2010年10月のサッカー

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  1. 10/03   F東京3-0湘南 (J1・第25節)
  2. 10/08 ○ 日本1-0アルゼンチン
  3. 10/12 △ 韓国0-0日本

FC東京3-0湘南ベルマーレ

J1・第25節/2010年10月3日/国立競技場/BS-TBS

 FC東京サポーターがわが家に遊びにきていたので観ることになった、およそ2ヶ月ぶりのJリーグ。アントラーズ戦以外のJリーグの公式戦をフルタイム観るってのも、なんだかむちゃくちゃひさしぶりだ。調べてみれば、じつに2年半ぶり。
 それというのも、要するにアントラーズがリーグ3連覇中だったので、シーズン終わりの優勝のかかった試合がすべてアントラーズ戦だったからにほかならない。毎年、優勝がかかった試合はチームを問わずに観るようにしているけれど、幸運にもここ3年はそれがすべてアントラーズ戦だったわけだ。
 だた、今年はどうも苦しい展開になってしまっている。現在リーグ2位のアントラーズと首位グランパスとの勝ち点の差はじつに9。残りは9試合だから、鹿島が残り全勝したとしても、名古屋が3敗してくれてようやくイーヴンだ。つまり名古屋が残り2勝1敗のペースでいくとすると、こちらはひとつも落とせない。これはちょっと苦しい。うーん、万年Bクラスだった名古屋をここまで引っぱってくるとは、ピクシーおそるべし。
 まあ、そんな風にまだかろうじて優勝戦線に首の皮一枚でぶら下がっているアントラーズとは対照的に、今年の優勝候補の一角だと思っていたFC東京は降格レースの真っ只中にいたりする。なんでこんなていたらくに……と不思議に思っていたけれど、この日の試合を見るかぎり、なるほどこれじゃ苦しいやって感じだった。
 なんたって羽生、梶山、米本という中盤の要というべきレギュラー陣をそろって故障で欠く状況で、いまだ森重をボランチで起用しているってだけでも苦しすぎる台所事情がありあり。頼りになる長友はイタリアへ移籍してしまったし、攻撃陣は軒並み低調。なんたってこの日のツートップ、大黒と平山のゴール数が、この日の結果を入れてもそれぞれ3と2。去年は活躍した石川も2ゴール、助っ人外国人のリカルジーニョが1ゴールってんだから、さびしすぎる。松下や鈴木達也もベンチスタートだし──スタメンが固定できないから低調なのか、低調だからスタメンが固定できないのか──、いずれにせよ、こんな調子じゃ苦戦も仕方ないって気がしてくる。
 この日の試合にしても、スコア上は3-0と快勝しているけれど、内容的にはそれほど楽な試合ではなかった。ボールはまわせるものの、フィニッシュに絡む枚数が足りない。大黒、石川、リカルジーニョと、それぞれのゴールはどれも素晴らしかったものの、たまたまいいところで個人技が決まったって感じが強かった。ずっとこの調子だったとしたら、城副監督が更迭されてしまったのも致し方ない気がする。
 まあ、なんにしろこの勝利で降格圏内からは脱出できてなによりだった。少なくてもJ2に降格していいチームだとは思えないので。とりあえず東京都民として応援している。
 対する湘南ベルマーレは、この黒星で15位のFC東京に勝ち点9の差をつけられて最下位のまま。その差はグランパスを追うアントラーズと同じだけれど、優勝争いをしているチームと降格争いをしているチームじゃ、この先に上乗せできるだろう勝ち点が違う。この調子だと、もう降格は確定的だろう。やっているサッカーは決して悪くなかったので、ちょっと気の毒な気もする。最近のサッカー・ニュースで見る反町監督のへこみ具合には、さすがに同情を感じるようになってしまった。
 降格争いでいえば、勝ち点15で湘南と並んでいる京都もほぼ降格は確定っぽい。加藤久さんの後釜として監督デビューした秋田も気の毒に。
(Oct 04, 2010)

