることだけれど、このへんの当たり弱さの克服がこれからの日本サッカー全体の課題なんだろうなと思ったりした。
 まぁ、とはいえ、勝ったのだから、まずはよし。
 前半19分に遠藤が相手のハンドを誘ってもらったラッキーなPKを自ら決め先制したあと、攻め込まれてもしぶとく守って(一度は同点にされてしまったものの)、最後の最後、後半アディショナル・タイムの最後のワンプレーでよもやの決勝弾!──これにはむちゃくちゃしびれた。しかもセットプレーからのそのラスト・ゴールを決めたのが、この日は途中出場だった高崎とくる。
 いやぁ、高崎くん、いままで悪いこと書いてごめん。このゴールでもうこれまでの不出来は帳消しだ。この先もちょっとぐらい駄目でもいいや。もう当分はなんでも許す。それくらい貴重な、まさに値千金の決勝ゴールだった。
 この日のスタメンは、J1前節の鳥栖戦からその高崎を抜いて、遠藤を入れた布陣。いわば現時点で僕の望むベスト・メンバーでの戦いだった。
 なので、遠藤のプレーから先制したところまでは理想的な展開。ただ、そのあと敵の攻撃をしのいで、しのいで──でもって、こっちの攻撃はたびたびゴール前までは運ぶも、フィニッシュのところでいい形を作れずになかなか追加点を奪えず──、こりゃもう1-0で逃げ切るしかないんだろうなと思う内容の中での、残り15分という時間帯に奪われた無念の同点ゴールだった。
 正直、このときはこの試合ももう駄目だろうと思った。下手したらリカルド・ゴウラー(やっぱゴラールよりこっちの読み方のが好きだな)にもゴールを決められて負けもあり得るなと。
 でもアントラーズは最後まで諦めなかった。その後も必死に守るところは守って迎えた、ほんとロスタイムの最後の最後に得た右サイドからのFK。キッカーの柴崎が蹴り込んだボールは見事、ゴール前の混戦のなかにいた高崎の頭にどんぴしゃで合わさった。劇的な勝ち越しゴール!
 そして次のプレーに入ることなく、そのあとすぐに試合終了の笛! そのゴールがまさに文字通りの最後のワン・プレーだった。いやぁ、ほんと起死回生という言葉がふさわしい劇的ゴールだった。最高でした。
 裏ではウェスタン・シドニーとFCソウルが1-1で引き分けに終わり、どちらも勝ち点を5までしか伸ばせなかったので、万が一アントラーズがこの試合で引き分けに終わっていても、まだ決勝トーナメント進出の可能性は残った。
 でも勝つのと引き分けるのでは、結果が雲泥の差。勝ったことにより、あとの2試合に連勝すれば、その2チームを抜いて自力で2位以内を勝ち取れることが決定した。3連敗した時点でほぼ消えかけていた決勝トーナメント進出の灯が、この一勝でいっきに輝きを取り戻した感じ。こうなりゃ、この先はもうすべてトーナメントだと思って、一戦一戦を死ぬ気で戦うっきゃないでしょう。
 まずは、とにかく次のウェスタン・シドニー戦だ。これに勝たなきゃ始まらない。2週間後、いい試合を期待している。
(Apr 08, 2015)

鹿島アントラーズ1-1アルビレックス新潟

J1・1stステージ第5節/2015年4月12日(日)/カシマサッカースタジアム/スカパー!

