2010年3月のサッカー

Index

  1. 03/03 ○ 日本2-0バーレーン (アジア杯・予選)
  2. 03/06 ○ 鹿島2-0浦和 (J1・第1節)
  3. 03/09 ○ 全北現代1-2鹿島 (AFCチャンピオンズリーグ)
  4. 03/24 ○ 鹿島5-0ペルシプラ (AFCチャンピオンズリーグ)
  5. 03/27 ○ 鹿島3-1山形 (J1・第4節)
  6. 03/30 ○ ペルシプラ1-3鹿島 (AFCチャンピオンズリーグ)

日本2-0バーレーン

アジアカップ予選/2010年3月3日(水)/豊田スタジアム/BS1

 ワールドカップ本番まであと5試合。
 なのに、なんだろう、この盛りあがらなさは。代表戦だというのに、まるでワクワクしない。
 ただでさえ、このところの代表のサッカーに失望しているところへきて、この日の試合はすでにアジア杯への出場の決まった国どうしの消化試合なものだから、なおさら盛りあがらない。マリノスへの復帰が決まったばかりの俊輔はともかく、本田、松井、長谷部、森本といった海外組をわざわざ招集したのがまた、国内組だけではまともに戦えない岡田さんの力量不足に思えてしまって、なおさらテンションが下がる。
 それでも、もしもスタメンで森本と平山がツートップを組んだりすれば、その新鮮さにおおっと思って一気に盛り返したかもしれない。けれど岡田さんが選んだフォーメーションは岡崎のワントップだ。なんでこの人は、こうもつまらないんだろう? もうちょっと観ているこちらを、おーっそうきたかと驚かせるような采配をふるってくれないもんだろうか。もうがっかりし飽きた。
 この試合のスタメンはGKが楢崎、4バックが右から内田篤人、中澤、闘莉王、長友、ダブル・ボランチが長谷部に遠藤。ここまでのメンバーは、怪我人さえ出なければ、本番もこの組み合わせでほぼ確定だろう。
 今日はその前に俊輔、本田、松井を並べて、岡崎のワントップという形だった。考えてみれば、俊輔、本田、松井の三人がスタメンで一緒にプレーするというのは、けっこう珍しいのだけれど、俊輔のスペイン移籍がわずか半年で挫折した失望感も手伝って、それほど新鮮な気がしない。そもそもこの形だって、憲剛がACLで顎の骨を骨折して欠場したからじゃないかという気もするし。もしも憲剛がいたらどうなっていたかわからない。
 そういえば、選手交替もつまらなかった。後半になってから森本を入れたのはいいけれど、その代わりに松井を下げたのはどうかと思ったし、さらにそのあとの交替が残り5分を切ってからの俊輔→玉田だけってのはどうだ。玉田の実力はすでに十分わかってんだろうに、いまさら彼に5分足らずでなにをさせたいんだかわからない。
 もひとつおまけに、交替カードを残したまま終わってしまうってのがわからない。残り少ない貴重な実戦の場だというのに、試しておきたい選手がほかにいないんだろうか? そんなわきゃないだろう。少なくても僕ならば、中澤と闘莉王のどちらかを下げて、センターバックの選手をテストする。
 岡田さんはベスト4を目指すというけれど、つまり目的を達成するには世界の強豪相手に7試合を戦わなきゃならないわけだ。当然きわどいプレーも増えて、怪我をしないまでも、カードをもらう可能性は高くなる。守備的な選手が累積警告で出場停止になるケースは十分に考えられる。万が一グループリーグを突破した場合、センターバックのふたりが揃って全試合に出場できるとは、とても思えない。
 岡田さんはそういう事態へのケアをまったくしていない。危機管理の意識がまるで感じられない。そこんところもやたらと気に入らない。口ではベスト4とか言っているくせして、じつは本人がまるで信じちゃいないんじゃないだろうかと思ってしまう。
 なんにせよ、W杯出場を逃したバーレーンとの消化試合で、レギュラーDFを最後まで引っぱんなくたっていいじゃん。どうせ消化試合なんだし、リスクを冒して新しい可能性を探ろうよぉ。もう、つまらないこと、この上ない。あまりに不満が多いせいで、初めからマイナスのバイアスがかかってしまっているから、勝ちはしたものの、ぜんぜん楽しめなかった。
 この日の得点は岡崎と本田が1点ずつで、どちらもサイドからのクロスにヘディングであわせたもの。岡崎へのクロスは俊輔が起点となって、左サイドの松井から折り返されたもので、どんぴしゃのきれいなヘディングだった。
 本田のはロスタイムで、こちらは右サイドの篤人から。森本がニアであわせそこなった先に本田が待っていた。すでに相手DFの足は止まっていたけれど、とりあえずフル出場の本田が最後にあそこまで詰めていたのは評価できるかなと思う。なにより岡田さんにとってもあの2点目はでかかった。1-0で終わっていたら、試合後はきっとまたブーイングだったろう。
 まあ、とりあえず、バーレーンには去年のアウェイでの一戦で負けているので──思えば、わがサッカー人生で初めてのテレビ放送がない代表戦だった──、きちんと雪辱を果たして終われたのはよかった。僕にとってはそれだけが救いという一戦だった。
(Mar 03, 2010)

