2008年6月のサッカー
Index
- 06/02 ○ 日本3-0オマーン (ワールドカップ・第3次予選)
- 06/07 △ オマーン1-11日本 (ワールドカップ・第3次予選)
- 06/12 △ U-23日本0-0U-23カメルーン
- 06/14 ○ タイ0-3日本 (ワールドカップ・第3次予選)
- 06/22 ○ 日本1-0バーレーン (ワールドカップ・第3次予選)
日本3-0オマーン
ワールドカップ・アジア3次予選/2008年6月2日(月)/日産スタジアム/BS1
フランスW杯のときに日本サッカー協会の会長だった長沼さんがお亡くなりになったということで、全員が喪章をつけてのぞんだオマーン戦。
始まるまでは、この喪章が日本代表のW杯出場に赤信号がともる象徴になりやしないかと心配していたのだけれど、いざ開けてみれば、そんなのはつまらない杞憂だった。僕はなんでこんな国のことを恐れていたんだろうと、自分の弱気が情けなくなってしまうほど、オマーンは弱かった。なんでもスタメン3人が累積警告で出場停止、2人が怪我で出場できなかったという話だけれど、なにが悲しくて予選2試合を終えただけで、3人も出場停止になってしまうんだろう。そんなひどいサッカーをやっている国に、いまさら日本が負けるわけがない。ことこの試合に関して言えば、戦う前から勝負は決していた気がする。
それでもまあ、この日の日本がいいサッカーを見せてくれたのも確かだと思う。いや、いい内容でした。とりあえず満足。
岡田さんが選んだこの日のフォーメーションは4-4-2で、GK楢崎、DFは右から駒野、中澤、闘莉王、長友、MF遠藤、長谷部、俊輔、松井、FW大久保と玉田という組み合わせ。
ポイントはひさびさに遠藤をボランチで起用したことだと思う。鈴木啓太や今野といったディフェンスに秀でた選手ではなく、ヤットに中盤の底を任せて、なおかつもうひとりに長谷部を起用してのダブル・ボランチというのは、そうとう攻撃的だ。是が非でも勝ちが必要なホームの試合にこういう勝気な姿勢でのぞんだ岡田さんは、意外と勝負師かもしれない。鈴木啓太と中村憲剛が好きな僕としては、彼らの出番がないのは残念だけれど、でもまあ、今日の内容ではケチのつけようがない。ひさしぶりにすっきりとした気分を味わわせてもらった。
それにしてもこの日の3ゴールはどれも素晴らしかった。
まず1点目は遠藤の左CKからの中澤のヘディング。ボンバーヘッドという彼の愛称にぴったりの、破壊力抜群の弾丸シュートだった。前半わずか10分のこの先制点はでかかった。これでもう今日の試合はもらったも同然だと思った。
2点目もよかった。闘莉王がするするっと最前線に攻めあがったところへ、すかさず俊輔が右サイドからどんぴしゃのロングボールを放り込む。闘莉王(なんでそこにいるんだ)はこれをヘディングでぽっかりと空いたスペースへと落とし、そこに大久保がフリーで駆け込んできて、落ち着いてグラウンダーのシュートを決めてみせた(本人はそうとう緊張したと言っている)。俊輔の視野の広さと正確なロングパス、闘莉王のヘディングの強さ、大久保のストライカーらしい決定力と、三人それぞれのよさが出た、じつにいいゴールだった。
3点目は後半で、松井からのパスを受けた俊輔が、左足のキックフェイントで相手DF数枚を置き去りにして決めた、珍しい右足シュート。これもなんともいいゴールだった。こんなにいいゴールばかりの試合もひさしぶりだ。いやあ、オマーンが予想外に弱かったにせよ、とてもいい試合でした。満足、満足。
