2012年8月のサッカー
Index
- 08/01 △ 鹿島2-2ウニベルシダ・デ・チリ (スルガ銀行チャンピオンシップ)
- 08/01 △ U-23日本0-0U-23ホンジュラス (五輪)
- 08/04 ○ U-23日本3-0U-23エジプト (五輪・準々決勝)
- 08/07 ● U-23日本1-3U-23メキシコ (五輪・準決勝)
- 08/10 ● U-23日本0-2U-23韓国 (五輪・3位決定戦)
- 08/15 △ 日本1-1ベネズエラ (親善試合)
- 08/18 ● 浦和2-1鹿島 (J1・第22節)
鹿島アントラーズ2-2(PK:7-6)ウニベルシダ・デ・チリ
スルガ銀行チャンピオンシップ/2012年8月1日(水)/カシマサッカースタジアム/スカパー!e2
ナビスコ杯のチャンピオンと南米のカップ戦王者が対戦する、スルガ銀行チャンピオンシップ。今年で5回目になるというこの大会、僕はこれまでに一度も見たことがなかった(というか気に留めたこともなかった)のだけれど、今年はアントラーズが出場するので、テレビ放送があるのか、ちょっと気にしていた。
でも、放送されるにしろスカパーだろうし、それも通常のJリーグ・パックの契約では観られないんだろうな、今年からJリーグにナビスコ杯を別途加えたJリーグセレクションMAXという新コースが追加されたので、観られるにしてもそっちだろうな、そもそもJリーグ・パックさえ解約中の俺にはまるで関係ないや、と思っていたのだけれど。
この試合を放送してくれたのが、フジテレビNEXTだった。
先日書いたとおり、わが家ではエレカシのライブを観るために、ちょうどこのチャンネルと契約中なのだった。ラッキー、観られるじゃん! そもそもJリーグ・パック、関係ないじゃん。
Jリーグ・パックを解約したあとに、1ヵ月だけのつもりでスポットで契約したチャンネルで、はからずもナビスコ杯やタイトルマッチが観れてしまう俺って、もしかしてついている男かもしれない、などと思う。
それにしても、暑くてサッカーの質が下がるから、Jリーグの開催を見合わせろって意見があるこの8月に、わざわざ南米の強豪クラブを呼んでカップ戦やるってのも、なんとなく非常識な気がする。平日だから集客も悪いだろうし、暑いわ、客はいないわでは、呼ばれてくるクラブにはいい迷惑なんじゃないかと、いらぬ心配をしていたのだけれど。
この日のカシマスタジアムには2万人ちょいの観客が集まっていた。わざわざチリからやってきたらしい相手クラブのサポーターもけっこういた。えらいっ、両チームのサポーター。そして、そんなサポーターの熱気にこたえるように、対戦相手のウニベルシダ・デ・チリ(名前が覚えられない)も、お仕着せではない、アグレッシブな戦いっぷりを見せてくれた。
いや、ほんとこの高温多湿の異国の地で、2点を先制されながら、あきらめることなく最後まで果敢に攻めつづけた相手クラブのやる気には大いに感銘を受けた。
僕は先に書いたとおり、こんな暑い時期にわざわざ来日してくれた相手チームに対して、申し訳ないという思いがあったため、前半アントラーズが2点を先制する展開に、なおさら相手が気の毒になり、岩政のオウンゴールで失点したときには、これでちょうどいいかもと思ってしまったりしたんだったが、終わってみれば、なにを失礼なこと思ってんだ俺は、ってくらいに、ウニベルシダ・デ・チリいいクラブだった。来日感謝。
この日のアントラーズのスタメンは曽ヶ端、西、岩政、中田、新井場、柴崎、小笠原、レナト、ドゥトラ、大迫、興梠。
このところ調子を落としている遠藤にかわって、レナトが初スタメン(そして初ゴール!)。また、ひとつ前のJ1広島戦(後日録画放送があったので、前日に早送りしてゴールシーンだけ観た)ではCBに青木が出ていたけれど、この試合では中田浩二に戻っていた。どうやら過密日程のため、部分的にローテーションしているようなので、次のJ1ではまた遠藤がスタメンかもしれない。あと、どうでもいいことだけれど、前の試合からドゥトラの頭が五分刈りになっていた。けっこう濃い顔なので、さっぱりしていい感じ。