日本1-0アルゼンチン

2010年10月8日(金)/埼玉スタジアム2002/TBS

 アルベルト・ザッケローニ新代表監督の初陣。
 トルシエのあと、ジーコ、オシムさん、岡田さんと、Jリーグになじみの深い人がそのまま代表監督に就任していたので、まったく知らない人が率いる日本代表を観るのはじつに12年ぶり。それだけでもずいぶんと気分が新鮮だ。
 まあ、とはいってもベスト3入りがノルマとされるアジアカップまであまりに時間がない。ザッケローニがどんなに優れた手腕を持っていようと、こうした状況ではそうそうリスクは冒せないだろうから、当分は岡田ジャパンのメンバーがベースになるのは間違いない。本当にザッケローニの色が出てくるのは、アジアカップが終わってからだろうと思う。それでも指揮官が新しい人で、その実力が未知数だというだけで、観ているこちらの気分はずいぶんとフレッシュになる。
 記念すべきこの日の試合でザッケローニ監督が選んだスタメンは、GK川島、DF内田篤人、今野、栗原、長友、MF長谷部、遠藤、本田、FW岡崎、香川、森本という顔ぶれ。
 今回は中澤、闘莉王のセンターバック・コンビがそろって故障のため欠場ということで、4バックには間に合わせ的な印象があるけれど(失礼)、その前に長谷部、遠藤のW杯仕様のダブル・ボランチを配し、前線に本田、香川、森本といった海外組を惜しみなく起用してきた布陣は、岡田ジャパンと原さんが指揮をとった前の2試合とのいいとこどりをしたよう。ある意味、現状ではベストかつオーソドックスな形という気がする。
 ちなみに今回は今野がMF登録、本田がFW登録なので、JFAがツイッターの公式アカウントで発表したスタメンではDFが3人、MF3人、FWが4人となっていて、「いったいなんだ、このフォーメーションは?」とびっくり仰天したのだけれど、開けてみれば今野はCB、本田がトップ下で、森本のワントップ。フォーメーションは4-2-3-1だったらしい(前線がかなり流動的だったので、よくわかっていないやつ)。
 対するアルゼンチンは、なんとメッシ、テベスらをそろえたベスト・メンバー。なんでも今回はメッシが来日しなかったらば違約金がかかるって話だったみたいだけれど、それにしてもこれほどの強国がちゃんと主力を揃えて親善試合にやってくるなんて、めったにないんじゃないだろうか。しかもそれが試合開始早々から、マジ?って思ってしまうほどのすさまじいプレスで日本ゴールを脅かしてくるんだから、びっくりだ。
 とくにメッシは、やはり上手すぎ。彼がボールを持つと、誰も止められる気がしない。いきなり栗原がバタバタした守備であわや失点というピンチを招いたりしたもんで、最後までこの調子だったら、何点取られるか、わかったもんじゃないと冷や冷やだった。
 ただ、その序盤の猛攻をしのいだあとは、徐々に日本代表も盛り返せるようになる。やはりヨーロッパから地球を半周して集まってくる主力には疲れがあるらしく、イージーなミスから日本にインターセプトを許すシーンが多発。日本はそこからのカウンターでチャンスを作れるようになっていった。
 で、前半19分。相手ゴール前での攻防から、うしろから上がってきた長谷部が自分の前に空いたスペースを見つけると、ためらわずパンチの効いたミドルシュートを放つ。相手GKがこれを弾いて止めたところへ、岡崎が駆けこんできて、相手より一歩先にボールに追いつきシュート! アルゼンチンを相手にまさかの先制点をあげる。
 まあ、でも相手はあのアルゼンチンだ。さすがにこのまま勝たせてもらえるなんてことはないだろう……と思っていたら、まさかまさか。結局、この1点を守りきって、日本が勝ってしまう。いくらアルゼンチンの出来が悪かったからって、中澤、闘莉王がいないのに、完封勝利って、ちょっとすごすぎないですか? あのふたりがいないと、どうにもならないって感じだった岡田さんとはえれぇ違いだ。
 まあ、とはいえ試合内容はアルゼンチンのボール支配率が圧倒的で、守備的だったW杯に近いものがあった。でもそんな中、攻撃でも光るシーンがいくつもあったのが素晴らしい。とくに香川はドイツを騒がせているだけあって、こんなに上手かったのかと驚かされるシーンがいくつもあった。もともと上手いとは思っていたけれど、そこに自信が上乗せされて、手がつけられなくなっている印象。いまの彼だったら、世界のどこへいってもプレーできる気がする。
 あと、おっと思わせたのが途中出場の前田(ちなみにそのほかの途中出場は阿部、関口訓充{くにみつ}、中村憲剛、西川。関口はベガルタ仙台から選出された初めての代表選手だとのこと)。前田はターンしながらのボールのもらいかたが絶妙だった。おいおい、こんなに上手かったのかという感じ。最後のほうでカウンターからの単独ドリブル突破で2点目確実というシーンを演出しながら、シュートを決めきれなかったのはなんだったけれど、それでも彼の動きにはもっと見たいと思わせるものがあった。さすが昨年度J得点王。香川にしろ、前田にしろ、こういう選手たちがW杯に出ていない日本って、ある意味すごいんじゃないだろうか。
 そのほかだと遠藤、長谷部のダブル・ボランチは中盤の底で非常に効いていたし、川島は川口、楢崎のあとを継承するに十分な落ち着いたプレーを見せていて頼もしかった(ただし最後のほうで股関節を痛めて西川と交替)。われらがウッチーも(ややアーリー・クロスが多すぎの感はあったものの)いい感じで攻撃に絡んでいた。まあ、なんにしろアルゼンチンに勝っているんだから、悪かった選手なんていようはずがないって感じの一戦だった。
 とにかく、これまで一度も勝てなかったというアルゼンチンに白星をあげてのデビュー戦は上出来もいいところ。試合後のインタビューを読むと、Jリーグにきちんと敬意を表してくれていてとても好印象だし、ザッケローニ監督、いいかもしれない。謙虚で真面目で、とても日本向きの監督に思える。次の韓国戦もとても楽しみになった。
(Oct 09, 2010)

