2005年5月のサッカー
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鹿島アントラーズ0-1セレッソ大阪
J1第9節/2005年5月1日(日)/カシマスタジアム/BS1
今季初黒星を喫した。前半20分くらいはとてもリズムよく戦っていたので、この試合も勝ったも同然と思っていた。まさか負けちゃうとは……。しかも大久保のいないセレッソに。これだからサッカーはわからない。
本当に開始から20分くらいのサッカーには文句がなかった。球離れがよく、ワン・タッチ・パスがおもしろいように回る。あとはフィニッシュの精度だけ、得点は時間の問題だと思われた。ところがそんな風にいい感じで攻撃ができている分、チーム全体の気持ちが前がかりになっていたのか、相手のカウンターにディフェンスが遅れる場面がある。おや、まずいんじゃないかと思ったりしていたら、案の定。18分に見事にディフェンスラインの裏を突かれ、9番の古橋にフリーでシュートを決められてしまう。
この試合ではこの古橋というFWには結構シュートを打たれていた。あと右サイドの6番、ゼ・カルロスという選手がかなりいい。この外国人の左足から放り込まれるクロスには手を焼いた。森島や西澤もまだまだ健在だし、ベンチには黒部や広山がいる。うーん、セレッソ、意外とあなどれない。なんでもこれまでのアントラーズとの対戦成績は9勝9敗2分とかで、まったくの五分だったそうだ。今日の試合で負けて黒星先行。思わぬところに苦手チームがあった。
とにかくいい感じで攻めていたところで予想外の先制を喰らい、これでリズムが狂ってしまったみたいだ。その後は当初のような小気味いい攻めは見られなくなり、結局後半も効果的な反撃ができずに終わってしまった。この、後半に手の打ちようがなかったのが痛い。やはりリーグ制覇は楽じゃないと思わされた一敗だった。
そうそう、この試合で鈴木隆行が途中出場ながら戦線復帰(スタメンは野沢)。高卒ルーキーの
(May 01, 2005)
FC東京0-2鹿島アントラーズ
J1第10節/2005年5月4日(水)/味の素スタジアム/BS1
故障前に3試合連続でゴールを決めていた野沢。ジュビロ戦で2得点に絡む積極的な動きを見せた深井、そしてこの日、本山の2ゴールのお膳立てをした興梠。アントラーズの快進撃を支えているのは、こうした若手の選手たちのがんばりだ。
いや、もちろん若手ということでなら、中田浩二の穴を埋める青木や、最終ラインに定着した岩政の活躍も抜きには語れない。センターラインがしっかり守れているからこそ、両サイドが日替わりのままでも、ここまでリーグ最小失点という素晴らしいディフェンス力を保てているんだろう。
そう言えば三冠を達成した年も、やはり最後の最後でものを言ったのはディフェンス力だった。安定した守備力で試合を保ちながら、中盤から前の個人技で勝負を決める、というのが鹿島の伝統的な戦い方だとするならば──あんまりいいサッカーだとは思わないけれど──今のチームは見事にその伝統にのっとった戦い方ができている。
それに、とにかくJリーグ発足当初から常に優勝に絡んできたというプライドがチームに根づいているのを感じる。それがこの2、3年の低迷を経て、1リーグ制となった今年こそはという強い闘争心に変わったかなと。チーム・リーダーの小笠原の負けん気の強さがチームに今までにない雰囲気をあたえているような気もする。
なんにしろ今年はここまでディフェンスに関しては文句なし。でもその点ならば去年もおんなじだった。失点の少なさでは多分リーグ・ベスト3に入っていたはずで、それでも低迷を続けていたわけだから、今年の快進撃を支えているのは、やはり攻撃力、得点力がアップしたことにある。
要因のひとつは間違いなくアレックス・ミネイロの加入だった。この人がファースト・インプレッションの悪さに反して、その後しっかりとした仕事をしてくれている。得点ランキングにアントラーズの選手が顔を出してる状況というのは実にひさしぶりなので、それだけでも賞賛に値する気がしてしまう。とにかくきちんと点が取れるFWは、この2、3年のチームに欠けていたピースのひとつだった。今年は彼の加入によりその欠点が解消されたのだから、ある程度の成績が残せるのは当然だと言える。