試合は岩政のヘディングとレナトのミドルシュートでアントラーズが2点をリードしたのち、岩政のオウンゴールで1点差となって前半終了。後半は興梠がPKを取られて同点とされた(判定がややきびしかった)。ドローに終わりはしたけれど、シュート数は8-17だから、どれだけアントラーズが攻められまくっていたか、わかる。2点を先制して相手に同情した僕がバカだった。
この試合は選手交替が6人まで認められている上に延長戦なし(途中出場は遠藤、青木、本山、ジュニーニョの4人)。決着はPK戦にゆだねられ、両チームとも一歩も引かないまま、ノーミスで7人目に突入したところで、ようやく曽ヶ端が相手のPKを止めて、アントラーズが勝利を収めた。
PKのキッカーはジュニーニョ、興梠、オガサ、遠藤、本山、新井場、西(順番が違うかも)。アントラーズのPK戦を観ることって普段ないので、けっこう新鮮だった。
いや、それ以前に、外国のクラブと戦っている選手たちの姿自体がとても新鮮だった。やっぱACL出たいよなぁ。今後のリーグ戦での巻き返しに期待するっきゃない。目指せ、J1ベスト3! 狙えるところまで順位が上がったら、またスカパーと契約し直そう。
(Aug 02, 2012)
U-23日本0-0U-23ホンジュラス
ロンドン・オリンピック/2012年8月1日(水)/コベントリー/NHK
ひとつ前のスルガ銀行チャンピオンシップから中3時間でのキックオフとなった五輪代表のホンジュラス戦。
前回で午前1時からの試合はさすがにきびしいのがわかったので、今回はその間に2時間ばかり仮眠をとった。おかげで明けた今日は比較的すっきり。仮眠って偉大だ。……って、いい年してそんなことに気がつかない俺が愚かって話も。
さて、日本はすでに準々決勝進出が決まっていて、引き分けでも1位通過が決定するということで、この試合、関塚さんはスタメンを大きくいじってきた。GK権田はそのままで、最終ラインは右から村松、鈴木、吉田、酒井高徳、ダブル・ボランチは山村と山口、攻撃的MFに大津、宇佐美、斎藤の3人、そして杉本のワントップという布陣。
要するにフィールド・プレーヤーのうち、サブの全員をスタメンに起用して、レギュラーを温存した形。基本的なところは納得だけれど、山村ボランチで松村が右サイドってのが意外だった。怪我の酒井宏樹が使えないので、サイドバックの駒不足を補うための急造コンバートなのだろうと思うけれど、もともとこういう事態を考慮しての村松の選出だとしたら、関塚監督おそるべしだ。
なんにしろ、フィールド・プレーヤーのうち5人(サイドが変わった酒井高も入れれば6人)が入れ替わっているのだから、連携がいまいちなのは致し方なし。基本、この試合も前の2試合と同じく、相手の攻撃をしのぎながら、素早いカウンターで攻撃を仕掛けるというパターンになった。
ようやく出番がまわってきた期待の宇佐美はこの試合も不発。まわりとの連携がいまいちで、悪いとまではいわないけれど、特別よくもなかった。この程度の出来では、この先もう使われる機会がないかもしれない。少なくても僕には使うべき場面が思い描けない。
そういや、杉本も不発。少なくてもスタメンでワントップを張るには役不足に思えた。今日くらいの出来ならば、ポスト・プレーで前線の起点になれる分、大迫のほうが上だと思う(ま、いまさらいっても仕方ないんだけれど)。ただ、彼の場合、高さがあるので、いざという時の空中戦要員として、宇佐美よりは使いやすいかなと。
なんにしろ、攻撃面ではいまいちだったけれど、守備はあいかわらず安定しているし(いや、権田のファイン・セーブに助けられる場面もあったっけ)、後半はいくらかいい連携も見られるようになったので、勝ち点3こそ取れなかったものの、結果的にはまあまあの試合だったと思う。
そういや、前の試合ではなんか危なっかしいなと思った酒井高徳も、この日はとてもいい守備をしていた。なんだ、やっぱやればできる子なんじゃん。逆サイドの村松も序盤はあやしかったけれど、徐々によくなっていったし、ともに短期間でちゃんと修正が効くところが頼もしい。
