2002年11月のサッカー
Index
- 11/04 ○ 鹿島1-0浦和 (ナビスコ杯・決勝)
- 11/09 ○ G大阪0-2鹿島 (J1・2ndステージ第12節)
- 11/16 ● 鹿島0-2広島 (J1・2ndステージ第13節)
- 11/20 ● 日本0-2アルゼンチン
- 11/24 ● 清水2-1鹿島 (J1・2ndステージ第14節)
- 11/30 ○ 鹿島2-1F東京 (J1・2ndステージ第15節)
鹿島アントラーズ1-0浦和レッズ
ナビスコ杯・決勝/2002年11月4日(月)/国立競技場/フジテレビ
唐突に強いアントラーズが復活。怪我で戦線離脱していたエウレル、小笠原、本山、ファビアーノがこの試合で揃ってスタメンに復帰してくれた。熊谷がいないのは残念だけれど、本田がこの頃は非常に調子がいいので問題はないだろう。タイトルのかかった試合に最強の布陣でのぞめる。これは大きい。なんたってアウグストが本職の左サイドに専念できるんだから、それだけでもう負ける気がしない。
とはいっても相手のレッズもこのところ好調だ。エメルソン、トゥット、永井の3トップは破壊力抜群。ベテランの井原や売出し中の若手DF坪井を中心とした守備陣も安定しているらしい。超満員のスタンドは8割が浦和サポーターだったそうだ。さすが日本一といわれるレッズ・ファン。もう最初から歓声がすごかった。
いやそれでもね。やっぱりレギュラーが顔を揃えた鹿島は強いんだ。レッズの攻撃も迫力があったけれど、タイトルのかかった試合での鹿島のしたたかさの前では、あまり脅威を感じなかった。まあ最後の方で曽ガ端がトゥットとの一対一の絶対的なピンチを防いでくれた場面もあったけれど。でも危ねえってのはあれくらいじゃなかっただろうか。
対する鹿島は59分に右サイドに切り込んだ柳沢から出たラスト・パスを小笠原がシュート。これがあきらかなミス・キックだったにもかかわらず、DF井原に当たってコースが変わってゴール・ネットを揺らしてしまう。確かにラッキーなゴールだった。それでも小笠原のシュートまでの流れは完璧にレッズのディフェンスを崩していた。前半にも小笠原がレッズのディフェンス・ラインを翻弄してフリーでシュートを放った場面があったし(惜しくも左に外れてしまった)、フィニッシュの数ではアントラーズが上回っていたと思う。結局アントラーズがこの1点を守りきって、3度目のナビスコ杯ウィナーに輝いた。攻守に渡り存在感を示し続けた小笠原のMVPは文句なしだ。
それにしても、今年はいまひとつだと思っていたのに、こうやってちゃんとタイトルをものにしてしまうあたりに、常勝チームならではの経験値を感じる。アントラーズにセカンド・ステージの連勝を止められて優勝の望みが薄くなった上に、ナビスコ杯のタイトルまで奪われてしまったレッズは結構気の毒な気もする。勝負の世界は無情だ。
(Nov 05, 2002)
ガンバ大阪0-2鹿島アントラーズ
J1・セカンドステージ第12節/2002年11月9日(土)/万博記念競技場/NHK
ナビスコ杯・決勝と同じベスト・メンバーの布陣で臨んだリーグ戦。優勝争いに首の皮を一枚残すチーム同士の生き残りをかけた一戦だったわけだけれど、これがほぼアントラーズの完勝という内容に終わってしまった。安定した守備力で得点王争いに絡むマグロンを封じ込め、攻撃では効果的なカウンターから2点を奪っての、実にすっきりとした勝ちッぷりだった。やっぱりこのメンバーが揃えば強いや。
この前のナビスコ杯・決勝でのレッズといい、この日のガンバといい、リーグでもトップ・クラスの得点力を誇る両チームを相手に危なげなく完封勝利をあげて見せてくれるというのは、やはりディフェンス力が高い証拠なんだろう。ファビアーノとアウグストがディフェンス・ラインに戻ってきたのは大きいし、秋田もマグロンにぴたりと張りついて、見事なストッパーぶりを見せてくれていた。ちょっと前に秋田はもう代表にはふさわしくないんじゃないかと書いてしまったのは早計だったかもしれない。申し訳ないことをした。
なんにしろアントラーズのスタメンに名を連ねるベテランたちはみんな、若手に負けないプレーを見せてくれていると思う。名良橋はもとより、この頃の本田の充実ぶりには本当にびっくりだ。彼はいまさらとても上手くなった気がする。
