2009年10月のサッカー

Index

  1. 10/08 ○ 日本6-0香港 (アジア杯・予選)
  2. 10/10 ○ 日本2-0スコットランド
  3. 10/14 ○ 日本5-0トーゴ
  4. 10/14 ○ 鹿島3-0千葉 (J1・第30節)

日本6-0香港

アジアカップ予選/2009年10月8日(木)/アウトソーシングスタジアム日本平/BS1

 なんだか知らないけれど、先に決まっていたスコットランドとの親善試合の2日前に、割り込むような形で開催された、香港とのアジア杯予選ホームゲーム。国際Aマッチデーに強豪国と対戦したいということで、開催日を変更したという話は聞いているから、その結果、この日しか都合がつかなかったということなのかもしれないけれど、それにしても、ホームでわざわざ中1日という過密日程を強いる日本サッカー協会はいかがなものかと。おまけにこの試合、ホームでの公式戦にもかかわらず地上波での放送がないし……。日本代表をめぐる状況もどんどん厳しくなっている気がする。
 なにはともあれ、ひさしぶりのゴールラッシュとなったこの試合。得点を決めたのは、岡崎、長友、中澤、闘莉王、岡崎、岡崎で、計6点(前半2点、後半4点)。つまり岡崎はハットトリックだ。うぉー、すげー。
 日本代表でハットトリックなんて見たことあったっけ?──そう思って自分の文章に検索をかけてみても、ひっかからない。つまり僕の記録に間違いがなければ、2002年以降では初ということになる(追記:00年の西沢、高原以来とのこと)。相手が弱かったとはいえ、そりゃ快挙だ。南アフリカにもっとも近い位置にいるFWが岡崎なのはまちがいない。
 でも彼の場合、こういう弱い相手と対戦した時にはやたらと活躍するのに、強豪相手だったり、大事な試合だったりすると、どうにもいまいちな印象がある。最近だとW杯最終予選でのオーストラリア戦とか、この前のオランダ戦とか。ここぞという試合ではノーゴールで終わってしまっている。そういう苦しい試合でゴールして、チームに勝利をもたらしてこそ、真のエースだと思うので──ここまでの代表での成績は立派だと思うものの──、まだまだ全幅の信頼をおいて、チームのエースと呼ぶ気にはなれないのだった。悪いけど。
 まあ、とはいってもハットトリックを決めたくらいなので、この日の岡崎のプレーはとてもよかった。あと、チーム2点目となるゴールをゲットして、そのあとも積極的にシュートを打っていた長友と、途中出場で岡崎の2点目に絡んでみせた徳永。このFC東京の両サイドバックがとても好印象だった。徳永がこのまま代表に定着するようだと、ウッチーもうかうかしていられないかもしれない。
 この日のスタメンはGKが西川、DF駒野、中澤、闘莉王、長友、DF長谷部、遠藤、俊輔、大久保、FW玉田、岡崎の11人。中村憲剛と内田篤人はきのうJでの因縁の再開試合があったため、ベンチ入りさえしていなかった。途中交替は玉田→松井、後半に駒野→徳永、大久保→佐藤寿人の3人。
 楢崎、川口がともに故障ということで、ようやく招集がかかった西川が、この試合でA代表デビューを果たした(そういえばこのところ代表から遠ざかっていた川口は、9月に怪我をして全治6ヶ月とのことで、W杯はほぼ絶望だろう。かわいそうに)。あと、徳永もこれが初代表。
 そのほか、佐藤寿人もひさしぶりの出場だし、玉田が前半に怪我をして引っ込んで、松井の出番が思いのほか早かったりして、少しは新鮮なところもあったけれど、森本、石川直宏、本田という今回の招集の目玉ともいうべき選手たちは、ベンチ入りさえしておらず、岡田さんのあいかわらずの非エンターテイナーぶりが歯がゆい一戦でもあった。
(Oct 08, 2009)

