2023年9月のサッカー

Index

  1. 09/02 △ 湘南2-2鹿島 (J1・第26節)
  2. 09/16 ○ 鹿島1-0C大阪 (J1・第27節)
  3. 09/24 ● 鹿島1-2横浜FM (J1・第28節)
  4. 09/30 △ 福岡0-0鹿島 (J1・第29節)

湘南ベルマーレ2-2鹿島アントラーズ

J1・第26節/2023年9月2日(土)/レモンガススタジアム平塚/DAZN

 柴崎岳、アントラーズに復帰!
 ピトゥカがシーズン終了後に古巣サントスへ戻ることが7月に発表され、来季はどうなることか思っていたところへ、柴崎が帰ってくるという嬉しい知らせが入った。おぉ、ピトゥカの代役として願ってもない補強!
 なんでも柴崎のJリーグ復帰は6年半ぶりらしい。三十を過ぎたいまの柴崎にどれくらい期待できるのかはわからないけれど、同じ年の昌子もいることだし、ともに切磋琢磨してチームを支えていってくれるといいなと思う。
 さて、そんなわけで柴崎復帰の朗報が届いた翌日に行われた湘南戦。
 鈴木優磨が出場停止ということで注目だったこの日のスタメンは、早川、須貝、植田、関川、溝口、ピトゥカ、海舟、土居、仲間、知念、垣田の11人だった。
 優磨のかわりに知念が出るところまでは予想通りだったけれど、まさか樋口、安西をベンチから外してくるとは思わなかった。
 中3日でルヴァン杯・準々決勝の名古屋戦が控えているので、タイトルのかかったその試合を重要視して温存したのかと思ったけれど、公式サイトのゲームレポートによると、体調不良者が続出したとのことなので、どうやらそういった戦術的な理由ではないらしい(本当かどうかは知らない)。ひとまず不在者の無事を祈っとく。安西はともかく、名古屋相手に樋口抜きは厳しかろう。
 ということで、前節とはスタメン4人を入れ替えて臨んだこの試合。序盤から相手を押し込んで、佐野のJ1初ゴールで先制したところまでは上出来だった。
 佐野のゴールは前半わずか8分。ドリブルで独力PA内へと切れ込み、右足を振りぬいてのゴラッソ。素晴らしい先制点だった。
 相手はいつの間にか最下位に沈んでいる湘南だ。そこまでの内容は鹿島が文句なしに圧倒していたし、この試合はもう楽勝だろうと思った――のでしたが。
 なぜだかその先制点以降は受け身になってしまい、徐々に相手ペースに傾いてゆく。そして前半も残り10分というところから、大橋祐紀、鈴木章斗{すずきあきと}のふたりにつづけてゴールを奪われて、あっという間に逆転されてしまった。
 大橋のゴールは杉岡からのスルーパスを小野瀬がワンタッチして落としたボールを大橋がダイレクトで決めたもの。鈴木のゴールは仲間がボールを奪われたところからのショートカウンターを、植田の股抜きシュートで見事に決めたものだった。
 元チームメイトの杉岡(キャプテンマークを巻いていた)からの素晴らしいスルーパスから先制を許し、守備の要である植田が20歳の若い子に股抜きされて逆転を許すという、なかなか厳しい展開。
 鈴木にはゴールの直前にも絶体絶命のチャンスを与えてしまっていたし、大橋には後半にバー直撃の際どいシュートを打たれている。それらが決まっていたら4失点していてもおかしくない内容だった。
 この劣勢に対して、岩政は後半開始から動く。須貝をさげて広瀬を投入。
 ――でも僕個人はこの采配はどうかと思った。
 確かに須貝は可もなく不可もなくという感じだったけれど(いや、惜しいミドルが一本あった)、だからって前半だけで替えられたら彼のメンタルによくないだろう。ひさびさに先発で起用したのだから我慢して使って、後半に挽回のチャンスを与えてあげて欲しかった。岩政はいまいちそういう我慢強さが足りない気がする。
 鹿島はその後も垣田→松村、仲間→カイキ、さらには知念→藤井と交替させて、反撃の糸口をうかがう。でもって84分には最後のカードを切って、溝口を昌子と交替。CBを昌子、関川のコンビに変更して、佐野を左SBにコンバート、植田を前線にあげるパワープレーに打って出た。
 で、結局このスクランブル体制が功を奏した形。残り時間あとわずかで、広瀬からのクロスに頭から飛び込んだ植田が相手DFに頭を蹴られたということでPKを獲得。これをカイキが決めて、ロスタイムになんとか同点になんとか追いついた。
 いやしかし、この日の清水主審の判定にはいろいろ納得がゆかなかった。
 逆転ゴールの起点となった仲間のボールロストは、相手に腕で押されて倒れているように見えるのにノーファイルだったし、知念のシュートがバーに当たり、ゴールラインを割って跳ね返ったように見えたシーンもノーゴールのままだった。
 最後のPKにしたって、最初はファールの判定さえなかったのが、VARでようやく認められたものだ。頭蹴られて流血しているのにファールなしなんて、そんな馬鹿な話はないでしょう?
 誤審といえば、先日ヴィッセルの齊藤未月が全治一年という大怪我を負った試合で、そのシーンをノーファールと判定した今村主審が懲罰を受けて、しばらく主審を外れることが発表されている。
 今村って人はこれまでもいい印象がなかったから、ああやっぱりって感じだったけれど、この日の清水さんも以前からいまいち印象がよくない気がする。Jリーグは好きだけれど、レフェリーのレベルだけはどうにも疑問を感じてしまっていけない。
 まぁ、なんにしろそんなわけで、最下位のクラブ相手にドローで勝ち点1という、最悪とまではいわないけれど、あまり芳しくない結果に終わった湘南戦だった。
 とりあえず前節、今節と上位陣が軒並み勝ち点を取りこぼしてくれたので、今節で首位に返り咲いたヴィッセルとの勝ち点の差が9で収まったのが不幸中の幸い。
 現在の順位は6位ながら、上位5チームのうち、直接対決が済んでいるのは名古屋だけだから、残り8節を全勝すれば、まだ逆転優勝の可能性はある。
 小笠原の復帰後に9連勝して大逆転優勝を成し遂げた2007年の再現といきたいところだけれど、さあどうなる。柴崎の復帰がそんな奇跡へ向けてのフラグになってくれますように。
(Sep. 03, 2023)

