2014年5月のサッカー

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  1. 05/10 ● 川崎4-1鹿島 (J1・第13節)
  2. 05/17 ○ 鹿島1-0徳島 (J1・第14節)
  3. 05/27 ○ 日本1-0キプロス (親善試合)

川崎フロンターレ4-1鹿島アントラーズ

J1・第13節/2014年5月10日(土)/等々力陸上競技場/スカパー!

 またもやTBSチャンネルで放送してくれたので、アントラーズ戦が観れたはいいけれど。
 やはりゴールデンウィークからつづく過密日程を首位で乗り切るのは無理だった。それどころか、清水戦のあと、柏に負けてそうそうに首位陥落。その後も名古屋、そしてこの日の川崎とつづけて負けて、ついに3連敗で、順位はあっという間に7位まで落ちてしまった。マジ、今年のJ1は難しい。
 この日のスタメンは曽ヶ端、伊東、植田、昌子、山本、柴崎、小笠原、遠藤、カイオ、土居、ダヴィの11人(途中出場は青木、豊川、本山)。
 この数節、すっかり植田、昌子のフレッシュなCBコンビが定着してしまった。それはそれで新鮮でいいと思う部分もあるのだけれど、でもあの若い二人でこの連戦を乗り切るのは、ちょっと無理があったんじゃないだろうか。いいプレーがある一方で、おいおいという軽率なプレーも少なくないし、今日みたいに4失点もしてしまうと、二人だけに最終ラインを託すのは、やはりまだちょっと早いんではないかと思ってしまう。
 トニーニョ・セレーゾもそう思ったのか──はたまた山本がどこか痛めたのか──、この日は前半のうちに山本に替えて青木を投入、昌子を左SBにスライドして残り時間を戦った。──とはいえ、そのフォーメーションで戦った後半に3失点しているのだから、ベテラン青木投入の効果があったかは、やや疑問。
 まぁ、そうはいっても、この日のゴールはどれもシュートを打った側が偉かったってゴールばかりだった。
 開始わずか3分の川崎の先制ゴールは、流れるようなパスワークから、最後は代表候補として期待される小林悠がループ気味のシュートを決めたもの。曽ヶ端が一歩も動けない、素晴らしいシュートだった。
 そのシーンでは、とにかく直前の川崎のパスワークが素晴らしかったので、うわー、今日は惨敗を喫するかもと思ってしまった。
 ただ、その悪い予感は少なくても前半のうちに同点に追いついたことで、いったんは消滅する。
 鹿島の同点ゴールは柴崎で、遠藤が意表をつくヒールパスで右サイドのディフェンス・ラインの裏へと出したパスを、浮き球でファーサイドに流し込んだもの。まるで小林のゴールにお返しをするような、似たようなシュートだった。才能だったら、柴崎だって負けてないぜって感じ。
 その同点ゴールでひと心地ついたし、その後もいい感じでボールを回す時間がつづいたので、おっ、これはいけかもと思ったのだけれど、油断大敵というかなんというか。後半、ふたたび小林にゴールを決められてしまう。
 このゴールも見事だった。ゴール前で中村憲剛からのパスをもらった小林は、ワンタッチ・トラップからくるっとターンして、ためらわずに右足を振りぬいた。これがゴール左隅にぐさり。またもやソガ一歩も動けずで、勝ち越しゴールを許すことになった。おいおい、マジで上手いな、小林悠。さすが代表候補の呼び声は伊達じゃない。
 その後の2得点はどちらも大久保のカウンター。1本目は、植田の短いクリアボールを中村憲剛がインターセプトして、ワンタッチで大久保のフリーのチャンスを作ったもの。最後のゴールもカウンターから、GKと1対1のチャンスを作られた。大久保、これらをきちっと決めるところはさすが去年の得点王。
 以上、両チームあわせて5ゴール、どれをとってもGKにとっては、なすすべがないってゴールばかりの試合だった。それにしても、大久保、小林悠、レナト、中村憲剛らが並んだ川崎の攻撃陣は迫力満点だわ。風間サッカー、侮れない。まいった。
 そうそう、この試合で残念だったのは、スコアが1-2のときにダヴィが決めたゴールがハンドの判定で認められなかったこと。
 これは、左からのクロスに飛び込んだダヴィのヘディングが、頭にあたったあとで自分の腕にあたってしまい、そのこぼれ球をGKと競り合いながら、足でシュートしたというもの。あきらかに腕にはあたっているし、ファールと判定されるのは仕方ないと思うのだけれど、でもあのハンドはどう考えたって故意じゃないでしょう? 自分のシュートをわざと手で止めるやつはいないって。それなのにレフェリーの村上伸次という人は、この場プレーでダヴィにイエローカードを出した。
 じつはそれより前に、こちらの左サイドからのクロスがペナルティ・エリア内にいた相手DFの腕にあたった場面があったのに、村上さんはその場面ではハンドを取らずに流している。結果、ボールが腕でクリアされた形になって、こちらのチャンスが潰えてしまったにもかかわらず、だ。
 相手の腕にあたったハンドはノーファールで流しておきながら、逆にこっちの腕にあたったハンドはファールにしたうえで、なおかつイエローカードって。そりゃないんじゃないかって、強く思ったのでした。
 あそこで同点になっていたら、また違った展開になっていたかもしれないと思うだけに、あのイエローカードだけは納得がいかなかった。まぁ、ハンドのあともプレーを続けた態度が非紳士的ってことなのかもしれないし、こちらもファールはファールと認めている以上、負け惜しみでしかないんだけれど。
 なんにしろ、そういうわけで、3連敗してあっという間に7位まで順位を下げたアントラーズだけれど、それでもサッカーの内容自体は悪くないので、まだそう悲観したものでもないと思う。次節は断トツ最下位の徳島相手だから、勝ち点3濃厚でしょう。そのあとはW杯のための中断期間に入る。W杯後の巻き返しに期待しよう。
(May 10, 2014)

