2021年7月のサッカー
Index
- 07/11 ● 柏2-1鹿島 (J1・第22節)
- 07/12 ○ U-24日本3-1U-24ホンジュラス (親善試合)
- 07/17 △ U-24日本1-1U-24スペイン (親善試合)
- 07/24 ○ G大阪0-1鹿島 (J1・第2節)
柏レイソル2-1鹿島アントラーズ
J1・第22節/2021年7月11日(日)/ 三協フロンテア柏スタジアム/DAZN
第21節が前倒しで消化済みだったため、二週間ぶりとなったリーグ戦。
前の試合で札幌に快勝したので、勢いに乗って連勝したかったところなのに、2週間空いてしまったのがついてない。まぁ、クラブは中3日で天皇杯を戦っているので、試合勘の問題はなかったのかもしれないけれど、少なくてもこの試合を観た感じではとくに調子がよくも思えなかった。
もうひとつ、ついていなかったのが、五輪代表に招集された上田綺世と町田を欠いていたこと。いまだエヴェラウドが本調子ではない状態で上田を欠くのはやはり痛い(まぁ、代表に呼ばれていなくても怪我で出られなかったぽいけど)。あと、町田の代役をつとめた林尚輝は――守備はともかく――パスミスが多くていただけなかった。攻撃のリズムが悪かったのは、彼のミスからのボールロストが多かったせいも少なからずある気がする。
ということでこの日のスタメンは沖、常本、林、犬飼、永戸、レオ・シルバ、ピトゥカ、ファン・アラーノ、白崎、土居、エヴェラウド。途中出場は三竿、和泉、カイキ、松村、小泉だった。なぜ荒木がいないのかは不明。
試合を分けたのは上田、町田の欠場に加えて、後半頭からレオ・シルバを三竿に替えた相馬采配だったと思う。
試合後のインタビューでその理由を問われた相馬はセカンド・ボールを相手に奪われて苦しかったので、そのケアのためというようなことを答えていたけれど、前半のレオ・シルバはいつも通りの存在感だった――つまり特に出来が悪いわけではなかった――ので、彼を前半だけで替えた采配には疑問が残った。
後半からは三竿のワン・ボランチでピトゥカに高い位置を取らせていたから、守備力の高い三竿に中盤の底を任せて、ピトゥカの攻撃力を生かしたいという思惑だったのかなと思うけれど、後半にバランスを崩して2失点を喫してしまっただけに、作戦ミスの感が否めなかった。
柏は10番の江坂をレッズに放出したばかりだし、順位的にも下位に沈んでいるので、今回は楽に勝てるかと思ったら、そんなことなし。クリスティアーノとヒシャルジソンに加え、ペドロ・ハウルにドッジと、ブラジル人が4人もいた。こちらもスタメンに4人のブラジル人がいたし、途中交替でカイキも出てきたので、要するにこの試合、ピッチには9人ものブラジル人が交錯していたわけだ。
で、結局レイソルのブラジル人ふたりに試合を決められてしまう。右からのカウンターからクリスティアーノが豪快に決めた先制点も、ペドロ・パウルが完璧な崩しで決めた2点目ともにお手上げってゴールだった。
残念だったのは2点目のミス。沖のゴールキックが誰かに当たってセンターラインに届かずに相手に渡ってしまい、そこからカウンターを食うという、おいちょっと待てな失点だった。まぁ、相手のパスワークも見事だったのは確かだけどねぇ……。
とりあえず残り1分で犬飼がヘディングを決めて1点差とはしたけれど、追い上げもそこまで。シュート数も相手のほうが多かったし、この日に関しては相手のほうが上だったと思う。うーむ、ここからは上り調子になると思っていたのに……。
この日の試合で気になったのは、相馬の選手起用。ブラジル人どうしのマッチアップがたくさんあるブラジル人にとっては楽しげな試合で、キャプテンマークを託されながら、前半だけで交替させられた――のみならずチームが負けた――レオ・シルバは絶対おもしろくないだろう。あと、ピトゥカの加入でスタメンでの出場機会が激減している三竿とか、町田がいないのに林にスタメンを奪われて出番のなかった関川とか。そういう選手たちのメンタル・ケアはちゃんとできているんだろうか。
このところなまじ思うように勝ち点が伸びていないだけに、そういうところからチームが内部分裂したりしないかちょっと心配だ。
(Jul. 12, 2021)
U-24日本3-1U-24ホンジュラス
親善試合/2021年7月12日(月)/ヨドコウ桜スタジアム/TBS
東京オリンピック(マジでやるらしい)まであと十日ということで、本番前の最後の調整に用意された親善試合二連戦。まずはオリンピックに韓国と同じグループBで出場するホンジュラスとの対戦。
