2005年9月のサッカー

Index

  1. 09/03 △ 鹿島2-2浦和 (J1第22節)
  2. 09/17 ○ 日本5-4ホンジュラス
  3. 09/17 ○ 鹿島4-0神戸 (J1第24節)
  4. 09/24 △ G大阪3-3鹿島 (J1第25節)

鹿島アントラーズ2-2浦和レッズ

J1第22節/2005年9月3日(土)/カシマスタジアム/BS1

 前半、鈴木隆行が倒されてPKをゲット。これを小笠原がフェイント気味に決めて先制。その後にカウンターからアレックス・ミネイロが放ったミドル・シュートが坪井の足に当ってコースが変わり、GKが逆を突かれる形で追加点。2-0で前半を終了した上に、後半15分に主審のあやふやなジャッジに切れた闘莉王が暴言を吐いて立て続けにイエローを二枚もらって退場。これでもう今日は楽勝、かろうじて首位キープと思った。
 ところがそのあとが問題だ。この日はベンチスタートだったアレックス──なんでも奥さんの出産のためにチームを離れていたため、スタメンは見合わせたらしい──が途中交替でピッチに登場した途端、流れはもう完璧に浦和へ。彼のアシストから2点を奪われて同点にされてしまい、その後は反撃の糸口がつかめないどころか、逆転を許しそうな情勢のまま、どうにかドローで試合を終えた。途中出場のリカルジーニョはなんの仕事もできなかった感じだ。彼の獲得はチームにとってどうなんだろう? まあ獲得した外国人をサブに置いておけるチーム力の充実は素晴らしいのだけれど。
 なにはともあれ、前半の二点のアドバンスを考えると、この日の引き分けは最低の結果だった。浦和は水曜日にナビスコ杯を戦っているわけだし──悲しいことに鹿島は9年ぶりの予選リーグ敗退──コンディションはこちらの方がいいはずなのに、先に足が止まってしまったのはアントラーズの方だった。それがなんとも情けない。裏ではガンバ大阪がヴェルディとの接戦を0-1で制して、ついに首位に踊り出た。まだまだ試合は残っているけれど、チームの勢いの差を考えると、どうにも分が悪い気がしているのは僕だけじゃないはずだ。まずいなあ。
(Sep 04, 2005)

日本5-4ホンジュラス

2005年9月7日(水)/宮城スタジアム/テレビ朝日

 定番の4バック+海外組6人という布陣でのぞんだ試合。高原と柳沢のツートップはトルシエ時代以来だとかいう。ヒデと俊輔のダブル司令塔に、ボランチは稲本と中田浩二。故障中の小野がいたらば浩二の出番はなかっただろう。そういう意味では浩二にはまたとないチャンスだった。結果は結構出せたのではないかと思う。なんたって先に交替したのは稲本だったし。イナには厳しい風が吹いている。
 川口が故障中のため、GKは楢崎だった。けれどどうもこの頃は楢崎が先発すると試合が荒れるというか、苦戦必至という印象がある。そんな彼のせいというわけではないけれど(絶対それはない)、この日の試合はまれに見る乱打線となった。日本代表でこういう内容の試合を観たのは初めてだと思う。
 なにしろ前半途中でいきなり2点のビハインドを追う展開。まずは日本の一番の弱点であるアレックスのサイドを見事に破られた。この日の得点は3点目のヒデのミスからの1点を除くと、どれもサイド攻撃のお手本を教科書に書いてあるとおりに実演して見せてもらってしまったような綺麗なゴールだった。試合後にホンジュラスの監督が「失礼ながら日本はもっと守備に力を入れたほうがいい」と忠告してくれていたらしいけれど、そういいたくなるのももっともだ。あんな風に左右から同じような形で3点もとられるというのは絶対に組織に問題がある。僕は4バックの起用に関しては、ある程度の失点は覚悟しなきゃいけないだろうと思っているけれど──この日の決勝点にアレックスが絡んでいるのを考えれば、彼の守備でのマイナスは相殺されて0といえなかないだろう──、しかしこの試合での失点の形はあまりにもひどすぎた。やっぱり4バックの起用については、もう少し慎重に見極める必要があるのかもしれない。
 とはいっても4点を奪われながら、そしてつねに先行されながらも逆転で勝ったという結果は、非常に高く評価していい。少なくても僕はこんな勝負強い日本代表は見たことがない──って、いや、アジアカップでのバーレーン戦が印象的には近かったか。いずれにしてもこうした粘り強さはジーコのチーム作りがもたらしたものだ。アンチ・ジーコな人にもそれはきちんと評価して欲しいと思う。
 なんにしろ試合はいきなり2点を先行される展開。それでも相手のミスから高原がひさしぶりのゴールで泥臭く1点を返し、よし1点差で前半は終了かと言うところで、ヒデのまさかというミスにより3点目を奪われる。チームリーダーのミスからの失点で前半を終わるという展開は最悪に思えた。
 後半は早い時間にセットプレーから柳沢がどんぴしゃのヘッドを決めてまた1点差とするも、その直後に加地のサイドを崩されて──本当に1点目の鏡写しのリプレイを見ているようだった──4失点目。見ているこちらには絶望感が漂う。
 ただ基本的にはボールを支配できていた日本はその後も攻勢を続け、宮本がペナルティエリア内で迎えたシュートチャンスに後から倒されてPKをゲット。これを俊輔がきちんと決めてまた1点差。
 同点ゴールは柳沢。相手DFの隙を見逃さず、ドリブルで持ち込み遠目から思い切りよく打ったシュートは、GKの手を弾いてゴールネット左を揺らした。彼のこれまでにない積極性は、イタリアでの経験に加えて、おそらく同じタイプの大黒の台頭に刺激されてのものだろう。ヤナギには散々期待を裏切られてきたけれど、もしかしたら今、日本代表のFWで一番先頭を走っているのは彼なのかもしれない。
 決勝ゴールはわれらが小笠原。アレックスからのマイナスのパスにインサイドであわせた落ち着いたシュートだった。稲本と交替して途中出場した彼は──イナのポジションには前半途中から下がり目でプレーしていたヒデがそのまま入った──敵将に一番印象に残った選手の一人として名前をあげられていたそうだ。確かに彼が入ってからの安定感には、これならいけると思わせるものがあった。僕は基本的にワントップにしてでも、ヒデと俊輔とオガサを一緒に使って欲しいと思っている人間なので、彼がこうして結果を出してくれたことをなによりも嬉しく思う。
 最後は相手の反撃に手を焼き、俊輔に代えて田中誠を投入。フォーメーションを得意の3バックに変えて、なんとか逃げ切った。逆転した時点で、もうこれは絶対勝って終わらないといけない試合だった。あれだけの失点を許した試合で、あそこからさらに同点、逆転となったらばもう目も当てられない。そういう意味では、最後に得意な逃げ切りの形を取れるだけの引き出しの広さがあるってのは、それなりに評価できる。ホント、あの時間帯は田中誠が頼もしく見えて仕方なかった。いいのやら、悪いのやら。
 とにかく課題山積みの観ていて疲れることこの上ない一戦だった。
(Sep 23, 2005)

