2002年3月のサッカー

Index

  1. 03/02 ● F東京4-2鹿島 (J1・1stステージ第1節)
  2. 03/09 ● 鹿島0-1清水 (J1・1stステージ第2節)
  3. 03/16 ○ 市原0-2鹿島 (J1・1stステージ第3節)
  4. 03/16   F東京1-1横浜M (J1・1stステージ第3節)
  5. 03/21 ○ 日本1-0ウクライナ
  6. 03/27 ○ ポーランド0-2日本

FC東京4-2鹿島アントラーズ

J1・ファーストステージ第1節/2002年3月2日(土)/東京スタジアム/TBS

 なんともはや、これまでに見た中で最悪の開幕戦だった。確かに先週の超過密スケジュールの疲労はあるだろう。中田浩二が累積警告で欠場というのも痛い。アウェイというのも影響したかもしれない。それにしても前半だけで3失点、後半の途中まで0-4というスコアは去年のチャンピオン・チームにあるまじき失態だろう。いやはやまいった。
 始まってからの5分間くらいは結構期待していいんじゃないかと思った。中盤でワンタッチ・パスがダイレクトに決まって、おもしろいくらい見事にボールを回せていたからだ。こりゃあ今日の試合は楽勝だと思った。先週4試合をこなした分、チームも形ができてきたんじゃないかと。
 ところがあいにく相手に先制されてからは、もう一方的にやられっ放し。その一点目の失点の場面がチームが本調子じゃないことを如実に物語っていた。ゴール前で秋田と曽ヶ端が互いに譲り合うような形ですきを見せた瞬間、東京の小林成光という若手選手がすっと割って入ってボールをゴールへ叩き込んだもの。もちろん、その一瞬のすきを見逃さなかった相手のプレーも見事だったんだけれど、やはりそれ以前にあそこでベテランの秋田が自分でクリアできるボールを見送ってしまったのが問題だ。まあそれだけ疲労が蓄積しているんだろう。なんたってゼロックス杯のあと、日本代表合宿もあったわけだし。柳沢や鈴木より年配の秋田の方が疲労は激しいのは間違いない。それでも彼のキャリアを考えると、あのプレーはちょっと残念だった。
 それにしても原監督──おお、ジャイアンツと一緒だ──となって攻撃サッカーを表明しているFC東京の戦いぶりには驚かされた。いくらアントラーズの状態が悪いとは言え、あそこまで圧倒されてしまうとは思ってもみなかった。しかも大黒柱のアマラオは本調子じゃないという。ケリーや佐藤由紀彦がいい選手だというのはわかっていたものの、さらに小林やら宮沢正史やらという若手が芽を伸ばしてきている。バックラインではベテラン下平がきちんとした仕事をしていた。GKの土肥もファインセーブを連発して、鹿島の猛攻をしのいだ。いやあ完敗だった。
 でもまあ、鹿島も終わり頃になって2点を返せたのはよかった。中盤が間延びしてスペースができた終盤は一方的な鹿島のペースだった。途中出場した平瀬、野沢、青木たちはすごくやる気のあるプレーを見せてくれた。ほんと、先制点を上げたからいうわけじゃないけれど、昨日の平瀬はひさしぶりにとてもよかったと思う。あとの二人がいまいちなので、次の試合ではスタメンを狙えるんじゃないだろうか。2点目の秋田のヘッドは文句なしだったし、それら2点の両方をアシストしたのが本山だというのも明るい材料だ。あと全般的に名良橋の攻撃参加がとても目立っていた。だから守備が安定しなかったのかな? でもいいセンタリングをガンガンあげて見せてくれていたので、僕には結構好印象だった。
 なんにしろ今週はきちんと休んで、次のエスパルス戦では言い訳のいらないゲームを見せて欲しい。
(Mar 03, 2002)

鹿島アントラーズ0-1清水エスパルス(延長後半)

