2016年5月の映画

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  1. マッドマックス 怒りのデス・ロード
  2. ゼロ・グラビティ

マッドマックス 怒りのデス・ロード

ジョージ・ミラー監督/トム・ハーディ、シャーリーズ・セロン/2015年/オーストラリア、アメリカ/WOWOW録画

マッドマックス 怒りのデス・ロード(字幕版)

 僕が最後にマッドマックス・シリーズを観たのは、かれこれ三十年以上昔のことだと思う(ティナ・ターナーが出ているという三作目はたぶん観てない)。とくに好きな作品というわけでもないので、さすがに内容はほとんど覚えていなくて、いまとなると『北斗の拳』の世界観のモデルとなった作品、くらいの印象しかない。
 なのでこの作品も、アカデミー賞6部門受賞! なんてあおりがなければ、おそらく観ようとも思わなかったと思う。
 とはいえ、そこはそれ。さすがにそれだけの高評価を受けた作品だけあって、観れば観たで、とてもおもしろい。
 なにより感心したのは、純度百パーセントのアクション映画でありながら、とても映像がスタイリッシュで美しいこと。
 世紀末の荒廃した大地を舞台に、独裁者のもとから逃げ出した美女たちの乗ったトラックを、パンキッシュでフリーキーな暴走族集団が追いかける。極論してしまえば、この映画はただそれだけの話だ。
 監督のジョージ・ミラーはそんなシンプルなシナリオを、ただひたすら痛快に、独自の映像美をもって描いてゆく。そこには映像作家としてしての明確な美学がある。まぁ、世紀末的な異形の美ではあるけれど、それでも間違いなく、この映画には独自の美しさがある。あと、殺伐としたなかにも、いちまつのユーモアがある。
 極上のアクション映画でありながら、そんなふうに作り手の映像作家としての確固たる個性があふれ出している。そこんところが何部門ものアカデミー賞をもたらした要因だってことがよくわかった。
 それにしてもジョージ・ミラーって、旧三部作の監督さんなんすね。僕はこれ、旧シリーズにあこがれた若手によるリメイク的作品だろうと思い込んでいた。まさかオリジネーターによる純粋な続編(?)だったとは。ちょっとびっくり。
(May 22, 2016)

ゼロ・グラビティ

アルフォンソ・キュアロン監督/サンドラ・ブロック、ジョージ・クルーニー/2013年/アメリカ、イギリス/WOWOW録画

ゼロ・グラビティ(字幕版)

 これまたアカデミー賞7部門受賞という作品だけあって、いろいろとすごい。
 まずは登場人物が少ないのがすごい。主演のサンドラ・ブロックとジョージ・クルーニー、たったふたりだけで、あとは出てこないも同然。こんなにキャラクターが少なくて、それでいてここまでスリリングな映画って、そうそうないんじゃなかろうか。
 あとやっぱ、月並だけれど映像が技術的にすごい。宇宙飛行士のスーツ姿のときはともかく、宇宙船内でサンドラ・ブロックがタンクトップにショートパンツって姿になっても、本当に無重力で漂っているように見える。どうしたらあんな映像が撮れるのか、とても不思議。公開当時にこの映画は3Dで観たほうがいいと言われていたような記憶があるけれど、なるほど、この浮遊感はぜひ3Dで観てみたいって気分になる。
 作品自体は、安直にたとえれば、『エイリアン』でリプリーが最後にひとりぼっちになってからのシチュエーションだけを映画一本分にまるまるふくらませて、モンスター抜きで再現したような。そんな、なんともいえない緊迫感のある作品。
 また観たいかと問われると微妙だけれど、さすがに出来映えは素晴らしかった。上映時間が一時間半と、最近の映画にしては短いところもいい。
(May 22, 2016)