2018年3月の音楽

Index

  1. Mountain Top/Shape Of Miracle / RADWIMPS
  2. スポットライト / FLOWER FLOWER

Mountain Top/Shape of Miracle

RADWIMPS / CD / 2018

【早期購入特典あり】Mountain Top / Shape Of Miracle【特典:アナザージャケット】

 RADWIMPS、2018年最初のシングルは日中共同制作の映画『空海』──本当はローマ字やらなにやらもっと長いサブタイトルがついているんだけれど、めんどうくさいので割愛──の主題歌。また、カップリング曲も同映画に登場する絶世の美女、楊貴妃をイメージした曲とのこと。
 外国絡みということで聴く前から予想していた通り、二曲とも全編英語詩のナンバーで、曲調もこのところ野田くんの得意とするピアノ・オリエンテッドなバラード。ということで、野田洋次郎という人の独特の日本語センスとギター・バンドとしてのアグレッシブなサウンドに魅了されてラッドが好きになった身としては、無条件に最高っていえるシングルではなかったりする。
 それでも二曲ともそのメロディーはとてもせつなく美しい。英語の歌だから歌詞の好き嫌いを抜きにして聴ける分、そのメロディーの美しさがなおさら際立って感じられる。シングルがカップリングを含めて二曲とも直球のバラードってパターンもこれまでにないので新鮮だ。
 野田洋次郎がメロディーメイカーとしても秀でたセンスを持っていることを再認識させる一枚。
(Mar 29, 2018)

スポットライト

FLOWER FLOWER / CD / 2018

スポットライト(初回生産限定盤)(DVD付)

 ボーカルがyuiというのみならず、キーボードがエレカシのサポートですっかり馴染みとなった村山☆潤ということでも要注目なロック・バンド、FLOWER FLOWER のセカンド・アルバム。
 3年半前のデビュー・アルバム(もうそんなになるのか)では個人的に大いに盛りあがったこのバンドだけれど、世間的にはそれほど話題になった感がなく。またその後のミニ・アルバムやシングルには僕自身もファーストほどのインパクトは受けず。さらには最近になってそのファーストを聴き返してみたところが、当時の興奮はまったく甦らず。さてはて、あのときの俺の熱狂はなんだったんだと、ちょっと不思議になってしまったりしたのですが。
 そこへ届いたこのセカンドでも、やはりファーストを聴いたときのあの興奮は味わえない。とはいえ、それでは作品の出来がいまいちとか、そういう話でもない。これはこれでいい作品だと思う。ただ、ファーストのインパクトが個人的には過剰だったので、やはりあれには至らないというだけの話。
 このアルバム、サウンドは一曲目からやたらとラウドで騒がしいし、ロック・バンドとしては正当に進化していると思う。そしてなによりこのアルバムで印象的なのが、やたらとメッセージがネガティヴなこと。
 yuiはこのアルバムで一曲目から「正義なんかない」と歌う。「真実は闇の中」と歌う。アルバム中、もっともポップな『コーヒー』では「ポップなメロディ嫌気が差すの」と歌う(ポップなメロディに乗せて)。さらには「逆らって生きたら居場所がないの」とつづけて、「消え失せろ」を連呼する。なんだ yui、いったいどうした?
 ──ってまぁ、彼女もこの数年で結婚して出産して離婚してと、怒涛の人生を歩んできたわけだ。人より感受性の強いアーティストが、みずから愛する子供を持つ身になって、この国の現状を目にすればおのずと暗澹たる気分になるのもわからなくない。そんな自身の率直な気持ちがこの作品にダイレクトに反映されているんだろう。
 まあ、このアルバムのすべてがそんなネガティヴな言葉で埋め尽くされているわけではなくて、愛するわが子への思いを歌った『産声』のようなバラードもあるし、後半のメッセージは比較的穏やかだ。でも冒頭からハードなエッジの効いたロック・サウンドに乗せてヘビーな現状認識をぶつけてくるので、その印象がとても強烈なのだった。
 先の『コーヒー』の中でyuiは「こんなこと歌うとあいつは変わりすぎてるとか言ってる」とも嘆いているけれど、確かに昔のアイドル然としたシンガーソングライターとしての彼女を好きだったファンの中には、こういう作風に引いてしまう人もいるのかもしれない。でも基本的にロックってこういうものでしょう? このアルバム、僕はとても正しいと思う。
 僕はいまのyuiを、FLOWER FLOWERというバンドを、全面的に応援する。
 がんばれ、yui。そしてmura☆jun。
(Mar 30, 2018)