若手がそれぞれ持ち味を見せる中、あいかわらず本山だけはいいんだか悪いんだかという感じだ。フィールドから消えている時間が多い印象は復帰後も変わらない。ただ、それでもこの試合の2点には両方ともちゃんと絡んでいるから、それはえらい。柳沢の先制ゴールをアシストした絶妙なスルー、そして相手のミスから得たチャンスでのエウレルへのラスト・パス。これらは両方とも文句なしだった。
ただなんたって彼には期待するものがでかいので、これくらいではそうそう満足できないのが困りものだ。もっともっと、これでもかというくらい目立ってもらいたい。司令塔としてチームの攻撃を仕切りながら、必要な時にはきちんと自分でフィニッシュも決められる、そういうプレイヤーに成長して欲しい。なんたってアントラーズではジーコの10番を引き継いだ初めての日本人選手なんだから。小笠原とのツイン司令塔としてピッチを縦横無尽に駆け巡り、Jリーグを代表する中盤コンビとして揃って代表に呼ばれる日が来るのを本当に楽しみにしているのは僕だけじゃないはずだ。
対するガンバはなぜだか不在の吉原に代わり、U-21代表として名を売った中山悟志が初スタメンで注目を集めるも不発。宮本も故障中らしく欠場。そのほかだと8番のMF、二川の動きの良さが印象的だった。
(Nov 13, 2002)
鹿島アントラーズ0-2サンフレッチェ広島
J1・セカンドステージ第13節/2002年11月16日(土)/カシマスタジアム/BS1
どうやら前の試合でもそうだったみたいなのだけれど(うかつな僕は気がつかなかった)、この試合でトニーニョ・セレーゾは小笠原をボランチに起用し、柳沢にはトップ下でのプレーを要求する、4-3-2-1という守備的なフォーメーションを敷いた。もしくはエウレル、柳沢、本山を3トップとみなせば4-3-3だろうか。いずれにせよ小笠原と柳沢は随分と引き気味だった。僕にはそれが上手く機能しているとは思えなかった。
実際に圧倒的にボールを支配していた割には決定機は少なかったと思う。データを見る限り、シュートの数こそ18と相手の倍もあるものの、そのうち印象に残っているのは名良橋のミドルばかりだ。いつも果敢にミドル・シュートを狙ってはふかしてばかりの名良橋だけれど、この試合では5割の確率できちんと枠に飛んでいた。代表の試合を控えて集中力が増してるのかもしれない。
怪我から復帰してからのエウレルには以前ほどの切れがないし、柳沢も下がり目だから持ち味を生かせない。本山も精彩を欠いたプレーばかり見せている。そうこうするうちにサンフレッチェに中盤でボールを奪われてカウンターを食らい、ずるずるとゴール前に持ち込まれて2失点。攻守ともになっていなかった。このチームから来週の日本代表のアルゼンチン戦におそらく5人が出場することになるだろうと思うと、とても不安だ。
特に2点目の場面。名良橋が中盤でボールを奪われたあと、久保にその裏に空いたスペースを利用され、あまりにも簡単にゴール前まで持ち込まれてしまった。名良橋、秋田という日本代表コンビの守るサイドから崩されたあのプレーは、あまりに負のイメージが強かった。同じことをアルゼンチン相手にやったらば、ボロ負けは必至だろう。いやあ、本当に水曜日が不安だ。
この試合ではトニーニョ・セレーゾの采配にも疑問が残った。降格がかかった相手に対しての守備的なフォーメーションでのスタート。そして2点ビハインドとなったあとの選手交替で、ファビアーノと本田を下げて、池内と内田を投入した采配。アウグストを中盤に上げ、彼の攻撃力を生かそうという意図はわからなくない。ただ困った時のアウグスト頼み、みたいな戦術はどうにかならないものだろうか。
まあそれもこれも中盤の人材不足が原因ではあるのだろう。ビスマルクを解雇して本山をスタメンに上げたはいいけれど、その結果、去年まで彼が担っていたスーパーサブの役を果たす選手がいなくなってしまった。鈴木や平瀬も放出しちゃうし、フロントはいったい何を考えているんだか。攻撃のオプションを軽視したチーム構成が、今シーズンの不本意な成績の一番の理由だと思う。
なんにんしろこの試合の敗北により残り2試合で首位ジュビロとの勝ち点差は7となり、アントラーズの三連覇の夢は断たれた。おそらく次節でジュビロの完全優勝が決まるだろう。仕方ない、気分を切り替えて次は天皇杯だ。
