2008年7月のサッカー

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  1. 07/13 ○ 鹿島4-1F東京 (J1・第16節)
  2. 07/20 ○ 横浜M0-2鹿島 (J1・第18節)
  3. 07/24 ○ U-23日本2-1U-23オーストラリア
  4. 07/29 ● U-23日本0-1U-23アルゼンチン

鹿島アントラーズ4-1FC東京

J1・第16節/2008年7月13日(日)/カシマスタジアム/BS1

 テレビの画面が真っ白になるような、やたらとすごい霧の中での対戦となったFC東京戦。
 中断期間をはさんで、しばらくアントラーズ戦のテレビ放送がなかったから、J1の試合を観るのは、これが実に3ヶ月ぶり。開幕から5連勝と順調なスタートを切ったアントラーズだったけれど、ちょうど僕が観にいった6試合目のレッズ戦に負けてからスランプに陥り、それ以降リーグ戦では勝ち星なしのまま中断期間を迎えるという、思わぬ展開になってしまっていた。
 それでも、そこは昨年度王者。中断期間中の調整がとても順調だったらしく、リーグ戦再開後はふたたび連勝を重ねている。前節まで3連勝で、もたつく首位の浦和との差をあっという間に縮め、この日の試合にも勝って、一気に首位に返り咲いてみせた。してやったり。
 さて、この日の注目はなんといっても、海外移籍から帰ってきた中田浩二の復帰後、初のベンチ入りだった。スタメン起用もあるんじゃないかという噂もあったけれど、そこは基本に忠実なオリヴェイラさん。「勝ってるときにはチームをいじるな」という定石どおり、いつものメンバーを送り出してきた。ということで、スタメンは曽ヶ端、内田、岩政、大岩、新井場、青木、小笠原、本山、野沢、マルキーニョス、田代の11人、中田浩二はベンチ・スタート。
 いやしかし、中田、ダニーロ、増田、中後、興梠、佐々木という選手たちがベンチに顔をそろえているってのは、そうとう贅沢な気がする。中田復帰のあおりを食って、伊野波がベンチ入りさえできないってのもなぁ。これでいいんだろうかと、ちょっぴり思わなくない。
 さて、試合内容はといえば、スコアレスで前半を終えた後半に、思いがけない派手な展開が待っていた。カボレのゴールで先制を許したのもつかの間。オリヴェイラ監督は即座に動いて、ダニーロと興梠を投入(アウトは田代と野沢)。するとこの選手交替からわずか1分で、出てきたばかりのダニーロ、興梠とわたったボールをマルキーニョスが決めて、あっという間に同点に追いついてみせる。オリヴェイラすごすぎ。
 おもしろかったのは、このあと。同点となったこの場面で、オリヴェイラさんが三枚目の交替カードを切って投入したのが中田だった。なんで同点なのに守備的な中田?──そう不思議に思っていたのだけれど、なんでもオリヴェイラさんのプランは、中田を入れて、小笠原を攻撃的なポジションに上げるというものだったらしい。なるほど。
 でも実際には中田を入れるより先に、本山の逆転ゴールが決まってしまった(マルキーニョスからのグラウンダーのクロスにスライディングであわせた。ナイス!)。なもので、中田は予定通りピッチに立ったものの、無理して攻める必要がなくなったために、小笠原を上がらせるのは中止。3ボランチで逃げ切りに入った(交替は本山)。
 でもすごいのは、守りに入ったはずが、そのあとさらに興梠とダニーロのゴールが決まってしまうところ。興梠は1点目のマルキーニョスのゴールを、お互いの立場を入れ替えて再現したようなシュートで、ダニーロはオガサの左CKからのヘディング。以上、4ゴールでアントラーズがFC東京を粉砕して、見事首位に立ってみせた。
 はっはっはー、それにしても強いこと、強いこと。これくらいすっきりと勝ってくれると、気持ちがよくて仕方ない。この日はわけあって、またもやワインを飲みながらの観戦だったので、ただでさえうまい酒が、なおさらうまかった。暑い日に、冷たく冷やした白ワインを片手に、愛するチームの快勝劇を観るこの喜び……。うーん、こたえられない。
(Jul 14, 2008)

横浜F・マリノス0-2鹿島アントラーズ

J1・第18節/2008年7月20日(日)/日産スタジアム/スカイパーフェクTV!

