2006年11月のサッカー
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- 11/03 ● 鹿島0-2千葉 (ナビスコ杯・決勝)
- 11/14 △ U-21韓国1-1U-21日本
- 11/15 ○ 日本3-1サウジアラビア (アジアカップ・最終予選)
- 11/21 △ U-21日本1-1U-21韓国
- 11/27 F東京0-0浦和 (J1・第33節)
- 11/29 ○ U21日本3-2U-23パキスタン (アジア大会・グループF)
鹿島アントラーズ0-2ジェフ千葉
ナビスコカップ決勝/2006年11月3日(金)/国立競技場/フジテレビ
ああ……。思わずため息が出てしまうような敗戦だった。これまでにも何度か決勝戦で負けて優勝を逃したことはあるけれど、今回の敗戦はこれまでとちょっと感じが違う。ここまでタイトルが遠いと思わされたことは、ひさしくなかった気がする。今日の試合は見ていてあまり勝てる気がしなかった。まだ天皇杯が残ってはいるけれど、いまのチームじゃとても決勝戦まで残れる気がしないし、なんとか勝ちあがったところで相手が浦和や川崎や千葉だったら、まず歯が立たないだろうという気がしてしまう。ああ、なんでこんなことになってしまったんだろう。
いや、今日の試合を見ても、別にタレントが不足しているとは思わない。個々の選手の質はやはりそれなりに高いと思う。アレックス・ミネイロもひさしぶりにいいプレーをしていたし……。でもどうにもチームとして上手く機能していない感じがするし、そのせいか選手たちのモチベーションが低く感じられる。これではオシムの薫陶を受け、迷いを感じさせないプレーをするジェフに勝てるはずがない。
この決勝戦のスタメンは曽ヶ端、新井場、岩政、大岩、ファビオ・サントス、青木、増田、野沢、深井、柳沢、アレックス・ミネイロ。フェルナンドを累積警告で欠き、内田篤人をアジアユースで欠くのは非常に痛かったけれども、それでもようやく大岩が怪我から戻り、青木をボランチの位置で使えるようになったのは大きかった。前半を押され気味ながらも無失点で終えられたのは、この二人に岩政を加えたトライアングルが真ん中できちんとした仕事をしていたからじゃないかと思う。
試合前の報道では、アウトゥオリは勝利のために3ボランチにしてカウンター狙いの守備的な試合運びを目論んでいるなんて噂もあったのだけれど、明けてみればやっているサッカーはいつもどおりだった。でもなんだか、どうにもいまのチームはバランスが悪く感じられて仕方ない。なんとなく小笠原という核となる選手を失い、代わりをつとめる選手がいないまま、どうしていいかわからない迷子の子供みたいだ。
それでもこの試合、後半になってからしばらくはアントラーズに流れがきていた。ジェフの10番ハースが前半途中で足を痛めて途中交替したため、ジェフの攻撃力が落ちていたのもラッキーだった。中盤でのインターセプトから、相手ゴールを脅かす場面がいくつも見られたので、いまのうちにになんとか一点を取れば、もしかしたら勝てるかもしれないという期待をもたせる時間帯だった。
ところがやはり決めきれない。青木や野沢のいいシュートはGK真正面だし、たまのビッグチャンスには、不用意にボールを持ちすぎたり、自分で打てばいいじゃんという場面でパスを選択したりして、インターセプトされてしまうなんて場面ばかり。なんとももどかしい展開が続いた。
で、そうこうするうちに、この日は序盤から相手右サイドでやたらと存在感を示していたジェフの21歳、水野についにゴールを決められてしまうのだった。彼はその前にもゴール前へ切れ込んで、思いきりのいいシュートを打っていた。その時は大きくふかしていたけれど、二度目のこの場面には見事に決めて見せてくれてしまった。積極的にシュートを打つ姿勢がきちんと得点に結びついた、敵ながらいいゴールだった。アントラーズのゴール前での切れの悪さとは対照的だ。
あそこで水野のマークについていたのが、ファビオ・サントスだったのもこの試合を象徴していた。ユーティリティが売りの選手だとはいっても、やっぱりどちらかというと攻撃参加が魅力で、守備力には不安がある。かといって新井場だってそこは似たようなものだ。左サイドのディフェンス力は現在のアントラーズにとって、間違いなく一番のウィークポイントだろう。ジェフにはそこにああいう生きのいい選手がいるんだから、そりゃあやられて当然だ。
