2011年2月のサッカー
Index
- 02/26 ○ 名古屋1-1鹿島(PK:3-1) (ゼロックス杯)
名古屋グランパス1-1鹿島アントラーズ(PK:3-1)
FUJI XEROX SUPER CUP/2011年2月26日(土)/日産スタジアム/日本テレビ
さあ、Jリーグ開幕まであと一週間──。ということで、まずは毎年恒例の前年度王者と天皇杯覇者との対戦、ゼロックス杯。アントラーズはこれが4連連続の出場。
今年の鹿島は、マルキーニョスの放出、日本代表のボランチ本田拓也の獲得、高卒ナンバーワン・ルーキー柴崎岳の加入、中田浩二のCBへのコンバートと、いつになくホットな話題が多い。どんな風に戦ってゆくのか気になって仕方ないので、思いきってスカパーと契約して、Jリーグは全試合フォローすることに決めた。とはいえ、あまり気負ってしまうと大変なので、ここでの感想は適度に流す方向で。
さて、注目される今年最初の公式戦のスタメンは、GKが曽ヶ端(ここは動かしようがない)、4バックが右に新井場、左に新加入のアレックス(ジェフ千葉から移籍)、CBが岩政と伊野波のコンビ、中盤は小笠原と青木のダブル・ボランチに、野沢とフェリペ・ガブリエル、そしてツートップが興梠と大迫というメンバーだった。
注目の身長190センチのブラジル人FWカルロンはベンチスタート。そのほかのサブの選手は、杉山、中田浩二、本山、増田、遠藤康、田代という顔ぶれ。注目の柴崎と本田拓也はベンチ入りしていないけれど、それでも十分に豪華なラインナップだ。というか、日本代表の本田がベンチ入りさえできないって、いいんでしょうか、こんなことで。ちょっと贅沢すぎる悩みのような気がする。
この日のスタメンは、ぱっと見、すごくオーソドックスなんだけれど、そんな風に戦力が充実しているがゆえに、へぇ~と思うところもいくつかあった。
まずはセンターバックのコンビが岩政と伊野波だったこと。先週の水戸とのプレシーズン・マッチでは、中田浩二がスタメンだったので、今年のオリヴェイラのファースト・チョイスは中田かと思っていた。現状だと岩政が外れるってのは考えにくいので、中田と伊野波は、その時々でコンディションのいい方が岩政のパートナーを務めることになるんだろうか。
まあ、序盤はACLもあって、かなりの過密日程だから、年齢的なことを考えれば、中田で固定というのも難しいだろうし、かといって彼ほどの選手を控えに置いておくわけにもいかないだろうとは思うし。オリヴェイラさんも悩ましいところだろう。
それはボランチやFWのセレクションも同じ。本田拓也がこのままベンチ入りもできずに終わるはずはないし、柴崎だってオリンピックを視野に入れれば、さっさとデビューしたい(させたい)だろうし。山形へのレンタル移籍から戻ってきた田代や増田だって、あえてレギュラーの座を捨てて戻ってきたからには、それなりの決意があるだろう。
そういう選手たちにいかにバランスよくチャンスを与えるか。今年はものすごくオリヴェイラ監督の手腕が問われる一年になると思う。いやぁ、考えれば考えるほど、本当に今年は選手起用が難しい。
なんにしろ、そんな贅沢なシーズンの始まりを告げるこのゲームで、僕がいちばん意外に思ったのは、青木のスタメン起用だった。去年はほぼ一年じゅう中田浩二にポジションを奪われたままだった彼が、本田拓也が入ってきた今シーズンのしょっぱなで、レギュラーを奪いかえすとは正直思わなかった。とはいえ、このまま最後まではいかない気はするけれど。
試合内容はといえば、まあ最初はこんなものかなと。相手のグランパスはさすがに前年度王者だけあって手ごわいチームだし──清水から移籍してきたばかりの藤本淳吾が、早くもかなりチームにフィットしていて驚いた──、内容的にはほぼ互角という印象。藤本のセットプレーから増川にヘディングを決められて先制を許すも、野沢の直接FKで同点に追いついき、結局ドローに終わった(どちらも見事なゴールだった)。PK戦では楢崎に3人も止められてジ・エンド。4人中3人も止められちゃうとは……。さすが楢崎、昨年度のMVPはだてじゃない。
興梠と大迫のツートップは、どちらもシュートへの意識の高さを感じさせて好印象。決められなかったけれど、シュートは多かった。今年はチーム内での競争が熾烈だけに、両者とも思うところがあるんだろう。
ただ、中盤ではあいかわらずフェリペがいまいち。彼を使うんならば、増田がスタメンのほうがよっぽどいい気がしちゃうんだけれど……。これだけ戦力が充実しているにもかかわらず、フェリペがずっとレギュラーをはるような状況がつづくならば、今年も危ないような気がする。さっさと本山にスタメンでプレーできるようになって欲しい。
なんにしろ、フェリペが歴代のトップ下の選手に比べて力不足なことと、ウッチーの移籍以降、サイド攻撃からの得点が減ってしまったことが、去年勝ち星が伸びなかった要因だと僕は思っているので、その点が今年もあまり改善されていないのは、やや気がかりだった。
あと、この日は選手交替のタイミングが遅かったのも気にかかった。開幕一週間前で、新戦力を試すには絶好の機会だったというのに、カルロンの投入が残り10分を切ってからだったりして、オリヴェイラさんの采配にはいまいち切れを感じなかった。本山を入れたのなんて、残り2分を切ってからだし。そんな時間で彼になにをしろっていうんだか。
まあそんなわけで、それなりの手ごたえを感じる一方で、若干の不安もおぼえた一戦だった。でもやはりJリーグのある生活って楽しい。
(Feb 27, 2011)