2014年4月の映画
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華麗なるギャツビー
バズ・ラーマン監督/レオナルド・ディカプリオ、トビー・マグワイア、キャリー・マリガン/2013年/アメリカ、オーストラリア/WOWOW録画
『ロミオ+ジュリエット』や『ムーラン・ルージュ』のバズ・ラーマンが、フィッツジェラルドの『グレート・ギャツビー』を再映画化する! しかも、サントラには、ブライアン・フェリーのジャズ・バンドや、いまが旬のロック・アーティストが目白押し!
――そんなこと言われたら、期待するなってのが無理な話で。とても楽しみにしていた作品だったのですが。
うーむ、残念なことに、これはいまいちだった。
鮮やかな映像美に、デフォルメ気味の大げさな演出。それらはバズ・ラーマンの持ち味だとは思うのだけれど、この映画ではそれがどうにも悪趣味なレベルに堕してしまっている気がする。全体的に派手なばっかりで、抑制が足りない感じ。風景を描くのに、やたらとCGを多用しすぎているのも好きになれない。
この映画がフィッツジェラルドの原文どおりのセリフで始まり、原文どおりのセリフで終わるのは、バズ・ラーマンによるフィッツジェラルドに対するリスペクトの表れなのだろうと思う。
ただ、本当にフィッツジェラルドに敬意を表するならば、僕はもっと別の形で、映像作家としてのオリジナリティでもって、それを表現してほしかった。ニックのナレーションに頼るのは、あまりにありきたりすぎる。
ニックがサナトリウムのようなところに入っているというオリジナルの設定が加えてあるのには引っかかりを感じるし、ひき逃げや殺人の場面も真っ向から描きすぎの感がある。原作ではあえて描写がないってのを、そういうところでこそ、あえて意識してほしかった。
ジャズ・エイジのファッションに最新のポップ・ミュージックをあわせてきらびやかに飾りたてた演出のおもしろさはあるものの、とにかく、それ以外は平均点という印象。どうせならば、もっととんがった、いまでしか観られないギャツビーが観たかった。
あと、言っちゃ悪いが、ギャッツビーを演じるには、ディカプリオは老けすぎだと思う。もともと童顔の俳優とはいえ、いまとなると、さすがにオヤジっぽさが否めない。演出のせいもあって、この映画の彼は胡散くさい中年の詐欺師にしか見えない。ギャツビーが詐欺師らしく見えちゃいかんでしょう。青年の夢の終わりをテーマにしたこの物語には、もっと若々しいキャスティングが欲しかった。
ということで、原作に思い入れが深すぎるせいもあって、なにかと残念なことの多い映画だった。
(Apr 14, 2014)