鹿島アントラーズ2-0浦和レッズ

J1・第1節/2010年3月6日(土)/カシマサッカースタジアム/NHK総合

 さあ、始まりました2010年のJ1。われらが鹿島アントラーズの初戦の相手は、去年と同じく浦和レッズ。
 全部で18チームもあるのに、2年つづけて同じ開幕カードってのはどういうことだと、Jリーグに文句のひとつもつけたくなるところだけれど、まあ、下手に手の内のわからない昇格チームと当たるよりも、レッズのような、手強いけれど勝手知ったる相手と当たったほうが、返ってやりやすいというのはある。結果がこの日のように良好ならば、なおさらだ。
 この日、開幕を飾った先発メンバーは、曽ヶ端、内田篤人、岩政、伊野波、新井場、中田浩二、小笠原、野沢、フェリペ・ガブリエル、興梠、マルキーニョスの11人。
 このなかで、なにより驚いたのが伊野波のスタメン出場。ACLやゼロックス杯では、新加入のイ・ジョンスが完璧にフィットしていたし、どちらも完封勝利を収めているので、よもや開幕戦で伊野波に出番がまわってくるとは思ってもみなかった。
 でもこれ、イ・ジョンスが水曜日の代表戦でもって足を痛めたからとのこと(韓国代表としてコートジボワールと対戦して、ドログバとの接触プレーで怪我したとかなんとか)。DFの目玉として獲得した選手が開幕戦で欠場しちゃうってのは不運だけれど、でもそれゆえ去年のレギュラーにお鉢がまわってきて、開幕戦をなんら問題のない状態で迎えられるんだから、今回の補強の成果がいきなり出たと言える。
 対するレッズのスタメンは、GK山岸、DF平川、山田暢久、坪井、宇賀神、MF阿部、細貝、ポンテ、エスクデロ、柏木、FWエジミウソンという布陣。
 移籍した闘莉王の後釜は誰かと思ったら、山田暢久ってのに驚く。なんでもオーストラリア人のDFを獲得したらしいけれど、この日はなぜかベンチ入りさえしていなかった。いずれにせよ、山田をその位置で使わないとならないってのは、要するにCBがきちんと補強できていないってことだろう。こちらとは対照的だ。
 レッズでさらに意外だったのは、鈴木啓太がベンチを温めていたこと。田中達也、高原も同じくベンチで、去年あれほど重用されていた原口元気さえも、今年はベンチ・スタートだった。そういえば山田直輝もいなかったけれど、彼は怪我のために長期離脱中だったっけ。
 まあ、これらの選手を控えにまわしてなお、ああいうスタメンを揃えられるんだから、選手層の厚さはさすがだと思う。けれど、メンツの豪華さはともかく、山田暢久をCBで起用したり、年齢的にいまが旬の啓太がベンチを温めたりしているのを見ると、フィンケ体制2年目の今年も、レッズはまるで上手くいっていないように見える。
 この試合でレッズが抱えている問題が如実に表れたのが、1点のビハインドで迎えた後半の選手交替の場面。ひとり目の交替で達也を投入する際に、ボランチの細貝をベンチに下げ、柏木を一列下げるという攻撃的な采配をふるったフィンケ監督は、その次の交替で原口を入れるにあたって、なんと坪井を下げてきた。
