2014年7月の音楽

Index

  1. Destiny / エレファントカシマシ
  2. ME SO SHE LOOSE / 味噌汁's
  3. COME TOGETHER / The Birthday

Destiny

エレファントカシマシ / 2014 / CD[Single]

Destiny (初回限定盤)(DVD付)

 テレビドラマの主題歌となったエレカシの最新シングル。
 『Destiny』というタイトルを聞いた途端に、そりゃ駄目じゃんと思ってしまう。僕はそういうファンです。以上。
 ――っていって終わりにしたい。べつに悪い曲だとは思わないけれど、それでもこれは僕の好きなエレカシじゃない。
 とにかくそのメッセージがまーったく心に響かない。「時計回りの日々」ってサビのフレーズはとてもキャッチーだし、ポップミュージックとして適度に耳に残るけれど、ただそれだけ。この曲からは、かつて僕の人生を変えたほどの特別さは微塵も感じられない。けっして嫌いじゃないけれど、かといって好きかと問われるとなんともいえない。
 とにかく「愛を求めて」だの「光の先へ」だの。そうした紋切り型な言葉の選択が凡庸すぎてつまらない。そして、そうした凡庸さがいつの間にか宮本のトレードマークのひとつになってしまった感さえある、そこが気に入らない。べつに俺は宮本に光の向こうになんて行って欲しくない。ふつうに地に足をつけて歩いていて欲しい。
 なまじ BUMP OF CHICKEN や RADWIMPS のように、かつてのエレカシに負けないオリジナルな言葉を持ったあとの世代が、世間におもねることなく、確固たる地位を築いていたりするだけに、宮本にはいまこそ、かつてのようなとんがったところをみせて欲しいと思う。ここまでくれば、どんな歌を歌ったって、ある程度のファンは残るだろうし。
 ──というか、『待つ男』がアンコールの定番として定着するような時代ですよ? いまさらどんな曲を歌ったって、コアなファンは離れないだろう。逆に宮本が宮本らしい歌を歌って離れてしまうようなファンならば、いなくなってくれたほうが、チケットが取りやすくなっていいとさえ、僕なんかは思う。
 願わくば、こういうテレビタイアップつきの曲をシングルで出しておきながら、たいして売れずに終わるなんてカッコ悪いことはしないでいただければと切に思います。
(Jul 27, 2014)

ME SO SHE LOOSE

味噌汁's / 2014 / CD

ME SO SHE LOOSE (初回限定盤)

 RADWIMPSの変名バンド、味噌汁'sのフル・アルバム。RADWIMPSのシングル・カップリング曲としてリリース済みの『ジェニファー山田さん』の新録バージョンと『にっぽんぽん』を含む全15曲。
 おそらくRADWIMPSのアルバムがシリアスさを増して、トータル・コンセプト的なまとまりが強くなってしまって、コミカルな曲を差し込む余裕がなくなったための、ガス抜き的な作品なのだろうと思います。
 なので、直球パンクのオープニング・ナンバー『OKAN GOMEN』から、ラストの『ジェニファー山田さん』ピアノ弾き語りバージョン(なにやってんでしょうか)まで、基本はコミック・ソング中心。演奏も一発どりで十分ってシンプルなアレンジのものがほとんどで、緻密な構築美を誇る最近のRADWIMPS作品とのちがいは明らかだ。
 でも、そんな中にぽつんと、バンプの『魔法の料理』の野田くんバージョンとでもいった『ふうてん』が入っている。
 なんなんすか、この曲のせつなさは。演奏はフォーク・ロック調でいたってシンプルだけれど、歌の内容の切実さがはんぱでない。小学生の心象風景を描いている点を除けば、そのままRADWIMPSの曲といっても十分に通用する、せつなすぎる名曲。
 こういうお遊びアルバムにこういう曲をそっと{さしはさ}んでしまう。でもって、締めに『ジェニファー山田さん』をピアノで弾き語ってしまう。そんな野田くんが僕はやっぱり好きだなぁと思った。
 とはいえ、そんなアルバムゆえに、いつものRADWIMPSのアルバムと比べると、さすがに再生回数は段違いに少なめ。今後もアルバム単位ではそれほど聴きかえすことが多くなさそうな作品ではある。
(Jul 27, 2014)

COME TOGETHER

The Birthday / 2014 / CD

COME TOGETHER (初回限定盤)(DVD付)

 日本ロック界きってのワーカホリック、チバユウスケ率いる The Birthday の7枚目のアルバム。
 基本、直球のロックンロールを鳴らしながらも、毎回ちょっとしたシフトチェンジを見せるチバくんの音楽だけれど、今回のアルバムで印象的なのは、その言葉選びが(おそらく意識的に)紋切り型を多用していること。
 くそったれの世界、愛の迷路、桜、星の首飾り、愛の帝王、レモン、ピエロ、情熱のブルース、星に願いを……ときて、最後のアルバム・タイトル・ナンバー「カム・トゥゲザー」に至るまで、過去に聞いたことのあるようなタイトルやフレーズだらけ。チバユウスケという人の作品にしては、これまでにないくらい紋切り型なフレーズであふれている。
 でもそれでいて音楽の印象はまったくぶれていない。これぞザ・バースデイという作品に仕上がっている。
 もともと彼らの音楽はメッセージ性を前面に出すようなものではないし、ロックンロールが本質的に持っているパワーが伝わるならば、言葉なんて結局どうでもいいってことなんだろう(そこがエレカシとは決定的に違う)。いつも通りでありつつ、いつも通りでない。そこがいい。
 べつにギャラクティカ・マグナムみたいなスペシャル・ブローを繰り出さなくたって、俺は普通にジャブとストレートだけでも十分に勝負できるんだぜって(じつはチバくんって『リングにかけろ』に影響受けてんじゃないかと疑っていたりする)。
 そんな心意気が伝わってくるような好作品。このところ僕のなかで、チバユウスケの株は上がるばかりだ。
(Jul 27, 2014)