2006年9月のサッカー

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  1. 09/04 ● サウジアラビア1-0日本 (アジアカップ・最終予選)
  2. 09/06 ○ イエメン0-1日本 (アジアカップ・最終予選)
  3. 09/10 ○ 鹿島1-0京都 (J1第22節)
  4. 09/16 ● 清水1-2鹿島 (J1第23節)

サウジアラビア1-0日本

アジアカップ最終予選/2006年9月4日(日)/サウジアラビア・ジッダ/テレビ東京(録画)

 日曜の深夜2時半キックオフの試合。しかも翌日に飲み会が控えているとなると、人一倍体力のない僕には、危なくてとても生では観られない。ということで仕方なくワールドカップの時と同じように、翌朝6時に早起きして録画で見た一戦。
 スタメンは前回のイエメン戦と同じメンツだった。でもこの日はフォーメーションが若干違う。中盤でボールをさばくのが鈴木啓太ばかりだから、阿部はいったいどうしたんだろうと見てみると、彼はディフェンス・ラインに飲み込まれ、坪井と闘莉王ときれいに並んでいる。なんだよ、今日は3バックじゃないか。
 あとでインタビューを読んだところ、相手が2トップの場合にはそうしようと、闘莉王らとあらかじめ打合せをしていたのだそうだ。アジアの強豪相手ということで、慎重を喫したのだろう。そういう風にメンバーが勝手に話してフォーメーションを決めてしまうというのも、オシム・ジャパンならではという気がする。
 なんにしろ自主的に3バックを選択してしまった以上、攻撃力の低下は避けられない。啓太から前へのつなぎがスムーズにいかず、パスミスをカットされてばかりという、じれったい展開がけっこう続いた。特に序盤は非常にパスミスが多かった。見ていて嫌になってしまった。オシムも前半の十五分は最悪だったと言っていたようだ。
 まあ、それでもその後は徐々にいい形が出せるようになってゆく。たまに遠藤がボールに絡んだ場面では、ダイレクトパスがきれいにつながり、おっと思わせることもあった。暑さを考えると、最後まで足が止まらずに立派に戦っていたし、悪い内容ばかりだったとも思わない。でもやはり得点できそうな感じは、最初から最後まであまりなかった。
 ただしそれは相手のサウジアラビアも一緒。守備はともかく攻撃の面では、ホームでこの程度かと思わせる出来だった。こりゃあ、スコアレスの引き分けが妥当な結果かなと思った。ところがどっこい、日本が先制点を奪われてしまう。
 失点の場面もミスからだったようだ(記憶なし)。ミスで失ったボールをシュートまで持ち込まれ、そのシュートが闘莉王が出した足に当たって、よりによってフリーになっていた敵の足元へ。あの位置でフリーでボールをもたれてしまったら、さすがの川口でも止めようがない。これをきちんと決められて、オシム・ジャパン発足以来の初失点を喫し、なおかつそれが初黒星の決勝点となってしまった。
 確かにフリーの敵にボールが渡ってしまったのは不運だった。失点のきっかけとなるその前のシュートも、闘莉王が触っていなかったら、川口が普通にセーブできていたようなシュートだったし。ただし3バックで守っていたのだから、あの位置でフリーの選手を作ってしまっていたこと自体はミスじゃないんだろうか。どうにもマークが甘かったように思えた。
 そうそう残念だといえば、オシムも指摘していたラストシーン。ロスタイムの最後の最後にボールを持った駒野が、クロスを入れて終わればいいところで、出しどころをためらって、横パスを選択した直後に試合終了の笛が鳴ってしまった。残り時間がないのはわかりきっているのに、なぜあの場面で強引にでもクロスを入れられない? なんでもオシムからは「状況を考えてクロスを入れるように」と指示を受けていたそうだけれど、あの場面は素人の僕が見たって、パワープレイが当然の時間帯だ。90分以上戦って疲れ切っていたにしろ、そのくらいの判断はできて欲しかった。あれではオシムに「子供だ」と非難されても仕方がない。
 でもまあ、サウジにとっての得点のチャンスはたった一度だけ、あのゴールの瞬間だけだった。攻撃的MFに遠藤やアレックスを起用しているのは、このチームは全員で守備をするんだというオシムの意思表示だと思う。その点から言えば、ほとんど相手にチャンスを与えなかったのだから、いい戦い方ができていたと言っていいんじゃないだろうか。実際に全体的な内容では間違いなくこちらが上だったと思う。それだけにこの結果はとても残念だ。
(Sep 06, 2006)