加えて冒頭であげた三人の若手FWの台頭がある。故障者続出のチームにあって、数少ないチャンスをもらった彼らは、この機会を逃しちゃいけないとばかりに、スタメンのお株を奪うような活躍を見せてくれている。プロ野球でよく聞く「日替わりヒーロー」というやつ。そういう選手が次々と出てくるチームは強い。このいいリズムをキープしていければ、今年はいい成績が期待できるかもしれない。ってまだ全体の三分の一も終わっていないのだから、浮かれるには早過ぎるとは思うけれど。
しっかし、日替わりヒーローが出てくる理由を考えると、喜んでばかりいられない。深井がチャンスをもらったのは、それまで活躍していた野沢が怪我をしたからだ。興梠の初スタメンは、その深井も怪我で使えなくなってしまったから。そしてこの日の試合で興梠も怪我をした。三人が三人、戦線離脱という状況はひたすら苦しい。今日の新聞によると野沢は疲労骨折で全治2ヶ月だそうだし、深井や興梠も怪我をした時の感じだと、1ヶ月くらいは出られなさそうだ。アレックス・ミネイロも故障でこの試合は欠場だったし、その他にも名良橋、新井場の両サイドバックも不在。首位を独走しているのが嘘のような、踏んだり蹴ったりの台所事情だったりする。本当に困ったもんだと思う。とりあえずあと2試合を終えると一ヵ月半の中休みに入るというのがとてもありがたい。
なにはともあれこの試合。フェルナンドが累積警告で出場停止、アレックス・ミネイロも不在。しかも前節で初黒星を喫しているということもあって、不安材料の多い一戦だった。スタメンは曽ヶ端、アリ、岩政、大岩、石川、小笠原(ボランチでの起用)、青木、増田、本山、興梠、隆行(復帰後初スタメン)。そう言えば増田のスタメン出場もひさしぶりな気がする。去年の開幕当時は彼も期待のルーキーとして注目されたものだけれど、その後徐々に失速してしまった感がある。この日も興梠の影に隠れてしまっていた。苦しい状況だけに、次こそ彼の奮起に期待したい。
興梠はバーに嫌われた2本のシュートがそのまま本山へのアシストになるという形だったけれど、それらのシュートを打った積極的な姿勢に感銘を受けた。ゴール前でパスを選択してしまう選手が多い中、彼は迷わずシュートを打って、それをきちんと枠に飛ばしていた。やはりそこだというタイミングでシュートを打ってくれる選手は気持ちがいい。この子はいけるかもと大いに期待を抱かせてくれた。それだけにいきなり怪我で出場できなくなってしまったのは痛い。ジュビロ戦の深井も同じように、おおっ、今年はやってくれるかと思わせてくれた試合での怪我だった。どうもそういう不幸が重なるのは気持ちが悪い。縁起をかついでお祓いでもしてもらって欲しくなる。
ま、なんにしろ首位だ。2位名古屋との勝ち点差は7だから、万が一、中断前の残り2試合を両方とも落としても首位のままだ。うーん、素晴らしい。こんな好成績は本当に想像だにしていなかった。自分の不明を恥じ、チームの健闘をたたえたい。
(May 08, 2005)
日本0-1ペルー
キリンカップ/2005年5月22日(日)/新潟スタジアム/日本テレビ
中澤、加地が故障のためベンチ。フォーメーションは3-5-2で、GK川口、DF田中誠、宮本、坪井、ボランチ福西、遠藤、両サイドが三浦淳(右)、アレックス、トップ下に小笠原、ツートップが玉田と鈴木隆行というメンバーで連覇を狙いにいったキリンカップ初戦。
ペルーは主力を抜きの準A代表と揶揄されたメンバー構成だったらしいけれど、技術はしっかりしていたし、中盤からのプレスも速く、決して楽な相手ではなかったと思う。ホームであるにもかかわらず、あまり自由にプレーさせてもらえなかった印象だった。
でもって決定機を演出できないまま、後半ロスタイムに相手の唯一とも言うべきチャンスをカウンターで決められジ・エンド。ペルーとUAEとの力の差を考えればキリンカップの連覇はほぼ絶望。日本代表はW最終予選の大一番を前にした調整のこの試合で、不吉な黒星を喫することになった。
