2010年12月の映画

Index

  1. セレブの種
  2. イングロリアス・バスターズ
  3. 機動戦士ガンダム 逆襲のシャア
  4. パンチドランク・ラブ
  5. 恋する惑星
  6. 2012
  7. ウルヴァリン:X-MEN ZERO
  8. バッド・サンタ
  9. オープン・ユア・アイズ
  10. Disney's クリスマス・キャロル
  11. ゴーストワールド
  12. インビクタス/負けざる者たち

セレブの種

スパイク・リー監督/アンソニー・マッキー、ケリー・ワシントン/2004年/アメリカ/レンタルDVD

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 スパイク・リーは僕がもっとも好きな映画監督だから、基本的にこの人の監督作品はすべてソフトを買って、手元に置いておきたいと思っているのだけれど、この作品は本国での評判がいまいちだった上に、日本では完成当時には劇場公開が見送られ、次回作の 『インサイド・マン』 のヒットを受けて、あと追いで公開された作品だったりしたので、なんとなく買うタイミングを逸してしまっていた。廉価盤のDVDが出たならば、確実に買っているのだけれど、そんなマイナーな作品だから、なかなか安くならないし。いまさら高いDVDを買うのは嫌だし。で、結果、いまごろになってレンタルで観たのだけれど……。
 いざ観てみれば、なんのことはない、「これぞスパイク・リー!」って作品だった。なんだぁ、最高じゃん。ほかの人がどう思うにせよ、僕にとっては、いままでのスパイク・リーの作品と同様、すごくしっくりきた。やっぱ僕はこの人の映画、大好きだ。
 これまで観たいと思えないでいた理由のひとつは、これが「失業者がレズビアン相手に精子提供ビジネスでひと儲けする話」だと聞いたからってのもあった。それって、『ガール6』 の男性版みたいな感じで、ちょっと二番煎じだったりしない?と思ってしまったのだった。
 でもいざ観てみたら、そんなことぜんぜんない。主人公は若くして大手薬剤企業の部長まで登りつめたエリートで、序盤はその企業が新薬開発に絡んでおこなったインサイダー取引がどうしたという真面目な話がつづく。噂に聞いていた内容とのギャップが大きすぎて、ちょっとばかり面食らった。
 その後しばらくして、ようやくレズビアンたちを相手にうんぬんというセクシーな話になるけれど、それで話が落ち着いたりはしない。物語はその後も二転三転、最後は意外や意外、法廷劇になって締めくくられる。レズビアン役で出てくる女優さんたちもバラエティ豊かな美女ぞろいで贅沢きわまりないし、いやぁ、もうおもしろすぎ。結末はやや甘いかなという気がしなくもないけれど、僕にはそれでも十分オッケーだった。やっぱスパイク・リーはいいや。いままで観てなくてすいませんでしたって謝りたくなった。
(Dec 12, 2010)

イングロリアス・バスターズ

クエンティン・タランティーノ監督/ブラッド・ピット、クリストフ・ヴァルツ/2009年/アメリカ、ドイツ/BS

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 タランティーノが78年のイタリア映画 『地獄のバスターズ』 をリメイクした作品とのこと。
 戦争映画が好きでない上に、特別タランティーノ・ファンというわけでもない僕としては、いまいち惹かれない作品だったのだけれど、いざ観てみれば、やはりこれもおもしろかった。これだからタランティーノはあなどれない。
 この作品に関しては、物語がどうとかいう以前に、とにかくタランティーノの演出と出演者たちの演技が見事。特に憎まれ役のドイツ人将校を演じたクリストフ・ヴァルツという人の演技は、アカデミー助演賞も当然という存在感だった。
 あと、ブラッド・ピットもいい。終わってみて、なんだそりゃと思ってしまうような、彼のすっとボケた立ち位置が最高におもしろい。
 そんな彼の演技が象徴的で、全体的にみて、妙にずれたところのある変な映画なんだけれど、その変なところが見事にばっちり決まっているという。悲壮で滑稽なブラック・コメディの秀作。
 それにしても、不思議とタランティーノの作品って、いつもあまり言葉が出てこない。
(Dec 12, 2010)

