2015年11月のサッカー

Index

  1. 11/07 ○ 鹿島2-0横浜M (J1・2ndステージ第16節)
  2. 11/12 ○ シンガポール0-3日本 (W杯・二次予選)
  3. 11/17 ○ カンボジア0-2日本 (W杯・二次予選)
  4. 11/22 ○ 鹿島2-0名古屋 (J1・2ndステージ第17節)

鹿島アントラーズ2-0横浜F・マリノス

J1・2ndステージ第16節/2015年11月7日(土)/カシマサッカースタジアム/スカパー!

 ナビスコ杯で優勝を決めた試合の出来のよさをそのままリーグ戦でも発揮したアントラーズがF・マリノスに快勝。でも裏でサンフレッチェと戦っていたガンバの出来もナビスコ杯とどっこいだったようで、ここ十何年もアウェイで負けたことがなかったというサンフレッチェに2-0で敗戦。
 かくして鹿島と広島の勝ち点の差は、3のまま縮まらず。あとは最終戦を一試合残すのみとなり、たとえその試合で両者が勝ち点で並んだとしても、得失点差12と離されたアントラーズのセカンド・ステージ優勝はほぼ無理って状況になった。あぁ、やはり湘南戦の黒星が痛かった……。
 この日のスタメンは曽ヶ端、西、ファン、昌子、山本、柴崎、小笠原、遠藤、カイオ、金崎、赤崎の11人。途中出場は豊川、鈴木優磨、山村の3人。
 中村充孝が怪我をしたとかで、この日はカイオがスタメン。そうそう、怪我といえば、しばらく前に土居も怪我をして、今季絶望となっていたんだった。不動のレギュラーから控えに転落、最後は怪我でベンチにさえ入れないとは、土居にとって、今年はなんともお気の毒な一年になってしまった。来年はこれに奮起して大復活を遂げて欲しい。
 なんにしろ、この日はひさしぶりにスタメンで出てきたカイオが大活躍。遠藤がドリブル突破で作ったチャンスから左足のシュートをファーのポストにあてて決めた1点目、相手DFをさらっとかわし、自らドリブルで持ち込んで右足で決めたミドルの2点目とも、決定力がずば抜けていた。
 カイオ、これで今季10点めだってのもすごい。スタメンを外されることも多いシーズンだったのに、二桁得点はあっぱれだわ。願わくば来年はチームの中心として一年通してスタメンで活躍させてあげたい。石井さん、よろしく。
 対するマリノスは、鹿島同様にファースト・ステージは振るわなかったけれど、俊輔が故障から戻ってきたセカンド・ステージは好調だったらしく、いつの間にか3位につけていた(上ばっか見ていて下を気にしていなかった)。つまりこの日の試合は2位対3位の上位対決だったわけだ。
 裏では1位のサンフレッチェと4位のガンバが対戦しているし、その裏ではすでに降格が決まった清水と山形が対戦しているし、いよいよクライマックスってこの局面でこういう好カードを組んでみせるJリーグの年間スケジュール作成システム、おそるべし。
 この日の試合で印象的だったのは、守備のときに柴崎や小笠原が最終ラインまで下がって、しっかりと守りを固めていたこと(もしや、いつものこと?)。で、俊輔がボールを持ったときには、必ず近くにいる誰かが素早くチェックにいっていたこと。
 とにかく要注意人物の俊輔には自由にさせない、ディフェンスラインも崩さない、という守備の姿勢が徹底していた。で、攻めれば見事な連携でボールをつないでみせる。結果的にはカイオの個人技が冴えての2得点だったけれど、それでも全体として快勝と呼んでさしつかえないって内容だった。
 うーむ、それにしても、ここまで内容がいいのに、今年はもうあと一試合でおしまいとは。なんとも、もったいない……。
(Nov 08, 2015)

