2005年12月のサッカー

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  1. 12/03   C大阪2-2F東京 (J1第34節)
  2. 12/10 ○ 鹿島3-0大分 (天皇杯)
  3. 12/24 ● 鹿島0-1大宮 (天皇杯・準々決勝)

セレッソ大阪2-2FC東京

J1第34節/2005年12月3日(土)/長居スタジアム/NHK

 ここのところ十五戦負けなしというセレッソに対して、FC東京も十一戦負けなし。両者の勢いが互角ならば、試合がドローに終わるのは十分期待できる。セレッソがドローに終われば、そしてアントラーズが勝ちさえすれば、勝ち点は同じ。得失点差ならば鹿島が上だ。まだまだ優勝の可能性はある。いや、あったのだけれども。
 結局、最終節はアントラーズよりも上にいたガンバ、レッズの両チームも快勝。アントラーズの優勝への期待は、レッズが2-0で前半を終えた時点でほぼなくなった。その点は千葉ファンも同様だろう。あとの関心は残りの3チーム、どこが優勝するかだった。
 そしてこの試合。西澤の2ゴールで勝ち越したセレッソがそのまま優勝で決まりかと思われた。FC東京も終盤になって息切れし、攻め手を欠いている印象だった。こりゃあ決まっちゃったかと。
 別にセレッソに恨みはないけれど、優勝争いと縁のないところにずっとつけてきていて、最後の最後に出てきたチームに横から優勝をかっさらわれてしまうというのには、なんとも釈然としないものがあった。その点はレッズも同じ。いまさらこの2チームの優勝はないだろうよと、思った人はそれなりに多かったんではないかと思う。前半首位を独走した鹿島、後半リーグ戦の主役を演じたガンバのファンならなおさらだ。そしてサッカーの神様もまた、そう思ったみたいだった。
 89分。ロスタイム3分とあわせてあと4分を守りきれば優勝が決まるという状況においてだ。
 やはりドラマは待っていた。
 FC東京がCKから。
 あの今野が。
 価千金の同点ゴールを決めてくれてしまったのだった。
 このゴールがセレッソから優勝賞金2億円を奪うことになったのだから、まさに価千金。結局5位に沈んだセレッソの賞金は4千万円だそうだ。その差額1億6千万円に価する今野の同点ゴールだった。
 そういえば今野はガンバ大阪との対戦の時にも決勝ゴールを決めている。ある意味、彼は今シーズンの優勝の行方を左右する上で、密かに大きな役割を果たした選手だったわけだ。その存在感を買って、日本代表に定着させてあげたい。
 なにはともあれ、日本代表から外された今でもなお、セレッソでは中心選手としてチームを引っ張り続けている森島や西澤にはかわいそうな結果になってしまったけれども、終わってみればガンバが優勝を決めたことで、順当な結末を迎えた印象の2005年のJ1だった。

 アントラーズの最終順位は3位。得点はリーグ3位、失点2位、得失点差も3位という内容からして、やっぱり順当な順位なんだろう。今年は個人的にはまったく期待できないと思っていただけに、意外なほどよくがんばったというのが正直な感想。アレックス・ミネイロという得点力のあるFWの加入に加え、深井や野沢が成長して、戦力として計算できるようになったのが大きかった。来シーズンは小笠原の動向次第でまた話が変わるだろうけれど、それでも現在の戦力をキープできれば、悪くない成績は残せるんじゃないだろうか。大いに期待しよう。
(Dec 04, 2005)