イエメン0-1日本

アジアカップ最終予選/2006年9月6日(水)/イエメン・サヌア/TBS

 標高2300メートルの高地で、酸素濃度が通常の80%と噂される過酷な環境でのアウェイでの一戦。それだけでも厳しいところへきて、ピッチ・コンディションは劣悪。一目見ただけでわかるくらい、芝がボコボコになっている。パスワークを生命線とする日本のサッカーにとって影響は必至だった。
 さらに加えて重要だったんじゃないかと思えるのがピッチの狭さ。この日のスタジアムのピッチは普段は見たことがないくらい狭かった。なんでも世界的な平均が横68メートルのところ、この日のピッチはFIFAが規定している最低限度の64メートルしかなかったそうだ。その差4メートル。縦幅がどのくらだったかはわからないけれど、やはり横幅に比例して短かったのだろう。テレビ放送が始まった途端に、なんだおい、妙に狭いぞと。もしかしてフットサルをやるのかと思ってしまったくらいだった。空気が薄くて疲れやすい分、走らなくても済むようにわざと狭くしているんじゃないかと、穿{うが}った見方をしたくなった。
 僕はこのピッチの狭さも苦戦の原因のひとつだったのではないかと思っている。ピッチが狭い分、選手と選手のあいだも狭くなる。おかげでホームだというのに守備的な姿勢を貫く相手に、いつにも増してスペースを与えてもらえない。反対に一発のロングボールが簡単にゴール前まで入ってきてしまう。これは守ってカウンターという戦法に出る相手チームに圧倒的に有利な環境に思えた。
 日本代表のこの日のスタメンは、前の試合とほぼ同じ。唯一の変更は駒野の替わりに羽生をスタメン起用したことだった。駒野の位置にはアレックスが入った。オシムはアレックスを攻撃的MFとして見ているというのが僕の推測だったので、そのアレックスを最初からDFとして起用してきたのは意外だった。けれど始まってみれば、フォーメーションは前の試合と同じく、阿部がディフェンスラインに入った3バック。つまりアレックスのポジションは左サイドウィングだ(かなり流動的だったけれど)。それならば、駒野よりもアレックスという布陣は当然だと納得がいった。
 それにしてもこの試合でも日本代表の決定力のなさは目をおおいたくなるくらいだった。ゴール前のフリーのチャンスで、巻がヘディングを思いきりはずしたり、遠藤が左足のシュートをふかしたり。ああいう場面ではずしていたんでは、勝てる試合も勝てない。とにかくピッチは狭くて、思わぬワンプレーでいきなり失点なんて場面も考えられたし、これはもしかしたらサウジ戦の二の舞になりかねないなと、気が気じゃなかった。
 そんなタフなゲームで、本大会出場を決定づける貴重な勝ち点3を日本にもたらしたのは、途中出場の我那覇のゴールだった。ロスタイム、坪井のフィードを巻がヘディングで競り勝ってゴール前に流し込んだところへ我那覇が詰めていた。彼の裏には闘莉王もいたし、最後の最後でパワープレーが効を奏した形だった。ここのところ、あまりいいプレーができていない印象だった巻も、最後になってようやくひとつ大きな仕事をしてくれた。
 この試合とその後のサウジの勝利で、日本とサウジの本大会への出場が決定。これで残りの二試合は安心して強化試合と割り切って戦える。オシムさんが若手にもどんどん機会をあたえると明言したようなので、どんな選手を起用してくるのか、楽しみが増えた。
(Sep 09, 2006)

鹿島アントラーズ1-0京都パープルサンガ

J1第22節/2006年9月10日(日)/カシマスタジアム/BS1

 小笠原がついにセリエAメッシーナに移籍してしまった。こうなれば本山にチーム・リーダーの自覚を持ってがんばってもらうしかないだろうと思っていたら、その本山くんが練習中に肉離れを起こしたとかでチームを離脱(全治4週間)。まったく彼はなにをしているんだか……。頼りにならないこと、{はなは}だしい。アウトゥオリが小笠原の後釜として、野沢を名指しで指名したという噂もある。このままじゃファビオ・サントスからスタメンを奪い返すなんて、とうてい無理なんじゃないかと思えてしまう。
 それにしても、この試合のアントラーズは駄目だった。降格争いをしているチームを相手にこんな試合をしていて、優勝を狙おうってのがおこがましい。今年はさっさとリーグ優勝は諦めて、ナビスコカップに照準を絞った方が良いんじゃないだろうか。そんな弱気なことを思ってしまうほど、ひどい出来の一戦だった。
 スタメンは曽ヶ端、内田篤人、岩政、青木、新井場、増田、フェルナンド、野沢、ファビオ・サントス、柳沢、アレックス・ミネイロという面々。直前に大岩が負傷したとかで、青木がCBに入り、増田がボランチで起用された。
 試合は開始から1分ばかりのあいだ、アントラーズがいきなりの猛攻を見せた。おっ、今日はいいかもと思わせたのは、そのわずかな時間だけだったような気がする。あとはなぜだか京都にボールを回され、やたらと危ないシーンを作られていた。最終的には無失点で終わったけれど、それは単に相手がフィニッシュの精度を欠いていたからで、ゴール前でフリーでヘディングを打たせてしまう場面がいくつかあったし、決定力があるチームが相手だったらば、5点くらい取られていてもおかしくないような内容だった。
 まあ鹿島にも惜しいシーンはなくはなかった。前半途中に野沢の素晴らしいループ・シュートが、オフサイドになってしまったシーンは、アレックス・ミネイロが触らなければ、間違いなくゴールだった。ただあれは、あの位置に詰めていたFWに触るなというのが酷だ。逆にあの位置でDFがついていない京都の守備の方が問題だと思う。なんにしろとても残念無念なシーンだった。
 もうひとつは後半途中出場した田代のヘディング。ゴール前へのハイボールをGKと一対一で競り合い、見事にヘディングを決めたと思ったら、キーパーチャージの判定を受けてしまった。ビデオで見る限り、あのシーンはどう見たって田代の方が先にボールに触っている。あれでこちらのファールはないだろう。結局その接触プレーで、田代は腰から落下して負傷、腰椎横突起骨折(ヨウツイオウトッキコッセツ)で全治6週間だそうだ。ひど過ぎる。レフェリーは柏原さんだった。この人にも困ったものだ。
 とにかくそんなこんなで惜しいシーンがわずかばかりはあったものの、全体としてはこちらのホームとは思えないくらい相手にいいサッカーをされてストレスだらけ、それでもオウン・ゴールに救われてかろうじて勝ち点3はゲットしたという試合だった。
 次節もテレビ放送があるのだけれど、その対戦相手がこのところ絶好調の天敵エスパルス。とても勝てる気がしない……。
(Sep 12, 2006)