シンガポール0-3日本

ワールドカップ二次予選/2015年11月12日(木)/シンガポール/フジテレビ

 鹿島での活躍が認められて、5年ぶりの日本代表招集となった金崎がスタメン出場でA代表初ゴール! もうそれだけで、あとはまぁいいやって一戦。
 スタメンは西川、酒井宏樹、吉田麻也、森重、長友、長谷部、柏木、本田、清武、武藤嘉紀、金崎。
 香川がいないのには、えっ、マジ? と思ったものの、話を聞けば、クラブでの試合から中一日だというので、あぁ、それならばと納得。あと、岡崎に出番がなかったのも、なにげに珍しい。でも、そうやってレギュラー陣をはずしてスタメンで使った金崎や柏木がちゃんといい仕事をするのだから、やっぱハリル氏の選手を見る目は確かなんだろうなと思う。
 いや、ほんとよかったです、金崎。アントラーズでの積極的なプレーが代表でもそのまま出せていた。胸トラップから左足でゴールネット右に突き刺すように決めた先制ゴールのみながらず、2点目の起点となったつなぎのパスとかも、やたらとカッコよかった。最後までゴールを狙う姿勢も衰えなかったし、フル出場で堂々たるプレーを見せてくれた。
 本田の2点目は、相手DFにあたってコースが変わったラッキーなものだったし、後半はずっと無得点がつづくすっきりとしない内容で、もうそろそろおしまいってころになってようやく入った麻也の駄目押し弾も、CKからのこぼれ球を宇佐美がダイレクトで蹴り込んだクロス──かシュートか微妙なボール──が麻也の足にあたって入っちゃった……みたいな感じだったから、なおさら金崎の先制ゴールが光った(いや、それとも麻也のあれは、もしや狙ったんですかね。きょうはそれまでにも、やたらといいシュートを2本も打っていたし。だったらすごいな、麻也)。
 とにかく金崎はよかった。鹿島との契約はレンタルだそうだから、このところの活躍が所属クラブの目に留まって、鹿島でのプレーが今年限りになったらヤだなぁ……と心配になってしまった。
 よかったといえば、柏木もきょうは最高だった。運動量は多いわ、パスは気が効いているわで、ボランチとして文句なし。この日は背番号7を背負っていたこともあって、やばい、この先ずっとこんなにいいプレーをされたら、柴崎(今回は代表を外された)のものだと思っていたポスト遠藤の座を奪われてしまう──そんな風に思ってしまうほど、この日のプレーは素敵だった。
 彼らふたりとともに、清武をほめている人もいるけれど、僕は彼のことはそれほどいいとは思わなかった。香川の代役というのには、どうにも存在感がたりない。2点目に絡んだり、プレースキックで精度の高さを見せたりはしてくれたけれど、あれくらいじゃまだまだ。どうにもイメージ的におとなしすぎる。ドイツのクラブで10番背負っているんだったら、もっとエゴイストになってもいいから、自らチームを引っぱるようなプレーを見せて欲しい。
 その点、武藤は得点こそなかったけれど、ガツガツと元気にプレーしていて、いい感じだった。先制点も武藤の落としからだったし。ドイツで成長してんねぇと思った。
 途中出場は宇佐美(控えには甘んじているものの、あいかわらずハリルホジッチのファースト・チョイスの座を守っている)、香川、原口の3人(アウトは武藤、清武、本田)。最後のほうはこの3人が入ったことで、停滞していた攻撃がふたたび活性化して、その流れから麻也の追加点が生まれた印象だったので、まぁ、なかなかいい交替策だったなと思う。
 とはいえ、この内容だったら、わざわざ香川を使う必要はなかったんじゃないかとも思う。どうせならば、南野か、イングランドで苦労している岡崎のプレーが見たかった。次の試合に期待しよう。
 まぁ、なにはともあれ、二次予選の緒戦でドローに持ち込まれたシンガポールから、今回はしっかり勝ち点3をあげられてなによりだった。
 そういや、前回引き分けに持ち込まれた試合の立役者だったシンガポールのGK──今回もなかなかの活躍ぶりだった──は、なんでもJリーグのトライアウトを受けるとかなんとか。ほんとかよ? 取るクラブがあるのかな。Jリーグでどれくらい通用するのか、ちょっと見てみたい気もする。
 そうそう、最後になってしまったけれど、この試合は新ユニフォームのお披露目の試合でもあった。濃紺をベースに胸元に青のグラデーションのストライプをあしらった新デザインは、なんとなく普段着といっても通りそうで、まぁ、着やすそうではある。とはいえ、レプリカが欲しいと思うほど魅力的でないのは、これまで通り。
 あと、たまたま素材に問題があったのか、はたまた、よほどひどいラフプレーを仕掛けられたのか、試合の序盤で清武のユニフォームが背中からまっぷたつに裂けていた。あんなの、初めて見たよ。新ユニ、幸先{さいさき}わりぃ。
(Nov 12, 2015)