機動戦士ガンダム 逆襲のシャア

富野由悠季・監督/声優・古谷徹、池田修一/1988年/日本/BS録画

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 今回、観直すまで、僕はこの映画は、Zガンダムよりも前に作られたものだと勘違いしていた。
 理由は簡単で、この映画にはZガンダムで活躍した変形型のモビル・スーツが登場しないから。ゼータでいったんは自力で飛行できる形に進化したモビル・スーツが、ふたたびドダイに乗らないと飛べなくなるなんて、思ってもみなかった。
 その点、まるでゼータもダブルゼータもなかったかのようなこの作品の舞台設定は、やはり不自然に思えてしまう。
 作り手としては、とりあえずその後のふたつのシリーズの存在にはあえて目をつぶって、初代ガンダムにおけるアムロとシャアの関係の決着を描きたかったのかも知れないけれど、あったものはあっとものなのだから、きちんとその世界観を継承して、きっちりシリーズを締めくくって欲しかった。そう思わずにはいられない。
 まあ、そもそも考えてみれば、いまや一国の元首にまでのぼりつめたシャアが、自らモビルスーツに乗って戦いに出るという展開からして不自然なわけで。大人になったシャアとアムロをふたたびモビルスーツに乗せて戦わせようとした時点で、この作品は始めから設定に無理があったのだと思う。
 そのほか、ブライト・ジュニアの身勝手なふるまいも気持ちよくないし(ゼータのカツとキャラクターがダブりすぎる)、やたらと超常現象的なエンディングも(絵としては非常に映えるものの)いまいち気に入らないしで、あらためて観直してみても、僕にはこの作品は、どうにもしっくりとこなかった。残念。
(Dec 12, 2010)

パンチドランク・ラブ

ポール・トーマス・アンダーソン監督/アダム・サンドラー、エミリー・ワトソン/2002年/アメリカ/レンタルDVD

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 『マグノリア』 と 『ゼア・マスト・ビー・ブラッド』 のポール・トーマス・アンダーソンがその2作品のあいだに撮った、風変わりなロマンティック・コメディ。
 いや、これをロマンティック・コメディと呼ぶのは、なんか違う気がする。いちおう恋愛劇ではあるんだろうけれど、いけてない主人公のもとに、とつぜん降ってわいたように「あなたが好き」って女性が現れるって展開は、どう考えても自然じゃないし。主人公の行いが終始へんてこりんなせいで、なにも超常現象は起こらないのに、ある種のファンタジーのような味わいのある不思議な作品。
 僕はここへきて、このポール・トーマス・アンダーソンという監督の作品を3本つづけて観たわけだけれど、この人が描くのは、いまどきの言葉でいえば、「痛い」人の話ばかりだ。群像劇の 『マグノリア』 では、そこんところが複数のキャラに適度に分散していたから、それほど感じなかったけれど、この映画や 『ゼア・マスト・ビー・ブラッド』 では主人公に一転集中しているので、それが顕著。彼らはあきらかに「痛い人」だ。でも、たんに痛いわけではなく、けなげにがんばる人。で、がんばるからこそ、救われる人。
 そんな彼らに救済を見いだして癒されるか、それとも救いを得てもなお癒されない痛みを見てしまうか。そのどちらも可能なのが、この人の映画の特徴という気がする。
 よくも悪くも受け取れる、そのどっちつかずな味わいが魅力。
(Dec 12, 2010)