清水エスパルス1-2鹿島アントラーズ

J1第23節/2006年9月16日(土)/国立競技場/BS1

 苦戦は必死だと思っていたけれど、あけてみれば、アントラーズが二本のミドルシュートで快勝という試合だった。
 前節の不甲斐ない内容に業を煮やしたアウトゥオリは、ここ数試合無得点のツートップ、柳沢とアレックス・ミネイロを両方ともスタメンからはずすという荒療治に出た(ということかと思ったら、実は後日に控えたナビスコカップ対策だったらしい)。代わりに起用されたのは、これがJ1初出場となる二十歳の田中康平と、W杯の中断期間中に加入した十九歳のブラジル人、ダ・シルバという若い二人。さらに出場停止のファビオ・サントスの代わりは深井が務めた。選手登録上はダ・シルバがMFで深井がFWなのだけれど、実際には二人のポジションは逆転していた。あとは前の試合と同じで、この試合も青木がCB、増田ボランチという布陣だった。
 首位のガンバに勝ち点で10離されている状態で、対戦相手は現在4位と、アントラーズよりひとつ上にいるエスパルス。優勝の可能性を残すためにも絶対に勝たなくてはいけない試合だった。前の京都戦があまりにひどい出来だったので、個々の選手も反省するところがあったのだろう。水曜日に試合がなかったため、体力的にリフレッシュできたということもあるかもしれない。とにかく前の試合とは見違えるような、アグレッシブな姿勢をしてみせてくれた。
 特に好印象だったのが深井。小さな身体からエネルギーがあふれているように見える。ボールを持つととにかく一目散にゴールへと向かおうとするプレーぶりは、見ていてとても気持ちよかった。
 それと新井場。最近は守備力に疑問を呈してばかりいたけれど、やはり彼の攻撃参加はとても魅力的だ。この日は得点にこそ絡めなかったけれども、おっと思うような切れのあるプレーを随所で見せてくれていた。いつでもこの試合みたいなプレーを見せてくれていれば、ちょっとくらいの守備の綻びは許してもいい気がしてくる。
 若いツートップはそれほど機能していたようには見えなかったけれども、それでも中盤からの押し上げがきちんと効いていたので、まあ見ていて納得のいく試合だった。ただ、エスパルスの守備もしっかりとしているのか、どうしてもフィニッシュまでゆけない。シュート数がポゼッション率に比例していない感じだった。その辺がいまのチームの課題のような気がする。
 均衡を破った貴重な先制点は前半終了間際。フェルナンドがあざやかなミドルシュートを決めてみせてくれた。今シーズンの彼は、非常に大事なところでゴールを決めてくれている印象がある。やはり今のチームには欠かせない存在だなと思わされた。
 後半15分には野沢が、前節オフサイドで取り消されたループシュートのやり直しといった感じで、技ありのミドルを決めてエスパルスを突き放した。これで2点差。エスパルスは若手の注目株、藤本や兵藤が故障やコンディション不良で途中交替していたし、この追加点で少なくても負けはなくなったなと安心できた。
 ちょっとだけ雲行きがあやしくなってきたのは、その後、ツートップをいつもの二人に入れ替えてからだ。残り20分ちょっとという時間帯からの投入だし、二人には積極的に動いて、前線でボールをキープして欲しいところだった。ところがそうはならない。二人とものらりくらりとした印象のプレーで、あまりボールに絡んでこない。スタメンを外されたことへの発奮や、チームを勝利に導こうという意欲が感じられなくて、とてもがっかりさせられた。エスパルスに追撃の一点を許したのが、二人が途中交代で入ったわずか1分後というのは、偶然ではないように思えた。
 まあそんな風に不満を感じさせる選手たちがいたことはいたけれど、その後をどうにかしのぎきって勝ち点3をあげたことは素直に喜びたい。とりあえず首の皮一枚、優勝戦線に残った感じだ。向こう一ヶ月くらいは下位に低迷するチームとの対戦が続くので、取りこぼさないようにして最後まで粘ってくれればと思う。
(Sep 18, 2006)