カンボジア0-2日本

ワールドカップ二次予選/2015年11月17日(火)/カンボジア/日本テレビ

 これが今年最後の代表戦とのこと。一年が短い。
 この試合については、これといって書けることがない。日本代表の出来が悪かったから──というのは、誰もが認めるところだとは思うけれど──ではなく、僕自身がまったく試合に集中していなかったから。
 この日届いたエレカシの新譜をiTunesに取り込んだところ、サーバー障害でクラウドにアップロードできず、さて困った、明日はどうやってこのアルバムを聴こうと試行錯誤していたせいで、前半はほぼ見逃したも同然になってしまった(結局試合終了後に勝手に解決した)。今年で iTunes を使い始めて満十年になるけれど、この間にどれだけの時間をこのアプリのために無駄にしてきたことか。困ったもんだ──って、ぜんぜんサッカーと関係のない話でした。失礼。
 いやしかし、そんなわけでほとんどナガラ観に終わってしまった試合ながら、そんな僕でさえ、前半を終わった時点で、「あちゃー、ハリルホジッチ、これはやっちゃったんじゃないか?」と思うような内容だった。
 だって、FIFAランキング183位のカンボジア相手に前半を0-0ですよ? しかも攻めても攻めても入らないとかいう内容ではなく、攻撃ではほとんど歯車が噛みあっていない感じだったし。いくら人工芝のグラウンドに慣れないといってもほどがある。まともに観ていたら、ストレスがたまってしかたなかったに違いない。
 そうなった理由はハリルホジッチが送り出したスタメンの構成にあったと思う。GK西川、4バックが右から長友、麻也、槙野、藤春、MFが遠藤航、山口蛍のダブル・ボランチに、原口、香川、宇佐美、そして岡崎のワントップという形。途中出場は柏木、本田、南野。
 長友が右サイド? 遠藤航と蛍のダブル・ボランチ? 本田はベンチ? おいおい、これって親善試合じゃないよな?
 スタメンを前の試合から8人も入れ替えて臨んで、それでもって出来は散々って。カンボジアの実力ならば、どんなメンツで戦っても確実に勝てると見込んでのスタメン大改造なのだろうけれど、でもこれは公式戦、それもW杯予選だ。グループ2位のシリアと勝ち点1しか差がないことを考えると、落としていい勝ち点なんて、ひとつもない。万が一、ここでまたもやドローにでも終わった日には、マジでハリルホジッチの進退問題に発展するだろう。
 そう思ったので、これは「やっちゃったんじゃないか」と思ったわけだ。後半早々に得たPKを岡崎が止められたときには、ほんとこりゃまずい流れなんじゃないかと思った。
 そんな日本を──というかハリルホジッチを──救ったのが、後半途中から出てきた柏木陽介。
 前の試合で抜群の存在感を見せた柏木は、この試合でも誰よりも輝いてみせた。とくに中盤の底から前線めがけて配給するロング・パスが効果ありまくり。縦に速いサッカーというハリルホジッチの求めているスタイルに、これまでの誰よりも的確に答えているのは柏木なのではと思う。
 彼がこの先、もっと強い国を相手にしても、この2試合で見せたようなプレーができた日には、ポスト遠藤どころか、遠藤さえも超えた最高の日本人選手と呼んでもさしつかえないレベルに達しちゃうんじゃなかろうか。──そう思ってしまうほど、今回の遠征での柏木のプレーにはインパクトがあった。
 あと、やはりさすがと思わせたのは本田。後半30分だけの途中出場ながら、ちゃんと得点を決めてみせる(W杯予選での5試合連続ゴールは新記録とのこと)。このところミランでは不遇をかこっているようだけれど、日本代表ではまだまだ格が違うってところを見せてくれた。
 そのほかだと、その本田のゴールのアシストをしたり、前半終了間際にゴールポストを叩く惜しいシュートを打ってみせたりした藤春はよかった気がする(長友が右サイドだったのは、酒井宏が発熱で出られなかったかららしい)。
 でもそれ以外の選手は軒並み印象ゼロ(ちゃんと観てなかったからだろうって話だが)。宇佐美とか、なぜスタメンだとあんなに目立たないんだろうと不思議になってしまう。岡崎(この日はキャプテンマークを任されていた)もPK外しちゃ駄目だろう。勝ったからいいものの、もしもドローに終わっていたら大問題だ。まぁ、その分は先制ゴールに絡んでみせたのだから結果オーライだけれど(結果はオウン・ゴールだった)。
 この日の代表の出来が悪かったのには、ハリルホジッチのボランチの人選にも問題があると思う。なぜに攻めてこないのがあきらかな相手に、遠藤と山口なんだ。どちらも攻撃よりは守備に特徴のある選手でしょう? こういう引いてくる相手ならば、最初から柏木とか、もしくは(今回は呼ばれていないけれど)柴崎、いや、いっそのこと、このふたりを併用するくらいの采配を見せて欲しかった。とにかく組み合わせが悪すぎる。
 どうにもハリルホジッチは守備的なポジションの人選に問題がある気がする。いまはまだ相手が弱いからいいけれど、今後もっと重要な局面になって、その点が仇にならないことを祈るばかり。
 書けることがない──とか言っていた割には、なんだか長くなってしまった。
(Nov 19, 2015)

鹿島アントラーズ1-0名古屋グランパス

J1・2ndステージ第17節/2015年11月22日(日)/カシマサッカースタジアム/スカパー!