 わけあってまたもや義理の妹夫妻のお宅へお邪魔して、食事をしながらスカパーで放送されたアントラーズ戦を観せてもらった。感謝。
 まあただ、試合内容に関しては、飲み食いに気をとられていて、ほとんどまともに観られなかった。なんたってこの日は暑かったので、酒がうまくって、うまくって……。おかげでもったいなくも、ゴールの瞬間は両方とも見逃した。
 基本的に僕は、90分間しっかり観た試合に関してのみ感想を書くという方針なので──だから実際にはここで書いているよりも多くの試合を観ている──、今回のような場合には無理して書く必要はないのだけれど、この試合ではひさしぶりに大幅なスタメンの変更があったりして、もしかしたらチームにとってのターニング・ポイントになるかもしれないので、記録を残す意味で書いておくことにした。
 この日のスタメンは曽ヶ端、内田、岩政、中田浩二、新井場、青木、小笠原、本山、ダニーロ、興梠、マルキーニョスという組み合せ。注目の中田浩二が復帰後、初先発。ダニーロと興梠もひさしぶりのスタメン出場となった。
 彼らの代わりにスタメンをはずれた大岩、野沢、田代はみんなベンチにいたから、レギュラー選手の出場停止や故障が原因のスタメン入れ替えではない。前節、京都に負けたのを受けて(柳沢に恩返しのゴールを決められたのが悔しい)、オリヴェイラさんもそろそろチームをリフレッシュすべきタイミングだと判断したんだろう。田代なんてもう10節以上ノーゴールなわけだし、いい加減、代えられても仕方ない。中田の最終ラインでの起用は、故障明けの本人に試合勘を取り戻させる意味と、大岩の疲労に配慮したのと、両方の意味があったそうだ。前節ゴールを決めている野沢のベンチスタートだけはちょっと意外だったけれど、まあ今年はダニーロもかなりいい出来なので、いつまでも彼にベンチを温めさせておいてばかりでは士気にも影響するから、この辺でチャンスを与えたかったというのもあるんだんだろう。
 そうそう、この日はさらに新外国人のマルシーニョも途中出場でピッチに立った。酔っ払っていたので、どういう選手かよくわからなかったけれど、それなりにやれそうな感じは受けた。
 いやしかし、野沢や田代にベンチを温めさせたまま、新しい選手を起用するってのもかなり贅沢な話だ。ここへきてますます選手層が厚くなって、いろいろとやりくりが難しそうになってきた。まあ、リーグ戦を戦いながら、ACLとナビスコ杯も同時に狙おうと思えば、これくらいでちょうどいいのかもしれないけれど……。なんにしろ、今年はここからがオリヴェイラ氏の腕の見せどころでしょう。大いに期待したいと思う。
 試合のほうは前半、僕が飲んだくれてよそ見をしてるあいだにマルキーニョスと興梠のゴールが決まって勝負あり。後半はやや押し込まれたらしいけれど──まともに観てないやつ──、それでも無事にスコアレスで逃げ切ってみせた。興梠が先発起用にこたえてゴールを決めてみせたので、今後の田代とのレギュラー争いもおもしろくなりそうだ。
 それしてもマリノスはこれでリーグ戦とナビスコ杯あわせて6連敗だそうで、なんと順位は降格圏内の16位。桑原監督はいいところなく解任に追い込まれ、前節からは木村浩吉という人が指揮を取っている。でも、就任早々2連敗なんていうようじゃ、お気の毒ながら、新任監督の未来はあまり明るそうには見えない。
(Jul 21, 2008)