韓国0-0日本

2010年10月12日(火)/ソウル/フジテレビ

 ザッケローニ監督率いる日本代表の二試合目は、宿敵・韓国とのアウェイでの一戦。
 テレビ中継のアナウンサーいわく、日本は2005年以来、韓国に勝っていないんだそうで。えっ、そんなに長いこと負けつづけているんだっけ?と思って、自分の記録をチェックしてみれば、なんだ、勝ってないだけで、そんなに負けつづけていたわけでもない。06年以降は今年になるまですべてドロー(うちPK戦負けがひとつ)。で、今年に入って岡田ジャパンが2連敗したと。なんだよー、悪いのは岡田さんじゃん。
 って、いまさら過去の話を持ち出して責任をつべこべしても仕方ない。5年も勝ってないのは事実なのだから、この辺ですかっと勝って1年を締めくくってもらいたい。なんでも今年の代表戦もこれが最後だというし(でもそもそも、それはなぜ?って感じ。まだ残り2ヶ月もあるのに、これでおしまいって。来年は年明け早々にアジア杯があるというのに。代表監督決定が遅れたことも含めて、どうも今年JFAのやっていることには疑問が多い)。
 ま、なんにしろ今年最後の代表戦だったわけだけれど。
 結果からいえばスコアレスドロー。決して内容は悪くなかったけれど、やはり韓国のきびしいプレスを切り抜けてゴールをこじ開けるには到らなかった。残念。
 この日のスタメンは西川、駒野、今野、栗原、長友、長谷部、遠藤、松井、本田、香川、前田の11人。前の試合から、故障で川島、岡崎が脱落。途中出場でいいプレーを見せた前田が森本に替わってワントップに起用された。あと右サイドが内田篤人に替わって駒野。ウッチーは足の小指がどうとかいう話なので、大事を取ったのかもしれない。まだザッケローニの信頼を勝ち取っていないという可能性も大いにありそうな気もするけれど。
 ただ、この日もわれらが内田篤人には思わぬ早い時間に出番がまわってきた。前半15分もしないうちに、駒野がゴール前でのハイボールの処理の際に、相手にタックルを受けて肩から落ちて負傷退場。そうとう痛そうにしていたので、骨折していたりしないかと心配していたら、やはり骨折だったらしい。せっかくジュビロがナビスコ杯決勝に進出したというのに、かわいそうに。
 なんにしろこのアクシデントのため、篤人はアップの時間も取れないまま、ピッチに立つことになった。あれでは精神的にも入りかたが難しかっただろう。そのせいか、特別に出来がよかったとは思わなかったけれど、でもまあ敵の本拠地で韓国を完封しているわけだから、DFとしては及第点かなと。
 しかし、やはり韓国は手強い。なんだかこの試合は最初から60分くらいは中盤でのつぶしあいをしているうちに終わってしまった気がする。試合がダイナミックに動いたのは、終盤にカウンターの奪いあいになってから。それまではいまいち影が薄い気がしていた本田が頼もしさを見せたのもこの辺からという気がした。