相手のホンジュラスは、スペイン戦での日本代表のように、高い位置からのプレスが効いていて、けっこう手強かった。モロッコといい、ホンジュラスといい(まぁ、よそから見れば日本もかもしれないけれど)、この年代のサッカーはまだまだ選手が発展途上なせいか、国のイメージと実力がマッチしていない気がする。そもそも枠2つしかない南米の代表がブラジルとウルグアイってのはともかく、ヨーロッパはなぜスペインとスイスとベラルーシ? ドイツやオランダはいったいどこへ……。
そういや、スペインは最後のモロッコ戦もスコアレス・ドローに終わり、結局無得点のまま大会をあとにしてしまった。南アフリカW杯のときのA代表も、(華麗なパスまわしで優勝こそすれ)得点力にはやや問題ありって感じだったから、今回はその辺の課題が若年層において表面化したということのように思う。
ま、なんにしろドイツやアルゼンチンが出場できず、スペインが早々に敗退してしまうようでは、五輪サッカーが世界では軽んじられるのも仕方ない気がする。
とはいえ、世界的な風潮がどうであれ、五輪の人気が絶大な日本では話は別だ。オリンピックでの日本代表の活躍はサッカーの人気を高める上で、この上ないカンフル剤になるはずだから。
意外にも、W杯と比べて出場国の少ないオリンピックでは、あと2試合勝てばメダルに手が届く。そして次の試合、準々決勝の対戦相手はエジプト。
エジプトにはつい最近、トゥーロン国際大会で負けているという話だけれど、逆にそのレベルの相手に2度もつづけて負けるってのは、いまの日本代表ならばあり得ないでしょう。つまり大いに期待していいってことだ。次の試合を楽しみに待とう。
とりあえず次は土曜日でよかった。
(Aug 02, 2012)
U-23日本3-0U-23エジプト
ロンドン・オリンピック/2012年8月4日(土)/マンチェスター/BS1
やりました~、日本代表ベスト4に進出! まさかのメダルまであと1勝!
──といいつつ、その試合、僕はわが家へ遊びにきていた妹夫妻とワインを飲みながら観ていたので、あまりこまかいところは語れない。でも内容はよかったと思う(3-0で勝っているんだから当然か)。うまい酒に食事にいい試合という、幸せな2時間だった。
この日のスタメンは権田、酒井宏樹、鈴木、吉田、徳永、山口、扇原、清武、東、大津、永井の11人。けがの酒井宏が戻ってきて、スペイン戦と同じ形になった。
で、試合自体もスペイン戦と似たような展開。高い位置からのプレッシングで相手ボールを奪い取って、素早いカウンターで得点につなげるという戦い方はこの試合でもうまく機能していたし、そうやって先制したのち、前半の終わり近くに、ディフェンス・ラインの裏を取った選手(この日は齋藤学)が相手DFに倒されて一発レッドの退場を誘い、数的有利な状態で後半に臨むという展開も、スペイン戦のリプレイのようだった。
違ったのは、後半にさらに2点を追加できたこと。スペイン戦ではなぜ追加点がないのか不思議になってしまうような試合だったけれど、この日はちゃんと点が取れてよかった。
得点は先制点がまたもや永井。清武が放ったロング・パスにあの驚異の快速で追いつくと、止めに出た相手GKとDFが味方同士で交錯して無人となったゴールに、難なくボールを蹴り込んだ。
その直後にうしろから詰めてきたDFに追突され、腿の裏を痛めて交替になってしまったけれど(かわりは斎藤)、ゴールを決めた直後の、その痛さに気がつかないような喜びようがおかしかった。ま、そりゃ嬉しいよな。
追加点は2点目がセットプレーからの吉田麻也のヘディング、3点目が扇原の左サイドからのクロス(完璧!)に大津が頭であわせたもの。相手が少なくなっていただけに、ちゃんと得点を上乗せできてよかった。やっぱ得点がたくさん決まるって気持ちいい。
なんだそりゃーって思ったのは、後半の選手交替で、関塚さんが東を下げて、酒井高徳を入れてきたこと。境を左サイドに入れて、徳永を前に出してトリプル・ボランチで守ったりする作戦かと思ったら、徳永はそのままで、酒井はその前の高い位置に入った。なにゆえ酒井を中盤で使うんだ? そこに入れるんだったら、宇佐美じゃないの? そんなに宇佐美は使えないと思っているのか、関塚さん?