 セカンド・ステージの最終節。
 すでに広島の優勝は決まったも同然なので、今季の広島がどれくらい強かったのか見極める意味で、年間優勝のかかった広島の試合を観ようかと思っていたのだけれど、わけあってスカパーのアントラーズ戦が観れてしまったので、当然そちらを観ることになった。すでに天皇杯でも敗退が決まっているアントラーズにとっては、これが今年最後の試合。
 スタメンはGK曽ヶ端、DF西、ファン・ソッコ、昌子、山本脩斗、MF柴崎、小笠原、遠藤、中村充孝、カイオ、FW柴崎。途中出場は、鈴木優磨、豊川、山村。
 代表で怪我をしたとかで、なんと金崎はベンチ外。でもこの日はカイオが切れっ切れで、それほど夢生の穴を感じさせなかった。
 とはいえ、相手のグランパスも意外と侮れない。今年は成績がいまいちだったので、ちょっと油断していたのだけれど、いざ戦ってみれば、そこはさすがに金持ちクラブ。永井、川又の代表候補FWふたりに加え、闘莉王までFWで起用してきた前線の迫力はかなりのもの。おまけにサイドバックで矢野貴章がいるわ、後半から途中出場でノヴァコヴィッチが出てくるわで、あの高さはJリーグ屈指だろう。背番号7をつけた田口泰士のプレイス・キックの精度もかなりなものだったし、鹿島が1点をリードして迎えた終盤戦は、危ないシーンの連続だった。守っても楢崎がファイン・セーヴを連発する。楢崎、まだまだ現役、大丈夫そうだな。頼もしいな、J最多出場記録男。
 というような風に、相手が手強かったこともあり、試合はほぼ五分って印象。ボールを持っている時間はこちらが長かったけれど、チャンスの数では互角だったと思う。
 それでも、0-0でのぞんだ後半に中村充孝が意外性のあるシュートを決めて、そのあとを守り切り、鹿島がなんとか最終節を白星で飾った。
 グランパスの西野監督は今シーズンで退任とのこと。西野さん、最近はあまり結果を出せていなくてちょっとお気の毒。
 解任といえば、J2ではセレッソ大阪を率いていたアウトゥオリが、最終節1試合を残して解任されちゃったりしている。セレッソ、その後任が大熊兄ってのが、わけわからない。去年は弟にチームを託して大失敗したのに、今年はその兄にプレーオフでのJ1昇格の命運を託すって。どんだけ大熊兄弟への信頼が厚いんだろう。摩訶不思議なクラブだ。

 ということで、今年もJ1のリーグ戦は全日程を終了。広島が最終節も勝って、セカンド・ステージの優勝と年間優勝を決めた。佐藤寿人はこの試合でゴールを決めて、ようやく通算157ゴールで、ゴン中山のJ1最多ゴール記録に並んだ。おめでとう~。
 一方、この最終節に年間3位でのチャンピオンシップ&ACL出場権獲得のかかっていたFC東京は、鳥栖を相手にスコアレス・ドローで4位転落。やっぱ武藤が抜けたあとの得点力不足を解消できなかったつけが最後に出たってことだと思う。お気の毒さまでした。
 3位は最終節に山形にきっちりと勝ったガンバ大阪。この最終節は、広島と浦和が5得点、ガンバが4得点と派手な試合が多かった。
 アントラーズの最終年間順位は5位。まぁ、ファースト・ステージで負け越したことを思えば、よくも後半戦で持ち直したと思う。来年も石井の続投が決まったとのことなので、今年の戦力を維持できれば、来年はまた期待できるだろう。柴崎とか、夢生の去就は気になるところだけれど……。
 さて、これで残すはチャンピオンシップのみ……だけれど、なんかもうそれは観なくてもいいかなって気分になってしまっている。もう広島の優勝ってことで終わりにしちゃっていいんじゃないだろうか。
 チャンピオンシップなんてやったって、盛り上がるのは出場できたクラブのサポーターと普段はあまりJに興味のないライト層ばかりで、残りの大半の熱心なサポーターには迷惑千万な企画って気がしてしかたない。
 僕の場合、優勝が決まる決勝二試合目は、たまたま法事と重なってしまって、リアルタイムじゃ観られないし。録画してまで、広島とガンバやレッズの試合を観たいかと問われると、ちょっと考えてしまう。
 いまは11月にしてすでに今年のアントラーズの全日程が終わったという事実を前に脱力気味で、このあとにまだ残った公式戦が控えているという事実に妙な違和感を感じている。
(Nov 22, 2015)

【追記】
結局2ステージ制への反感もあってチャンピオンシップはちゃんと観なかったので、結果だけ書き残しておきます(優勝は広島)。
■明治安田生命2015Jリーグチャンピオンシップ
・準決勝:11/28 浦和1-3G大阪
・決勝第一戦:12/02 G大阪2-3広島
・決勝第二戦:12/05 広島1-1G大阪