 要するに、これでレッズはフィールド上にプロパーなセンターバックがひとりもいない状況になったわけだ。いくら阿部がCBもできるとはいっても、コンビを組むのは急造CBの山田暢だ。さすがに限界があるだろう。なおかつ、スタメンのダブル・ボランチが両方ともポジションを離れてしまったため、中盤の底は柏木ひとりでケアせざるを得なくなった。いくらこちらが過密日程で疲れているからって、そんなんでディフェンディング・チャンピオンの攻撃をしのげると思う感覚がわからない。
 案の定、この交替でレッズは守備のバランスを崩し、防戦一方になってしまう。で、ついには試合を決定づける2点目のゴールを献上してしまう。なんだか、もう決まって当然って感じの1点だった。これじゃ攻撃的なカードを切った意味がまるでない。言っちゃ悪いけれど、フィンケという監督の手腕を疑いたくなるような愚策だと思った。
 去年は怪我で出おくれたポンテが、今年は開幕早々とても元気だったし、エスクデロも中田浩二いわく「キレキレ」だった。大卒ルーキーの左サイドバック、宇賀神もいい選手っぽかった。注目の柏木はまだまだフィットしていないし、エジミウソンのワン・トップもほとんど機能していなかった気がするけれど、それでもレッズがJ1屈指のチームのひとつであるのは間違いないと思う。
 それなのに、この日のレッズはまったく恐くなかった。チームとしての方向性が見えてこないというか、なんというか……。他人事ながら、こんなことでいいのかと思ってしまった。サッカー人気に陰りが出ている時期だけに、Jリーグ屈指の人気チームが低迷するようなことになって欲しくないんだけれど……。
 なんだか、主軸の怪我をものともしないアントラーズの盤石さ──おそらく相手チームからすると憎らしいくらいの──と比べて、あまりにレッズが不安定な印象だったので、せっかくの開幕戦なのに、いきなり相手チームの話ばかりになってしまった。
 いや、でも本当に今年のアントラーズは強いと思う。新加入のフェリペ・ガブリエルこそ、いまんところあまりぱっとしないけれど(どうにもプレーにスピードが足りない気がする)、その分4年目の遠藤康が元気のいいところを見せているし、これで怪我人さえ多く出なければ、今年も優勝レースの主役を演じるのは間違いないだろうという安定感がある。
 この日のチーム開幕ゴールは興梠で、開始わずか5分に小笠原が放り込んだ低い弾道のクロスに足から滑り込んで、ギリギリであわせたもの。パスの出し手も受け手も、ともに見事な1点だった。いきなりのビューティフル・ゴールで盛りあがった。
 2点目はマルキーニョス。途中出場の遠藤が左サイドから上げたきれいなクロスに、ゴール真正面でヘディングであわせた。まるでサイド攻撃のお手本のような1点だった。あそこであのクロスを上げさせてしまい、なおかつフリーでシュートを打たせてしまうレッズの守備にもやたらと問題があったけれど、それでも両チームで最年長のマルキが、フル出場してなお、あそこでフリーのチャンスを作っているのがあっぱれだった。
 というわけで開幕早々、ツートップがゴールを決めての完封勝利。これはもう文句のないスタートでしょう。2010年のJリーグも見通しは良好だ。
(Mar 07, 2010)