僕としてはそれほどひどい内容だとは思わなかった。少なくてもディフェンスラインは失点の場面以外は安定していたと思うし、その点では中澤の穴を埋めた坪井の復調が頼もしかった。失点の場面を防ぎ切れなかったことは悔やまれるにせよだ。
三浦淳の右サイドも本職でないことを考えれば上出来だった。でもやはりそこは本職ではないがゆえに、右サイドをえぐってクロスという場面が少なく、どうしても中へ入って行きがちだったのが気にはなった。ただそれはあえてあのポジションで三浦を使ったジーコへのクエスチョンだ。アツ自身のプレーには誰もが満足したのではないかと思う。
あと印象が良かったのが途中出場した大黒と稲本。いつでも積極的にゴールを目指している大黒のプレーこそ、カズが抜けて以降の日本代表のFW陣に欠けているものだと思う。そういう意味でやはり大黒待望論が湧き上がる状況は当然だ。稲本もブルドーザーのような迫力ある攻め上がりを何度も見せて、イングランド・リーグ在籍が伊達ではないことを証明していた。この日の二人のプレーを見て、次の試合で彼らのスタメン起用を考えないようじゃ、ジーコ解任コールが高まったとしても仕方ないかなと思う。
まあ、ただ失点の場面はイナが前がかりになった穴を突かれたという部分がなきにしもあらず。攻撃に力をそそぐあまり、守備がお粗末になってしまうのでは3バックを採用している意味がない。その辺のバランスを考えると、一概に稲本がスタメンでいいかは迷うところだ。ましてやヒデや俊輔、そして誰よりも小野が帰ってくるとなるとなおさらということになる。バーレーン戦のスタメンは今のところ予想ができない。
ただし小笠原に関しては残念なことに最終予選でのスタメン出場のチャンスはないだろうと思う。トップ下を任されたこの試合ではっきりと結果が出せず、しかも敗戦してしまったのはちょっとばかり痛過ぎた。本山も終盤に出てきて、シュートをふかした場面でニヤニヤしていたのがテレビでアップになったのは印象が悪過ぎる。勝ってもいない場面でチャンスをつぶしてあのニヤニヤ笑いはないだろう。彼を贔屓にしている僕でもカチンときたから、世間的に評判が悪いに違いない。もとより巷には隆行不用論があふれている。鹿島勢はジーコの七光りと言われないよう、もっともっと心の入ったプレーを心がけてくれないと……。
なんにしろ残念な黒星だった。いや、世の中に残念ではない黒星なんかないんだけれども、なまじジーコが監督になってから南米勢との対戦では白星がないそうなので、今回はその悪いイメージを晴らすチャンスだっただけに、それを逃したのが残念極まりなかった。
(May 23, 2005)
日本0-1アラブ首長国連邦
キリンカップ/2005年5月27日(金)/国立競技場/日本テレビ
ペルー対UAEの試合はスコアレスドロー。これによりこのキリンカップでの日本の優勝はなくなった。それどころか引き分けでも最下位決定というこの試合に負け、ほかの2チームの同時優勝という最悪の結果に終わってしまった。連覇を狙うが聞いてあきれるという悲惨な成績。ホームでのカップ戦でのこの連敗はあまりに惨めだ。いやになった。
ペルー戦のスタメンから、玉田を大黒に、遠藤を小野に、三浦淳を加地に入れ替えてのぞんだ一戦だった。注目はなんといってもそのうちの二人、大黒と小野。相手はUAEだし、代表初スタメンでやる気満々の大黒と好調が噂される小野の活躍で、日本の勝利は間違いないだろうという根拠のない確信を抱いていたこちらが愚かだった。結局、大黒はまったくの不発。小野は見事なボール捌きこそ見せてくれたものの──左足のトラップであげた浮き球を右足でボレーしたループシュートは圧巻だった──かといって彼一人の存在ですべてが好転するでもない。結果はやはり消化不良この上ない試合となった。内容についてどうこう書こうという気力が沸いてこない。
だからさ、やっぱりペルーやUAEを完封できない3バックは駄目だって。どうせ負けるならば、もっと攻撃的にいって玉砕して欲しいぞ。そんなことを天王山のバーレーン戦を一週間後にひかえた今さらいっても仕方がないんだけれど。
今はただ、頼むからバーレーンに負けないでくれと、それだけを祈るばかりだ。ああっ。
(May 27, 2005)