一方のサンフレッチェはなんとか残留の希望を残した。この日の久保の貪欲にゴールを目指す力強いプレーは柳沢よりもよほど僕の心に訴えたし、2点目となった森崎弟のミドル・シュートはヨーロッパのサッカーを見ているのかと思うほど美しかった。U-19代表の駒野や茂木といった伸び盛りの選手もいるし、このチームが降格してしまうのは惜しい気がする。かといってサンフレッチェの次に危ないのはレイソルで、ここが降格しちゃうのもどうかと思うし。それにしてもかつてステージ優勝を争ったチームがこんなにいくつも下位に低迷しているのはどうしたわけだろうか。まったく困ったもんだ。
ちなみにJ2ではこの日セレッソ大阪がJ1復帰を決めた。再び森島や大久保のプレーがJ1で見られるのはとても嬉しい。それにジーコが日本代表はJ1からしか呼ばないと発言していることを考えると、大久保が無事に代表候補としてカウントできるようになったのは喜ばしい。彼のプレーをぜひフル代表で見たいと思う。
(Nov 17, 2002)
日本0-2アルゼンチン
2002年11月20日(水)/埼玉スタジアム/テレビ朝日
日本代表にとってのワールドカップ・イヤー最後の国際Aマッチには、ベロン、オルテガら主力が顔をそろえた本気のアルゼンチンとの対戦という最高の舞台が用意された。ところが試合の数日前にジーコ監督のお母さん他界との訃報が届いてしまう。ジーコは葬儀のため急遽帰国。この試合は山本コーチが指揮をとることになった。
日本代表はジャマイカ戦のスタメンから日程的に厳しい俊輔以外の海外組三人を除き、代わりに中田浩二、福西、小笠原を起用。さらに右サイドにはこれもコンディション上の理由から服部に代わって中西を起用して臨んだ。中盤の底に中田浩と福西のダブル・ボランチが入ることで海外四人組が揃った時よりもややディフェンシブな印象になる。不幸中の幸いというか、この布陣の方がアルゼンチンのような攻撃力のあるチームにはいいかもしれない。実際にスコアレスで終わった前半の戦いぶりは堂々たるものだった。中盤で当り負けしていなかったし、ショート・パスが綺麗に回り、ほとんど五分に戦えていた印象だった。
ただ
2トップはなかなかいいプレーをしていたと思うし、小笠原もやや下がりめから普段どおりの落ち着いたプレーをしていたから、あとは俊輔、君だ。もうちょっとどうにかしてくれって感じだった。
まあそれでも強豪アルゼンチン相手に0-0で前半をしのぎきったわけだ。これには結構痺れた。いいじゃないか、この調子でいけばおもしろいぞと誰もが思っただろう。ところが試合は後半、開始わずか5分のあいだに趨勢が決してしまう。
立ち上がり、いきなりいい形でシュートまで持ち込めたので、その前がかりな姿勢によってチーム全体に隙が生じたのかもしれない。その直後のセット・プレーから、いきなりなんでそんなど真ん中でアルゼンチンの選手をフリーにしているんだと呆れるばかりの好機を相手に与えてしまい、いともあっけなく先制点を許す。オルテガのアシストに、フィニッシュは3番ソリン。
さらに気落ちした気分がありありのそのわずか2分後に、再びオルテガのアシストからクレスポ(恐えぞ)にヘッドで派手に決められてしまった。これで勝負あり。さすがに今の新生日本代表にアルゼンチン相手に2点のビハインドを跳ね返す力があるとは思えない。このわずが5分の間だけ、アルゼンチンは手に負えないほど強かった。
いずれにせよこの2点で熱戦の期待はむなしく消え去り、残りの40分は勝敗よりも日本がひとつでいいからゴールを決めることができるかどうかに焦点が移ってしまった感じだった。そして結局試合はノーゴールのままゲームセット。日本は中山、アレックス、山田、遠藤(なぜか小笠原と交替)という選手を投入して果敢にゴールを狙ったものの、アルゼンチンの堅い守りを崩すことはできなかった。残念。
期待の高原は今回はとても気合いの入ったプレーを見せてくれた。当たりは強いし、積極的にシュートを打っていた。終盤のパワー・プレイではその好調さを存分に発揮して、もしかしたらという期待を抱かせてくれた。中山は中山で出てきた途端、絶対に点を取るぞというムードをチームにもたらしていたし、この二人のジュビロ・コンビのプレーはやはりおもしろい。鈴木は鈴木でよかったし、FWはみんなそれぞれの持ち味を出していた。
2点奪われはしたけれど、ディフェンダーもみんなよくやっていたと思う。やっぱり残念だったのは俊輔、そしてその俊輔に代わって入ったアレックスだった。二人とも、いいプレーもあったけれど、どちらかというと不満を感じさせるプレーの方が多かった。