全北現代モータース1-2鹿島アントラーズ

AFCチャンピオンズリーグ/2010年3月9日(火)/全州ワールドカップスタジアム(韓国)/BS朝日

 アントラーズのACLグループリーグ第二戦の対戦相手は、おそらくこのグループ最強の敵、韓国の全北現代{チョンブク・ヒョンデ}との対戦。
 この試合、今年のアントラーズの強さが本物かどうか見極めるには、もってこいの一戦だった。なんたって相手は昨年のKリーグの優勝チームだという。おまけにアントラーズは過去に韓国で勝ったことがないんだそうだ。国内でどれだけ強くても、となりの国へゆくと勝てないなんて内弁慶なことでは仕方ない。ここはアウェイだから勝ち点1でいいとか言わず、きっちり勝って欲しいと思っていた。
 でも、相手もさすがは韓国チャンピオン。さすがに簡単には勝たせてくれない。先制ゴールを叩き込んでみせたのは、あちらが先だった。前半も残り少ない時間帯に、見事なダイレクト・パスの交換から、最後はブラジル人のエニーニョという選手に決められてしまった。いやはや、見事にやられた。アウェイにしてはいい感じの試合運びができていただけに、あの部分だけマークがゆるくなってしまったのが残念だった。
 この日のスタメンは3日前のレッズ戦とおんなじ。なんでも伊野波が足を痛めているという噂だったので心配していたのだけれど、無事にピッチに立てたのはなによりだった。
 なんにしろ、異国でのアウェイの試合で1点のビハインドというのはきつい。試合開始時から降りつづけていた雨のせいで足をすべらす選手も多かったし、こりゃあ、うまくいっても同点に追いつくのがやっとかなあと弱気になって観ていた。
 ただ、やはり今年のアントラーズはいい。ディフェンスにしろ、オフェンスにしろ、手を抜かずにしっかりとしたプレーができている。みんな相手とあたっても簡単に倒れたりしないし、すごい気持ちが入っているのが感じられて、負けてはいたけれど、観ていて気持ちよかった。
 そしたら、やっぱりいいサッカーをやってると結果もついてくるもんだ。
 やってくれました、中田浩二、値千金の同点ゴ~ル! (セットプレーからの?)ゴール前でのこぼれ球を拾ったフェリペ・ガブリエルが浮き球で左サイドへとボールを蹴り込むと、そこにフリーで入り込んだ中田浩二が落ちついたシュートを決めてみせてくれた。フェリペもようやくいいところを見せてくれた。両者ナイス!
 このゴールが70分。さあ、次は逆転だ!と観ているこちらは盛りあがるものの、ところが不思議とこの日のオリヴェイラ氏は動かない。降りつづける雨がそのころには雪に変わっていたりして──今日は東京でもひさしぶりに雪が降った(寒い!)──、コンディションもよくなかったので、リズムを変えたくなかったのかもしれない。
 ようやく最初の選手交替があったのは86分(遠藤とジウトンがIN)。勝ちにゆくつもりならば遅すぎる。まあ、この試合はアウェイだし、残念ながらこれはもう勝ち点1でいいという采配なんだろうなぁ……と思ってみていると、そこから試合が動くからおもしろい。
 アントラーズの決勝ゴール(!)はじつに90分。小笠原がセンターライン付近で相手選手から奪いとったボールを、ゴール前のスペースへとスルー・パス。そこに走り込んだのは、ピッチに立ってからまだ5分にもならない遠藤だった(これがこの日のファースト・タッチだったんじゃないだろうか)。相手DFよりもひと足先にボールに追いついた彼は、そのままGKと1対1のチャンスを作り、それを見事に決めてみせた。
 すげー、アウェイで逆転勝ち! グループ最強のライバルを敵地で破ったのはでかい。これで決勝トーナメント進出はまず間違いないだろう。いやあ、とても見応えのある試合だった。しかも結果もついてくるという、じつに理想的な一戦だった。
 今年の鹿島は本当に強いぞ~。
(Mar 09, 2010)

