2015年4月の映画
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天才マックスの世界
ウェス・アンダーソン監督/ジェイソン・シュワルツマン、ビル・マーレイ、オリヴィア・ウィリアムズ/1998年/アメリカ/WOWOW録画
わが家で現在ブームを巻き起こしているウェス・アンダーソンの監督第二作目──『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』のひとつ前の作品──は、虚言壁のあるオタク系・天才高校生マックスの、ピントのずれた恋と友情を描くオブビートな青春映画。
主演のマックス役のジェイソン・シュワルツマン──ダン・エイクロイドの少年時代みたいな顔をしている──が有名人の息子らしいってんで調べてみたら、なんとこの人、父親が『郵便配達は二度ベルを鳴らす』や『ネバーセイ・ネバーアゲイン』の監督のジャック・シュワルツマン──という人なのはともかく、母親がフランシス・F・コッポラの妹、タリア・シャイアだった。つまりコッポラの甥。ソフィア・コッポラやニコラス・ケイジがいとこって。なんだそりゃ。すげーハリウッド・セレブな親族関係。
でも、この映画でさえない天才少年を演じる彼には、そんな特別な出自を感じさせるオーラはいっさいない。
同級生の父親であるビル・マーレイと年の離れた友情をはぐくんだり、初恋相手の女性教師を喜ばせようと、無許可で校内に水族館を作ろうとして退校処分を食らったり。やっていることは常軌を逸しているけれど、それも天才ならではの桁外れのバイタリティがゆえ。コアの部分では、傷つきやすい十代ならではの初々しさを感じさせる演技で好感が持てた。
それにしても、ウェス・アンダーソンの作品はこれが3本目だけれど、どの作品も観終わったあとですぐに、これはもう一度観たいなと思わせるところがすごい。
この作品も例外じゃなかった。これ以降の作品と違って、出演している俳優が地味だから(有名人はビル・マーレイくらい。この人はもしかしてアンダーソン監督作品すべてに出ているんだろうか)、あまり期待していなかったんだけれど、いやいや、どうして。ちゃんと最初から最後まで楽しませてくれる。すごいや、ウェス・アンダーソン。
(Apr 05, 2015)