鹿島アントラーズ1-0セレッソ大阪

J1・第27節/2023年9月16日(土)/カシマサッカースタジアム/DAZN

 代表ウィークをはさんで二週間ぶりとなったJ1。対戦相手はセレッソ大阪。
 この試合に関しては、前半25分のピトゥカの一発レッド、これがすべてだった。
 確かにリプレイで見ると超危険なイメージだったから、レッドカードも致し方ないと思った。リプレイを観たあとは。
 でもファールを受けた喜田陽はその後も後半途中で交替するまでプレーしている。つまり大事には至らなかったわけだ。足裏で相手のふくらはぎを踏みつけたピトゥカのプレーはそりゃ危険には見えたけれど、レフェリーが目の前で見ていてイエローも出さなかったプレーにVARが介入してレッドにしてしまうのってどうかと思う。
 いや、もしかしてあれはレフェリーが最初からイエローを出していれば、そこでおしまいだったのかな。出さなかったから、VARもそのまま放置はできなくて、レッドカードではという話になったのか。まぁ、あのリプレーを見たら放っておけないだろうしなぁ……。
 いやはや、なんにしろ不幸なレッドでした。
 その後しつこく抗議した岩政にイエロー、侮辱行為があったということで通訳の人にレッドカードまで出てしまったし。右サイドから再三の突破をはかるカピシャーバというブラジル人とも、度重なる接触プレーで一発即発な印象だったし、これ以降は試合が荒れた感じになってしまった点でも残念だった。
 不幸中の幸いはその退場劇の前に先制していたこと。
 前半12分に鈴木優磨が相手の隙を見逃さず、最終ラインまで下がってボールを受けたボランチ喜田からボールを奪取、GKと一対一のチャンスを得て、これを落ち着いて決めた。
 レッドにつながるファールを受けたのも喜田だったし、よくも悪くも彼はこの試合のキーマンだった(マリノスの喜田の親戚とかではない模様)。
 まあなんにしろ、鹿島はよく守った。ひとり少なくなってからは防戦一方。たまにカウンターから惜しいチャンスを作ることがありはしたけれど、それも二、三度で、あとはずっと守りっぱなしだった。二度くらい崩されてあわやというピンチもあったけれど、なんとか凌いで、最後は昌子を入れて3バックにして、そのままウノゼロで勝利。これぞ鹿島の伝統って感じの、しぶとい一勝だった。
 この日の出場選手はスタメンが早川、広瀬、植田、関川、安西、海舟、ピトゥカ、樋口、松村、垣田、優磨、途中出場がカイキ、柴崎、須貝、昌子、聖真という計16名。出場停止の仲間にかわって松村がスタメンで出た。
 柴崎が復帰後リーグ戦初出場だったけれど、なにせ防戦一方だったので、あまり彼のよさが生きる展開ではなかったかなと。ピトゥカがいない次節のF・マリノス戦は確実に彼がスタメンだろうから、大一番での活躍に期待している。
 セレッソはキム・ジンヒョンが故障中とのことで、ヤン・ハンビンという別の韓国人がゴールマウスを守っていた。あと、代表帰りの毎熊がなるほどいい感じだった。香川もフル出場していたけれど、決定的な仕事はできず。清武はいまだ不在だった。
 ということで、勝ち点2の差で上にいた4位のセレッソに勝って、順位は逆転。しかも上位陣が今節も勝ち点を取りこぼしまくりで、鹿島の順位はなんと3位!
 もしかして奇跡を期待してもいいのか?――って感じになってきた。
(Sep. 18, 2023)