 うーん、なかなか調子に乗りきれない。
 この日のスタメンは、前節・鳥栖戦から出場停止のカイオを遠藤に入れ替えた形。まぁ、攻撃陣は土居と金崎以外は日替わりという印象なので、とくに問題があるってこともなかった。あるとすれば、途中交替での攻撃のコマ不足くらい。あいかわらず中村充孝はゲームに入ってこれないし。カイオや遠藤が途中から使えるってのは、それはそれでありがたいもんだなと思ってしまった。
 この日の相手、アルビレックス新潟はすっかりクラブの顔的存在となったレオ・シルバを中心にやたらと中盤のつぶしがキツイので、なかなか自由にボールを回させてもらえなかった。前にはラファエル・シルバやら指宿やら、けっこう強力なFWが控えているし。途中から鈴木武蔵とか成岡とか山崎亮平とか出てくるし。五輪代表のエースがベンチだってんだからおそれいる。
 こういうチームを相手に先制を許すとややこしいことになるんだよなと思っていたら、まさしくその通りの嫌な展開に。
 前半も残り5分、レオ・シルバのインターセプトから、ラファエル・シルバ(シルバってのはブラジルではありふれた名前なんでしょうか?)へと渡ったフィードを、曽ヶ端がペナルティ・エリアの外まで出てきてカットしようとして失敗。ソガのクリア・ボールがファン・ソッコにあたって無人のマイ・ゴールへと飛んでいってしまう。それを追っかけてったラファエル・シルバに決められて、あぁ、なにやってんだという失点。
 でもこの場面、R・シルバがワンタッチで簡単に決められそうなところを、ゴール前で妙にボールをこねくり回していたので、最後はアントラーズの選手が3人で止めに入ったのはよかった(結局止められなかったけど)。とくに最後に後方から猛然とチャージをかけた柴崎に感動。チーム・リーダーとして身をていして失点を防ごうとした気概やよし。
 それに、幸いなことに、このビハインドは後半開始わずか1分で帳消しになった。それも後半キックオフとともに、ファン・ソッコと交替でピッチに立った植田のロング・フィードから。
 植田が高崎にあわせたボールは、高崎の胸トラップが大きくて、相手選手3人がとり囲む場所へと落ちてしまう。あぁ、チャンスならず……と思ったその瞬間。するっと相手DFのあいだに入り込んできたのが土居。土居はそのままボールを奪いとると、左足でゴールネットへ、あっという間にシュートを決めてみせた。おぉ、なんて素敵なプレー。土居、今年は印象的なゴールが多くていいぞ。
 この同点ゴールで流れがこっちにくるかと思ったのだけれど、結局後半も前半と似たような一進一退の内容となって、試合はそのままドローに終わった。後半途中からは青木を入れて、柴崎を前で使ったりもしたけれど、結果は出せず。新潟もけっこう手強い。今年のJ1は楽な対戦相手がいなくて、困りもんだわ。
 まぁ、なんにしろ、今日は全体的に出来がいまいちだったし、勝ち点1でよしとするしかないかなって内容だった。お互いシュート1桁台の痛み分けって試合。
 そうそう、この試合、スカパーの解説者が奥野僚右で、新潟のSBは前野貴德だった。元アントラーズのふたりの解説とプレーのおまけつきというのが、ちょい嬉しかった。
(Apr 12, 2015)

柏1-3鹿島

J1・1stステージ第6節/2015年4月16日(木)/日立柏サッカー場/スカパー!