――と、なんとなく複雑な気分で見ていたら、そのあとで最後の5分ばかりだけれど、宇佐美にも出番がまわってきました(アウトは清武)。いちおう宇佐美の心情にも配慮したんだろうか。ま、わずかばかりだけれど、宇佐美のプレーも観れてなによりだった。
それにしても、このチームを見ていて不思議なのは、相手のボール支配率が高くても、まったくそういう印象を受けないこと。
この試合も前半のボール支配率はエジプトが60%とかだったらしいのだけれど(退場者が出たため、最終的には日本のほうが高くなった)、それでもそんなに相手にボールを持たれているという気がしない。というか、実際にそうだったとしても、それでいて不思議と劣勢な気がしない。ボールを持っているのは相手なのに、試合は終始日本のペースで進んでいる感がある。
それはおそらく、ボールを持っている時間自体は短くても、その短いあいだにきちんと攻撃的なプレーができているからなのだろうと思う。高い位置でボールを奪うと、即座に前と向いて相手ゴールを目指す、そういうプレーができているから、見ていて気持ちがいいんだろう。よくいう全員守備・全員攻撃、これをいまの五輪代表は見事に実践できている気がする。
さぁ、これで次は準決勝、ウェンブリー・スタジアム@ロンドンだっ! 日本代表、アトランタから16年かけて、ようやくオリンピック開催地に到着~。
準決勝の対戦相手は大会前に勝っているメキシコ(同じように大会前に戦ったベラルーシが敗退したので、メキシコもセネガルに負けるんじゃないかと予想していたら外れた)。エジプト戦のときとは逆に、今回はこのレベルの相手に2回続けて勝てるかってところがやや不安だったりするけれど、まぁ、ここまでくれば、結果はどうであれオッケー。今回の五輪代表チームが観られるのも、あと2試合だけだ。後悔を残さないような戦いをして欲しい。
ちなみに、トーナメントのもう片方のグループでは、韓国がPK戦のすえ、開催国のイギリスを破ってベスト4に駒を進めている。準決勝の相手はブラジルだから、簡単にはその先には進めないだろうけれど、もしもの場合は決勝戦が日韓戦という可能性も……。
ま、メキシコのあとに対戦するのが、ブラジルであれ、韓国であれ、難しいギリギリの試合になるのは間違いなし(せっかくだから、最後はブラジルと戦う日本代表が見たい)。どちらかというと、メキシコ戦よりもその試合のほうが楽しみだったりする。何色のメダルを賭けて戦うことになるのかはわからないけれど。
なんにしろ、決着まであと1週間足らず。──さてどうなる。
(Aug 05, 2012)
U-23日本1-3U-23メキシコ
ロンドン・オリンピック/2012年8月7日(火)/ウェンブリー/BS1
なんといっていいのやら……。ただひたすら残念。
日本はエジプト戦までのいいサッカーができなかった。やはり中2日での連戦がこたえているんだろう。前線からの出足の速いチェックで相手の攻撃の芽を摘み、相手に攻撃の余地を与えない、そういうサッカーでここまで勝ちあがってきた今回の五輪代表だけれど、この日のメキシコ戦では、そのサッカーができなかった。エジプト戦と同じベスト・メンバーで臨んだにもかかわらず、どうにも全体的に動きが鈍い。相手を押し込めるだけの動きの鋭さがない。
それでも大津の素晴らしいミドルシュートで先制したので(大津、すごすぎる)、そこからは上向きになるかと思ったら、残念ながらそうはならない。あいかわらず、内容は低調なまま。こんな調子では、どうにも1点では安心できないよなぁ、もう1点取らないと勝てなさそうな気がするなぁ……と思っていたら、やはり……。セットプレーから同点ゴールを許してしまう。