オマーンはこの試合でイエローカードをもらった二人が、5日後に行われるオマーンのホームゲームでは出場停止なんだそうだ(いったいこれまでに何枚イエローをもらっているんだか)。そのうちのひとりは11番の選手だというし、オマーンでは40度近い猛暑の中での試合になるかもしれないという噂だけれども、今日の試合を観るかぎり、よほどの不運がなければ、いまの日本がオマーンに負けるとは思えない。今日の勝利で3次予選突破はほぼ決まりでしょう。いやはや、ひと安心。
(Jun 02, 2008)
オマーン1-1日本
ワールドカップ・アジア3次予選/2008年6月7日(土)/オマーン/TBS
気温38度というふざけたコンディションで行われたアウェイのオマーン戦。思い返せば3次予選の初戦は、雪の舞い散る埼玉スタジアムでの試合だった。あれからわずか4ヶ月後の試合がこんな気温だというんだから、やっているほうも大変だ。アジアは広いんだなぁとあらためて思う。
それにしても、なにが悲しくて体温よりも空気のほうがあつい環境下でサッカーをやらないといけないんだかなぁ。暑い土地なのはわかったけれど、それだったらば日没後のキックオフにしろよなぁ。なにを考えているんだ、オマーン──って、まあ前半を見るかぎり、あちらのほうが元気な印象だったので、こうした酷暑のなかでの試合というのは、まさにオマーンの思う壺だったのかもしれないけれども。
なんにしろ、こんなコンディションで戦っている以上、まともなサッカーができなかったとしても仕方ない。いや、それどころか、そんな中にしては随分と動けていたし、とてもまっとうなサッカーを見せてくれたんじゃないかと思った。だからドローという結果ながら、十分によくやったという気もする。
そもそも、前の試合を観てオマーンの力をあなどっていた僕は、開始わずか5分たらずで、あちらに先にシュートを打たれた場面で、おやっと思ったのだった。前の試合で、玉田がファースト・シュートを打ったときに、おや、今日の日本はちがうかなと思ったのとはまるで反対。あれ、これはもしかしたら今日は楽な試合にはならないのかなと、ちょっとだけそんな感じを受けた。
そうしたらば案の定、前半12分にオマーンに先制を許すという思わぬ展開に。左サイド深くからの相手セットプレーのこぼれ球がゴール真正面に転がっていったところを、思い切りよくミドルシュートで決められたものだけれど、それほどすごいシュートではなかったし、DFの枚数も十分たりていたというのに、なぜだか楢崎以外は誰ひとり反応できなかった。やはり暑さゆえに反応が鈍くなっていたんじゃないかという気がした。
この日のスタメンは、前の試合とほぼ同じ。唯一の違いは、故障した左サイドバックの長友に代わって、前の試合では右サイドに入っていた駒野が左にまわり、右には内田篤人が入ったこと。ひさしぶりの代表復帰となった篤人は、守備面では若干、不安定なところもあったけれど、持ち前の攻撃力はそれなりに見せてくれていて、個人的には好印象だった。
なんにせよ相手に先制を許すきびしい展開のなか、ボールはまわせるもののフィニッシュの形が作れないというおなじみのパターンのまま前半は終了。貴重な同点ゴールが生まれたのは後半の早い時間帯だった。
お膳立てしたのは玉田。彼は前半早々にも、この日の日本のファースト・シュートを打っているし(惜しくもGK真正面だった)、今年は本当にいい働きをしている。後半8分にドリブルでペナルティエリアに切り込んだ彼が、倒されてPKを獲得。流されても文句のいえないようなプレーだっただけに、あれでPKを取ってくれたレフェリー──角刈りのマレーシア人で、この人の顔もすっかりおなじみだ──にも感謝しないといけない。
このPKを遠藤が決めて、日本はどうにか同点に追いついた。それにしても遠藤のあのちょこんと蹴るPKは何度みても変だ。あれを知らない相手にやられたら、かなり腹が立ちそうな気がする。