J1・ファーストステージ第2節/2002年3月9日(土)/カシマスタジアム/NHK

 開幕二連敗っ。うーん、今週は言い訳がきかない。一週間休みがあったし、中田浩二もいたし、相手は森岡や斉藤などDF中心に主要選手を何枚も欠いていた。試合も全体的にこちらのペースだった。なのになぜか攻め切れず、延長後半残り2分でのVゴール負け。勝てなかったこともそうだけれど、今年はここまで負け方が悪すぎる。絶対に点を取られちゃいけない時間帯に取られすぎている。試合巧者の評判が泣いている。
 結構いい形で攻めている場面はある。ただフィニッシュ時の決定力が足りなさ過ぎる。なにがもの足りないかって、ここぞというシーンでいつもワンタッチ多いこと。おおっ、チャンスだという場面でダイレクトにシュートが打てない。必ず余計なワントラップがあり、その間に相手DFに詰められて、せっかくのチャンスを逃してしまう。もうみんながみんなそんな場面ばっかりでじれったくて仕方なかった。
 チャンスの神様の後頭部には髪の毛がないんだから、少ないチャンスは思い切りよくシュートに結びつけて欲しい。それで止められたならば仕方ない。今みたいなプレーをしていたんじゃ、W杯で数少ないチャンスをものにできるとは到底思えない。ああ、まったく。
 とりあえずこの試合、終盤になってのトニーニョ・セレーゾの選手交替は結構おもしろかった。FW柳沢に代えてDF池内を投入するという一見守備固め的な采配で、実は両サイドの上がりを促し、さらに熊谷に代えて長谷川を入れて、さらに前がかりになって攻めた。勝とうという意志はすごく伝わってきた。まあそれが裏目に出て最後の最後に負けちゃったのかもしれないけれど。
 ああ、それにしてもまたもやあんな時間帯にバロンに対する秋田のマークが外れちゃうとは。勝ち点1さえも遠い。いったいスタメン本山の初勝利はいつになることやら。
(Mar 12, 2002)

ジェフ市原0-2鹿島アントラーズ

J1・ファーストステージ第3節/2002年3月16日(土)/国立競技場/BS1

 とりあえず祝今年初勝利~(感涙)。今日の相手は去年チェ・ヨンスの加入で得点力がアップ、最下位争いの常連から脱却していきなり年間三位に躍進した市原だ。今シーズンも開幕からニ連勝を飾っているので、もしかしたら危ないんじゃないかと不安だったのだけれど、今日は順当に勝ち点3をものにできた。
 それにしても前半は全然駄目だった。21分に小笠原のCKからのこぼれ球を、本山がダイレクトでゴール前にセンタリング。これに反応した柳沢がGKに競り勝ち、今季初ゴールを決めて先制こそしたものの、その場面以外には見るべきところがなかった。
 特に本山。彼が動かなさ過ぎる。もっと積極的にボールをもらいにいかないと駄目だろう。もしかしたら90分の時間配分を気にして抑えているのかもしれなけれど、僕の目には単に覇気がないプレーにしか映らなかった。なまじ期待が大きいだけに不甲斐ないプレーを見せられると失望も大きい。今のところは自分でゲームを作ってやろうという意識がまるで感じられない。時々おっ、というプレーもあるのだけれど、まだまだ納得するほどの仕事はできていない。彼にはもっと大化けしてもらいたいもんだ。まあ今日の一点目のアシストは彼だし、二点目となった小笠原の芸術的FKを導いたファールをもらったのも彼のプレーだったんだけれど。
 なんにしろ前半はチーム自体あまり出来が良くなくて、見ていてストレスばかりが溜まった。それでも後半は見違えるようにパスがつながるようになり、終始試合を支配する小気味良い展開になった。まだ流れの中から点が取れていないのが気になるけれど、それでも柳沢の動きは悪くないし、あとは時間が解決してくれる問題かもしれない。
 それにしても今日の試合はイエローをもらい過ぎた。今年はW杯を前にして以前よりジャッジが厳しくなり、シャツをつかんだり、遅延行為をしたりするとすぐにイエローが飛んでくる。去年よりイエローが増えるのは仕方がないと思うけれど、それにしても今日だけで6枚はちょっとひどいだろう。こりゃあ退場者が出そうだなと思っていたら案の定で、83分に秋田が二枚目をもらって退場になってしまった。やれやれ。せっかくの今季初勝利、しかも完封勝利だったのにとても残念。
(Mar 16, 2002)