そっからはもー、後手後手。とにかく受け身なサッカーに終始した感じ。動きが悪いだけでなく、ミスもやったらと多い。結局、次の失点はそんなミスのひとつからだった。後半途中に、権田からの不用意なパスを扇原がメキシコ人にボールをかっさらわれて、逆転ゴールを決められてしまう。
いや、じつは恥ずかしながら、僕はこの逆転ゴールの瞬間を見逃した。相手の攻撃をしのいで、ボールが権田の懐に収まったのを見てひと安心して、ちょっとモノを取りに席をはずしたその数秒間が命とり。まさかそんな数秒で失点って……。おいおい。
でもまぁ、リプレイを見た限り、あれはシュートを打った相手が上手だった(ボールを奪われたのはあきらかにミスだけれど)。決めたのはOA枠の選手だそう。さすが年の功。いざというときに頼りになる。敵ながらあっぱれ。
まぁ、この1点で勝負ありだった。この日の日本ではとても追いつける気がしなかった。関塚さんはそこから東→杉本、清武→宇佐美、扇原→斎藤と、次々と攻撃的な選手を入れてきたけれど、誰ひとり日本の攻撃を活性化させることはできなかった。残念ながら宇佐美、まだまだだなぁ……。
そういや、前の試合で受けた怪我のため、この試合は欠場が噂されていた永井は、無事スタメンに名を連ねこそしたものの、やはりプレーはいまいち。この日のような出来ならば、早めに替えてもよかったと思う。というか、いまとなると、スタメンで使わない方がよかったんではないかとさえ思う。僕には永井を最後まで残した(そのくせ清武を引っ込めた)関塚采配はいまいちよくわからない。
結局、最後は扇原を下げて山口のワンボランチという無理のある形にしてまで攻めに行ったのがあだとなり、ロスタイムにメキシコに3点目を奪われてゲームセット。日本はあと一歩、金メダルに手が届かなかった。
このあとの試合で韓国が(順当に)ブラジルに負けたので、3位決定戦はよもやの日韓戦ということに……。なんか、こういうシチュエーションだと韓国に勝てる気がしない。そんな自分の弱気が嫌だ。
(Aug 09, 2012)
U-23日本0-2U-23韓国
ロンドン・オリンピック/2012年8月10日(金)/カーディフ/NHK
うーむ。やっぱり勝てなかった……。日本代表、韓国に敗れて銅メダルを逃すの巻。
この試合の日本は、退場者なしの試合としては今大会で初めて、ボール保持率で相手を上回った。でもそれがあだになってか、いままでのように速攻でいい形が作れない。高めのプレスでボールを奪って即攻撃、という形が取れない。逆に相手のロング・ボールからカウンターを食らって2失点。そのまま逃げ切られてしまった。
でもまぁ、先制点を許すまでは、決して悪い出来ではなかったと思う。大津のドリブルで相手に脅威を与えて、序盤だけで相手にイエローカードを3枚も誘うって具合だったし。この調子ならば、そのうちまた相手に退場者が出て、楽な展開になるかも……と思ったりしたんだったが。
でもそうは問屋が卸さないのが日韓戦。この大会では不調だったという噂のパク・チュヨンに1本のロング・ボールから先制ゴールを許してしまう。またもこいつかー。なんでこうも、日本戦に強いかな。というか、なぜに日本はああも彼に弱いかな。よくわからない。
さらには同点を目指す後半にも、まったく同じような形から、ク・ジャチョル(なぜにあんなにもふてぶてしい面がまえをしているんだ)にも追加点を許す展開。あまりに失点の形が悪すぎる。とても準々決勝まで無失点だったチームとは思えない。