日本2-0スコットランド

2009年10月10日(土)/日産スタジアム/テレビ朝日

 試合前日の記者会見で岡田監督が、スコットランド代表がベスト・メンバーでなかったことに対して「失望した」という発言をしたという報道があったけれど、いざあけてみれば、こちらのスタメンにも前の試合に出場した選手はひとりもいなかった。これじゃあ、ひとの国のことをとやかく言えないんじゃないかと思ったのだけれど、だにしかし。
 もしかして今回のスタメンに関しては、先にスコットランドがそういう姿勢で臨んできたからこそ、岡田さんはあえて全とっかえしたのかなと。「お前らがベスト・メンバーでこないんならば、こっちだって考えがあるぜ」と。そう思ったのかなという気がしなくもない。だとしたら、それはそれで悪くない。代表監督として持っていてしかるべき矜持をみせてくれたのかなと思う。
 ということで本日のスタメンはGKが川島、DFが内田、岩政、阿部、今野、MFが稲本、橋本、中村憲剛、石川直宏、本題、FWが前田のワントップという布陣。個人的な一番の朗報は、岩政がようやく代表デビューを果たしたこと。スコットランドはあまり攻撃に迫力がなかったけれど、無失点で終えたのだから及第点だと思う。
 そのほかだと石川直のスタメン出場が注目されるくらい。前の試合に出ていなかった憲剛と篤人、それにGKの川島はレギュラー格だし、それ以外もこれまでにそこそこ代表歴のあるしている選手なので、全とっかえしたしたわりには、印象的はそれほど大胆な起用という気がしなかった。
 なにより、もっとも注目された森本がベンチ・スタートだったのにはがっかりだ。結局、森本の出場機会は後半30分のみ。今回の連戦を過ぎるとW杯の直前まで欧州組を招集できる機会がないという噂もあるので、なけなしの出場機会を有効に使いきらない岡田采配には、やはり違和感をおぼえてしまった。
 まあ、そんなわけで、スタメンの大半がいつもとはちがうので、コンビネーションはいまひとつ。スコットランドは、ベスト・メンバーではないといったところで、そこはやはり欧州のチームだ。攻撃力こそあまりなかったものの、中盤からのプレスが的確で、香港戦のように簡単にはプレーさせてくれない。結果、この試合はいまいち盛りあがりに欠ける印象になった。これまでスコットランドとは2回対戦して、どちらもスコアレス・ドローに終わっているとかいうので、今回もその再現になるかと思った。
 そんな試合の流れを変えたのは、時間ももう残り10分を切ってから、稲本と代わって途中出場したばかりの駒野が蹴り込んだ1本のクロス(ちなみに駒野が入ってからは、彼が左サイドで、今野がボランチ。そのほかの途中出場選手は、徳永、松井、大久保)。これが相手のオウン・ゴールを誘って、ようやく日本が先制した。
 このまま相手のオウン・ゴールの1点だけで終わってしまったら、勝ったとはいえ、スコアレス・ドローのままだったのと、それほど気分が変わらなかったような気がするけれど、ところがこの日の日本はそのあと、もう1点を流れの中から奪って見せた。これがでかかった。
 2点目の起点となったのも、やはり駒野のクロス。これをゴール正面で受け取った森本が、絶妙のトラップからターンして、一瞬でシュートまで持ってゆく。その反応のよさが、さすがセリエA仕込み。このシュートは相手DFにあたってしまったものの、その跳ね返りを本田が決めて、貴重な2点目が生まれた。ゴールを決めた本田よりも、その前に決めそこねた森本のプレーの方がインパクトが強い得点だった。
 結局、試合はそのまま終了して、スコアは日本の2-0。まあ、内容はそれほど濃くなかったけれど、その2得点のおかげで、それなりに納得のゆく結果だった。
 初出場の岩政は、前述したとおり、無難なプレーを見せてくれたし、石川も前半は積極性が際立っていて好印象だった(ただし後半はやや消え気味だったため、20分過ぎに松井と途中交替)。森本もオフサイド・ラインの裏をつくポジショニングのよさや本田のゴールの伏線となるシュートの場面などで、その才能の片鱗をみせつけた。
 いっぽうで本田はゴールこそ決めたものの、それ以外の場面ではまるで存在感がなかった。稲本もしかり。きょうのようなプレーをしていたら、このふたりが俊輔や長谷部からレギュラーを奪いとるのは、まず無理のような気がする。でも、稲本がキャプテン・マークを任されていたのは、それなりに感慨深かった。
(Oct 11, 2009)