恋する惑星

ウォン・カーウァイ監督/トニー・レオン、フェイ・ウォン、金城武/1994年/香港/レンタルDVD

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 『マイ・ブルーベリー・ナイツ』 が好印象だったので、珍しく香港映画だというのに観てみようって気になったウォン・カーウァイ監督の出世作。
 原題の 『重慶森林』 は村上春樹の 『ノルウェイの森』 を意識したものだという噂だけれど、なるほど、金城武のモノローグを多用した前半の語り口や、『カリフォルニア・ドリーミング』 を効果的に使った演出、女の子が警官の部屋を勝手に模様替えしてしまうコミカルなエピソードなどには、「世界のハルキ」を感じさせるものがあった。もしくはジャン=リュック・ゴダールあたりのフランス映画。
 それゆえハルキとゴダールのどちらも好きな僕としては、非常に気に入った……と言えればよかったのだけれど、そんなことはなく。正直いって印象はまあまあ。アジアの映画にしては悪くなかったけれど、それほど感動もしなかった。前半と後半でまったく違う話になってしまう構造のいびつさも気になった。そこがまたこの作品の味なのかもしれないけれど、僕はそれほどしっくりこなかった。
 ちなみに、旅に出ていた女が、ひとりで店の片づけをしている男のところへ戻ってくるエンディングは、のちの 『マイ・ブルーベリー・ナイツ』 にまんま通じる。あの映画って、もしかしてこれを下敷きにしているのかなと思った。
(Dec 12, 2010)

2012

ローランド・エメリッヒ監督/ジョン・キューザック、アマンダ・ピート/2009年/アメリカ/BS録画

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 地球を破滅させることに世界一熱心な映画監督、ローランド・エメリッヒの最新作。
 この人のパニック映画はとにかく派手なので、一度は観てみたくなるけれど、でも観てみて、あーあと思うことも多い。この映画もしかり。
 とにかくハラハラさせようって演出が過剰なんだった。人類文明が壊滅するってだけでひどいんだから、その上にさらにぎりぎりセーフなシーンをこれでもかと加えなくったってよさそうなものなのに。主人公たちが乗った車や飛行機が、神懸かり的に間一髪で助かるってシーンのオンパレード。そこまでやんなくたっていいよって言いたくなる。
 さらにひどいのは、主人公の一家ばかりが助かって、一緒に行動していたその他の人たちがことごとく悲惨な運命にあう展開。とくにロシア人なんて助からなくて当然とばかりの演出がひどい。せっかく生き延びるチャンスを与えたんなら、ひとりでも多くの人を助けてあげりゃいいでしょうに。主人公がそれほどいい人だとも思えないので、助からない人たちがかわいそうで仕方ない。災害シーンのものすごさとか、方舟の着想とかはいいのに、ヒューマン・ドラマの部分がなってないと思う。
 なんかもう、観終わってみて、最終的に助かったって喜んでいる人たちの姿がむなしくて仕方ないという。これはそういうちっとも救われないパニック映画。
(Dec 12, 2010)

ウルヴァリン:X-MEN ZERO

ギャヴィン・フッド監督/ヒュー・ジャックマン、リーヴ・シュレイバー/2009年/アメリカ/BS録画

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 『X-MEN』 シリーズの1、2作目でほのめかされていたウルヴァリンの謎の過去があきらかにされるシリーズ番外編。
 アメコミに疎い日本人としては(もしくはアメリカ人でさえ?)、この映画の冒頭のシーケンスには意表をつかれた。なぜって舞台が19世紀なもので。
 『X-MEN』 の舞台が現代なのに、なぜにその主要キャラの幼少期の話が百年以上も昔?──と不思議に思う間もなく、少年時代のウルヴァリンとその兄がミュータントとしての特殊能力を発現させて故郷を出奔する場面とともに、映画はようやくタイトルバックに入る。そしてその短いシーケンスの中で、特殊能力を持ったふたりは最強への兵士として、20世紀の戦場を一気に駆け抜ける。南北戦争、第一次大戦、第二次大戦、ベトナム戦争……。で、時間軸が現代にたどり着いたところで、いよいよ本編がスタートするという趣向。ははー、不老不死だったか、ウルヴァリン。そこまでの大物だったとは思わなかった。
 まあ、そんなわけで冒頭の展開こそ意表をついていたけれど、それ以降は物語自体よりも、その派手なアクション・シーンの連続に驚かされるという、近頃よくあるタイプの娯楽大作。でも、途中で人のいい老夫婦がわけもなく命を奪われたりして、あまり気持ちのいい話ではなかった。どうせ娯楽と割りきるならば、もっと観終わってスカッとするようなシナリオにして欲しかった。そこんところはやや残念。
 ちなみに冒頭で「番外編」と書いたけれど、この作品の原題は 『X-Men Origins: Wolverine』 なので、実際にはれっきとしたシリーズ最新作と考えていいんだと思う。来年にはプロフェッサーXの若いころを描くシリーズ第5作が公開予定とのこと。なんだか、だんだんシリーズというよりもサーガの様相を呈してきている。
(Dec 19, 2010)