鹿島アントラーズ5-0ペルシプラ・ジャヤプラ

AFCチャンピオンズリーグ/2010年3月24日(水)/カシマスタジアム/BS朝日

 ACLの3試合目は、グループ中、もっとも弱いとされるインドネシアのペルシプラ・ジャヤプラ──名前がおぼえられない──との対戦。
 ひとつ前のJ・大宮戦でフェリペ・ガブリエルが負傷。全治6週間とのことで(あいたた)、この試合は出場できない。となれば代役は、このところ活躍めざましい遠藤だろうと思っていたら、オリヴェイラ監督の選択はちがった。なんと大迫。しかもマルキーニョス、興梠とともに起用しての3トップときた。
 相手が格下でディフェンシヴにくるのが予想されるからこその攻撃的布陣だけれど、こういうところでファンに「おおっ」と思わせる意外性も監督の手腕のうちだと思う。さすがオリヴェイラ氏。岡田さんにも見習ってほしい。
 この日のスタメンでもうひとり、おっと思わせたのが青木。ただしこちらは中田浩二が累積警告で出場停止だったから。でもそういう試合で青木に出番がまわってくると、今年のアントラーズはほんと強いよなぁと思う。仮にも日本代表に呼ばれたことのある青木がふだんはベンチを温めてんだから。ああ、贅沢きわまりなし。
 ということで、いつもとちょっとだけ顔ぶれがちがったこの日のアントラーズだけれど、やはり3トップがしっくりこないのか、前半の出来はいまいち。相手がべたっと引いて、フィールド・プレーヤー全員で守っているような状態で、しかも、とりあえずはインドネシアのチャンピオンってだけあって、ディフェンシヴなわりにはチェックがけっこう厳しくて、ボールこそキープできているものの、なかなかゴールをこじ開けられなかった。
 冷たい雨の降る中での試合だったし、こりゃ前半はもしかしたらスコアレスもあり得るかって思った40分。新井場が放り込んだクロスが、相手のミスでそのままゴールネットを揺らしてしまう。ゴール前のあの位置でキックを空振りするDFに、それにつられてボールの逆をつくGKって……。いやはや、あまりに相手がお粗末でした。さすがにゴールを決めた新井場もぜんぜん嬉しそうじゃなかった。
 まあ、なんにしろ前半のうちにゴールが決まってなによりだった。この相手ならば1点とれば勝ちはほぼ確定。前半終了間際には、CKから岩政が頭で落としたボールをマルキーニョスが決めて2-0で折り返した。
 後半もあまりぱっとしなかったけれど、それでも66分には大迫がもらったPKを小笠原が決めて追加点。そのすぐあとには、ウッチーの柔らかいクロスを今度は大迫みずからがスライディング・ボレーで決めて4点目。最後はカウンターから興梠のクロスをマルキーニョスが決めて本日2ゴール目。計5得点で打ち止めとなった。
 終盤にはジウトン、遠藤、そしてこれがプロ・デビューだというルーキーの小谷野が登場。それぞれ年齢は20歳、21歳、21歳(そういやジウトンって、まだハタチだったんだ……)。彼らに加えて、大迫(19歳)、興梠(23歳)もフル出場だったし、ここにウッチー(22歳)と伊野波(24歳)を加えると、この時間帯はフィールド・プレーヤーの過半数が20代前半という、いままでにない状況に……。
 こんなに平均年齢の低いアントラーズって、史上初なんじゃないだろうか。いやぁ、初々しくてよかった。これで興梠か、遠藤、小谷野あたりがもう1ゴールくらい決めてくれていればなおよかったんだけれど、残念ながら若武者たちは不発。まあ、それぞれ今後に期待を抱かせてくれるようなプレーを見せてくれていたから、よしとしよう。
 来週はこのチームと、今度はアウェイで対戦。インドネシアはこの時期でも38度まで気温が上がるんだとかなんとか。よもや負けないとは思うけれど、スケジュールが厳しいだけに気が抜けない。いやぁ、アジアの戦いもいろいろ大変だ。
(Mar 24, 2010)