あと試合とはあまり関係ないけれど、おもしろかったのが遠藤。Aマッチ初出場、しかもピッチに立ったのは30分に満たなかったにもかかわらず、一人だけアルゼンチンの選手とユニフォームを交換していた。さすがユース大会準優勝の経験者。いい度胸してるや。(追記・なんでもその後、サネッティに声をかけられて俊輔も交換したらしい)
ま、負けはしたけれど、僕としては今日の試合はこれでOKだ。中田、小野、稲本を欠いた状態でここまで攻撃できれば今の時点では上出来だろう。来年再びジーコの指揮でアルゼンチンと再戦するという話もあるようなので、リベンジに期待しよう。
(Nov 20, 2002)
清水エスパルス2-1鹿島アントラーズ
J1・セカンドステージ第14節/2002年11月24日(日)/日本平スタジアム/BS1
昨日ジュビロがJリーグ史上初の両ステージ制覇による完全優勝を決めた。つまりこの試合は消化試合。
今日の試合で鹿島はフォーメーションを4-4-2に戻して苦手の清水と対峙した。清水はアレックス、ベロン、戸田といった中心選手が出場停止でいない。そのため前半を見る限りでは圧倒的に鹿島が有利かと思った。ボールの支配率は高かったし、あと一歩で得点という決定的な場面がいくつもあった。
ところがこういう時には得てして逆にやられちゃったりするものだ。前半、後半とどちらもミスからボールを奪われてのカウンターで2失点を喫する。最初のアン・ジョンファン(うーん……)の得点も、後半早々の沢登の得点も、どちらもほとんど個人技という世界だった。特にアン・ジョンファンはすごいや。キックのひとつひとつに日本人にはないパワーを感じる。まいった。
アントラーズもその後、秋田のヘッドで1点を返しはしたものの、結局反撃もそこまで。どうにも攻撃がきちんと形にできないまま、ゲームセットとなってしまった。
本山は今日もいまいち。彼はもう少しどうにかならないのだろうか。このまま中の上くらいの選手で終わってしまいそうな感じがしてとても不安だ。
それにしてもこれで今年はエスパルスにはゼロックス・カップのPK戦負けから始まって3連敗。天皇杯では来年元旦の決勝戦まで残らないと当らないらしいから、今年はどうやら一方的に負けっ放しで終わりだ。不思議なことにいつまでたってもエスパルスは苦手らしい。
(Nov 25, 2002)
鹿島アントラーズ2-1FC東京
J1・セカンドステージ第15節/2002年11月30日(土)/カシマスタジアム/MXTV
2002年度J1最後のゲーム。本当はテレビで観られるのは前節が最後だろうと思っていたのだけれど、運良く対戦相手がFC東京だったため、MXTVでの放送があった。前年度の優勝とワールドカップ代表選手が多かったことの相乗効果で、今年はアントラーズ戦の放送がかなり多いラッキーな一年だった。来年もたくさん放送してもらえるようがんばって欲しい。ま、なんにしろ今年のJ1最終戦。
FC東京はアマラオが故障中、佐藤由紀彦も途中出場という苦しい状況だったこの試合、アントラーズは小笠原のCKから秋田のどんぴしゃのヘッドで先制するも、前半なかばで簡単に追いつかれてしまう。さらに後半途中でファビアーノが二枚目の警告をもらって退場。厳しい展開になりはしたけれど、そこは昨年度チャンピオンの意地。残り2分でエウレルに決勝ゴールが飛び出して、なんとか最終節をものにした。
この勝利で鹿島のセカンド・ステージ3位が確定。年間順位も4位で一年を終えた。まあ、今年の内容ならばこんなものだろう。ちなみに両ステージ制覇による完全優勝を果たしたジュビロ磐田との総合勝ち点の差は実に18。勝ち試合数なんて8つも違う。年間2位のマリノスとアントラーズとの勝ち点の差がわずか2だというのを考えると、今年のジュビロの力がいかにずば抜けていたかがよくわかる。完敗だった。
来年はJ1でもようやく延長戦が廃止され、90分での引き分けが導入される。このルール変更がどのようにリーグ戦に影響するのか、終わったばかりですでに来年が楽しみだ。
あ、そう言えばファビアーノとアウグストは今年限りだそうだ。来年はレンタル中の選手たちを呼び戻し、日本人選手主体で望むらしい。相馬や池内に出番が回ってくるのはいいことだと思うけれど、その一方で、今年一年がんばってくれた外国人選手のプレーがもう見られなくなるというのはちょっと淋しい。二人ともご苦労さま。
(Dec 02, 2002)