なにはともあれ、これで同点に追いついた。さあ、次は逆転だというところで、残念ながら、この勢いに水を差す展開がそのあとで二つあった。
ひとつめは同点ゴールから5分もせずに、相手にお返しのPKを与えてしまった闘莉王のプレー。そしてさらに後半29分の大久保の退場劇。
闘莉王のプレーはまあ仕方ない。PKにつながった9番の選手のドリブル突破は勢いがあったし、あの時間帯にあんなに切れのあるプレーを見せた相手がえらかった。この選手は前の試合には出場していなかった。彼のほか5人の選手を欠いていたというのは、確かにオマーンにとっては痛かったんだろうなと思う。そういえば前の試合に負けたことで、ウルグアイ人の監督が解任になったそうだ。
なにはともあれ、このPKを止めた楢崎には感謝あるのみ。相手のシュートもしょぼかったけれど(遠藤を意識した?)、それにしてもよくぞ止めてくれた。今回、スタメン復帰して以来の彼の安定度は素晴らしい。岡田体制がつづくあいだは、もう川口には出番がまわってこないんじゃないかという感さえある。まあ、そろそろこのふたりの牙城を崩す若いGKが登場してこないとまずい気もする昨今ではあるけれど。曽ヶ端もヒデ主催のチャリティー・マッチ(この日の昼間にやっていた)に出て、元日本代表とか紹介されている場合じゃないと思うんだけれどなぁ。
大久保の退場については、もう馬鹿ったれというしかない。左サイドからの玉田のクロスにあわせてつっこんでGKと交錯した際に、相手に股間を蹴られて、かっとして思わず蹴り返してしまったというもので、同じ男として痛いのはわかるし、そのことには同情するけれども、だからって報復していい場面じゃないだろう。相手もわざとやったわけじゃないんだし。ジーコのときも大事な試合で退場を食らったことがあるけれど、なんで彼はこうなんだろうか。なまじとても惜しいシーンのあとだっただけに、この退場劇には非常にがっかりさせられた。
とにかく普通じゃない暑さのなかでの試合だし、ここで退場者が出たのはとても痛かった。もしもそのままひとり少ない状態で試合が進んでいたらば、どうなっていたかわからない。でも幸運なことに(というのも情けないけれど)、そのときのごたごたで相手側にも退場者が出たものだから、結局人数的にはイーブンのままで残り15分を戦うことになった。で、結局、その後はスコアは動かず。日本はドローでグループ単独2位をキープした。
大久保退場のあと、岡田さんは松井に代えて山瀬を投入。残り2枚の交替カードを切って、矢野と今野を入れたのは、もうロスタイムに入ってからだった(アウトは玉田と篤人)。暑いんだからもっと早く交替カードを切って、フレッシュな選手を使ったらどうだと思うんだけれど、思えばジーコやオシムさんも、同じように暑さに悩まされたアジア杯では選手交替は控えめだったし、その辺の采配の是非はよくわからない。とりあえず勝ち点1でもよしとしておきたくなる、なかなかヘビーな一戦だった。
(Jun 08, 2008)
U-23日本0-0U-23カメルーン
2008年6月12日(木)/国立競技場/フジテレビ
オリンピック本番を2ヶ月後に控えて行われた出場国どうしの親善試合。日本にとっては、本大会出場への最終選考という位置付けの大事な試合だったらしい。そのせいか、スコアレス・ドローに終わったものの、内容はなかなかよかった。ただし、それでいて僕はこの試合をまったく楽しめていないのだけれど。
この日の五輪代表のスタメンは、GKが西川、DFが森重(大分)、水本、吉田麻也(名古屋)、田中裕介、ダブル・ボランチは梶山と本田拓也、攻撃的MFが梅崎、本田圭佑、谷口、でもってFWは森本一枚という布陣。フォーメーションは4-5-1だか、4-2-3-1だか(よくわからない)。途中出場は李、水野、エスクデロ・セルヒオ(浦和)、上田康太、伊野波、青山敏弘の6人だった。吉田とエクスデロを見るのは個人的にはこれが初めて。