鹿島アントラーズ1-0徳島ヴォルティス

J1・第14節/2014年5月17日(土)/カシマサッカースタジアム/BS1

 ついにブラジルW杯まであと一ヶ月を切って、これが大会前の最後のリーグ戦。
 3連敗中のアントラーズとしては、是が非でも勝って終わりたい試合だ。このタイミングで対戦するのが、今季から四国勢初のJ1クラブとなったはいいけれど、ここまで1勝1分あと全敗で、早くも降格ほぼ確定ってイメージの徳島ヴォルティス。ある意味、とてもラッキーな巡りあわせではある。
 もちろん、結果はこちらの勝ち。――とはいえ、思ったほど楽に勝たせてはもらえなかった。というか、思いのほか、点が取れなかった。
 序盤戦は1試合3失点はあたり前みたいなイメージだった徳島だけれど、ここへきてようやくJ1での戦い方にも慣れたのか、先日はFC東京を相手にスコアレス・ドローで勝ち点1を奪っている。この試合でも、鹿島の幾度とないチャンスをしのいで、終盤にはこちらをヒヤリとさせるシーンを作ってみせていたし、もしかしたら、後半戦ではカモだと油断をしていて、足をすくわれるチームがもっと出てくるかもしれない。
 まぁ、とはいっても、スタメンに名を連ねているのは、これまで名前を聞いたことのない日本人選手ばかりだし、唯一の外国人が左SBのアレックス(元アントラーズ。お~、ひさしぶり)だというんだから、やはり戦力不足の感は否めない。ここまで知名度の低い選手ばかりのJ1クラブって、僕は初めてな気がする。やはりこのクラブ相手に勝ち点3を取りこぼすようなクラブは今年は苦しかろう。
 さて、ということで、この日の鹿島は、前節のスタメンから左SBを前野に替え、ワントップを赤崎に替えた布陣。
 おぉ、赤崎秀平J1デビューか!――と思ったら、違った。僕の観ていない第9節の新潟戦ですでにデビューを飾っていた。
 まぁ、なんにしろ30歳のダヴィに替えて、22歳の大卒ルーキー赤崎がスタメンなのだから、ただでさえ低い平均年齢がさらに低下したのは間違いなし。なにげに前野(26歳)も山本脩斗より年下だったりするし。
 数えてみたら、30代はオガサとソガのふたり、20代後半が遠藤と前野のふたりで――このふたりはなんと同い年で、誕生日が1週間しか違わない――、あとの7人がハタチ前後。
 まるでオーバーエイジ枠を使ったオリンピック代表状態。これでここまでリーグ戦の首位争いをしているんだから、ほんとすげー、今年のセレーゾ采配。恐れ入りました。
 いやしかし、赤崎はとてもよかった。決勝点となったゴールはもとより、その他にも惜しいシーンがいくつかあったし、とにかく積極的にシュートを打とうという意欲がちゃんと感じられるところがいい。もしや大迫が抜けた穴を埋めるにはもってこいの逸材なんじゃないでしょうか。後半戦の活躍をおおいに期待したい。
 ということで、試合は前半なかばに土居のクロスから赤崎がゴールを決めた1点を守り切って鹿島の順当勝ち。後半途中からは、ひさしぶりに中田浩二が出てきたのが嬉しかった。
 この結果、アントラーズは暫定4位で前半戦を終了。首位のレッズとの勝ち点の差は5で、ACLの関係で1試合少ない広島、川崎にも抜かれる可能性はあるものの、去年おととしの成績からすれば、ほんと上出来だ。後半戦もこの調子でがんばってもらいたい。
(May19, 2014)