鹿島アントラーズ3-1モンテディオ山形

J1・第4節/2010年3月27日(土)/カシマサッカースタジアム/BS-TBS

 アントラーズ、リーグ戦・第4節の相手はモンテディオ山形。
 3連覇中のディフェンディング・チャンピオンと、昨季かろうじてJ1残留を決めたチームとの対戦だから、{はな}から勝負の行方は見えている、第三者からしてみるとかなり地味な試合だろうけれど、こと鹿島サポーターにとっては、それなりに興味深い一戦だった。
 なぜって、山形は去年までチームメイトだった田代と増田の移籍先だから。なおかつ、何年か前まで鹿島にいた左サイドバックの石川竜也も主力として活躍している。そのほか元C大阪の古橋や元ジェフ千葉の下村などもいる。要するにフィールドプレーヤーの半分は、なじみの選手なわけだ。──いや、そう思っていたんだけれど。
 なんだよぉ、増田、スタメンじゃないじゃん。
 アントラーズでは小笠原や本山、野沢らの強力な先輩たちがいたため、レギュラーをつかめなかったけれど、他のチームならばレギュラー確実だろうと思っていたのに、降格候補のクラブに移籍してなお、レギュラー取れないなんて……。もうちょっとがんばってくれないとなぁ。僕は90分間フル出場する増田誓志が見たかった。
 まあ、とはいっても山形の唯一の得点は、後半から途中出場したその増田のアシストだった。しかも決めたのは田代。要するに彼らふたりからの古巣への恩返しのゴールだったわけだ。これはちょっと嬉しかった。贔屓のチームが失点してなお嬉しいという、珍しいケース。ふたりにはその調子で、山形でもしっかり結果を残して欲しいと思う。
 ま、ただしそんな風にこちらの失点を喜べたのも、その時点で3-0と楽勝のスコアだったからだ。いやはや、きょうもアントラーズは強かった。
 この試合の主役は、今季リーグ戦、初スタメンのふたり。
 ひとり目は故障から復帰してきたイ・ジョンス。今年はACLの初戦でいきなりスタメン・デビューを飾って、抜群の存在感を見せつけていたので、きょうがJ1での初スタメンだと聞いて、ちょっと意外だった(そういや、開幕戦で伊野波がスタメンなのにびっくりしたっけ)。
 いやぁ、しかし彼はいいや。本当にいい。守備が安定しているだけでなく、攻撃力もある。なんたって、この日の先制点はCKからの彼のヘディングだ。2点目だって彼のロングフィードから。守ってよし、攻めてよしなんだから、ケチのつけようがない。伊野波には可哀想だけれど、彼が控えに甘んじてしまうのも当然だと思う。ほんと、イ・ジョンスの獲得は今季最大のストロング・ポイントだ。
 この日のもうひとりの主役は遠藤康。対戦相手が山形とはいえ、さすがにJでは大迫の3トップというわけにはいかないらしく、この日はフェリペ・ガブリエルの抜けたところへ遠藤を入れた、いつもの4-4-2だった。
 で、この遠藤が大活躍を見せる。1ゴール目はイ・ジョンスが蹴り込んだロング・フィードをマルキーニョスが胸で落としたところへ駆け込み、左足を振りぬいたもの。シュート自体はあまり勢いがなかったけれど、ノートラップでシュートへ持っていた判断が素晴らしかった。最近、日本ではゴール前でワンタッチかツータッチ、プレーが余計でゴールが決まらない、みたいなプレーが多いので、ああいうプレーは気持ちいい。ゴールが決まればなおさらだ。
 2ゴール目はペナルティ・エリア内でパスを受け、落ちついたターンでDFをかわして打ったシュート。ポールはポストを直撃して跳ね返ったのだけれど、幸運にもそれがGKの背中にあたってゴールへころころと転がり込んだ。乗っている男には運も味方につく。
 遠藤の場合、まだまだ消えている時間も多いので、いまの勢いがどれくらい本物なのか判断がつきかねるけれど、とりあえずボールを持たせればキープ力があるし、あの攻撃のセンスは魅力的。少なくても攻撃力を比べるならば、現時点ではフェリペ・ガブリエルよりも上な気がする。このままいけば、本山とフェリペと故障から戻ってきたあとの中盤のレギュラー争いは熾烈{しれつ}を極めそうだ。
 この日の勝利でアントラーズは、暫定ながら第4節にして首位に立った。いやぁ、あまりに順調。興梠・マルキのツートップが開幕戦のアベック弾以来ノーゴールなのは気になるけれど、そのほかはまったく問題なし。過密日程の中、ここまでACL、ゼロックス杯、J1で8試合を戦って負けなしなんだから、文句のつけようがない。順風満帆とはこういうことを言うんだろう。
(Mar 28, 2010)