さらに駄目だと思ったのはその直後の2点目。先制点の直後に相手にCKをあたえるというのも頂けないけれど、そこで失点を許すなんてのは言語道断だろう。しかもジェフには3週間前にもセットプレーで阿部にハットトリックを決められている。注意しても、し過ぎることはないような場面だ。ここは大事にしないとと、僕だってひとりごとを言っていたくらいだ。そこでまたもや阿部にゴールを許してしまうんだから、もう話にならない。あれでこの試合の負けは9割方決まったも同然だった。
2点のビハインドを負ったアウトゥオリは、残り十分を切る時間帯になって、それまではおそらく延長戦をも踏まえて温存していた選手交替のカードを、3枚まとめて切ってみせる。アレックス・ミネイロ、深井、大岩(!)に代えて、本山、田代、興梠を投入。僕は試合前に、無念のベンチスタートとなった本山がそのうっぷんを晴らすべく、往年のスーパーサブぶりを見せてチームを勝利に導いてくれるのじゃないかと思ったりしていた。けれど2点のビハインドを負った状態でジェフ相手に残り10分では、さすがにそんな活躍を期待するにも無理がある。そういう意味では失点する前に彼をさっさと送り出さなかったアウトゥオリの腰の重さが恨めしかった。
結局その後、途中出場した選手もこれといった仕事ができぬまま、ジェフに余裕で逃げ切る試合運びを見せられてタイムアップ。ナビスコカップは去年に続いてジェフ千葉のものとなった。結果的には、いかにも日本代表6人を擁するチーム対0人のチームって感じの試合だった。ちっくしょう。アントラーズの栄光の日はもう遠い過去の思い出だぁ。
(Nov 03, 2006)
U-21韓国1-1U-21日本
親善試合/2006年11月14日(火)/昌原総合競技場(韓国)
北京オリンピックを目指すU-21日本代表の親善試合を初めて見た。
このチームは反町康治氏が監督に就任して以来、すでに中国と2試合を戦っている。今日と来週の韓国戦を含め、なんでもこれらは、北京五輪に向けて東アジア三国で凌ぎをけずって切磋琢磨しようという「日中韓サッカーU-21代表交流戦」なる企画の一環らしい。
なんにしろ僕はこれまでに行われた中国との二試合を見ていない。それでなくてもやることがたくさんあって忙しいのに、このうえ五輪代表の試合までチェックしていていいのかと
ところが。今日のこの試合はゴールデンタイムの放送だった。しかも対戦相手はアジア最強のライバル韓国。ちょっと前までU-19のアジアユース準優勝の活躍が伝えられていたため、若手に対する関心も高まっていたし、こうなるとやっぱり見ておかないといけない気にさせられる。ということで直前までちょっぴりためらいつつも、反町ジャパンのサッカーを初観戦させてもらった。
しかしながら拍子抜けしたことに反町さん、この試合のメンバーを中国戦とは全員入れ替えてきた。Jリーグでの疲労もあるし、なるべく多くの選手を試してみたいからとのことだったらしい。前の試合で起用した選手は一人も連れてこなかった。おかげでアントラーズの増田誓志をはじめ、本田圭佑や平山など、この世代で知っている大半の選手が不在。かろうじて知っていたのは、カレン・ロバート、川崎の谷口、そしてナビスコ杯でMVPを獲得した千葉の水野の三人だけだ。僕は最初、全とっかえしたということを知らなかったので、あまりに知らない選手が多くてびっくりだった。これはもしかしたらこの世代は本当に谷間の世代だったんだろうかと失礼ながら思ってしまった(僕は谷間の世代という言葉が嫌いだ)。でもそんな心配をさせられたのも、最初の10分ばかりだけだったけれども。
いやしかしこの試合、立ち上がりはホントにひどかった。キックオフから1、2分のあいだにフリーでシュートを2本も打たれ、5分にはセットプレーから失点を許すなんて展開に、この調子じゃもしかしたら5-0くらいで惨敗しちゃうんじゃないかと思ってしまうほどの出来の悪さだった。アジアユースでも準決勝、決勝と続けて開始早々に失点しているし、ジーコ・ジャパンの時にも試合の入り方にやたらと問題が多かった気がするし、なんだか最近の日本代表は世代を問わず、スロースターターなのが悪しき特長として定着してしまったっぽい。