やはり目玉は、先のトゥーロン国際大会(オランダ、フランスを破ってグループリーグを突破したものの、惜しくも4位に終わった)から合流しているイタリア帰りの森本と、アルゼンチンから帰化したばかりのエスクデロ・セルヒオ──日本人なのに名前がカタカナのままで中点入りというのは画期的だ──の二人ということになるんだろうか。いやしかし。
とりあえず森本はいい。若いけれど実績は十分だ。けれどエスクデロの招集は納得がいかない。過去にどれだけの成績を残しているのかは知らないけれど、少なくても今期のJリーグではスタメン出場ゼロだし、ノーゴールの選手だ。成績だけ見たなら、興梠のほうがよっぽど上じゃないか。それをアルゼンチンから帰化したからって、大会まで残りわずか2ヶ月って、こんな時期になって呼ぶ反町さんの姿勢が気にいらない。
それはこの試合で初めて見ることになったディフェンスの吉田麻也しかり。確かに彼の場合、今年は開幕からグランパスでレギュラーとして活躍しているようだし、この日もとてもいいプレーを見せてくれていた。でもだからといって、もともとディフェンスはいいチームなのだし、こんな時期になって駆け込みで新しいディフェンダーを加える必要があるとは思えない。
調べてみれば、トゥーロン国際でもスタメンは日替わりだった。アンタッチャブルだと思っていた水本、伊野波、青山の3バックも、いつの間にか、森重や田中裕介を加えたメンツによる日替わり4バックに変わってしまっている。こんな風に、いつまでたってもスタメンやフォーメーションが固定されない状況は、じれったくてならない。
僕にとってサッカーとは、十年以上にわたってつきあってきている長大な大河ドラマのようなものだ。そこには絶対、ある程度の継続性が必要だ。つづいているからこそ、次の試合が気になるってものだろう。
その点、反町采配にはあまりに継続性がなさすぎる。まるで大河ドラマじゃなくて、一話完結の連続ドラマを観ているみたいだ(それも出来がいまいちな群像劇)。おかげで、毎回かかさず観なくちゃいけないとか、見逃しちゃいけないとかいう気持ちがまるで湧いてこない。国立のスタンドがガラガラだったのを見れば、それはなにも僕だけの感想じゃないだろう。反町さんにはスタンドの空席を見て、こんな状況を招いてしまったのは自分だということをきちんとわきまえて欲しい。
(Jun 12, 2008)
タイ0-3日本
ワールドカップ・アジア3次予選/2008年6月14日(土)/タイ・バンコク/日本テレビ
前のオマーン戦では試合開始時刻が日中の炎天下だったことでオマーンにケチをつけたけれど、朝日新聞によると、なんでもあれは放送時間をゴールデンアワーに持ってきたい日本テレビからの要請だったのだそうで。
それが本当だったらば、ずいぶんとひどい話だと思う。いくら視聴率が欲しいからといって、選手たちの健康に害を及ぼすようなコンディションでの試合を強いるなんて言語道断だろう。倒れる選手が出たらどう責任を取るつもりなんだと言いたい。そもそも暑さのあまり、いいプレーができずに、サッカーのおもしろさが伝わらないような試合になってしまえば、かえって逆効果だ。ただでさえ下降気味のサッカー人気に、さらなるダメージを与える結果にもなるだろう。長い目で見ればマイナスにしかならない。日テレはヴェルディへの不承不承といった感じのかかわり方といい、トヨタ杯の解説にお笑いタレントを起用している姿勢といい、サッカーに関しては考えが浅いというか、無責任というか、あまり心象がよろしくない。