鹿島アントラーズ1-2横浜F・マリノス

J1・第28節/2023年9月24日(日)/カシマサッカースタジアム/DAZN

 ジ・エンド。
 優勝を狙うならば絶対に落とせない2位と3位の直接対決で、せっかく先制しながらの逆転負け。これでF・マリノスには2年連続でシーズン・ダブルだ。首位ヴィッセルとの勝ち点の差は9に広がってしまったし、さすがにこれはもう勝負ありだろう。あぁ、残念無念……。
 この日のスタメンは出場停止のピトゥカの位置に柴崎を入れただけであとは一緒。途中出場はカイキ、土居、須貝、名古、エレケの5人だった。
 試合は前半15分にCKから優磨のヘディング――深いところにいた彼の頭に当たったボールが絶妙なループシュートになった――が決まって先制するまでは文句なしの内容だった。F・マリノスはこのところ不調で、リーグ戦でもカップ戦でもACLでも勝っていないという話だったので、これはもらったのではと思った。
 ところが、だ。
 前半34分。そこまで防戦一方だった横浜が獲得した初めてのCKから同点ゴールが生まれてしまう。ショートコーナーかと見せて、そこからのキッカーのヤン・マテウスへと戻して、改めて入れたクロスにアンデルソン・ロペスが反応。DFラインの裏につま先を突き出すようにして打ったシュートが、早川の手を弾いてゴールラインを割ってしまった。
 で、いったん同点になったあとは試合内容が一変。すっかりマリノス・ペースになってしまう。
 マリノスはヤン・マテウス、アンデルソン・ロペス、エウベルというブラジル人トリオの3トップが強力だった。前線にほとんどボールが入らなかった序盤は「ん、見た目のわりにはたいしたことない?」とか思っていたのだけれど、ここから先は厄介この上なかった。
 この夏に加入したというトップ下のナム・テヒという韓国人はいまいちよさがわからなかったけれど、中盤の底の渡辺皓太、山根陸という若いボランチ・コンビはちゃっちゃとパスを回すし、最終ラインはキャプテンマークをまいたエドゥアルドと角田涼太朗のCBコンビに、永戸、松原の両サイドがしっかりと守る。そういや松原には前回と同じような形でゴール前に切り込まれるシーンがあった。今季2ゴールの選手がなぜにアントラーズ戦になるとそんな素敵なプレーを……。
 さらには途中後退で宮市、西村、水沼、喜田ら、レギュラー級の選手が出てくるの、反則じゃなかろうか。
 ということで、前半こそなんとかしのいでさぁ後半勝負と思ったら、開始わずか5分で波状攻撃を受け、ふたたびアンデルソン・ロペスに2ゴール目を決められてあっさり逆転。結局それが決勝点となって、鹿島は上位対決に敗れて5位に後退した。ディフェンディング・チャンピオンはやはり強かった。ちくしょー。
 まぁとりあえず、復帰後初スタメンの柴崎と、故障明けの名古とエレケのプレーが観られてよかった。――そう思うことにする。
(Sep. 25, 2023)