 ACLとの日程の兼ねあいで、珍しく木曜日開催となったアウェイでの柏戦。
 前節の新潟戦はおたがいの守備力が拮抗してドローに終わった印象だったけれど、この日の試合は逆に攻撃力が真っ向からぶつかりあった感じ。
 レイソル、ネルシーニョが退任して弱くなるかと思ったら、あまり衰えてない──というか、工藤、レアンドロがいるところへ、甲府からJでの実績のあるクリスティアーノを取ったりして、最前線はとても強力。輪湖とか、武富とか、(たぶん)初めて見る二十代後半の選手も躍動感のあるプレーをしていて好印象だった。ACLではJのクラブで唯一、気を吐いているのもなるほどな感じ。
 こちらは出場停止明けのカイオが返ってきたので、金崎ワントップの形。CBは前節、足を痛めて途中交替したファン・ソッコがこの試合も欠場したため、昌子と植田のコンビとなった。僕はロシアW杯の日本代表にこのふたりが揃って選ばれるのを期待しているので、ファン・ソッコには悪いけれど、できればこの先もこの形でずっといって欲しいと思う。
 試合は前半アディショナル・タイムにこちらがセットプレーで先制して、よしやった(植田のJ初ゴール)!──と思ったのもつかの間。後半開始から5分もせずに同点にされてしまった展開も、前節の裏返しのようだった(相手の得点もセットプレーから)。
 でも違ったのはそのあと。この日はちゃんと追加点が取れた。
 後半の頭から梅鉢にかわって出ていた青木が、右サイドから逆サイドに蹴り込んだボールを、山本が右足アウトサイドでダイレクトで折り返してシュート! これを菅野が弾いて止めたところへカイオが詰めていた。カイオは遅ればせながらこれが今季初ゴール!
 これで勝ち越し──とはいえ、その後も試合は一進一退。この調子じゃ、もしや同点ゴールもあり得るかと心配しながら観ていたのだけれど、ロスタイムに思わぬ追加点が生まれる。
 途中出場の高崎が相手DFにつっかけてミスを誘い、苦しまぎれにGKに返そうとしたボールを途中出場の中村充孝がかっさらい、無人のゴールへと蹴り込んで駄目押し弾。終わってみれば拮抗した内容に見合わぬ、3-1というスコアで試合終了の笛を聞くことになった。
 高崎、充孝ともに出場時間はほんのわずかだったのに、ちゃんと得点に絡む仕事をしたのがえらい(いつもこうだったらどれだけいいか)。カイオもようやくゴールを決めたし、ずいぶんチームも調子が上がってきたみたいだ(それにしても出場停止明けの試合でいきなりイエローをもらうカイオときた日には)。 来週のウェスタン・シドニー戦が楽しみになってきた。
 そういや、両チームともACLでの健闘を後押ししようというサポーターの心意気だろうか。この日の試合は平日にもかかわらず、ずいぶん客が入っていた。まぁ、柏サッカー場は狭いってのもあるけれど、それでもスタンドがちゃんと埋まっているのっていいなぁと思った。みんな、えらい。
(Apr 16, 2015)

ウェスタン・シドニー・ワンダラーズ1-2鹿島アントラーズ

AFCチャンピオンズリーグ/2015年4月21日(火)/パラマッタ/スカパー!