FC東京1-1横浜F・マリノス

J1・ファーストステージ第3節/2002年3月16日(土)/東京スタジアム/BS1

 開幕戦で原監督のかかげる攻撃サッカーを実践して、アントラーズを完膚なきまでに叩きのめしたFC東京。かたやウィル、奥、中澤という強力な戦力補強をして今シーズンに臨んだF・マリノス。ともに開幕ニ連勝で迎えた両者の対決は、一進一退のとてもおもしろい試合になった。
 一番の注目はやはりマリノスの攻撃陣だ。中村俊輔が、ウィルという決定力のあるFWと、奥というキープ力のある中盤の仲間を得て、どういう戦いを見せてくれるのか。答えはまだ見えないものの、ウィルの先制ゴールにつながった彼のアシストの場面に、その片鱗が表れていたように思う。俊輔のあのパスに、ウィルのあの決定力がまともに噛み合ったらかなりの脅威だ。
 奥は故障明けでこの試合が初めてのスタメンだったから、まだいまひとつマッチしていないんじゃないかと思った。あまり存在感が感じられなかった。
 それにしても今年の俊輔はいいかもしれない。プレーのひとつひとつに花がある。今まで僕は本山の才能は俊輔に負けないんじゃないかと思っていたのだけれど、今日の俊輔のプレーを見る限り、二人の間にはかなりの距離があると思わざるを得ない。それくらい俊輔のプレーは魅力的だったし、本山のプレーは期待はずれだった。
 FC東京も頑張っている。残り5分で同点に追いついた時の原監督の喜びようは微笑ましかった。開始5分に見せた分厚い攻撃がアントラーズ戦の時のように決まっていたら、今日の勝負の運は東京の方へ傾いていたかもしれない。で、残念ながらそうはならず、試合は延長でも決着がつかずに引き分けに終わった。
(Mar 17, 2002)

日本1-0ウクライナ

2002年3月21日(木)/長居スタジアム/TBS

 日本代表、W杯イヤー緒戦のスタメンはGK楢崎、DF中田浩、宮本、松田、MF戸田、福西、三都主、森島、市川、FW柳沢、西澤という編成だった。なんと言っても一番の話題はアレックス、そして98年史上最年少で代表に選ばれてから実に4年ぶりの代表復帰となった市川、この清水の両サイドのスタメン出場だ。楢崎もボロ負けした去年のイタリア戦以来の出場。戸田とコンビを組む守備的MFのもう一人には福西が起用された。
 試合は序盤こそ身長で上回るウクライナが脅威を感じさせたものの──あいかわらず日本代表は欧州のチーム相手だとまるで子供のように小さく見える──、前半の途中からは、もう圧倒的な日本ペース。DFの裏を取られたピンチらしいピンチは2、3回だろうか。そのほかはほとんどの時間帯で日本がボールを支配するという、実に危なげのない試合だった。ゲームは24分にアレックスのセンタリングの折り返しを柳沢が空いたスペースへと流し込み、これを走り込んできた戸田が決めて代表初ゴール。この一点を守り切って日本代表が勝利を収めた。
 今日の試合はまるで新加入&ボーダーライン上の選手たちの品評会のような試合だった。左サイドは前半がアレックス、後半から中村俊輔。右サイドは市川。後半からトップ下で出場した小笠原。ボランチの福西と明神(後半途中出場)。ファインセーブを連発した楢崎。みんなそれぞれの持ち味を出せていたのではないかと思う。
 ああ、ただFWは、柳沢以外の三人、西澤、鈴木、高原が誰もいまひとつだ。誰一人決定的なチャンスに絡めなかった。柳沢も決勝点のアシストこそ決めたものの、小笠原が作った決定的チャンスを逃してしまったし、やはり及第点とはいえない。
 印象に残ったのはやはりアレックスと俊輔。アレックスは左サイドは彼で決まりでいいだろうと思わせるパフォーマンスを見せてくれた。攻守ともにスピードあるプレーでの貢献度はかなりのものだった。
 一方の俊輔はボールを持った際のプレー、特に見事なサイドチェンジを演出する視野の広さには非凡なものを感じさせたけれど、それ以外はどうもいまひとつフィットしていない印象を受けた。なにより左サイドラインを割るたびにフリースローをする背番号10の姿は(普段チームでは絶対やることがなさそうなだけに)なんとも哀れを誘った。アレックスが入った今、やはり彼はトップ下の選手として使うべきだと思う。
 そのトップ下でインパクトのあるプレーを見せてくれたのが小笠原だ。後半早々、柳沢への決定的なスルーパスを通して見せたり、自らドリブルでゴール前に切れ込み、フェイントでDFを交わしてシュートを打ったりと、その成長ぶりを見せつけた。終盤にはあまりボールに絡めなくなった感じもしたけれど、それでも十分アピールできたはずだ。これはもしかしたらW杯のチャンスが残ったかもしれない。
 市川は良いプレーもあったものの、その反面イージーなミスもいくつかあり、結果イーヴンというところ。
 あと今日の試合でもっともインパクトがあったのが戸田のプレー。今まで僕は彼のどこがいいんだか全然わからなかったけれど、今日の攻守に渡る貢献度の高さには目を見張るものがあった。ゴール・シーンのみならず、あっ、危ないという場面でいつも猛烈な勢いでディフェンスに入ってくる選手がいて、誰かと思ったらそれが戸田だったりする。なるほどレギュラーの座をつかむわけだとようやく納得がいった。
 今日のウクライナ代表は最大の得点源であるエース、シェフチェンコを欠いた布陣だったのから、勝ったといってあまり喜んでも仕方ないだろう。来週の海外遠征でのポーランド戦、海外組が参加するその試合でどれくらい戦えるかがW杯の目安になるはずだ。深夜の生放送があるらしいので楽しみに待とう。
(Mar 21, 2002)