アビスパ福岡0-0鹿島アントラーズ

J1・第29節/2023年9月30日(土)/ベスト電器スタジアム/DAZN

 前節の黒星で優勝は難しくなった。
 例年だとそれでもまだACL出場権がかかった三位以内を目指してがんばれって思うところなのだけれど、今年からACLのレギュレーションが替わって秋春制に移行してしまったり、来年以降は欧州の真似をして下位リーグをもうけるのだとか、ごちゃごちゃいっていて、個人的にはまったく気分が乗らない。
 利権絡みなんだか、身の程知らず知らなんだか、ACLの二部リーグに出ろとかいわれても萎えるばかりだ。そんなものやって客が入るんだろうか? 少なくても日本国内では閑古鳥が鳴くイメージしか湧かないのだけれど。
 ACL本戦に出場できないレベルの国にとっては、そんな舞台でもないよりあったほうが嬉しいのかもしれないけれど、東南アジアの聞いたこともないようなクラブと戦うから観にこいとかいわれてもなぁ……。
 そんなことにリソースを割くくらいならば、いまは国内タイトルの奪取に全力を傾けてほしい。マジいらない、ACL。
 そんなわけで、すっかり終戦モードの中で観たアビスパ福岡戦。結果はスコアレス・ドロー。優勝をうたいながら福岡相手に勝てないようでは仕方なくない?――と思わなくもないのだけれど、ところがどっこい。試合前の順位は鹿島の6位に対して福岡は8位。得失点差はわずか2。
 つまり負けたら逆転されてたってことじゃん!
 いやー、まさか福岡がこんな上にいるとは思わなかった。ルヴァン杯、天皇杯の両方で勝ち残っているのはもはや福岡だけだというし。長谷部監督、いい仕事してんなぁ。
 そんな福岡の武器は堅守。徹底したハイプレスと奈良を中心とした3バックできっちりと守ってくる。こういうチームはなかなか崩せない。ひさびさにスタメンを変えてきた岩様の采配も不発に終わったし、スコアレス・ドローは順当な結果だと思った。結局今年は福岡との試合はどちらのチームも通算ノーゴールだった。
 この日の鹿島のスタメンは早川、広瀬、植田、関川、安西、海舟、ピトゥカ、樋口、藤井、知念、優磨の11人。途中出場は垣田、須貝、仲間、昌子、名古の5人。
 なぜだかこのタイミングでひさしぶりに知念と藤井がスタメンに復帰した。前節大事な試合に負けたので、リフレッシュを図ったんだろうか。
 でも、結果としてはこれが失敗だったような気がする。藤井はよかったけれど、知念は存在感が足りず。結局岩政は後半の頭から知念をさげて垣田を入れてきた。
 確かに垣田が出てきてからのほうがチームとしてはよかったとは思うのだけれど、でもひさびさに知念にチャンスをあげたんだから、せめて後半の途中まではそのまま使おうぜ。45分で見限られたら選手のモチベーションだって下がるでしょう。ホント岩政はこらえ性がない。
 ベンチのメンバーも前節は入っていたエレケがいなかったりして、スタメンを固定するかわりにサブをローテーションをしているみたいな感じだし。サブだってつづけて使わないと調子が上がってこないんじゃないだろうか。いろいろ疑問あり。
 今季の岩政には監督としてきちんと成長が感じられはしたけれど、細かいところで違和感を覚えさせられることがままあるのが玉に瑕だ。
 あと、前節のF・マリノスの永戸とか、今節の奈良、金森、小田(途中出場)など、かつて鹿島にいた選手たちが、現在のチームで主力としてフル回転しているのを見ると、鹿島ってやっぱ選手の使い方が下手なんでは?――という気がしてきてしまう。
 逆にいえば、主力を担えるだけの力を持った選手たちを獲得していたということなので、どれもいい補強ではあったんだろうけれど、結局才能ある選手たちをうまく活用できずに、彼らのキャリアを無駄遣いさせてしまったような申し訳なさを感じてしまう。
 知念や藤井や須貝が来季はより一層活躍できるようなクラブであって欲しい。
 あとは今季ほとんど出番なしで終わってしまった荒木や松村らの若手や、せっかく戻ってきたのにベンチを温めてばかりの昌子が腐らずにいてくれることを祈るばかり。
(Oct. 01, 2023)