ペルシプラ・ジャヤプラ1-3鹿島アントラーズ

AFCチャンピオンズリーグ・グループF/2010年3月30日(火)/ゲロラ・ブン・カルノ・スタジアム(ジャカルタ)/BS朝日(録画)

 先週から二週連続となるペルシプラ・ジャヤプラとの対戦(いまだ名前覚えられず)。
 今回は敵地ジャカルタでのアウェイの試合で、時差がある上にグループ最下位のクラブが相手だけに、残念ながら録画放送だった。でもまあ、日本代表の試合が放送されない時代だ。観られただけ十分って話もある。放送してくれたBS朝日に感謝。
 この日のスタメンは曽ヶ端、内田篤人、岩政、イ・ジョンス、ジウトン、中田浩二、小笠原、野沢、遠藤、大迫、興梠の11人。
 このメンバー表を見て、まず目を引いたのは、マルキーニョスの名前がないこと。オリヴェイラさん、珍しく過密日程に配慮して休みをとらせたのかと思ったら、そうではなく。お気の毒なことに、マルキは御尊父に不幸があって急遽帰国したとのことだった(ご冥福をお祈りします)。
 ということで、先週につづいて大迫がスタメン出場したわけだけれど、残念ながら印象はいまいち。クロスバーをたたく惜しいシュートこそあったけれど(あれは本当に惜しかった)、目立ったのはそのときだけ。興梠との絡みもあまり見られなかったし、なんだかいまひとつ伸び悩んでいる気がする。ちょっと心配。
 その点、遠藤はひとつ前の山形戦での2ゴールにつづき、この試合でも先制点をあげる活躍をみせるイケイケぶりだった。現状では大迫よりもレギュラーの座に近いところにいる感じ。積極的にシュートを打ってゆく姿勢がいいし、この調子がつづくようだと、ほんとフェリペ・ガブリエルは復帰してきても出番がないかもしれない(本山や野沢も危ないかも)。
 あと、この試合でマルキーニョスの不在と並んでおっと思ったのがジウトンのスタメン初出場。今年は新井場と新加入の彼とをどのように併用してゆくかがポイントのひとつだと思っている。その点、中2日でのアウェイでの一戦──しかも相手は力の劣る海外のクラブ──、というこの日のシチュエーションは、新井場を休ませてジウトンを使うには、まさにうってつけだった。きっちり結果を残しながら、こういう調整的な起用法ができる点でも、今年は非常にうまくいっているなぁと思う。
 しかもこの日の先制点は、そのジウトンのクロスから生まれたもの。それもキックオフから1分もせずに、だ。左サイドを高速で駆け上がった彼がファーストタッチで上げた鋭いクロスに、遠藤が飛び込んできて右足をあわせ、ゴールへと流し込んだ。電光石火とはこのことかという、迅速かつ鮮やかな1点だった。
 なんにしろ、先週5-0で難なく撃破している相手に、開始早々いきなりの先制点だ。こりゃアウェイとはいえ、楽勝かなと思ったのだけれど、そうは問屋が卸さない。さすがにホームだけあって、このあとペルシプラが思わぬ反撃をみせる。
 なんたって、こちとら中2日だ。しかも花冷えの厳しい日本から、高温多湿のインドネシアへ移動してすぐの試合とくる。さいわい、気温は噂されていたように30度を超えたりしなかったようだけれど──キックオフの時点では24度だと言っていた──、おのずからコンディションには難がある。
