2018年4月の本
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- 『遠い太鼓』 村上春樹
遠い太鼓
村上春樹/講談社文庫/Kindle
村上春樹がギリシャ、イタリアで暮らしながら『ノルウェイの森』と『ダンス・ダンス・ダンス』を書いていた時期のエッセイをまとめた紀行文集。
何度も書いているように僕はあまり村上春樹のエッセイが好きではない──と思ってきたけれど、最近はそうでもない気がしてきた。これはとてもよかった。ユーモラスでとても楽しい読みものだった。
春樹さん自身の長期にわたる海外生活にフォーカスしているため、最近の『ラオスにいったい何があるというんですか?』に比べると、全体的にまとまりがあり、かつ読みでもあるところがいい。これまでに読んだ春樹氏のノンフィクションのなかでもいちばん好きかもしれない。もしかして若いころに読んでいたら、僕の村上春樹感もまたちょっと違っていたのかな? と思わなくもない。なぜいままで読まずにいたのか、いまいちよくわからない(タイトルが地味だから?)。
なんにしろおもしろい本でした。やっぱ、なかでも強く印象に残っているのが、外国暮らしで遭遇するトラブルの数々。ギリシャの台風とか、イタリアの郵便事情や、泥棒事件など。現代の便利な日本で暮らしていると、ちょっとそういう国では暮らせないなぁと思うことばかり。でもこれも三十年も前の話だから、いまだったらもうちょっと事情が違うんだろうか? そんなことなさそうな気がしちゃうけど。
ちなみに村上春樹の本をKindleで読むのはこれが初めて。本当は単行本を買って読もうと思っていたんだけれど、安かったんでついKindleで買ってしまった。将来余裕ができたら単行本で読み返そう(俺の人生そんなんばっか)。
(Apr 11, 2018)