とにかく最悪の出来で始まった試合だったのだけれど、その後はなんとか持ち直し、前半はその1失点に抑えて終了する。相手のプレッシングに苦しみ、反撃の糸口さえもつかめずに終わってしまった感じではあったけれど、でも始めのあの内容からすれば、わずかのあいだに随分と修正ができていた気がする。
で、後半は驚いたことに互角の勝負ができるところまで挽回する。ペースを握ったのは15分過ぎくらいからだろうか。ようやくいい感じでボールが回せるようになってきたなと思っているうちに、カレン・ロバートへのセンタリングが韓国のオウンゴールを誘って同点となった。その辺から先は日本もショートパスをきれいにつないで、韓国を慌てさせることができるようになってゆく。決定的なチャンスの数では相手の方が多かったようだけれど(GKの松井はよかった)、キープ率では日本が上回っていたんじゃないかと思う。まあ、攻め込みながらもフィニッシュに到らないのは、彼らに限らず日本代表はどの世代も同じ傾向だから、国民性ということで仕方ない──とりあえず現状では。それでも韓国相手に、第二セレクトのメンツであれだけの戦い方ができるんだから、これは大収穫だ。いや、本当に感心した。やはり日本サッカーは確実に成長のあとを見せていると思った。
すごく基本的なところだけれど、いまの若い選手たちはとにかくみんな、トラップが上手い。ボールがきちんと止まる。でもってパスセンスもある。誰とは言わず、あちらこちらから意表をついたワンタッチ・パスが出る。ディフェンス陣はチョンボが多くてちょっと問題ありだったけれど、それでも基本的なスキルはそれなりに高そうだ。こういう選手たちがちゃんと育ってきているんだなあと思ったら、なんとなく嬉しくなってしまった。
この日のスタメンはGK松井(磐田)、DF田中輝和(大宮)、千葉(新潟)、柳楽(福岡)、上田(磐田)、MF細貝(浦和)、谷口(川崎)、水野(千葉)、本田拓也(法政大学)、渡邉(名古屋)、FWカレン・ロバート(磐田)というメンツだった。キャプテンは谷口。後半途中から野洲高校の乾という選手が出場して注目を集めていたけれど、いやなるほど、この子は飛び級で呼ばれるだけあって、非常におもしろそうな選手だった。
なんにしろ、主要な選手をごそっと欠いて、なおかつ大学生や高校生を交えた即席チームで、しかもアウェーで韓国相手にこれくらいの試合ができれば上出来だ。北京オリンピックが楽しみになってきた。
あ、ちなみにこの試合、韓国の監督はA代表と兼任のため、明日のアジア杯予選に備えて欠席。代わりに指揮をとったのは、かのホン・ミョンボだった。日本のベンチには井原がコーチとして座っているし、なんだか時代が変わったなあと、そんなところでもしみじみとした気分にさせられる試合だった。
(Nov 14, 2006)
日本3-1サウジアラビア
アジアカップ最終予選/2006年11月15日(水)/札幌ドーム/BS1&TBS
アジアカップ最終予選の最後の試合にして、オシム・ジャパンにとっても06年最後の試合。もうこれで7試合目だそうだけれど、なぜだかそんなに見ている気がしない。
この日のスタメンは川口、阿部、闘莉王、今野、加地、鈴木啓太、駒野、中村憲剛、アレックス、我那覇、巻の十一人。今野をDFに起用しての3バックに啓太の1ボランチ、中村憲剛とアレックスをトップ下に配して、初めて長身FW二人を並べるという形をとった。まあ、いまのチームは全員守備、全員攻撃が浸透していて、誰がどこに出てくるかわかったもんじゃないので、あまりフォーメーションがどうとか言っても仕方ない気がする。
それにしてもこの日の試合はいい出来だった。少なくても前半30分で2点を奪うまでは文句なしの内容だったと思う。中盤からのプレッシングがビシビシ決まり、インターセプトからの早い攻撃が小気味よかった。
1点目はセットプレーから闘莉王。中村憲剛のCKを巻がヘディングシュート、これは相手GKに止められるも、そのこぼれ球を闘莉王が足で押し込んだ。闘莉王はこれが記念すべき代表初ゴールだ。2点目は右サイドからの今野の斜めの早いクロスボールを我那覇がヘディングで流し込んだもの。流れの中からのきれいなゴールだった。ナイス。