鹿島アントラーズ3-0大分トリニータ

天皇杯5回戦/2005年12月10日(土)/カシマスタジアム/BS1

 本山が海外移籍を希望しているという報道があったのは先週の中頃だった。いまやチームの大黒柱といえる存在に成長した小笠原がより高いレベルを目指して海外を目指したいというのはわかるけれど、本山についてはかなり疑問を感じた。アントラーズでだって、まだ十分な仕事ができていないじゃないか。ここじゃやることがなくなったから、くらいのことを言えるようになってからにして欲しいところだ。
 ただ彼の場合、極めて日本人的な性格の温厚さを感じさせるので、もしかしたら日本にいたのでは一皮向けるのは難しいのかもしれないなと思う部分もある。その点では海外にゆくという選択は正解なのかもしれない。そう、いかにもおとなしそうな松井大輔がフランスで化けたように、甘えの許されない環境が本山の才能を1レベル上で開花させるかもしれないし。
 まあ本人の意思がどうであれ、まずはオファーがないことには始まらない話だ。今後の動向に注目したい。
 ということでもしかしたら小笠原と本山のコンビのプレーが鹿島で見られるのは、この大会が最後かもしれないという一抹のさびしさを感じつつの観戦となった年末好例の天皇杯、その第五回戦。
 相手はシャムスカ監督就任後、めっきりと調子をあげて、リーグ戦後半に好成績を残した大分トリニータ。だてにいい成績を残したわけじゃないんだなと思わせる守備意識の高さで序盤は苦しめられた。キャプテン吉田孝行と高松のツートップにマグノ・アウベスが絡む前線はなかなか迫力があって、意外とあなどれない。
 対するアントラーズは序盤、出来がやたらと悪く、キックオフ直後からミスを連発する。トニーニョ・セレーゾ曰く、開始時刻がいつもより早かったせいで、頭がぼうっとしている選手がいたようだとのこと。それにしてもこの試合の立ち上がりは本当にひどい出来だった。パスミスだらけで、まったくボールがつながらない。折りしも第一回目となるトヨタカップ・クラブ選手権の開催直前で、出場を逃した日本のクラブチームが、世界を相手にどのくらい戦えるのかが気になっている時期だ。日本でもトップレベルのはずの鹿島がこんなサッカーをしているようじゃ、世界とはとうてい戦えないだろうと情けない気分にさせられる内容だった。
 それでも十分を過ぎたあたりから、ようやくエンジンが温まってきたようで、段々と鹿島らしさが出てきて、ほっと一安心という感じになる。その後は危なげのない試合で、24分にはフェルナンドのFKが直接決まって先制。相手GKがヘディングであわせようとした岩政の動きにつられて、ボール本来の軌道を追いそこねた形だった。
 2点目は後半。本山の右サイドからのセンタリングを岩政(かフェルナンド)が頭で折り返し、ゴール前に詰めていたアレックス・ミネイロがフィニッシュを決めたもの。
 そしてこの日のベスト・ゴールは3点目。ペナルティ・エリアへドリブルで切れ込んだ小笠原が、相手ディフェンダーを引きつけておいて、空いたスペースへラスト・パス。ここへ駆け込んだ本山が、GKの動きを見て、ループ・シュートを落ち着いて決めた。才能ある二人の連係から生まれた駄目押しの3点目は、来季は見られなくなるかもしれないという思いもあって、感慨ひとしおだった。
 ということで序盤こそ心配させられたこのゲームだったけれども、終わってみれば3-0で快勝。無事準々決勝進出を決めた。
 優勝杯へのカウントダウンはあと3つ。次の対戦相手は大宮アルディージャ。その次はおそらく浦和レッズだろう。決勝で戦う可能性があるのはガンバ大阪(か柏)、セレッソ大阪、ジュビロ磐田、そして清水エスパルス。次の大宮戦以降は、あまり楽な戦いはさせてもらえそうにない。
(Dec 13, 2005)

鹿島アントラーズ0-1大宮アルディージャ

天皇杯準々決勝/2005年12月24日(土)/仙台スタジアム/BS1

 当然、元日の決勝までゆくつもりでいたのに、それがまさか大宮によって阻まれてしまうなんて……。サッカーは難しいなあと、一年の最後になってあらためて思わされた。
 この試合のスタメンは曽ヶ端、名良橋、岩政、大岩、新井場、小笠原、フェルナンド、本山、深井、アレックス・ミネイロ、野沢という顔ぶれ。小笠原をボランチに起用して、青木にベンチを温めさせるというこの起用が、今年のアントラーズの問題を一番よく表していたように思う。
 この試合の小笠原は守備でファールを連発して、結局残り時間も少なくなってから、2枚目のイエローをもらい、退場してしまった。後半はいやに存在感がなかったし、この日の彼は出来がいまいちだったと思う。それでなお不慣れなボランチではなおさら分が悪い。本来の攻撃的なポジションでプレーさせてあげていたら、どうだっただろうと思わないではいられない。
 今年のアントラーズが優勝戦線に絡む成績を支えたのは、野沢と深井の二人の成長だと思う。けれど彼らの存在感が増したことにより、指揮官は采配の振り方が難しくなってしまったんじゃないだろうか。それでなくても、もとより小笠原と本山という才能あるオフェンシブMFを擁するアントラーズだ。そこにさらに攻撃のオプションとして二枚が加わった。FWには日本代表の鈴木に加え、得点力のあるアレックス・ミネイロが加入している。誰だってこれらの駒をどう使うべきか、頭を悩ませることになる。
 結果、割を食ったのは青木で、彼が本来のボランチのポジションを奪われて右サイドに追いやられたり、ベンチスタートを余儀なくされたりすることになった。名良橋が故障していたため、右サイドが手薄だったのも彼には不運だった。僕が密かに今年のアントラーズの命運を握る選手だと思っていた青木くんは、チーム事情に流されるようにしてチームの命運を握り損ない、貴重な一年を消化不良で終えることになった(おそらく)。
 対する大宮はといえば、このところのJ2からの昇格チームにありがちなパターンで、しっかり守って、手数の少ないカウンターで思い切り良くゴールを狙うという戦術が徹底されていた感じがした。ゴールを決められるまでも、何度となく思い切りのいいシュートを打たれていたし、得点の期待度では鹿島より上だったんじゃないだろうか。
 ということで今年の僕のサッカー観戦はこの試合で最後となってしまった。トニーニョ・セレーゾ監督の指揮をとるラスト・ゲームもこれが最後だ。ファンとしては今いち欲求不満の残る内容となってしまって残念だ。これでもしも小笠原が移籍することになると、彼のアントラーズでのラスト・マッチが退場で終わったことになってしまう。それもなんとも残念だ。願わくばあと一年だけでも、日本に残って欲しいのだけれど……。
 とにかく正直なところ、今年は当初の予想に比べれば上出来だった。来年はもっともっと上へ。僕も負けずに精進したい。
 いざ、ワールドカップ・イヤーへ。
(Dec 29, 2005)