 加えて、いきなり先制したことによる気の緩みもあったのだと思う。そのあとのディフェンスがゆるゆる。ふだんこんなアントラーズは観たことがないぜって体たらくで、前の試合ではほとんどシュートらしいシュートを打ってこなかった相手に、さんざん攻め込まれる。で、ついには同点ゴールまで許してしまう思いがけない展開に……。
 僕はこのあたりでの岩政のプレーに不満をおぼえた。どうにもチェックが淡白で、鬼でも止めてやるって気迫が感じられなかったからだ。言っちゃ悪いけれど、再三のピンチの半分くらいは彼のせいのような気がした(濡れ衣だったらごめん)。
 前日に発表されたセルビア戦の日本代表には、小笠原はもとより、岩政の名前もなかった。今回の落選は岩政にはさぞやショックだろう。なんたって闘莉王が出場停止の試合なのだから。それに呼ばれないってのは、W杯出場はほぼ絶望というに等しい。気落ちして当然だと思う(ああ恨めしや、岡田さん)。
 でもだからといって、クラブでのプレーに支障が出るようでは困る。この日のようにイ・ジョンスのよさばかりが目立つようじゃ駄目だろう。それじゃ、代表から外した岡田さんが正しかったってことになってしまう。ここは抜群に安定したパフォーマンスを見せて、なぜこれほどの選手が呼ばれないんだと思わせて欲しかった。そういういいプレーが見られなくて残念だった。
 まあ、そんなわけで、前半なかばで思わぬ同点ゴールを献上して、これはよもや勝ち点1なんて展開になりやしないだろうなと、ちょっぴり心配したのだけれど、そんな余計な心配がつづいたのは、わずか5分少々。そのあと興梠にひさしぶりのゴールが飛び出し、さらにはゴール前のこぼれ球をウッチーがスライディング・シュートで豪快に押し込んで、あっという間にスコアは3-1。結局、セイフティ・リードで前半を折り返した。
 後半でおもしろかったのは、オリヴェイラさんの選手起用。やはり湿度が高くてそうとう暑かったらしく、パフォーマンスの上がらないチームにさっさと見切りをつけ、格下相手にもかかわらず、きっちり守備的なカードを切って試合を締めてみせた。
 なんたって後半途中からは、遠藤を青木に、小笠原を伊野波に代えてのトリプル・ボランチだ(アナウンサーの人は伊野波をDFだと思い込んでいるらしく、さかんに5バックだと言っていたけれど、彼のポジショニングはあきらかに中盤だった)。伊野波がアントラーズでボランチをつとめるのって、初めて観た気がする。それだけでも観られてよかったって思う試合だった。
 そうそう、あとひとつおかしかった──というか、困ってしまった──のが佐々木。興梠と交替で途中出場した彼が、2度も決定的チャンスを迎えながら、2度ともシュート・ミスしたのにはまいった。もっとシュートが上手くて、決定力があるFWだった気がするんだけれど、この日はぜんぜん駄目だった。そんなことじゃ出番がなくなっちゃうぞと思ったけれど、まあ、きっと本人が誰より強くそう思っているんだろう。
 なんにしろ、そんなわけで後半は試合が動かず。アントラーズが3-1のまま逃げ切って、予選グループ無傷の4連勝を飾った試合だった。
 裏では全北現代が長春亜泰を破って勝ち点を9に伸ばしたので、これにてアントラーズと全北の予選グループ勝ち抜けが決定~。とりあえずファースト・ミッション・クリアって感じだけれど、このままゆくと最終戦で全北と首位を争って直接対決することになりそうだから、最後まで気が抜けない。
(Mar 31, 2010)