ただこの2点で安心してしまったのか、その後はやたらと停滞気味になる。2点リードした直後にペナルティエリア内で今野が相手のシャツを引っぱって倒したという判定でPKを取られて1点差に詰め寄られると、そのあとはもうジリ貧。突然追い上げムードが高まった相手に押し込まれまくり、たじたじのまま前半を終了することになった。ロッカールームへと引き上げてゆく闘莉王の渋い顔が、前半の終わり方の悪さを物語っていた。
それでもハーフタイムで気分をリセットした日本は、後半5分に追加点をあげて試合を決定づける。今野が左サイドの駒野へロングボールをフィードし、そこから駒野が放り込んだグラウンダーの高速クロスに、逆サイドで我那覇があわせた。この場面では左寄りから加地も詰めていたし、我那覇のちょっと手前には巻も来ていた。この日はこういう風に、フィニッシュに複数の選手がからむシーンが多く見られた。その点はおおいに評価されてしかるべきだろう。
まあ再び2点差としたあとはまたもやガス欠気味となり、その後は試合終了までなかなかしんどい展開が続いた。アレックス→山岸、我那覇→高松(これがA代表初ピッチ)という選手交替もはまらない。二人とも運動量が少なくて、出てきたことで、かえってチームのムードを停滞させてしまったような感じさえした。この日の試合は2点差をつけて勝たないとグループの首位に立てないということだったので、さすがにここから負けはないだろうけれど、1点は返されるんじゃないかと気が気じゃなかった。
ようやくこのまま逃げ切れそうだと思えるようになったのは、残り5分を切って、巻に代わり羽生がピッチに立ってからだ。この交替は効いた。豊富な運動量で最前線からプレスをかけまくる羽生のプレーで、疲れきっていたチームにようやく活気が戻ってきた感じがした。最後の最後になって、それまでいまひとつだった高松、山岸の二人がそれぞれ惜しいシュートを打てたのも、羽生が入ってチームが活性化したからだろう。
最後の最後、ロスタイムにはCKのチャンスに高松が倒されてPKをゲットする。でもこのPKを自らアピールして蹴った闘莉王が、このシュートを枠の左上へはずしてしまう。試合後の記者会見でオシム監督いわく「次の試合で誰にPKを蹴らしてはいけないかがわかったのが一番の収穫」とのこと。なにやってんだかなあ。もったいない。
まあ、4点目は取りそこなったものの、とりあえず試合はそのPKミスの直後にゲームセット。3-1で勝利した日本が、見事グループリーグ1位通過を果たした。よくない時間帯もかなり長かったけれども、それでもアジアの強豪サウジ相手に、失点はPKの1点のみ、流れの中できれいに2得点をあげているのだから、十分に評価できる一戦だったと思う。
ちなみにこの試合、後半途中で北海道を中心とした津波警報の臨時放送が入り、衛星第一の中継がひとことの断りもなく打ち切られてしまった。TBSでも同時に放送していたから助かったものの、世の中には録画をしていて、終盤を見損なった人もいるんだろう。どうもこの何年かの日本代表は、成績のみならず環境の上でも受難続きのような気がする。
あ、あとアントラーズ・ファンとしては、今回初めて代表に選出された野沢がベンチ入りメンバーからさえ漏れてしまったのが、なんとも残念だった。
(Nov 15, 2006)
U-21日本1-1U-21韓国
親善試合/2006年11月21日(火)/国立競技場/テレビ朝日
先週のアウェイでの試合から一週間、今度はホーム国立で行われたU-21の日韓戦。国内での試合ということで、反町さんは現在最強のメンバーで挑むと豪語していたのだけれど、あけてみればGK西川、DF水本、MF本田圭佑という、A代表にも招集されている中心選手たちが故障のため相次いでリタイア。その点でやや残念な試合となった。
この日のフォーメーションは4-4-2だか、4-1-4-1だか。GK松井、DF中村北斗(福岡)、青山直晃(清水)、千葉(新潟)、家長(G大阪)、青山敏弘(広島)、梶山(FC東京)、水野(千葉)、増田(鹿島)、平山(FC東京)、苔口(C大阪)という顔ぶれのスターティング・メンバーで、苔口がほとんど左サイドに張りっぱなしだったから、実質は平山の1トップという形だった。途中交替で出場したのは、細貝、カレン、伊野波、谷口、乾の5人。