バッド・サンタ

テリー・ツワイゴフ監督/ビリー・ボブ・ソーントン、トニー・コックス/2003年/アメリカ/レンタルDVD

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 これはおそらくこれまでに僕が観たなかで、もっとも「ファック」という言葉がたくさん出てくるクリスマス映画。なぜだかよくわからないけれど、なんとなく前から観たいと思っていた作品。
 この映画でビリー・ボブ・ソーントンが演じているのは、サンタクロース役として各地のデパートを渡り歩きながら、警備が手薄なイヴの晩をねらって金庫破りをくりかえす常習犯。この人、金庫破りの腕は一級品ながら、アル中で女好きの駄目男で、身体が小さい妖精役の相棒に文句ばかりいわれている。
 そんな彼が、なぜだかひとりのいじめられっ子の少年に気に入られてしまい、ふたりのあいだに徐々に友情が芽生えてゆく……というのが物語の核。
 要するに駄目な泥棒といじめられっ子の友情を描いた感動作なわけだ──と言えればいいんだけれど、どうもそうとは言い切れない。感動的なところもあるんだけれど、それ以上に主人公のエロ話が多すぎて、下世話な印象のほうが勝ってしまっている。僕はこの映画のビリー・ボブ・ソーントンはとても魅力的だと思うだけに、そこが残念なところ。彼がアナル好きなんて設定じゃなければ、もうちょっと普通のいい映画になっていた気が……。
 ということで、あくまで下ネタオッケーって人に限定でお薦めしたいクリスマス映画。
(Dec 19, 2010)

オープン・ユア・アイズ

アレハンドロ・アメナーバル監督/エドゥアルド・ノリエガ、ペネロペ・クルス/1997年/スペイン/レンタルDVD

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 これはのちにキャメロン・クロウがトム・クルーズとタッグを組んでリメイクした 『バニラ・スカイ』 のオリジナル版。
 あの映画とまったく同じ役をペネロペ・クルスが演じているというので、興味を惹かれて観てみたのだけれど、いざ観てみてびっくり。これくらいオリジナルとリメイクがそっくりな映画もまたとないんじゃないかって内容だった。
 ストーリーも演出もほとんど一緒。で、ヒロインもおなじ女優さんとくる。なんでこれをわざわざリメイクしようと思ったのか、わからない。そもそも、全体的な出来自体はこちらのほうがいい気がするし。
 といいつつも、唯一 『バニラ・スカイ』 のほうが勝っているかなと思うのは、ペネロペ・クルスのかわいさ。この映画の彼女はまだ花開いていない感じがするのに対して、『バニラ・スカイ』 では輝かんばかりだった(まあ、好みの問題かもしれないけれど)。主演男優にしろ、やはりトム・クルーズのほうがハンサムだと思うし、美男美女度の高さでは断然ハリウッド版に分がある。
 もともとペネロペ・クルスの美しさに感銘を受けて 『バニラ・スカイ』 が気に入った僕としては、もしもどちらかをもう一度観るとしたら、映画としての出来ではこちらを評価しつつも、結局 『バニラ・スカイ』 を選んでしまうんだろうなぁと思う。
 ということでこれは、その出来のよさにもかかわらず、ハリウッドのリメイクに人気を横取りされてしまった、なんとなく気の毒な秀作スリラーだった。
(Dec 19, 2010)

