Coishikawa Scraps / Movies

2026年5月の映画

Index

  1. THE MONKEY/ザ・モンキー
  2. ワン・バトル・アフター・アナザー

THE MONKEY/ザ・モンキー

オズグッド・パーキンス監督/テオ・ジェームズ、クリスチャン・コンヴェリー/2025年/アメリカ/WOWOW録画

THE MONKEY/ザ・モンキー

 日本のホラーをつづけて観たあとなので、ついでだからおまけにもう一本アメリカのホラーを。

 怖いものが苦手そうなのに、なぜだかスティーヴン・キングが好きなうちの奥さんが「絶対観る!」といっていた作品。スティーヴン・キングの短編を原案にしたという、太鼓をたたく猿のおもちゃの呪いかなんかのせいで人が死にまくるスプラッター・ホラー・コメディ。

 これはもう、なぜ人が死ぬかなんてどうでもいいという姿勢がいい。こういう話で、変に理屈とかつけても困ってしまう。基本が馬鹿話なので、余計な理由づけは不要。

 とにかく猿のおもちゃ(意外とでかい)が太鼓を叩き終わると、理不尽に人が死ぬ。それも尊厳もなにもあったもんじゃないってひどい死に方ばかり。首が落ちたりするのは序の口で、爆破して粉々になってしまった人が何人いたかわからない。悪趣味にもほどがある。

 物語はいまは亡き父親が残したそんな呪いのモンキー人形を見つけた双子の男の子が主人公。子供の話かと思ったら、序盤で少年時代を語ったあと、時間が一気に飛んで途中から大人の話になる。

 で、子役はクリスチャン・コンヴェリー、成長後をテオ・ジェームズという俳優さんが演じているのだけれど、どちらも双子をひとり二役で演じていたらしい。

 マジか? まったく気づかずに、ふつうに二人とも別人だと思って観ていた。この二世代に渡るひとり二役は見事だった。とはいえ、内容が内容だけに、そんな演技の見事さも焼け石に水というか……。

 とにかく馬鹿らしくも残酷で滑稽な血みどろ映画。血と笑いに飢えた人にはお薦めです。少なくてもひとつ前の『近畿地方~』よりはまちがいなくおもしろかった。

(May. 10, 2026)

ワン・バトル・アフター・アナザー

ポール・トーマス・アンダーソン監督/レオ・ディカプリオ、ショーン・ペン/2025年/アメリカ/WOWOW録画

ワン・バトル・アフター・アナザー

 今年のアカデミー賞で六部門を制覇したポール・トーマス・アンダーソンの最新作。

 トマス・ピンチョンの『ヴァインランド』が原作だというから、マジで?――と思っていたら、冒頭から「こんな話、俺は知らない」って物語が展開する。

 ディカプリオ演じる主人公のボブ・ファーガソン(仮名)がテヤナ・テイラーという人の演じる奔放な黒人女性パーフィディアとともに反政府のゲリラ活動に奔放しつつ、白人至上主義者の捜査官(ショーン・ペン)に狙われる、みたいな話。

 で、パーフィディアが唐突に大きなお腹をした妊娠姿になったところで、あ、そういや『ヴァインランド』って十代の女の子が母親を探しに行く話だったっけ――と、原作との関連に思い到った。

 つまりここから彼女が失踪して、その子供が成長してからが『ヴァインランド』本編ってこと?

 ――と思ったら、あたらずとも遠からず。そこからの展開もおそらくピンチョンの話とはずいぶんと違った――というか、おそらくぜんぜん違う。反社会主義者の片親に育てられた少女による母親探しの旅というテーマを、意訳しまくって逆転させた結果がこの映画なんだろう。

 とにかく原作の記憶が曖昧なので(二度も読んでいるのに……)確かなことはいえないけれど、僕の知っている『ヴァインランド』はこんな話じゃない。でもおかげで原作どおりではないからこそ、オスカーに輝くほどの、独特の味わいを持った映画となりえている気がした。

 アカデミー賞の最優秀助演男優賞をとったショーン・ペンはなるほどの怪演。でもディカプリオやベニチオ・デル・トロの、なんとなくなさけなくも憎めない感じのほうが、これぞピンチョンって味わいな気がした。

 あと、ディカプリオの娘ウェラ役を演じているチェイス・インフィニティという女の子、これから人気が出るんだろうなぁって思った。

 ジョニー・グリーンウッドの音楽もよいです。どこがどういいんだか説明できないけれど、その音作りに対して、おっと思う瞬間が何度かあった。

(May. 16, 2026)