要するに、そこまで無失点でしのいでこられたのは、前線のプレスがきちっと効いていて、対戦相手にこちらのディフェンス・ラインの近くでプレーをさせない試合運びができていたからなのだと思う。だから中盤を省略してそこへボールを放り込んでくる相手と当たった途端に、2試合で一挙に5失点なんてことになる。今回のチームの生命線は前線の運動量にこそあり、連戦の疲れ(と永井の故障?)からその部分で勝負ができなくなった時点で、こういう結果になるのは避けられないことだったような気もしてくる。
あと、よくわからなかったのは、2-0となってからの関塚さんの采配。2点を追う展開で、最初の交替カードが扇原を山村に替えるってのは、なんなのか。あまりに意味が不明で、単にお気に入りの山村をこの最後の舞台に立たせてあげたかっただけなんじゃないかと勘ぐりたくなってしまう。
そのあとの杉本や宇佐美の投入もほとんど状況を好転させなかったし、こと交替カードの切り方という点では、この大会の関塚さんの采配は納得のいかないことばかりだった(とはいえ、大会を通じて見せてくれたサッカーにはある程度満足している)。
まぁ、相手の韓国にしたって、いいサッカーはできていなかったんだけれど、そこは日本に対する過剰なライバル意識と、メダル受賞による徴兵制回避というご褒美がある分、こちらよりもモチベーションが高かったんだろう。そういや、監督はホン・ミョンボだしなぁ……。キム・ボギョンのほかJリーグ経験者も多いし、そういう相手とオリンピックの地でメダルを賭けて戦うことになるって展開からして、運命的なものを感じないではいられない。
しかし、なんでこうも、ここぞというところで韓国に勝てないかなぁ……。勝負は時の運だから、メダルを逃したこと自体は仕方ないと思うけれど(なんたって決勝戦でブラジルでさえメキシコに負けるわけだし)、とにかく韓国に負けたのが残念だ。アジアカップこそ勝っているけれど、こと世界の舞台となると、毎回韓国の後塵を拝している状況が情けねぇ。いい加減、この韓国コンプレックスをなんとかしたい。
──とはいえ。どう考えたって、日本代表のサッカーは進歩している。こと、攻撃的なタレントの豊富さという点では、まったく韓国に負けていないと思う。香川や宮市抜きでここまで戦えてしまう日本という国のポテンシャルって、決して侮れないんじゃないだろうか。
それに日本のプレーはとてもフェアだ。この日の試合とかも、さかんに削りにくる韓国に対して、日本のサッカーには激しさが足りない、このままでは世界にかなわない、みたいな意見を見かけたけれど、僕はそうは思わない。少なくても相手に怪我をさせることを厭わないようなプレーを激しさと呼ぶならば、僕はそんなもの肯定しない。日本代表にはもっともっと技術を高めて、汚いプレーで削りにくる相手を鼻であしらってしまえるくらいに強くなって欲しい。
マリーシアなんていらない。僕はフェアプレーをまっとうしつつ、お人よしで馬鹿正直なまま、韓国と──そして世界と──互角に戦う日本代表が見たい。
僕はこの日の3位決定戦を観ながら、そう思った。
(Aug 12, 2012)
日本1-1ベネズエラ
親善試合/2012年8月15日(水)/札幌ドーム/TBS
1ヶ月後に控えたW杯最終予選のイラク戦へ向けた調整のための一戦。──なんだろうけれど。つい2、3日前までオリンピックに振りまわされていたもんだから、間髪入れずにA代表の試合って言われても、いまいち盛りあがらない。
