2011年11月の映画

Index

  1. ベスト・キッド [1984]
  2. ゾンビランド

ベスト・キッド

ジョン・G・アヴィルドセン監督/ラルフ・マッチオ、ノリユキ・パット・モリタ、エリザベス・シュー/1984年/アメリカ/BS録画

ベスト・キッド コレクターズ・エディション [DVD]

 ジェイディン・スミスとジャッキー・チェン主演のリメイク版から3カ月遅れでようやく観ました、1984年のオリジナル版『カラテ・キッド』。監督は『ロッキー』のジョン・G・アヴィルドセンという人と聞いて、あぁ、なるほどと思うような作品。
 この映画、ストーリーがリメイクとほとんど同じなのに驚いた。リメイク版は舞台をカリフォルニアから中国へ移し、主人公を高校生から小学生に替えただけで、基本な物語の流れはほぼ一緒。いまさらながら、あれはいまどき珍しいくらいにオリジナルに忠実なリメイクだったんだなと思った。
 比較してこちらのほうが優れているなと思ったのは、主人公の修行のシーン。リメイクでは上着を脱いだり着たりという、意味のない動作を一日中させられるという設定だったけれど、こちの主人公は自動車を磨いたり、塀を塗ったりと、とりあえず単純な肉体労働をさせられている。
 両方とも結局はそれが空手やカンフーの基礎を養うのに大いに役立っていたことがわかってびっくり──というシナリオだけれど、こちらのほうがやっていることに単純労働としての意味がある分、なるほどな感と、でもそんなことあるかいって思わせる、とぼけた味があって僕は好きだった。
 あとこの映画、80年代なかばという時代性が非常に色濃く出ているのも印象的。でもって、あの頃のファッションや風俗っていまとなるとすっかり風化してしまっているので、ヒロインの女の子がまったく若くも可愛くも見えないのがちょっと気の毒なところだ。
 調べてみたら、ヒロインのアリを演じたエリザベス・シューという女優さんは、その後『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の2、3作目でマーティのガールフレンド、ジェニファーを演じたり、ウディ・アレンの『地球は女で回ってる』に出ていたり(買ったのに観てねぇ)、『リービング・ラスベガス』ではアカデミー賞の主演女優賞にノミネートされたりと、大いに活躍していた。でも、失礼ながらこの映画からは、彼女のそんな明るい未来はまったく予想できません。いやはや、おみそれしました。
(Nov 27, 2011)

ゾンビランド

ルーベン・フライシャー監督/ジェシー・アイゼンバーグ、ウディ・ハレルソン、エマ・ストーン/2009年/アメリカ

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 普段はゾンビ映画とか絶対に観たいとも思わない僕が、どうしてこれは観ようと思ったんだかよくわからない。タランティーノがこの年のベスト5に入る映画だと言っているという噂なので、それを漏れ聞いたのかもしれない。あと、コメディだってんで、それならば僕でも観られるかもしれないと思ったんだろう。
 なんにしろ、よくわからない理由で観はじめてはみたものの、最初の2、3分を観ただけでで「この映画、ここでやめても後悔しない気がする」と思ったという。だって、いきなり気持ち悪いんですもん。ゾンビが死体に食らいついて、筋がぴーっと伸びたりして。うへぇー。やっぱいやだ、こういうの。
 それでも1時間半の短い映画だからと観つづけて、ジェシー・アイゼンバーグ演じる主人公のオタク青年が語る処世術──いかにゾンビが跋扈{ばっこ}する世界で生き抜くか──を聞いているうちに、どんどんそのコミカルな演出に誘い込まれてゆく。
 演出のおもしろさに加えて、この映画はキャスティングもすごくいい。『ソーシャル・ネットワーク』のアイゼンバーグに、『ナチュラル・ボーン・キラーズ』のウディ・ハレルソン、新スパイダーマンのヒロインに抜擢されているというエマ・ストーン(かわい~)、そして『リトル・ミス・サンシャイン』のアビゲイル・ブレスリン(けっこう大きくなった)。さらには某大物コメディ俳優が自分の役でカメオ出演している。
 主要な登場人物はほぼこれだけ(あとはゾンビ)。この少数精鋭なキャスティングが見事。アイゼンバーグの憎めない軟弱さとハレルソンの破天荒さ、そしてエマ・ストーンの小悪魔的なキュートさが、コミカル&グロテスクな(それでいてちょっぴりせつない)物語と絶妙のブレンドを見せている。
 ということで、観始めたときにはちょっと後悔したものの、観終わってみれば大満足という映画でした。ロバート・ロドリゲスが好きな人にはお薦め。
(Nov 28, 2011)