2015年9月の映画

Index

  1. ナイル殺人事件
  2. マイティ・ソー/ダーク・ワールド

ナイル殺人事件

ジョン・ギラーミン監督/ピーター・ユスティノフ、ロイス・チャイルズ/1978年/イギリス/DVD

ナイル殺人事件 デジタル・リマスター版 [DVD]

 ひさしぶりに原作を読んだので、せっかくだからつづけて観ることにしたアガサ・クリスティーの『ナイルに死す』の映画版。
 先行する『オリエント急行』に比べると、それほど評価が高くないようなので、低予算映画なのかと思っていたけれど、決してそんなことはなさそうだった。
 主演のポアロ役のピーター・ユスティノフという人をはじめ、男優陣は僕らの世代の日本ではそれほどメジャー感がない人ばかりだけれど──有名なのは『ピンクの豹』のデヴィッド・ニーヴンくらいじゃないでしょうか。あと、もしかしたらテレビ版の『がんばれベアーズ』でバターフィールド役を演じていたジャック・ウォーデンさん──、その分、女優さんが豪華。ジェーン・バーキン、ミア・ファロー、ベティ・デイヴィス、オリヴィア・ハッセーと、往年のビッグ・ネームだらけ。
 事件の中心となるリネット役のロイス・チャイルズという女性は知らないと思っていたら、この人は『華麗なるギャツビー』でジョーダン・ベイカーを演じていた人だそうで、これの次回作が『007ムーンレイカー』のボンド・ガールだというくらいなので、当時はかなりの人気だったんでしょう。
 そんな豪華な俳優陣を集めて、異郷エジプトでロケを敢行しているわけだから、やはりこれも予算はかなり高そうだ。
 観ていておもしろかったのは、犯行後のポアロの推理のシーンで、容疑者すべてに殺人を起させているところ。「あなたはこんな風に殺人に及んだんじゃありませんか?」といってポアロが示してみせる犯行の手口を、実際にその人たちが演じる架空のシーンが延々とつづく。出てくる人、みんな殺人犯状態。それが映像つきで展開されるところに、なんとも殺伐としたおかしみがあった。
 ポアロ役のピーター・ユスティノフ氏は、名前と容貌からロシア系の俳優さんかと思ったら、れっきとしたイギリス人らしい。その異国人っぽさが見事にポアロ役にマッチしていた。原作ではたまご型の頭をしているポアロが、ここではたまご型の体型をしているところにも愛嬌がある。
 あと、ポアロの相棒をつとめるレイス大佐役のデヴィッド・ニーヴンがいい。レイス大佐役にふさわしいという意味ではなく、ポアロの相棒ってイメージにまさにぴったりだと思った。ヘイスティングス役にでも据えて、このふたりのコンビでシリーズ化されてたらもっと楽しかったのに。
 シナリオは、原作から二、三人のサブキャラと枝葉のエピソードを削って、再編成したもの。メインの部分はまったく手を触れていないところに好感が持てる。あとはエジプト観光にまつわる部分の絵がもうちょっとぱきっとした美しい映像で撮れていたら、もっとよかったのにって。そこだけがやや残念かなという映画。
 それにしても、冒頭で新婚カップルがピラミッドに登っちゃうシーンがあるけれど、昔はあんなことしてよかったんでしょうか? 観光客がほとんどいないピラミッドってのも、いまとなるとすごく珍しそうな気がする。
(Sep 12, 2015)

マイティ・ソー/ダーク・ワールド

アラン・テイラー監督/クリス・ヘムズワース、ナタリー・ポートマン/2013年/アメリカ/WOWOW録画

 またもやマーベルのスーパーヒーローものを、第一作をすっ飛ばして二作目から観てしまいましたその二、『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』。
 これに関しては、僕はほんとソーのキャラクター造形に惹かれない。それがまず第一。
 長髪のマッチョマンが変なコスチューム着てハンマー振りまわしている映画の、いったいなにがおもしろいんだろう?
 そんな風に思わずにはいられず、まったく興味がなかった。それこそ、キャスティングさえ知らなかった。
 だから観はじめてびっくり。おいおい、ヒロインはナタリー・ポートマンかよ?
 げっ、ソーのお父さん役って、アンソニー・ホプキンスなの?
 『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』のロバート・レッドフォードにも驚いたけれど──さかのぼって考えてみれば、ロバート・ダウニー・ジュニアやサミュエル・L・ジャクソン、スカーレット・ヨハンソンだってギャラは最高級だろう──、次々と素晴らしい俳優たちを担ぎ出してくるマーベルのキャスティング能力の高さに脱帽しました。ネーム・バリューは低いけれど、ナタリー・ポートマンの助手役のカット・デニングスも可愛いかった。
 まぁ、物語自体にはそれほどインパクトはなかったけれど(すでにどんな話だか忘れかけている)、決してつまらなくはなかったし──とはいえ、異世界の神々の戦いを地球人がPC操って解決しちゃうってのもすごい(ものすごい科学力だ)──、これならば前作もそこそこ楽しんで観られそうだ。
 それにしてもマイティ・ソーって、やはり主役のわりには、いまいち存在感が薄くないですか?
(Sep 12, 2015)