U-23日本2-1U-23オーストラリア

2008年7月24日(木)/ホームズスタジアム神戸/TBS

 いよいよ、北京オリンピック本番まであと2週間。紆余曲折をへて代表18人も決まり、残るテストマッチもあとふたつ──というこの状況になってなお、反町監督は「この試合のスタメンで本番に臨むことはない」とか発言しているんだとかいう。
 まったく、なんだそりゃって感じだ。駄目だ、僕はこの人にはついてゆけない。方法論というか、哲学というか、とにかく考え方がまるであわない。去年のアントラーズの奇跡の逆転優勝が実現したのは、オリヴェイラがメンバーを極力固定して、コンビネーションを徹底的に高めたからこそだと思っている僕にとって、最後の最後までスタメンを決めない反町流は、邪道でしかないのだった。
 だって日本の武器はパスワーク、つまりはコンビネーションでしょう。それを高めるには、一試合でも多く、同じ顔ぶれでプレーをさせなくてどうする。そのための機会を自ら放棄して、最後まで誰を使うか決めかねているような指揮官を、僕は支持できない。おかげでせっかく宿敵オーストラリアに勝ったというのに、まったく気分がすっきりしない。あぁ、やりきれない。
 この日のスタメンは、GK山本海人、DF内田篤人、水本、吉田麻也、長友、MF本田拓也、細貝、本田圭佑、香川、FW森本、李忠成の11人。途中出場は谷口、梶山、豊田、岡崎、安田の5人で、これに西川と森重を加えた18人が、北京へ向けたオリンピック代表ということになる。
 結局、アントラーズからの選出は篤人のみで、伊野波も興梠も増田も漏れてしまった。まあ、そういう意味では、平山もカレンも水野も梅崎も柏木も青山二人もいないんだから、別にアントラーズだけが冷遇されたわけじゃない。単に反町さんに見る目がないだけだろう。
 だいたい、現時点で調子がいい選手を呼ぶなんていう姿勢がおかしい。五輪代表は将来性を見極めて、将来のA代表の核となると見込んだ選手にこそチャンスを与えるべきだと僕は思う。そうしてくれないことには、僕なんかは盛り上がれない。
 そもそも反町さんの場合、調子がいい選手を選ぶといいながら、その調子のよさというやつを、なにで計っているんだかが、よくわからない。たとえば豊田なんて、J2で去年6ゴール、今年2ゴールだ。単純にゴール数だけ取ってみれば、興梠とほとんど変わらない──というか、現時点では興梠のほうが上回っている。トップ・リーグで(より少ない出場時間内で)、同じだけのゴールを上げている興梠よりも、下位リーグの豊田の方が代表にふさわしいとする、その根拠はなんなんだろう。単純に考えれば、豊田には高さがあるってだけじゃないんだろうか。単に高さを買うならば、素直に平山を呼んでおけばよさそうなものだ。
 吉田にしたってそう。DFというポジションを考えれば、より場数を踏んでいる伊野波や青山を外してまで、起用するのはどうかと思う。
 誤解しないで欲しいのだけれど、別に僕は豊田や吉田が嫌いなわけじゃない。この日の試合内容にも不満はない。あくまで反町さんの選手起用が、合理的だとは思えないといっているだけだ。
 僕が反町さんのやり方に反発するのは、最後までスタメンを固定しないその姿勢が、4年前の山本さんのやり方と見事にダブるからでもある。山本さんも最後までスタメンを固定しないまま戦って、本番では2連敗でさっさとグループリーグ敗退を決めた。しかもメンバー選考では、それまでキャプテンを任せていた鈴木啓太を、最終的にチームから外している。のちにオシム・ジャパンやレッズの心臓部として活躍する啓太をだ。でもって、そのかわりに選んだのが、のちに女子高生相手にわいせつ事件を起こして国外追放になってしまう菊地なのだから、これはもう見る目がなかったとしか思えない。
 そんな見る目のなさは、反町さんも同じに思える。いや、これまでに予選で活躍してきた選手たちを次々と切り捨ててきたその数の多さ──そのなかには啓太同様、キャプテンマークをつけていた伊野波も含まれる──を思えば、反町さんの方がもっとひどいように思える。そしてチームはいま、熟成という言葉とはまるで無縁のまま、本番を迎えようとしている。
 いったいこんな調子で、本戦でどれだけ戦えるのだろう──そんな不安な気分を取り除けないまま本番を迎えるのが、とても嫌だ。なまじ個々の選手は上手いと思うだけに、彼らの力を十分に引き出せそうにない反町采配に、たまらない反感を覚えてしまうのだった。
 願わくば、この日の2得点(決めたのは香川と岡崎)のような見事なゴールが、本番でもうまく決まって欲しいと思う。でもって、先制点を許した場面のような、あきらかな連係不足ゆえのミスを犯さないですみますように──いまはそう祈るしかなさそうだ。
(Jul 24, 2008)