われらがアントラーズの増田誓志が背番号10をもらっていたのにはちょっとびっくりだった。ただし正直なところ、そのエースナンバーにふさわしいだけの仕事はできていなかったと思う。あまり存在感がなかったし、妙なパスミスも多かった。同点ゴールを決めたのが彼ではなかったらば、救われなかったところだ。クラブではボランチを任されているのだから、もっと運動量の豊富なところをみせて欲しかった。もしかしたらクラブとは違うポジションだから、やりにくさがあるのかもしれないけれど。
この試合で好印象を受けたのは、水野、梶山、松井の三人。
水野は前の試合でもなかなか良かったけれど、この試合ではさらにすごかった。彼の右サイドからの崩しは本当に強烈だった。特に同点ゴールのアシストを決めたシーン、韓国の選手二人を振りきって、強引にあげたクロスの精度には脱帽だ。この人には11月のマン・オブ・ザ・マンスをあげたい。
前の試合でよかったといえば、GKの松井もそう。彼はクラブでは川口、同世代では西川の影に隠れてしまっているようで気の毒だけれど、とてもいいGKだと思う。シュートへの反応にしろ、味方へのフィードにしろ、判断力が速いような印象を受けるし、上背もある(186センチ)。今後ひと化けすれば、A代表のレギュラーを脅かす存在になれるんではないだろうか。
あと梶山。この人はキープ力があるのに感心した。終盤、韓国の選手3人くらいに囲まれた場面で、ちゃんとマイボールをキープしたのには、思わずおー、と歓声をあげてしまった。パスセンスもあるみたいだし、なるほど噂に名前を聞くだけのことはある。
意外だったのは、キャプテンマークを任されていたのが、広島の青山だったこと(青山が二人いてややこしい)。初めて名前を聞く選手だったので調べてみたら、広島では今年の途中からレギュラーを獲得していた。僕にはよくわからなかったけれど、谷口や梶山を押しのけてフル出場を果たすのだから、いい選手なのだろう。やはり世代を問わずボランチの競争が激しいのが日本代表の特徴らしい。
試合自体は一進一退で、両チームともにあまりフィニッシュまでいけない展開が続く、地味な内容だった。日本の失点は前半のロスタイム。取られちゃいけない時間帯に、ヤン・ドンピョンという選手に、マークに三人がついていながら、個人技で決められたのが情けなかった。ちなみにその三人のうちの一人は増田。やられないで欲しかった。
でもまあ、後半15分の、水野のクロスからの増田のヘディング・シュートはどんぴしゃだったから、プラスマイナスゼロかなと。せっかくだから増田くんには今後も背番号10をキープしていってもらいたいと思う。
(Nov 23, 2006)
FC東京0-0浦和レッズ
J1第33節/2006年11月26日(日)/味の素スタジアム/NHK
いよいよ06年のJ1も佳境。この試合に勝てば浦和が自力優勝、勝てなかったとしても、同時刻に行われる試合でガンバが引き分け以下なら、浦和の優勝が決まるという一戦だった。そりゃJ1のファンとしては見ておかないわけにはいかないだろう。
対するFC東京は、今シーズンは成績こそ振るわなかったものの、ここまでいざという一番でガンバやフロンターレに奇跡的な逆転勝ちを収めて、ひそかに浦和のバックアップをしてきたチームだ。とうに優勝戦線から脱落したチームを応援している野次馬の身としては、せっかくだからここで浦和にも勝って、最後にもうひと山、リーグを盛りあげて欲しいと思ってしまうのも致し方ない。
そもそもわたくし、生まれも育ちも東京。葛飾柴又でこそないけれど東京。ここで故郷のチームを応援しないでどうする。ということで、ややいい加減な理屈をこね、totoも東京の勝ちに賭けて、この試合を見守ることにした。
しかしながらやはり浦和のディフェンスは堅かった。今シーズンが始まった時はワシントンと小野の加入による攻撃力アップが一番の脅威だと思っていたのだけれど、終わってみれば、圧倒的な守備力こそがレッズの生命線だったようだ。ここまでの通算失点がわずか26というのはダントツのリーグトップで、なんとアントラーズの53の半分だ。なんだそりゃって感じだ。2位の清水でさえ41だから、いかにその守備力が飛びぬけていたかがよくわかる。
その数字を聞かされると、シーズン中に次々と攻撃の核となる選手を欠きながら、それでも最後まで優勝を狙えるポジションをキープし続けることができたというのも当然に思える。だてに日本代表のセンターバックコンビを擁しちゃいないということなんだろう(この試合には坪井は怪我でいなかったけれど)。いや、まいりました。これでもしもワシントンやポンテや伸二がフルシーズン活躍していたりしたら、一ヶ月以上前に優勝が決まってしまっていたかもしれない。