この日の試合もそんな日テレの放送だからか、キックオフは日本時間の午後7時20分だった。タイと日本の時差は2時間だそうだから、つまり現地時間では午後5時台。そろそろ陽がかげる時間帯なので、オマーン戦に比べればまだましだけれど(それにさいわいこの日は曇っていた)、今回は東南アジア特有の蒸し暑さが加わるので、厳しいコンディションには変わりない。
でもまあ、相手のタイはバーレーンやオマーンに比べればまだ楽な相手だ。そんなに難しい試合にはならないだろうと、僕は試合前から楽観視していた。でもって、結果は予想どおり、3-0の快勝。裏ではバーレーンとオマーンが引き分けたので、これにて日本代表のグループ2位以内が確定。とりあえず現状は2位ながら、日本代表は無事、最終予選に駒を進めた。めでたし、めでたし。
この日のスタメンは、楢崎、内田、中澤、闘莉王、駒野、遠藤、長谷部、俊輔、松井、香川、玉田という構成。オマーン戦でレッドカードをもらった大久保に代えて香川をトップ下に起用した以外は前といっしょだった。
19歳で堂々のフル代表初スタメン出場を果たした香川だけれども、五輪代表で見せたような華のあるプレーはできていなかったと思う。その点は松井も同じ。ボールを持ったときには、おっと思わせるようなプレーを見せてくれることもあるけれど、全体的にまだまだチームにフィットしていないというか、運動量が足りないというか、あまり存在感が感じられなくて、もの足りない。松井や香川がいまくらいの出来ならば、彼らのかわりに中村憲剛を起用して、ヤットをトップ下に戻した方がよほどいいと僕は思う。彼らの起用は話題性が先行していて、いまいち実効性がともなっていないような気がする。
この日の得点は前半の2点が遠藤のCKから闘莉王、中澤のヘディング(このふたりのコンビは攻守ともに強力だ)。そして3点目が残り時間がほとんどなくなってからの、途中出場の中村憲剛の右足。つまりボランチよりも前の選手は、得点にはまったく絡んでいないことになる。となれば、攻撃的な才能を見込まれて先発出場しているはずの松井や香川に、文句のひとつもつけたくなろうってものだ。でもまあ、得点シーンに限ってみれば、どれもとてもいいゴールだったし、無失点に終わっているわけだし、その点では満足のゆく試合だった。
ちなみにこの試合、僕は家族ともども義理の妹夫妻のお宅におじゃまして、食事をしながら観戦していた。普段の僕は──こんな文章を書いていることもあって──サッカーについては馬鹿みたいに求道的で、気が散るからと食事は厳禁、集中力を欠くからと酒も飲まないで観ているので、飲み食いしながらのサッカー観戦というのは、やたらとひさしぶりだった。でも、うまい酒と食事とともにサッカーを味わうってのも、いいもんですね。日本代表が快勝してくれたおかげで、酒もなおさらうまかったし、とても楽しいひと時を過ごさせてもらいました。ごちそうさま。
(Jun 15, 2008)
日本1-0バーレーン
ワールドカップ・アジア3次予選/2008年6月22日(日)/埼玉スタジアム2002/BS1
日本、バーレーンともに3次予選の突破を決め、まったくの消化試合となったこの一戦。僕の一番の関心は、岡田監督に俊輔を休ませるだけの度量があるかどうかだった。しかしながら、ご覧のとおり、俊輔はスタメンでフル出場。岡田さんはまたもや指揮官としての器の小ささを証明してみせてくれてしまった。
岡田さんがいかに雪辱だと叫んでみせようとも、この試合はあきらかに消化試合だった。勝っても負けても最終予選の抽選には影響しない上に、この試合で受けた警告による出場停止は最終予選へ持ち越すからということで、両者ともここまでにイエローカードをもらっている選手は温存していた。それでなくともバーレーンにとってはアウェイなわけだし、勝ち点で日本を上回っているからには引き分けで十分。負けたところで、ベスト・メンバーを組めない以上、いくらでも言い訳がきく。そんなチームとの試合に、わざわざ手負いのエースを担ぎ出すってのが、僕には納得がいかない。