日本5-0トーゴ

2009年10月14日(水)/宮城スタジアム/TBS

 なんだこりゃって試合だった。開始からわずか10分ちょっとで一気に3点って……。こんなイージーな試合、ひさしく観たことがない。日本が強いんだか、トーゴが弱いんだか、わからない。いや、おそらく後者だろう。なんたってW杯・南アフリカ大会は予選敗退が決まったそうだし、モチベーションが低くてあたり前。序盤からあまりに簡単に点が入ってしまって、歯ごたえないもいいところだった。
 おまけに、素晴らしい入り方をした日本代表だったけれど、いきなり3点を取って気が緩んでしまったのか、その後は序盤のなにごとかと思うような決定力を失い、チャンスに外しまくる、いつものサッカーに戻ってしまう。まったく、なんだかなあという感じだった。
 そもそもこの試合、僕は試合前にインターネットでベンチ入り選手を確認して、愕然としたんだった。もしやスタメンもあるかと思っていた岩政が、ベンチ入りさえしていなかったからだ。それどころか阿部ちゃんもいない。つまり前の試合のセンターバックがふたりともお役御免になっている。スタメンのCBは中澤、闘莉王のふたりで、サブに控えているのは、今回が初招集の岩下敬輔(清水)のみ。で、結局、その岩下も出番はなし。つまりこんなに手ごたえのない相手に、岡田さんは最後までレギュラー当確のふたりを使いつづけたわけだ。中澤、闘莉王の実力はもう十分にわかっているんだから、なにもこんな試合に最後までペアで使う必要はないだろうに……。
 ほんと、岡田さんは彼らが出場できなくなった場合をきちんと計算に入れているんだろうか。どちらかが怪我をしたりしたら、どうするつもりなんだろう。本大会での対戦相手のレベルを考えれば、彼らがきわどいプレーでイエローカードをもらって、出場停止になるという展開だって十分考えられる。そのときのためにも、信用できるCBをもうひとりふたり選んでおいて、できる限りの経験値を積ませておく必要がありやしないか。いざというときに使えるのが、本来はボランチの阿部や今野というのでは、あまりにも心もとない。
 ということで、快勝したこの試合ではあったけれど、僕はそんなことをつらつら思いながら、ネガティヴな気分で観始めたため、いまひとつ盛りあがりに欠けてしまった。
 スタメンは川島、徳永、中澤、闘莉王、長友、長谷部、遠藤、俊輔、憲剛、岡崎、森本の11人(ウッチーがついに徳永にスタメンを奪われてしまったのも、僕のがっかり感に拍車をかけた。後半から出てきたけれど、出来はいまいちだった)。
 とにかく徳永と森本以外はがちがちのベスト・メンバーだったわけだ。本大会までまだまだ時間があるんだから、なにもこの時期の親善試合に、こんな見慣れた顔ぶれでのぞまなくたってよさそうなものだ。おまけにせっかくスタメンで起用した森本も前半だけで替えてしまうし。なんかもう、選手起用に納得がいかなすぎて嫌だ。かゆいところに手が届かない感じがして、じれったくて仕方ない。
 とはいっても、サッカーの内容自体は悪くなかったし、個々の選手はいいプレーを見せてくれた。相手が弱かったというのもあるけれど、ほんと、最初の15分くらいは完璧な出来だった。なんたって前半だけでCKが11本だから、いかに日本が攻めまくっていたかわかる。まあ、前半途中から決定力を欠くようになってしまったのは残念だったけれど。
 序盤の岡崎の2点は、たたみかけるようにサイド攻撃を重ねていった結果だった。クロスの精度を上げるというのが今回のテーマだったというような噂なので、その成果は十分に出た感がある。サイド・チェンジやショート・コーナーを多用したりして、攻撃にバラエティがあったのもよかった。
 3点目の森本の代表初ゴール(祝!)は、相手DFのブロックにあたり負けず、シュートまで持っていったしぶとさが素晴らしかった。後半の頭から出てきた本田も、前の試合よりはボールに絡んでいた。彼の場合、最後にまたもやごっつぁんゴールを決めるあたり、ツキも持っている気がする。2試合連続ゴールで、とりあえず代表でのポジションはキープした感じ。
 そのゴールにつながるクロスを放り込んだのは石川。出番は最後の10分程度だったけれど、彼のプレーには常にゴールを目指してるような迫力があって、とても好印象だった。僕はもっと彼のプレーを長く観たかった(ここでも岡田さんへの不満が……。ちなみにそのほかの途中出場は大久保、今野、寿人)。
 でも、なんといってもこの日の主役は、チームの4点目を決めて、またもやハットトリックを達成した岡崎。いやはやすごいや、びっくりだ。相手が弱かったとはいえ、ここまで決めてくれてしまうと文句のつけようがない。あとはこの決定力の高さが、もっと強い国を相手にしたときにも発揮できるか、だろう。日本サッカー協会が、本大会前にひとつでも多く強豪国とのカードを組んでくれるよう期待するしかない。
(Oct 15, 2009)

鹿島アントラーズ3-0ジェフユナイテッド千葉

J1・第30節/2009年10月24日(土)/カシマスタジアム/BS-TBS(録画)