U-23日本0-1U-23アルゼンチン

2008年7月29日(火)/国立競技場/朝日テレビ

 オリンピック本番直前のテストマッチ、最後の対戦相手は強豪中の強豪アルゼンチン。ところが注目のこの試合が、なんと雷雨のため残り10分足らずを残して中断となり、そのまま中止されてしまうという、尻切れトンボな結末を迎えることになってしまった。なんてついていないんだ、五輪代表。幸先、悪すぎ。
 この試合のスタメンは西川、内田、水本、森重、安田、本田拓也、梶山、本田圭佑、香川、谷口、豊田というメンバーで、フォーメーションは4-2-3-1。前の試合と6人が入れ替わっている。おそらく今回のほうが本番仕様なんだろうと思うけれど、ワントップの豊田がシュートを1本も打てずに終わってしまったので、個人的にはあまり気に入っていない。いくら相手が強豪アルゼンチンとはいえ、せめてひとつ、ふたつはFW絡みでのチャンスを演出してくれないと。途中出場の森本はまるでいいところがなかったし、岡崎はほんの数分しかプレーしていないので、いいとも悪いともいえないし、李なんて出番もないしで──中止になって一番残念な思いをしたのは彼だろう──、ことFWに関しては、本番で誰を使うことになるのか、まったく見えてこない。まあ、ワントップでゆくのならば、おそらく豊田ということになるんだろう。シュートこそなかったものの、それなりにボールには触れていたし、プレー自体はけっして悪くなかった。
 いや、豊田に限らず、この日はみんな、いいプレーを見せてくれていた気もする。ホームとはいえ、強豪アルゼンチンを相手に──しかもオーバーエイジ枠でリケルメまで加わっているのに──後半途中までイーヴンならば上出来だ。攻撃では本田圭佑のミドルがゴールマウスをたたくなど、相手をひやひやさせる場面もいくつかはあったし、ディフェンスも失点こそ許しはしたけれど、けっして悪くなかった。失点の場面について、水本は自分たちのミスだと言っていたみたいだけれど、あれは相手がうまかった(決めたのは11番のディマリアという選手)。そもそもアルゼンチンの選手たちがあのゴールにあれだけ大喜びしていたのは、それだけこの試合が彼らにとっても厳しかったという証拠だろう。
 なんにしろ試合は、後半に入ってから降りだした雨が途中からどしゃ降りになって、終盤は普通のプレーさえ満足にできない状態だった。国立競技場から直線距離で5キロほど離れたところにあるわが家でも、その頃にはビカピカゴロゴロと激しい雷鳴が轟いていた。アルゼンチンのゴールが決まった瞬間には、まるでそのゴールにあわせるかのように、とびきりの轟音が鳴り響いた。ピカッ……、ズガドカダッガーン、わあやられた、みたいな。天然サラウンド効果つきの失点なんて初めてだ。
 それにしてもアルゼンチンほど強い国がOA枠でリケルメを呼んでいるのをみると──で、そのリケルメが中盤で見事にボールをさばいているのを見ると──、いまさらながら、日本も俊輔を呼ぶべきだったんじゃないかと思えてくる。招集をかけた遠藤と大久保が参加できずに終わってしまったのは気の毒だったけれど、でも、もしも本気でOA枠を使う気があったならば、ゲームメーカー不在のこのチームに必要だったのは、遠藤よりも俊輔だったんじゃないかと僕は思う。俊輔が加われば、このチームへの世間の関心ももっと高まっただろうし、本気でメダルを目指すというのならば、下手な遠慮はせずに、現時点でのA代表の最高の選手を選ぶべきだったんじゃないだろうか。本来はボランチの谷口をトップ下で使っていたりするのをみると、なおさらそんな気がしてくる。
(Jul 30, 2008)