いや、俊輔が万全ならばいいさ。チームとのコンビネーションを高めるために、少しでも長くピッチに立たせたいというのもわかる。でも今回の俊輔は足の痛みのため、直前の全体練習に参加できないなんて状態だったわけだ。しかもヨーロッパで一年を戦い終えたあとで、どう考えたってほかの選手より疲れがたまっている。そんな彼にわざわざ無理をさせて出場を強いる必要がどこにあるっていうんだろう。もっとも重要な選手ならばこそ、最終予選進出が決まった時点でお役御免にして、バケーションにでもいってこいと、送り出してやるくらいの度量があってくれてもいいんじゃないだろうか。俊輔の代わりに出場する選手はその分、がんばるだろうし、その方がどれだけチームのためになるか知れない。香川あたりを使うならば、この試合こそもってこいだろうに、なぜだかセレッソに返してしまっているし。わけがわからない。
逆に、マイナス要因ならば、いくらでも思いつく。こんな状況でわざわざ俊輔を出場させれば、バーレーンには日本が彼らを恐れていると思われかねない。下手をして互角の戦いなんてしてしまえば、余計な自信をつけさせることにもなりかねない。選手たちはともかく、少なくてもバーレーンのマチャラ監督──かなりの
でも岡田さんはあえて俊輔を出場させた。スタンドにはあいにくの雨のなか、5万人を超える熱心な観客が集まったので、ファンサービスという面においては、喜んだ人も多かったのかもしれないけれど、それでも僕としては、やはり納得がいかなかった。
以上、本日の愚痴、おわり。
この日のスタメンは楢崎、内田、中澤、闘莉王、安田、遠藤、中村憲剛、中村俊輔、本田圭佑、佐藤寿人、玉田の11人だった。俊輔に無理をさせる一方で、前述のとおり、イエローカードをもらっている松井、長谷部、駒野らはスタンド観戦。五輪代表世代からあらたに本田を加え、J2から寿人を呼び寄せた。
試合のほうは、この日も日本が終始ゲームを支配しつつ、得点に到らないという得意の展開だった。開始早々、寿人がもらったPKを俊輔が止められたり、遠藤の直接FKがクロスバーをたたいたり(ゴールラインを越えているように見えたのに流された)、その跳ね返りを本田がフリーで打ち損じたり、玉田の積極的なシュートが何度となく枠を外したりと、点が取れそうで取れない展開が延々とつづいた。
結局、ほぼ90分を戦ってもスコアは動かず。ああ、これはスコアレス・ドローで終わりっぽいなと諦め気分の後半ロスタイム直前、そんなころになって、なんとも唐突な決勝ゴールが決まった。内田篤人がヘディングでハイボールを放り込むと、このボールに飛び込んできた途中出場の巻に気をとられたのか、相手GKは目測を誤って、目の前でワンバウンドしたボールに対応できない。ボールは彼らの頭上をぽーんと弾んでゴールのなかへ……。あっけにとられるような決勝ゴールが決まって、日本は3次予選をグループ首位で突破することになった。
いやあ、あのゴールは雨のなか、わざわざ集まった5万人への、サッカーの神様からのご褒美にちがいない。あそこで詰めていたのが巻だったのもよかった。自分が決めたのでもないゴールに、我がことのようにガッツポーズできる、がむしゃらな巻だったからこそ、決まったときの盛り上がりもひとしおだった。
まあ、そんなこんなで岡田采配にはいろいろ不満があるけれど、今日の試合ではいい連係もいくつか見られたし、決勝ゴールはわれらがウッチーの代表初ゴールだったし、とりあえず結果オーライとしよう。さあ、次はオリンピック、そして9月からは最終予選だ。
(Jun 22, 2008)