Disney's クリスマス・キャロル

ロバート・ゼメキス監督/ジム・キャリー、ゲイリー・オールドマン(声優)/2009年/アメリカ/レンタルBD

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 今年はクリスマス・イブの晩にディズニーの 『クリスマス・キャロル』 を観た(なんてクリスマスらしいクリスマス……)。でも、映画を観る前にすでにワインを一本、{から}にしていたので、やたらと眠くて、集中しきれず。いまいち印象がはっきりしない。
 とりあえず、CGアニメのさらなる進化が見てとれる作品ではあった。うちの奥さんが「嘘~、これって実写を加工したんでしょ」というくらい、人間がちゃんと人間らしく見えるのがすごい。
 まぁ、いまとなると3Dの 『アバター』 は現実と混同してしまうくらいの出来だって噂なので、この作品なんかは騒ぐ必要もないくらいのレベルなのかもしれないけれど、それにしたってすごいよなと思う。コリン・ファースが演じる(?)スクルージの甥なんて、声を聞かずして、「あ、コリン・ファースだ」と思うくらいだし。アニメなのに。
 ひとりでスクルージと三人の幽霊ほか、何役も務めているというジム・キャリーは、ぱっと見この人ってわかるようなキャラクター・デザインにはなっていなけれど、それでもスクルージの目元とか、いわれてみると、ああジム・キャリーって面影がある。そもそも、この映画はジム・キャリー主演だと聞いて初めて、観てみようという気になったのだけれど、まさか彼がそんなに何役も買って出ているとは思わなんだ。ちょっとびっくり。
 なんにしろ、アニメと実写の境目がだんだん曖昧になりつつあるというのを実感させられる作品だった。
(Dec 29, 2010)

ゴーストワールド

テリー・ツワイゴフ監督/ソーラ・バーチ、スカーレット・ヨハンソン/2001年/アメリカ/レンタルDVD

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 女の子ふたりがうだーっとつっ立っているポスターが気に入って──なおかつそのうちの片方が若き日のスカーレット・ヨハンソンだと知って──観てみた作品。
 監督はふたつ前に観た 『バッド・サンタ』 と同じテリー・ツワイゴフ。主演の女の子はソーラ・バーチ(『アメリカン・ビューティー』 に出ていたとか。あぁ……?)。競演にスティーヴ・ブシェミ。
 原作がアメコミだというので、途中からヒーローものにでもなるのかと思っていたら、そんなことはなく。アメコミといっても、いわば 『アメリカン・スプレンダー』 のガーリッシュ・バージョンみたいな感じで、高校を卒業したばかりの、アングラ志向の女の子ふたり組の日常を描いてゆく。
 ポスターのイメージ通り、表面的には妙ではあるけれど、ベースの部分はいたってまっとうな青春映画だと思う。ぱっと見、美人といえないソーラ・バーチが、観ているうちにだんだん可愛く思えてくるのは、それだけこの映画がよくできている証拠だろう。スカーレット・ヨハンソンは思ったより目立っていないけれど、それでも若くしてすでに色っぽい。
 惜しむらくは、エンディングがややもの悲しいこと。この内容で寂寞感あふれる終わりかたをされると、ちょっとばかり救われない気分になる。そこがいいって意見もあるんだろうけれど、僕としてはもう少し救いが欲しかった。
(Dec 30, 2010)

インビクタス/負けざる者たち

クリント・イーストウッド監督/モーガン・フリーマン、マット・デイモン/2009年/アメリカ/BS録画

インビクタス / 負けざる者たち [DVD]

 イーストウッドの映画はいつでもとてもドライだ。適度に観客を突き放すような感触があって、過剰な感動を与えてくれない。少なくても僕はそういう感じを受ける(──って、何度も書いているような気もするけれど)。
 南アフリカで行われたラグビーW杯の実話を描いたこの映画でも、その辺はあいかわらず。撮る人が撮れば、涙が止まらないような一大感動作になりそうな話なのに、不思議とそうはなっていない。いつもどおりのさらりとした印象の作品に仕上がっている。
 でもそこがこの人のいいところだという気もする。過剰なドラマツルギーに酔うことなく、いい物語を適度なユーモアを感じさせながら、たんたんと語ってみせる。おかげで怒涛の感動が襲ってくるなんてことがないかわりに、どんな通俗的なドラマを撮っても余計な臭みがない。
 その淡白な味わいこそがイーストウッドの持ち味。寿司にたとえるならば、要するにトロではなくタイやヒラメ?──そんなつまらないことを思ったりする。
(Dec 30, 2010)