2004年8月の映画

Index

  1. レオン
  2. バグズ・ライフ
  3. ショコラ
  4. 追憶

レオン

リュック・ベンソン監督/ジャン・レノ、ナタリー・ポートマン/1994年/BS録画

レオン 完全版 [DVD]

 心優しき街一番の殺し屋レオン(ジャン・レノ)が住むアパートのとなりには、{すさ}んだ家庭に絶望する一人の少女が住んでいた。変質的な麻薬取締官スタンスフィールド(ゲイリー・オールドマン)に一家を皆殺しにされ、ひとりぼっちとなったその少女マチルダ(ナタリー・ポートマン)が、なりゆきでレオンのもとに身を寄せることになる。共同生活のうちに親子とも恋人ともつかぬ関係を育んでゆく二人。しかし、幼い弟までをも殺した非道な捜査官への復讐を心に誓ったマチルダのとった行動が、彼らを窮地に陥らせることになる。
 全編に漂う微妙なセクシャリティとクライマックスのカタルシスが秀逸。人気のほどがよくわかった。
(Aug 01, 2004)

バグズ・ライフ

ジョン・ラセター、アンドリュー・スタントン監督/1998年/DVD

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 舞台は凶暴なバッタの搾取を受けているアリの集落。変わり者として仲間の顰蹙{ひんしゅく}を買ってばかりのフリックは、ドジを踏んでバッタへの貢ぎ物をだいなしにしてしまう。貢ぎ物がないことに怒ったバッタはアリたちに貢ぎ物の倍増を要求。無理難題を押しつけられて困った仲間たちを救うべく、助けを求めて旅に出たフリックだったけれど、彼が紆余曲折を経て、ようやく巣へと連れ帰ってきたのは、仕事にあぶれた虫のサーカスの一行だった。
 ピクサーのCGアニメながら、主役が虫ということで公開当時はまったく心惹かれずに無視していた作品。今回 『ファインディング・ニモ』 のキャンペーンで入手したので、ようやく観ることになったのだけれど、そうしたらさすがピクサー、これが意外とおもしろい。キャラクター造形にはあまり惹かれないのだけれど、昆虫ならではのサイズのちいささを感じさせる演出──水が表面張力でボール状になるとか、タンポポの種につかまって空を飛ぶとか、雨がまるで絨毯爆撃みたいだとか──にCGならではの表現力が生かされているのが見事だと思う。個人的には 『ニモ』 よりもこちらの方が好きだった。
(Aug 01, 2004)

ショコラ

ラッセ・ハルストレム監督/ジュリエット・ビノシュ、ジョニー・デップ/2000年/BS録画

ショコラ DTS特別版 [DVD]

 フランスの片田舎にある小さな村へと流れ着いたヴィアンヌ(ジュリエット・ビノシェ)と娘のアヌーク(ヴィクトワール・ティヴィソル)。彼女たちはその土地で異国情緒溢れる小さなチョコレート専門店を開く。ところがあいにくそれが復活祭前の節食期間中だっために、信心深い村長・レノ伯爵(アルフレッド・モリナ)の反感を買ってしまい、開店早々閑古鳥が鳴く羽目に。
 それでもヴィアンヌは持ち前の気の良さから、気難しい老女アルマンド(ジュディ・デンチ)、夫の暴力に悩むジョセフィーヌ(レナ・オリン)、漂泊民のルー(ジョニー・デップ)など、癖のある知人たちとの交流を得るようになり、少しずつその土地に馴染んでゆく。彼女の存在をおもしろく思わない伯爵は、そんな状況に次第に心の平静を乱されるようになり……。
 チョコレートにかかったココア・パウダーのように、ほんのわずかのファンタジー色がハートウォーミングな物語にちょっとだけエスニックな風味を加えている好作品。
(Aug 09, 2004)

追憶

シドニー・ポラック監督/バーブラ・ストライサンド、ロバート・レッドフォード/1973年/BS録画

追憶 コレクターズ・エディション [DVD]

 政治運動に夢中の貧乏ユダヤ娘ケイティ(バーブラ・ストライサンド)と容姿端麗、頭脳明晰、スポーツ万能のブルジョア青年ハベル(ロバート・レッドフォード)。大学卒業後に偶然再会して恋に落ちた二人は、その性格の相違から、ついたり離れたりを繰り返しつつ、ともに年を重ねてゆく。
 七十年代という時代の空気を色濃く反映した恋愛映画の秀作。主役二人にはほとんど魅力を感じないし、背景となるアメリカ社会に対する知識に乏しく、話の展開がわからない点も多い。それでもきちんと胸を打つものがあるのだから、きっとこれはいい映画なんだろうとは思う。でもやっぱり恋愛映画で主演の二人に惹かれないのはつらい。
(Aug 15, 2004)