2007年1月のサッカー
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- 01/01 浦和1-0G大阪 (天皇杯・決勝)
浦和レッズ1-0ガンバ大阪
天皇杯・決勝/2007年1月1日/国立競技場/NHK
ひと月前にJ1のチャンピオンフラッグをかけて対戦した両チームが、元日の国立で再度顔をあわせることになった。その時の対戦は浦和の快勝だったけれど、この一ヶ月のあいだに、両者の状況は大きく変わっている。
かたや浦和は攻守の主力をごそっと欠く、準決勝の鹿島戦と同じ陣容。守備力はある程度安定しているけれど、永井の1トップでは、やはり攻撃に厚みが足りない印象がある。長谷部もベンチスタートだし、伸二や啓太も万全じゃないようだった。
一方のガンバは、ウィルス性の肝機能障害で長いことチームを離れていた遠藤もすっかり復調して、ほぼベストメンバーで戦える状況。播戸とマグノ・アウベスの2トップに二川がトップ下、両サイドは加地と家長、そして遠藤と明神のダブル・ボランチという攻撃陣の豪華さは、ちょっとばっかすごい。ディフェンスだって、宮本の経験値の高さは言うまでもないし、山口は06年度のベストイレブンに選ばれている。なぜかシジクレイがベンチで、替わりに實好が入っていたのと、GKの松代を除けば、あとは新旧の代表で馴染みの選手ばっかり。展開するサッカーも実に華麗だ。いや、ガンバってこんなに強いチームだったっけと、いまさらながら、やたらと感心してしまった。
実際にこの試合は終始一方的にガンバのペースだった。レッズはときおり伸二やポンテがミドルを放つくらいだった印象で、あとはもう延々とガンバが攻め続けていた。本当にその攻撃の見事なこと……。この分ならばガンバがリーグ戦の雪辱を果たすのは時間の問題だろうと思えた。でもなぜか得点できない。
これはちょっとまずい流れなんじゃないだろうかと思ったのは、前半35分にマグノ・アウベスが決定的なシュートをはずした時だった。ロング・ボール一発でカウンターからペナルティ・エリア左に入り込んだ彼は、切り返してDF二人のマークをはずし、それはそれは見事なシュートを放った。GKの都築はまったく反応できなかったし、DFもシュートコースを防ぎきれていなかった。ところが当然ガンバの先制点!と思ったそのシュートが、なぜだか枠の上を越えてしまう。昨年のJ1で26得点をあげた得点王のマグノ・アウベスがはずすなんて、とても信じられないようなシュートだった。おいおい、それってまずくないかと思った。
そしてゲームは予想どおりの展開となってゆく。その後もガンバが攻め立てつつ得点できない展開は最後まで続いてしまう。逆に後半も残り十分を切った時間帯に、レッズがカウンターから途中出場の岡野のアシストによりゴールを決めてしまうのだった。
決めたのは永井。決して美しいシュートではなかった。ガンバGK松代が手にあてて止めたかと思われたボールは、しかし止めきれずにコロコロとゴールネットのなかへ……。それまで延々とガンバの猛攻を見てきたあとだけに、ええっ、そんなのが入っちゃうのと驚いてしまうような、なんとも冷笑的なゴールだった。しかもこの日はあたりまくりで再三のガンバのチャンスを防いでいたレッズのGKが、昔はガンバにいた都築だったのがなおさらそのゴールの皮肉さを強く感じさせた。
結局このゴールが決勝点となり、浦和レッズが天皇杯二連覇+シーズン二冠を達成して07年度の元日決戦は幕となった。クラブW杯同様、勝ったチームよりも負けたチームのほうに好印象が残っているという、サッカーではたまにある、そんな一戦だった。
(Jan 03, 2007)