2013年11月の音楽

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  1. Days Are Gone / Haim

Days Are Gone

Haim / 2013 / CD

Days Are Gone

 今年のフジロックで熱狂的なライブ・パフォーマンスを見せてくれた三姉妹バンド、ハイム注目のデビュー・アルバム。
 フジロックの感想で僕は、ハイムのことを「マドンナとシンディ・ローパーが一緒にダーティー・プロジェクターズを目指したみたいだ」というようなことを書いたけれど、このデビュー盤で聴ける彼らの音楽は、どちらかというとフリートウッド・マックっぽかった(ウィキペディアにもそう書いてあった)。つまり80年代というよりも、さらにさかのぼって70年代? でもまぁ、音づくりはかなりシンセ色が強いので、その面では、やはり80年代っぽいと思う。
 僕が彼女たちのライブで衝撃を受けたのは、そのポジティヴィティ。
 彼女たちには「この音楽があなたたちの気に入るかどうかわからないけれど……」みたいなエクスキューズがいっさいない。かわりに「これっていいでしょう? だって私たち楽しいもん」というようなあけっぴろげさがある。彼女たちのライブを特別なものにしていたそうしたポジティブさが、このアルバムからもちゃんと伝わってくる。自分たちのやっていることへの絶対的な確信が感じられる。
 なにごとも{はす}に構えてのぞむのがあたり前になってしまっている現代だからこそ、そこがとても新鮮で素晴らしい。
 そう、音楽の質はまるで違うけれど、このアルバムから僕はオアシスのファーストに通じる絶対感を受けた。作り手が時代におもねることなく、自分たちが最高だと思う音楽を自信をもって奏でているんだというのがわかる。だからこそ、音づくりにはやや疑問を感じないでもないのだけれど、ついつい繰り返し聴き返したくなる。
 彼女たちに集まる世間の期待を裏切らない、とても素敵なデビュー・アルバムだと思う。
(Nov 08, 2013)