 よもやの2試合連続の後半ロスタイムの逆転勝ち! さぁ、これで次のFCソウル戦に勝てば、グループ・リーグ勝ちぬけだっ──。
 ──と大盛りあがりだったこの試合。スタメンを見て驚いたのは、昌子がいないこと。なんだ、怪我したか?―─と心配したら、なんのことはない、累積警告での出場停止だった。ACL、イエロー2枚で出られないってのは厳しいな。
 ということで、スタメンは曽ヶ端、西、植田、ファン・ソッコ、山本、柴崎、青木、遠藤、土居、カイオ、金崎の11人。
 アウェイでの大事な試合だからだろう、トニーニョ・セレーゾは梅鉢ではなく、青木をスタメン・ボランチで起用してきた。それどころか梅鉢はベンチ外。なぜって?――それは小笠原が戻ってきたからだっ!
 いやぁ、梅鉢には可哀想だけれど、やっぱ、たとえベンチであろうと満男さんがいると、安心感が違うわ。ブランクがあるから、出来はどうか不安だったけれど、後半途中から出てきて、なかなか安定感のあるプレーを見せてくれていた。逆転勝利の要因は意外と彼の存在が大きいのかもしれない。
 試合はといえば、この日も前回の対戦と同じように、ウェスタン・シドニーに先制を許す苦しい展開。前回は昌子のオウン・ゴールだったけれど、今回は植田のミスから。どちらもこれからの守備の要と期待するふたりのミスからの失点ってのが痛い。でもまぁ、ちょっと不運なプレーでもあったし、高い授業料だと思って諦めるしかない。
 とにかく勝たないことには自力での勝ち抜けはなくなるって状況だ。相手に押されまくったあげく、先制されて前半を終える展開に、これはもう決勝トーナメントは絶望的かと思った。
 でもきょうの鹿島は前回の対戦時とはひと味もふた味も違った。後半は試合を完全に支配。カウンターから土居の同点ゴール(ナイス!)で追いつくところまでは同じながら、この日はそのあとの失点は許さない。そして広州恒大戦と同じく、このままドローで終わってしまうのかと思った後半のロス・タイムにドラマふたたび──。
 山本脩斗がゴール前の相手DFの裏へと流し込んだクロスに、金崎がすべるようになめらかに走り込んできてピン・ポイントで合わせる! びっくりするくらい綺麗な崩しからの決勝ゴール!
 いやぁ、夢生{むう}~、ブラボーだわ。90分フル出場であの時間帯にあのランは素晴らしすぎる。君が移籍してきてくれて本当によかった。
 トニーニョ・セレーゾの采配では、後半に入ってからの選手交替が、遠藤→高崎、そして植田→小笠原(!)というのが意表をついていておもしろかった。遠藤のミドルはけっこう重要な武器だと思うのに、負けている状況で下げちゃうし。CBの植田を下げてオガサってのもびっくりだった(まぁ、青木がいたので、すぐにあぁ、なるほどと思ったけれど)。そのあと、カイオと替えて、ひさしぶりに本山も登場。オガサと本山が一緒に、海外のピッチにいるってのが感動的だった(しかも解説は中田浩二)。
 ──ということで、3連敗の絶体絶命のピンチから2連勝で盛り返して、グループリーグ突破に逆王手。次の試合、ホームでソウルに雪辱を果たせば、自力でグループ・リーグが突破できる。よくぞまぁ、ここまできてくれた。あっぱれ。
(Apr 21, 2015)

鹿島1-2神戸

J1・1stステージ第7節/2015年4月25日(土)/カシマサッカースタジアム/スカパー!

 個人的にいまいち試合に集中し切れず、結果も黒星に終わった残念な一戦。
 スタメンはひとつ前のACLのメンバーから、植田を昌子に入れ替えた形。途中出場は小笠原、伊東、高崎の3人。
 後半の頭から青木に替えてオガサを入れたり、左サイドの山本を(イエローをもらっていたから?)伊東に替えて、西を左サイドに回したりと、この日も選手交替にはちょっとばかり意外性があった。スタメンにしろ、途中出場の選手にしろ、今年のトニーニョ・セレーゾは選手を固定することなく、比較的公平に出場機会を与えようとしているような印象を受ける。
 対するヴィッセルは今年からネルシーニョが監督に就任したので、台風の目となるかもと思っていたけれど、ここまでのところは、アントラーズと同じ勝ち点という、いまひとつの成績に終わっている。この試合を見ても、3バックで守って、あとはカウンターという、シンプルな戦い方をしているだけで、それほど強いって感じではなかった。でもまぁ、そんな相手に負けちゃったんだけれど。
 先制点を許した場面はカウンターから。相馬崇人──海外にいるのかと思ったら、いつのまにか帰国していたんだ──が左からあげたクロスを、山本が頭ひとつの差でクリアしきれず。ファーでマルキーニョスが折り返したボールを、最後は小川慶治朗に決められた。こっちのマークもゆるかったけれど、まぁ、敵ながら、なかなか見事な連係だった。
 その後、柴崎のナイス・ゴールで一度は同点に追いついたものの、そのあとミスから決勝点を許してしまう。セットプレーからのハイ・ボールの処理で、曽ヶ端と高崎が交錯。ソガがファンブルしたボールが落ちてきたところにいた田中英雄が、ためらうことなくダイレクトでずこんとシュートを決めてくれてしまった。おいおい、思い切りよすぎ。
 この日も高崎は途中出場で、ゴールを決めた田中も途中出場。つまり双方の途中出場の選手のプレーの質の差で決まった試合だったわけだ。ちくしょうめ。
 ちなみにこの日は神戸の10番・森岡が前半の終わりにどこかを痛めたらしく、その代わりに出てきたのが田中英雄だった。森岡が抜けたことで、こちらの有利になると思ったのに、よもやその代役に試合を決められようとは……。
 神戸はその田中英雄にしろ、先制ゴールに絡んだ相馬にしろ、GKの山本海人にしろ、おいおい、いまはここでプレーしているのかって選手がやたらと多かった。この日はペドロ・ジュニオールや渡邉千真らがいなかったので、攻撃ではそれほど脅威を感じなかったけれど、それだけにそんな相手にミスから負けたのは痛い。
 あ、痛いといえば、後半ロスタイムに金崎がセットプレーでのポジショニング争いの際に2枚目のイエローをもらって退場になってしまったのも痛い。カイオといい、金崎といい、攻撃のキーマンだけに、序盤戦で出場停止を食らった影響が後半戦の大事なところで出てこないといいのだけれど。
(Apr 26, 2015)

