2007年12月の映画

Index

  1. パイレーツ・オブ・カリビアン ワールド・エンド
  2. モナリザ・スマイル

パイレーツ・オブ・カリビアン ワールド・エンド

ゴア・ヴァービンスキー監督/ジョニー・デップ、キーラ・ナイトレイ、オーランド・ブルーム/2007年/アメリカ/DVD

パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド 2-Disc・スペシャル・エディション

 このシリーズでは前からそれほど盛りあがっていないけれど、やはり今回もいまひとつだった。僕の趣味からすると、あまりにキャラクターが魅力に乏しいし──ジョニー・デップはキャラの作りすぎだし、キーラ・ナイトレイは艶かしさが足りない──、シナリオもかなりいい加減。なんで大艦隊を率いてきた東インド会社のボスの船が、単独でジャック・スパロウたちと戦わないといけないのか、さっぱりわからない。つまらないとまでは言わないけれど、かといって、それほど出来がいいとは思えなかった。まあ、非常に金がかかっているのはわかるし、派手なアクションを楽しむものと割り切れば、悪くない映画かもしれない。なによりキース・リチャーズの海賊っぷりがとてもさまになっていて、一見の価値がある。ちらりとアコギも弾いて見せてくれてます。
 それにしても原題の Pirates of the Caribbean: At World's End を、こんな中途半端な邦題にしてしまった配給会社のセンスはあいかわらずどうかと思う。前々から定冠詞の「ザ」が落ちているのを不満に思っていたら、今度はサブタイトルの所有格のSまで落ちてしまっている。「ワールド・エンド」という不自然なカタカナ語が妙に気持ち悪い。タイトルを決めた人は、そこまで日本人は英語力がないと思っているんだろうか? 日本の映画会社は、日本人の英語力を{あなど}りすぎていると思う。俺たちがこのタイトルで日本人の英語力を啓蒙してやる、くらいの気概を持って欲しい。
(Dec 20, 2007)

モナリザ・スマイル

マイク・ニューウェル監督/ジュリア・ロバーツ、キルスティン・ダンスト/2003年/アメリカ/DVD

モナリザ・スマイル [DVD]

 この映画については、いつ公開されたのかさえ知らない。ただ、ネットで見かけたそのジャケット──ジュリア・ロバーツを一番手前に、美女4人の横顔が並んだ写真──がめちゃくちゃ気に入って、思わず購入してしまった作品。僕はDVDについては、こういうジャケット買いがかなり多い。ブロマイドを買いあさる昔の中学生みたいだと思わないでもない。
 映画自体は、50年代を舞台にした女子大版の 『いまを生きる』 といった感じ。花嫁学校のような名門女子大学に新任美術教師としてやってきたジュリア・ロバーツが、女生徒たちと衝突しながら親しくなってゆくさまを描いてゆく。あまり主人公がすごい教師には思えないし、彼女の恋人になる男もぱっとしないしで、出来はそれほどでもないけれど、それでも女子大の話ということで、キルスティン・ダンストやジュリア・スタイルズ── 『ボーン・スプレマシー』 でマット・デイモンに路面電車に引きずり込まれた人──ら、若い女優さんたちの演技がたっぷりと観られて、華やかなのがいい。
 そうそう、演技で感心したのが、主人公と同じ下宿に住むオールド・ミスの先生役をつとめるマーシャ・ゲイ・ハーデン。この人、デビュー作でコーエン兄弟の名作 『ミラーズ・クロッシング』 のヒロイン役に抜擢され、最近だと 『ミスティック・リバー』 でティム・ロビンスの奥さんを演じていた人で、僕が観たことのあるのは、この三本だけなのだけれど、その役どころが三作とも、ものの見事に違っていて、言われなかったらば普通は同じ人だとは気がつかないんじゃないかという出来。地味な役どころながら、その演技力に脱帽しました。
(Dec 20, 2007)