2002年12月のサッカー
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鹿島アントラーズ1-0川崎フロンターレ
天皇杯・準々決勝/2002年12月25日(水)/国立競技場/BS1
年末の恒例行事、サッカー天皇杯も既に準々決勝。アントラーズは東京学芸大学、大宮アルディージャを破り、ここまで順当に駒を進めてきた。
対するはガンバ大阪、というのが極めて一般的な予想だったのだけれど。なんとそのガンバを破って勝ち進んできたのは、元鹿島の鬼木がキャプテンを務めるJ2の川崎フロンターレだった。うーん、J2パワー恐るべし。だてに年間J1より10試合も多く戦って来ちゃいない。最近のJ1昇格チームの戦いぶりを見ても、それはよくわかる。下手に毎年残留争いをしているチームなんかよりは全然しっかりした戦い方をしている。本当にJリーグの底辺が上がってきているんだなあと思う。
なのだけれど。今日の鹿島を見ている限りじゃ、やっぱり日本はまだまだだとも思ってしまった。全体としてのレベルは上がっているけれど、頂点のレベルはまだまだ世界に及ばない。今年のアントラーズはリーグ優勝こそ逃したものの、仮にもナビスコカップ優勝チームだ。それがJ2で4位に甘んじたチームに前半はいいように押されまくっていた。勘弁してくれよって感じだった。
なにしろ全体的にミスが多すぎる。誰も彼も動きが重い感じだったし、あまりのパスのつながらなさにストレスがたまりまくった。こりゃ先制されたらば危ないかもしれないという内容だった。池内と青木がスタメン出場していたことによる影響もあるのだろうけれど、なんともどたばたした印象だった。
それでも最初の15分くらいを凌いでからは、ようやく実力の差が出たという感じで、アントラーズ主体でボールが回り始める。まだまだ連係は怪しいけれど、ボールがキープできるようになれば、そこはこの大会に優勝して通算十冠を目指そうという強豪チーム。基本的に安心して見ていられるようになった。
あとはもう惜しいところに飛び込みながらもフィニッシュでミスを繰り返す柳沢への小言に終始する内容だった。結局試合は後半19分にアウグストが右サイドに切り込んであげたクロスを、ファーサイドの深い角度から本山がボレーで叩き込んで先制点を上げ、そのまま逃げ切って試合終了となった。これで無事アントラーズが準決勝進出を決めた。
おもしろかったのは後半途中から柳沢に代わって出場した本田が妙に前目にポジションを取って、何度も攻撃に絡んでいたこと。あれは攻撃的MFとして投入されたんだろうか? なんだかとても不思議な感じがした。
ま、それはともかく。この試合に勝てば、週末はいよいよジュビロとの準決勝だ、と思っていたというのに、そのジュビロがジェフに負けて姿を消してしまった。おまけにもう片方のグループで勝ち残ったのはJ2降格の広島と今年J1に復帰してきた京都。なんとも思いがけない組み合わせになったもんだ。トーナメントはわかんないなあ。
(Dec 25, 2002)
ジェフ市原0-2鹿島アントラーズ
天皇杯・準決勝/2002年12月28日(土)/長居スタジアム/NHK
今年最後のサッカー観戦──全部テレビだけれど──、天皇杯準決勝。鹿島アントラーズは難なくジェフ市原を下し、元日の決勝へと駒を進めたのだった。
この前のフロンターレの鬼木に続いて、ジェフには増田がいた。でも彼は来年は契約を打ち切られてしまうのだそうだ。レッズの福田や井原も引退に追い込まれてしまったようだし、Jリーガーには冷たい風の吹いているなあと思う。
とりあえずこの試合ではアントラーズもフロンターレ戦よりはまともな戦いぶりを見せてくれてなによりだった。スタメンには本田とファビアーノが戻っていた。20分頃に本山がファールを受けて負傷退場、トニーニョ・セレーゾは替わりに石川を投入して、アウグストを中盤へと上げた。そのわずか数分後に、ゴール前で小笠原のヘディングからのこぼれ球を拾ったエウレルが落ち着いてシュートを放ち先制。エウレルは一時期の切れがようやく戻りつつあるようで、試合終了間際にさらに追加点を決めて試合を決めた。
それにしても、結局この大会はここまで無失点で勝ち抜いてしまった。この試合でも曽ヶ端がファイン・セーブで決定的なシュートを防いだ場面が一度だけあったものの、あとはほとんど危なげなく守り切っている。ああ、このディフェンスがリーグ戦でもできていれば……。
とはいえ、これで今年も2冠の可能性にかなり近づいたのは確かだから、やっぱりアントラーズはなんだかんだ言いながら強いなあと感心する。決勝の相手は若手伸び盛りの京都パープルサンガ。松井大輔やパク・チソンとの対決は結構楽しみだ。
というようなことでワールドカップ・イヤーはアントラーズの白星ゲームを見て幕となった。さすがに来年は今年ほどサッカーを見ることもないんだろうけれど、なにはともあれジーコ監督の本領が問われることになる年だ。日本代表の躍進に期待したい。
(Dec 29, 2002)