 本田はどうも仲間を信頼していないというか、自らのシュートへの意識が高い分、球離れが遅い感じで、キープ力があるからボールを取られたりはしないけれど、その分、彼が起点になっていい形で攻撃が組み立てられることも少なく、観ていてストレスを感じさせられた。それでも終盤、スペースができてからは彼の独壇場って感もあり。あわやというシーンをいくつか作って、面目躍如してみせたのは、さすがというか、なんというか。
 まあ、本田にかぎらず、この日はとにかく全体的にボールを持ち過ぎだったと思う。もっと味方を信じて、早めにパスをまわしてゴールを目指して欲しかった。この日は香川もいまいち切れがなかったしなぁ。それともあれは韓国のプレスがきつくて、思うようにパスが回せなかっただけなんだろうか。その辺の綾はいまだによくわからない。
 まぁでも、なんだかんだ言って、どちらかというとストレスが高かったのは、ホームの韓国のほうだったんじゃないかという気がする。今回の日本は1対1でも決して負けていなかったし、相手はエースのパク・チソンが欠場していたというのもあるけれど、内容では日本が韓国を上回っていたように思う(贔屓目?)。
 そういや、終了近くに松井からのクロスがペナルティ・エリア内で韓国DFの腕にあたったのに、レフェリーが流してしまうなんてこともあった。あそこで正しくファールを取ってくれていれば、勝っていた試合だもんなぁ……。返す返すも残念だ。
 試合後のインタビューに答えてザッケローニが「パワーの韓国、テクニックの日本」みたいなことを言っていたけれど、確かにこの試合を見るかぎりなら、テクニックってことでいえば、日本のほうが上だと思った。香川や松井みたいな選手、韓国にはいないし。金崎とか憲剛とか、途中出場で出てくる選手だって、上手いと僕は思うし(そういえば香川を引っ込めて細貝を入れたザッケローニ采配にはちょっとびっくり)。身体能力で上回る韓国を相手に、果敢なパスワークで突っかけてゆく彼らのプレーを観ていて、やっぱ俺は日本代表が好きだわ~と思った。ひさしぶりにそう思わせてくれたザッケローニに感謝。
 まあ、とりあえずザッケローニ新体制のもと、新しい日本代表がいい感じで船出できてなによりだった。これで今年の代表は見納めだと思うとさびしいけれど、来年早々にアジアカップが控えていることだし、それを楽しみに待つとしたい。
 そうそう、最後になってしまったけれど、遠藤はこの試合が代表通算100試合目だそうだ。なんでもそれって井原、川口、中澤につづく史上4番目の記録なんだとか。いやぁ、いつの間にそんなにたくさん……。
 まあ、考えてみれば、彼はオシムさんの就任以降、ほぼ出ずっぱりだったから、大まかに1年20試合と考えれば、あれから4年で80試合。それ以前からちょこちょこ出てはいたので、かれこれそんなになるのかぁ。かつては代表では不遇をかこっていただけに、遠藤がそこまでキャップを重ねていたという事実には、なかなか感慨深いものがあった。
 今年も一年間ご苦労さまでした(もちろんきょうの試合も)。で、来年以降もよろしく。
(Oct 12, 2010)