日本1-0キプロス

親善試合/2014年5月27日(火)/埼玉スタジアム2002/日本テレビ(録画)

 気がつけばブラジル・ワールドカップ開幕まであと2週間ちょい。注目の最終選考も終わって、いざ出陣!――ってことで、国内最後の壮行試合として行われたキプロス戦。
 ザッケローニがブラジルW杯のために選んだ代表選手は(以下背番号順で)、川島、内田、酒井高徳、本田、長友、森重、遠藤、清武、岡崎、香川、柿谷、西川、大久保、青山、今野、山口蛍、長谷部、大迫、伊野波、斎藤学、酒井宏樹、吉田麻也、権田、以上の23人。
 大久保がサプライズ、細貝でなくて青山というのがちょっと意外ってくらいで、あとはいたって順当な印象。
 サプライズのふたりにしたって、大久保はあまりに意外性がないと世間がうるさいからで、青山はJ1二連覇の広島からひとりもいないのも不自然だから、といったバランス感覚が働いた印象を受ける。その辺もある意味、ザッケローニらしいかなと思う。
 個人的に残念なのは、柴崎と中村憲剛が選ばれなかったこと。そういやアントラーズからひとりも選ばれなかったのは今回がはじめてだそうだ。まぁ、大迫とウッチーはいまだに鹿島の選手という印象だから、選出ゼロといわれてもピンとこないけれど。
 さて、ということで、この23人のなかからこの日のスタメンに選ばれたのは、GW川島、DF内田、森重、今野、長友、MF山口、遠藤、岡崎、本田、香川、FW柿谷という11人。
 前半はこのままで戦って、後半キックオフから内田→酒井宏、今野→麻也、遠藤→長谷部の3人が交替、その後も柿谷→大久保、岡崎→清武、長友→伊野波と、計6人の交替があった。大迫は残念ながら出番なし。
 故障による長期離脱から復帰したばかりのウッチー、長谷部、麻也の3人は45分間だけの起用で、今シーズンはクラブでの出場機会に恵まれず、試合勘に不安のある本田、香川がフル出場というのは、納得のゆく采配だった。森重と山口蛍がフル出場というのも、なにげに序列の崩れを感じさせて、今後が気になる。
 ただまぁ、本田の出来がひどい。噂によると走行距離、パス数はチームいちだったようだけれど、ひとつひとつのプレーが精度と安定感を欠いていて、いいときの半分のプレーもできていない感じだった。得意のはずのFKとか、なんだそりゃってくらい思い切りふかしていたし。ミランでもこの調子だったとしたら、たたかれるのもあたり前だろうなと思ってしまった。
 なんでも直前の合宿では限界までフィジカルを追い込んでいたので、この試合ではチーム全員がコンディションにかなり難があったそうだけれど、それにしてもちょっとねぇ……。
 香川にしても、得点に絡みこそすれ、ベストにはほど遠いようだし──この日唯一のゴールは香川のシュートのこぼれ球をウッチーが決めたもの──、長谷部ら故障明けの選手たちの試合勘のなさも心配だ。麻也はサイドチェンジのロングパス、つづけてミスっていたりするし。おいおい、大丈夫かと思ってしまった。今野もクラブでボランチとして起用されていて、CBの練習が絶対的に不足していそうだし。みんな、あと2週間ちょいでどれだけ上向くものか、どうにも心許ない。
 とはいえ、ガタイのいいキプロス相手――守備力は高いけれど、攻撃力ゼロって印象だった――にほとんどの選手が一対一で負けていなかったのには感心はした。欧州リーグでの武者修行による個々のレベルアップは確実に感じられた。とくに長友は、ほんと頼もしい――といいつつ、その長友もなにかトラブルがあったらしく、後半途中で交替してしまったのだけれど……。ほんと、大丈夫か、今回の代表。
 過去の代表とくらべて、実力の上ではまったく心配のないザック・ジャパンだけれど、それでもやはり今回も安心して期待だけを胸に本大会を迎えるってわけには、やはりいかないみたいだ。
 当初はこれが大会前の最後の代表戦、みたいな話もあったけれど、さすがにそんなわけがなく、このあと、大会前のアメリカ合宿中に、コスタリカ、ザンビアとの試合が行われるとのこと。当然だよね。この調子で次がもう本番だなんてことになったら、ほんとシャレにならない。
(May 27, 2014)