おそらく今回の試合は、やっている選手たちにとっても、モチベーション的に難しかったんじゃないかと思う。ヨーロッパでプレーしている選手たちは、リーグ戦の開幕前後の大事な時期だ。レギュラーを確保しているならばともかく、微妙なポジションにいる選手にとっては、今回の招集はありがた迷惑だろう。とくに五輪のメンバーだった酒井高徳なんか、呼ばれて日本に戻ったのに出番なしだし。ザックさん、そりゃちょっとないんじゃないのと思う。
また、そんな微妙な状況の試合だというのに、ザッケローニはほぼベスト・メンバーで戦うんだから、よくわからない。
次のイラク戦は今野、栗原、内田篤人が累積警告で出場できないということで、この試合ではディフェンス・ラインで吉田麻也とコンビを組む選手の見極めが最大の課題とされた(だからマヤちゃんには五輪の直後だというのに、出てもらわないわけにはいかなかった。ご苦労さま)。
でも、スタメンは川島、駒野、吉田、伊野波、長友、長谷部、遠藤、岡崎、本田、香川、前田という顔ぶれ。なにもこのシチュエーションで、そこまでガチのスタメン組まなくたっていいでしょうよぉ。ディフェンス・ラインをテストするんだったら、もっと前も冒険して新戦力を試して、ピンチを招くくらいでちょうどいいんじゃないだろうか。こういう保守的で融通の効かないところが、ザッケローニの欠点だと思う。
まぁ、なんにしろ、このメンツでホームで戦うんだから、そりゃボールはほぼ支配できる。でも、みんなこの時期に怪我しちゃ大変だから、そんなに激しいプレーにはならないし、部分的には見事な攻撃を見せるけっこうシーンもあったけれど、決定機を逃しまくって得点は遠藤の1点だけ(これは見事だった)。しかも相手にも得点を許してドローに終わってしまうというていたらく。ザッケローニの選手交替も、後半の頭から水本を試したのが新しいくらいで、あとは細貝、憲剛、藤本、槙野など、実力のほどのわかっている選手ばかりを使うもんだから、どうにもおもしろみがない。
結局、この試合でわかったのは、フル出場した本田、香川、遠藤、麻也、長友らがザッケローニのチーム構想には欠かすことのできない選手らしいってこと。要するに、わかりきったことしかわからない、そういう試合だった。
でもまぁ、最初に書いたとおり、観ている方もやっている方もモチベーション的に難しい試合だったから、あまり内容についてつべこべ言うのはやめよう。忙しいなか、世界中から集まった代表選手たちにエールを。
(Aug 15, 2012)
浦和レッズ2-1鹿島アントラーズ
J1・第22節/2012年7月14日(土)/長居スタジアム/BS1
およそ1ヶ月ぶりのJ1、アントラーズ戦。対戦相手は今季はひさしぶりに好調で、この試合後は3位と順位を上げたレッズ。
この試合のスタメンは、曽ヶ端、西、岩政、山村、新井場、青木、柴崎、レナト、ドゥトラ、大迫、興梠の11人。試合直前に小笠原が腿を痛めたとのことで、今季初の欠場。当初は青木がCBの予定だったらしいのだけれど、そのため山村が最終ラインに入り、青木がボランチという形になった。
でもなー。青木がCBの予定だったんならば、普通に考えれば、オガサの代役は増田でしょう? でも、この日のその采配を見るかぎり、ジョルジーニョにとっては増田よりも山村のほうが格上ってことになる。いや、ボランチとしての信頼感という点で、増田<青木<小笠原という位置付けなのか。いずれにせよ、去年は日本代表にも選ばれていて、現在クラブの選手会長を任されている選手にそういう扱いはないよなぁ……と思う。