ポーランド0-2日本

親善試合/2002年3月27日(水)/ポーランド・ウッジ、ビセウスタジアム/BS1

 欧州のチームに在籍する四人が合流しての注目の一戦は、終始日本が支配する一方的な試合になってしまった。ポーランド弱すぎ。本当にこれがアウェイの試合かと疑いたくなるくらい手ごたえのない相手だった。真面目にやって欲しい。
 日本代表は海外組四人全員がスタメンに名を連ねた。FWは鈴木と高原で、注目の左サイドは小野。そして右サイドには前回のウクライナ戦に引き続いて市川が起用された。
 守備的にいくと思われていただけに、この市川の起用は意外と言えば意外だった。前回の試合では攻撃力を見せつけてくれたので、今回は守備的なゲームで守備力を試してみたいというのがトルシエの狙いだったようだ。
 しかしこの市川の起用が攻撃面でどんぴしゃとはまる。中田との抜群のコンビネーションで、前半だけで2点を奪う予想外の展開を演出してくれてしまった。絶妙のスルーパスを武器とする中田にとっても素早い上がりを持ち味とする市川は使いやすかったみたいだ。
 一点目は前半わずか10分にこの二人のコンビネーションから生まれた。鮮やかなパス回しから市川があげたセンタリングはミス気味で、相手DFに止められてしまう。ところがそのこぼれ球が、パスのあとすぐにゴール前へとつめていた中田の前へ。これを中田が思いっきりよく右足を振り抜いて、ゴール左へと叩き込んだ。中田の名を世界に知らしめたのはこの思い切りの良さだと思う。DFのまた抜きだったのでGKも対応し切れなかった。見事なゴールだった。
 二点目は高原。誰かからの──中田か小野か、メディアにより記事がまちまちではっきりしない──はっとするようなサイドチェンジのパスを受けた市川が、ゴール前に張っていた高原へ躊躇{ちゅうちょ}なくアーリークロスをあげる。これを受けた高原は、一度は相手DFと交錯して倒れるも、即座に起き上がってシュートを放ち、ゴールを奪ってみせた。このしぶとさは実に高原らしかった。
 前半終了間際にも市川からのロングパスを中田がフリーでゴール前に持ち込み、GKと一対一になる決定的チャンスがあった。残念ながらこれはGKを交わそうとした中田の慎重さがあだとなり、ゴールには結びつかなかった。
 ということで前半は0-2で終了。後半はノースコアに終わり、日本は欧州のアウェーの試合での歴史的勝利を収めたのだった。
 後半は点が入らなかったこともあり、これといった印象がない。選手交代で久保、福西、明神、波戸の四人がピッチに立った。7人までの選手交代が認められていたのに、トルシエは珍しくその枠を使い切ることなく終わった。それだけこの試合の内容に満足していたんだろう。
 試合全体を通して強い印象を受けたのはやはり中田と市川だった。そのほかには特にこれといって記憶に残る選手はいない。それでもトルシエは試合後に(中田、市川は当然として)小野と鈴木隆行を名指しで誉めていた。評論家(コーチ?)の湯浅氏も同様で、彼はさらに久保のプレーにも好印象を受けているみたいだった。僕にはそれらのプレーの良さは全然わからなかった。映像が悪くていまひとつ選手の動きが追いきれないという条件の悪さもあったけれど、まあ酒を飲みながらだったし、ちゃんとした放送でも同じだったかなとも思う。いずれにせよ僕の観方じゃまだまだだ。やっぱりサッカーは奥が深い。
 そうそうボランチの中心は戸田でほぼ決定という感じだ。海外組では唯一稲本だけがアピールできないで終わってしまった。中田らのわくわくするようなパス回しが彼のパスミスで途切れてしまった場面もあったし、実際ほかのメンバーが90分フル出場する中、彼だけが後半早々に福西と交替してピッチを去った。全体的にいい感じの日本代表の中にあって、稲本だけはちょっと心配だ。
(Mar 28, 2002)