でも、そんなレッズを相手に、この日のFC東京はじつに見事に戦って見せてくれた。今野、石川直宏、徳永、伊野波、梶山、馬場といった伸びざかりの選手たちが、レッズに負けない守備意識の高さを見せて、こと中盤では一歩も引けをとらなかったと思う。ワシントンはジャーンが完璧に封じ込めていたし、攻撃では右サイドから石川と徳永が何度も惜しいチャンスを生み出した。なんだ、どうしてこのチームが降格圏内ぎりぎりの15位なんかに低迷しているんだと不思議になるような内容だった。
まあ、それでも勝ちきれなかったのは、やはりフィニッシュの精度という、耳にたこの課題によるものだろう。それはFC東京に限った問題ではないので、ここでつべこべ言っても始まらない。それにしてもこういう試合で出番のもらえない平山っていったい……。
なんにしろスコアレスドローに終わりはしたけれど、なかなかおもしろい試合だった。
裏では最下位の京都相手に2-2と苦戦していたG大阪が、後半ロスタイムにマグノ・アウベスの決勝ゴールで勝利を収め、なんとか優勝への望みを最終節へとつないだ。その最終戦がレッズとガンバの直接対決だというのだから素晴らしい。
ガンバの優勝の条件は3点差での勝利ということで、圧倒的にレッズが有利な状況ではあるけれど、それでもまだ決着がついたわけじゃない。少なくてもワールドカップでの日本代表のように、ブラジル相手に2点差で勝たないといけないなんていう状況に比べれば、まだまだガンバの方がチャンスがあるだろう。ここまでくれば浦和の優勝にはまったく異存はないけれど、せっかく舞台が整ったのだから、ぜひともおもしろい試合を見せて欲しいと思う。
そうそう、そういえばこの日の試合でマグノ・アウベスがハットトリックを達成して、これまで得点王ランキングでトップだったワシントンを抜いて、単独トップに躍り出た。その差1点。この二人の直接対決からも目が離せない。
(Nov 27, 2006)
U21日本3-2U-23パキスタン
アジア大会・グループF/2006年11月29日(水)/ドーハ(カタール)/BS1
アジア大会の予選リーグ開幕。日本は4年前と同様、23歳以下+オーバーエイジ3人までというレギュレーションのこの大会に、オリンピックを見据え、21歳以下の代表チームを送り込んだ。五輪代表にとってはこれが初の公式戦となる。
先週観た韓国戦では4バックで戦っていたけれど、基本的にこのチームは3バックが基本のようだ。スタメンはGK松井、DF一柳(東京V)、青山直晃、水本、両サイドが辻尾(中央大学、この子は選手登録上はFW)と本田圭佑、青山敏弘と谷口の2ボランチに真ん中が増田、そして平山とカレン・ロバートの2トップという顔ぶれ。途中出場は前田俊介(広島)、田中輝和、本田拓也の三人。前田は韓国戦のどちらかでも途中出場していたと思う。僕が初めて見るのは、一柳、辻尾、田中の三人だろうか。水野や梶山が呼ばれていないのがとても不思議(※)。
試合のほうは、スタンドががらがらのせいもあるんだろうか、なんだかいまひとつぱっとしない内容だった。開始2分に本田のFKで先制。32分、後半9分に谷口のゴールで3-0とリードしながら、その後2ゴールを奪われ、辛くも逃げきるというもの。レフェリーのジャッジにも悩まされて、終了間際には青山敏が二枚目のイエローカードをもらって退場になるという不運もあった。彼はこのチームの中心みたいだから──この試合ではそのことがよくわかった──この退場は次以降の試合を考えると響くかもしれない。
相手のパキスタンは2つ年上のくせにラフプレーが多くて嫌なチームだった。ユニフォームの胸に「PAKISTAN」と英語のロゴが入っているのも、サッカーらしくなくて、ちょっと違和感があった。
なんにしろ、いまだなじみのない選手が多いせいもあって、この五輪代表チームのサッカーにはいまひとつ愛着が湧いてきていない。せっかく夜更かしして観ているのだから、今後は眠気をふっとばすような、いいサッカーをみせて欲しいと思う。
(Dec 02, 2006)
(※)追記:なんでもこの大会には各クラブから一人ずつしか招集しないという方針だったとのこと。