前半戦であれほど重用していた遠藤が、レナトの加入後はスタメンを外されているのもそうだし(ナビスコ杯ではローテーションを考えて外したのかと思ったら、あれ以来、遠藤のスタメン出場は一度もない)、どうにも僕にはジョルジーニョの選手起用に納得がいかないことが多い。そもそも本山という素晴らしいMFがいるにもかかわらず、レナトを獲得したこと自体どうかと思うし(いい選手だとは思うけれど)。前任者のオリヴェイラ氏が選手の心情に対するマネージメントにたけた人だっただけに、僕にはジョルジーニョの起用方法は、選手の心情や実力を無視した、とても偏ったものに思えてしまって仕方ない。
そういや、この試合での前半なかばでの大迫の交替もどうかと思った。
この日の大迫は前半の途中でイエローカードをもらい、そのあとにも続けてあわやイエローかってプレーがあって、やや安定感を欠いていた。確かに、このままだとこの先、退場もあるかもって印象だった。
だからだと思うんだけれど、ジョルジーニョは前半でレッズに1-0と先制された途端に大迫を見限り、遠藤を入れてきた。万が一、大迫が退場を食らうようなことがあっては追いつくのが難しくなるし、不甲斐ないプレーをしている大迫へのカンフル剤って意味もあったのかもしれない。それにしてもチームのFWの柱として使っている選手を開始わずか30分でベンチに下げる、しかもそれに合わせてフォーメーションを伝統の4-4-2から4-2-3-1に替えるってのは、どうなのかなぁと思わずにいられない。大迫を替えるにしても、なぜに素直にジョルジーニョなり、岡本なりを入れられない?
前半はそんなどたばたもあって、内容的にいいところがなく、2-0で折り返す(得点は宇賀神と原口。原口のゴールはほんと見事だった)。後半もあまり状況は変わらなそうだったので、あぁ、きょうの試合もおもしろくないなぁ……とがっくりしながら観ていたのだけれど。
これが不思議なもので、セットプレーから岩政のヘディングが決まって1点差となった途端に形勢が逆転する。その辺からレッズの運動量が落ちたってのも手伝って、そこからは完璧にこちらのペース。ドゥトラに替えてジュジーニョを入れたところからは、フォーメーションもいつもの4-4-2に戻して、もう押せ押せ。あとはゴールさえ決まれば……って展開だったけれど、これが決まらない。結局、そのままレッズに逃げ切られてジ・エンドとなった。あぁ、なかなか順位が上がらない。
そういや、このごろのジョルジーニョの采配でおかしいと思うもうひとつの点は、ベンチ入り選手のセレクション。この日のサブは佐藤、梅鉢、増田、本山、遠藤、ジュニーニョ、岡本の7人だった。つまりDFはゼロ。まぁ、青木がDFもできるし、増田もサイドバックでのプレー経験があるので、いざというときにはその辺をコンバートしてしのぐつもりなんだろうけれど、それにしても極端だよなぁ……と思う。
この試合のあとの記者会見では、審判の判定に激怒するジョルジーニョに、通訳の人が涙するというハプニングもあったとかなんとか。なにもかもが上手くいっていない感のある今年のアントラーズだった。あぁ、今年はこのまま浮かぶことなく終わりそうな感じに……。
相手のレッズはマルシオ・リシャルデスが出場停止のため、スタメン全員が日本人だったけれど、それでも加藤、坪井、永田、槙野、宇賀神、平川、阿部、鈴木啓太、柏木、梅崎、原口というスタメンを見れば、そこには新旧代表勢がずらりと顔をそろえているわけだから、そりゃ手強かろう(田中達也も途中出場)。どちらかというと、ここ数年低迷していたのがおかしかったわけで、ペトロヴィッチのもと、ようやく本来のポテンシャルを発揮できるようになったという印象だった。おかげでこちらは今季リーグ戦2敗ってんだから困ったもんだけれど。
(Aug 19, 2012)