鹿島アントラーズ4-0ヴィッセル神戸

J1第24節/2005年9月17日(土)/カシマスタジアム/NHK

 前節、川崎に負けて首位ガンバに勝ち点4の差をつけられるに到り、トニーニョ・セレーゾは若干、フォーメーションをいじってきた。4-4-2の形はそのままながら、小笠原をボランチに下げ、青木を右サイドバックにコンバート──名良橋がいまだ本調子ではないという判断なんだろうか。本山をFWにあげて、中盤には深井と増田誓志を出場させた。最近の深井はすっかりFWではなくMF扱いになってしまっている。そういう意味では野沢も──この日は途中出場で4点目を決めた──FWになっちゃっているし。小笠原のボランチ起用にしてもそうで、このところの鹿島の前目の選手のポジションは今ひとつ流動的でわかりにくい。ジーコ流に言えば、ポジションなんか便宜上のものなのだから、どうでもいいという話なのかもしれないけれど。
 ともかくこうしたフォーメーションの変更が効を奏したのか奏していないのかはわからないけれど、チームは無事に勝利を収めた。後半だけで4得点の快勝。前半もなんで得点できないのか不思議なくらいに攻め立てていたし、もうすこし運があれば、7、8点とれていそうな試合だった。神戸、弱し。
 それにしても本当にアントラーズの攻撃陣には力があるなと、あらためて思った。相手が弱いとなおさらそんな印象が強くなる。深井や野沢だって、きっと他のチームにいけば十分レギュラーを張れる選手だろう(そういえば神戸のスタメンには平瀬と金古が名前を連ねていた)。それが普段はベンチを温めているのだから贅沢な話だ。
 なにはともあれ、この日のMVPはアレックス・ミネイロ先制点をアシストし、その後、自らも2ゴールを決めた深井で文句なしに決まり。彼のプレーはパキパキしていて、見ていて気持ちがいい。今後ももっと出場機会を与えてあげたいと思う。なんたって11番を背負っているんだし(今日まで知らなかった)……。
 ともかく裏でガンバが柏にまさかのとりこぼしで勝ち点差も1に縮まり、次はいよいよ両者の直接対決。いざゆかん、天王山だっ。
(Sep 23, 2005)

ガンバ大阪3-3鹿島アントラーズ

J1第25節/2005年9月24日(土)/万博競技場/BS1

 大注目の首位ガンバとの直接対決。勝てば首位に返り咲きという一戦だったけれど、残念ながら勝ちきれなかった。ま、ミスから同点に追いつかれ、終了間際に3点目を失った時点で敗戦を覚悟したゲームだったから、引き分けに持ち込めたのは上出来だ。
 アントラーズのフォーメーションは前節とおなじ小笠原ボランチ・システム。その小笠原の効果的な攻め上がりからアントラーズが先制する。さすがチーム・リーダー、存在感抜群だ。今シーズン終了後はヨーロッパ移籍ということになりそうだけれど、彼が抜けたあとの鹿島というのは、今のところちょっと想像できない。というか、想像したくない。できればこのまま最後まで鹿島まで……、とはいかないのかなあと。うーん。
 まあ先のことはいい。今はJリーグだ。
 試合はその後、もっか得点王レース独走中のアラウージョのゴールで同点に追いつかれるも、再び小笠原のゴール(FKがあれっという感じでそのままゴールマウスに吸い込まれていったもの)で突き放して前半を終了。ところが後半、曽ヶ端がクリアミスしたボールを大黒にカットされて、1対1でシュートを打たれてしまう。らしからぬミスで再び同点に。そして残り時間がほとんどなくなったところでまたアラウージョ。この人はどうして今年、こんなにものすごいブレイクを果たしてしまったんだろう。手がつけられない。
 まあ、でも鹿島もだてに首位争いはしていないぞというところを見せた。ロスタイムにロングボールからカウンターでアレックス・ミネイロが貴重な同点弾。引き分けに持ち込み、勝ち点差1のままで直接対決を終えた。
 これで残りは9節。まだまだシーズンは続く。そして対戦相手は難敵ばかり。これからが正念場だ。ぜひともこのままの調子を維持して楽しませて欲しい。
(Oct 01, 2005)