 「お、一ヵ月ぶりにアントラーズ戦のテレビ放送がある!」と思ったら、残念ながらエレカシの野音とかぶっていた。仕方なく帰宅後に録画で観たのだけれど、雨の中での3時間近いライヴのあとで疲れていた上に、ライブ後の恒例で飲んでいたし、しかも前の晩に夜更かして睡眠不足だったので、観ている途中でうつらうつら……。
 まあ、それでもひさしぶりの快勝で、勝ち点3を積み上げられたのでよかった。白星はじつに2ヶ月ぶりだそうだ。このまえ勝ったのが、8月に義妹宅でスカパー観戦させてもらったFC東京戦だというんだから、ちょっと驚く。そんなに勝ってなかったんだ……。よくもまあ、まだ2位につけているもんだ(この白星で暫定首位)。序盤の快進撃がなければ、いまごろ順位表の真ん中あたりをうろちょろしていたんではないかという、このところの低迷ぶりだった。
 この日は出場停止の内田篤人のかわりに新井場が右サイドにまわり、左サイドはひさしぶりの出場となるパク・チュホ。さらに青木が調子を落としているということで、オリヴェイラさんはこれまで全試合にスタメン出場させていた彼をベンチに下げ、中田浩二を起用してきた。あとのメンバーはいつもどおり。
 中田浩二の起用でチームがどう変わったか、寝ぼけまなこの僕にはよくわからない。ひとつ前のジュビロ戦では青木と中田のダブル・ボランチで、オガサを前に上げて本山ベンチという形だったらしいのだけれど、その試合がスコアレス・ドローに終わったため、やはり本山を使わない手はないということで、この日の形になったんだと思われる(この日の本山は、なぜ前の試合に出ていないのか不思議なくらいの出来だった)。結果的に2試合とも無失点に終わっているのだから、中田の起用はおそらく正解なんだろう。でも今後、青木と中田をどう使いわけてゆくのか、オリヴェイラさんにとってはけっこう悩ましい問題のような気がする。
 この日の先制点は興梠。小笠原が相手DFの出したパスを横からかっさらい、ゴール正面から斜めに切れ込む鋭いラストパスを放つと──本人いわく「渾身のシュートミスです」というのがおかしかった──、これに反応した興梠が最終ラインの裏に抜け出して、ボールをねじるようにゴール右隅に流し込んだ。彼はこれがにじつに4ヶ月ぶりの得点だそうだ。ツートップの一角が4ヶ月も得点できていないようじゃ、チームが低迷するのもあたり前な気がする。
 とはいえ、この日の興梠は2点目のマルキーニョスのゴールもアシストしているので、文句はいえない(これも本人いわくシュートミスらしいけれど)。3点目は後半から途中出場した田代。つまりこの日の3点はすべてFWによるものだ。このところの低迷は守備の乱れと同時に、得点力不足に負うところも大きいと思うので、この日の3ゴールでチームが得点感覚を取り戻してくれるようだと、残り4試合での逆転優勝にも望みが持てる。
 対するジェフ千葉には、アントラーズから移籍した深井、中後のふたりがスタメン出場していた。彼らが見返してやるぜとばかりに奮起するようだと手こずるかなと思っていたけれど、序盤にミスから失点を許すあたりは、やはり降格争いをしているチームという感じだった。
 その降格レースでは、この日、早くも大分トリニータの降格が決まった。千葉は現在勝ち点24で17位。降格を避けるには最低でも勝ち点37が必要だと思うので、川崎やG大阪との対戦を残していることを考えると、降格はほぼ確定的。現在16位の柏レイソルも勝ち点27で同じような状況だ。J2との入れ替え戦がなくなったため、どうやら今年のJ2降格はこの3チームということで、ほぼ決まりという雲行き。それぞれにA代表や五輪代表でおなじみの選手がいるチームなので、なんとも残念だ。
 それにしても千葉は、なにゆえアレックス・ミラーを解任しちゃったんだろうか。
 そりゃ今年のジェフは序盤から成績が振るわなかったけれど、それでも現状戦力からすれば、決して負けすぎという感じはしなかった。調べてみれば、ミラー在任時の成績は4勝8敗7分だ。勝ち点で考えれば、1試合に1点は稼いでいた計算になる(つまり全試合ドローだったのと同じ)。そのままでゆくと仮定して単純計算すれば、いまごろ勝ち点30に達していたことになる。まあ、降格レース上にいることには変わりはないけれど、去年、奇跡的な残留を実現させたミラー氏の手腕を考えれば、もっと上にいた可能性だって十分あり得る。
 ところがそんなミラー監督をジェフはなぜか7月末に解任してしまった。ミラー解任後、後任の江尻監督──なんと僕よりひとつ年下──になってからの成績は0勝6敗5分だ。11試合白星なしで、勝ち点をわずか5しか上積みできていない。これじゃなんのために監督を交替させたのかわからない。
 大分が成績不振のためシャムスカを解任したのは、さすがに致し方ない感があったけれど、千葉の場合は、部外者である僕でさえ納得がいかないんだから、サポーターはいまごろさぞや、やりきれない思いをしていることだろう。ほんとうに気の毒だと思う。
(Oct 25, 2009)