2018年1月の音楽

Index

  1. The Visitor / Neil Young
  2. Versatile / Van Morrison

The Visitor

Neil Young + Promise of the Real / 2017 / CD

THE VISITOR [CD]

 ニール・ヤングがウィリー・ネルソンの息子ルーカスのバンド、プロミス・オブ・ザ・リアルと組んで録音した二枚目のスタジオ・アルバム。
 前作ではニール・ヤングらしからぬギター・アンサンブルが新鮮だったこのコラボだけれど、あいだに一枚ライブ盤の『Earth』をはさんだことで──つまり一緒にツアーをまわって親睦を深めたことで?―─なにやらスタンスが変わったみたいだ。このアルバムの音はまるでニール・ヤングのソロやクレイジー・ホースとの共作と変わらない感触に仕上がっている。つまり今回はまったく違和感なく、これぞニール・ヤングと思える音が聴ける。少なくても僕個人の印象としてはそう。
 ニール・ヤングという人は本当にいい耳を持っているんだろう。この人の作品って、作品によっていろいろと方向性は変わるけれど、音響的な面ではつねに一定の水準を超えていて、退屈を感じさせることがない。ポール・マッカートニーさんなんかだと音響的にコンサバすぎて刺激が足りないと思うことが多いのに、ニール・ヤングの作品でそう思ったことってほとんどない気がする。
 このアルバムでも、一曲目のノイジーなギター・サウンドから、『Children of Destiny』でのオーケストラをフィーチャーしたぶ厚い音作り、十分を超えるラスト・ナンバーでのアコギの穏やかな響きまで、楽曲ごとに多種多様な音作りをしながら、アルバム全体では一本芯の通った統一感がある。で、それがいま現在鳴っていてしかるべきロック・サウンドとして僕の耳には届く。
 何度目かわからないけれど、やっぱりニール・ヤングっていいよなぁと思った。
(Jan 28, 2018)

Versatile

Van Morrison / 2017 / CD

VERSATILE [CD]

 前作『Roll With The Punches』からわずか四ヶ月という短いインターバルでリリースされたヴァン・モリソンの最新作。
 その前作が(二曲目の『Transformation』がいかにもヴァン・モリソンってバラードだったのを例外として)「ド」がつくほどのブルース・ナンバーばかりが並んだカバー・アルバムだったと思ったら、つづく今作もホーン・セクションを従えてオールディーズを中心に歌った同じような性格のアルバムだった。
 つまりストーンズの『Blue & Lonesome』や、ポール・マッカートニーの『Kissed On The Bottom』、ディランの最近の三枚とかのヴァン・モリソン版。この世代の人たちは誰もが年を取ってから若かりし日に愛した音楽をみずから再現してみたくなるものらしい。
 ただ、ヴァン・モリソンがほかの人たちと違うのは、それが純然たるカバー・アルバムではないところ。前作のタイトル・ナンバーはオリジナルだし、このアルバムの一曲目もそう。どちらのアルバムにも、カバー曲に混じって自身の曲が入っている。それも新曲だけではなく、昔の曲のリメイクもある。
 要するに新旧、自他を問わず、歌いたい歌を歌いたいように歌っているということなんだろう。でもってそれらの曲が全部、違和感なくヴァン・モリソンの音楽になっているところがやはりさすが。
 『Keep Me Singing』ではずいぶん枯れちゃったなぁと思わせたヴァン・モリソンだけれど、この二枚ではそんなこともなく、とても元気で楽しそうだ。やっぱ好きな音楽を自由にやっているからでしょうかね。このままずっと元気でいて欲しいです。
(Jan 28, 2018)