仙台1-2鹿島

J1・1stステージ第8節/2015年4月29日(水)/ユアテックスタジアム仙台/スカパー!

 用事があって生放送が観られず、帰宅して録画を観るころには酔っぱらっていて──しかも帰宅後も飲みつづけたせいで──、結局ちゃんと観れなかったベガルタ仙台戦。なので感想は簡単に。
 この試合、前半の30分すぎに柴崎が最初のミドル・シュートを打つまで、アントラーズは1本のシュートも打てなかった。仙台、中盤にリャン・ヨンギと野沢が二枚看板で控えているだけあって、さすがに中盤は強力で、思うようにボールを持たせてもらえない感じだった。
 でもこういう苦しい試合にかぎって、あらっと思うような簡単さで点が入る。前半の終了間際のセットプレー。柴崎のCKを昌子が頭であわせて先制。敵陣の真ん中、何人もの相手選手のいるなかへとするりと入り込んだ昌子といい、その頭にピンスポットであわせた柴崎といい、じつに見事なセットプレーだった。
 いやしかし、このところの柴崎のプレーの充実ぶりには目を見張る。もともとのパス・センスのよさに加え、プレース・キックの精度は日に日に高くなる一方だし、このごろは守備でもここぞのピンチをふせぐ場面を数多く見せるようになった。まさに攻守ともにチームの大黒柱となっている。
 この試合では小笠原がひさしぶりにスタメン出場を果たしたのだけれど、キャプテンマークを巻いていたのは柴崎だった。いまならそれも当然だよなと思わせる成長ぶりが頼もしい。ここで留まることなく、もっともっとでかい選手になって欲しい。まぁ、これ以上ともなると、さすがにもう鹿島でのプレーは観られなくなってしまいそうで、それはそれで淋しいけれど。
 なにはともあれ、前半最後のその得点で先制するまではずっと苦戦を強いられていたこの試合なのに、後半はカイオの個人技から追加点を奪って、終わってみれば結果は2-0という快勝──って書こうと思ったら、終了間際に失点してしまって2-1ってのが頂けない。今シーズンはここまで無失点試合がひとつもない。もしかしてチームのワースト記録だったりするんじゃなかろうか。
 なんにしろ、内容だけで見れば、シーズン序盤のころの負け試合のほうがよかったんじゃないかというくらいの出来だった。それでも勝ててしまうのがサッカーの不思議だ。
 この日は出場停止の金崎にかわって高崎のワントップ、ボランチに小笠原という以外はいつものスタメン。途中交替は青木、梅鉢、赤崎……だったらしいけれど、後半はさらに酔いが回ってしまって、彼らが出てきたことさえ気がつかなかった。おそまつ。
(May 02, 2015)