利権絡みで強行される今回のオリンピックには心底うんざりしてしまったので、もう本番はいっさい無視して、サッカーさえ観ないことに決めたから、それだったらこの試合ももう観なくていいじゃんって話なんだけれど、ここまで五輪代表を観てきて、完成形を一度も観ないで終わるのも残念なので、今回の二連戦を最後にすることにした。さいわい本番前の最後の試合はスペインが相手だというのでちょうどいい。森保が選んだ選手たちが世界有数の強豪国を相手にどれだけ戦えるかを見届けて最後にする。
ということで、今回は最初にオリンピック最終選考の招集メンバーから。森保が選んだのは、GK大迫、谷、DF吉田麻也、酒井宏樹、板倉、中山、旗手、冨安、橋岡、MF遠藤航、相馬、三好、三笘、堂安、田中碧、久保建英、FW前田大然、上田綺世の18人だった。あと、当初はバックアップメンバーとして選ばれていた鈴木彩艶、町田、瀬古、林大地がレギュレーションの変更により正規メンバーとなった。
バックアップメンバーとか言わずに、最初から先行枠が22だったら彩艶ではなく沖がGKとして選ばれたかもしれないのに……。土壇場でレギュレーションが変わってしまうあたりも含めて今回の五輪はほんとうに駄目だよなぁって思う。
さて、そんな22人からこの日のスタメンに選ばれたのは谷、酒井、麻也、冨安、中山、遠藤航、田中碧、堂安、堂安、久保、三好、林の11人だった。
なんとベンチには綺世の名前がなかった。どうやら怪我で出遅れているらしい。そういや先月末のリーグ戦も出てなかったっけね。そうか怪我してたか。本番に間に合うのかね。こんなに少ない選考枠に残ったのに怪我で本番を棒に振ったら無念にもほどがある。とりあえず無事を祈っている(本番は観ないけど)。
綺世のほかにも三笘や旗手ら直前までACLに出場していた選手たちは合流が遅れて不参加だった。そのせいで選手が少ないからと、この日の五輪代表のベンチには聞いたともない名前の十代の選手が5人も入っていた。
でもいくらなんでも本番に出場できない選手をこの期に及んで使う意味があるとは思えないから、あまり人数が少ないと相手に失礼だからと気を使って、人数合わせでベンチ入りさせたのだろうと思ってたのに、試合終了間際に五輪代表の選手をすべて投入したあと――出場したのは板倉、前田、相馬、橋岡、町田の5人――、中山と交替で藤田
おいおい、五輪の最終調整のための試合に五輪に出ない選手を使うのって前代未聞だろう。なに考えてんだ森保。中山が足を傷めたからって話もあるけれど、だとしたら五輪代表の選手を使い切る前に替えておけって話だ。ほんとナンセンスにもほどがある。この人の指揮する五輪代表を観るのもあと一試合だと思うとほんとせいせいするよ。やれやれ。
試合のほうは前半は圧倒的に日本ペース。13分に久保のFKから麻也の足元のシュートが決まって日本が先制すると、前半の終わり頃には冨安のクロスから林がポストプレーで作ったチャンスを堂安がきっちりと決めて追加点。なんとも一方的な展開で、いっちゃ悪いが、なんでこのホンジュラスがアメリカに勝って本大会へと進めたんだろうと思ってしまった。
でも、後半にホンジュラスがメンバーを一気に5人入れ替えてきてからは形勢が変わる。前線からのチェックが厳しくなって、セカンド・ボールも奪えなくなり、日本は思うようにボールを回せなくなる。でもってその後、ゴール前の混戦から冨安にあたったボールが日本のゴールラインを割ってしまってオウン・ゴールで1点差とされる。なんだよホンジュラス、前半は三味線弾いてたんじゃん。
こりゃこのまま勝っても褒められた内容ではないなぁという試合を、最後にゴールを決めて締めくくったのは堂安だった(相馬のナイス・クロス)。堂安っていまいちどこがいいのかわからないのだけれど、少なくてもこの日は背番号10にふさわしい仕事をしていた。
ということで、後半の出来はいまいちだったけれど、本番前だし、これくらいの内容のほうが気分的に引き締まっていいだろう。残すところ本番まであと一試合。スペイン相手にどれくらいの試合ができるのかはけっこう楽しみだ。
(Jul. 12, 2021)
U-24日本1-1U-24スペイン
親善試合/2021年7月17日(土)/ノエビアスタジアム神戸/日本テレビ
五輪代表にとって本番前最後の親善試合。
オリンピック本大会を観ないことに決めた僕個人にとっては、今回の――いやこれ以降の?――五輪代表を観るのはこれが最後になるし、対戦相手は優勝候補のスペインってことで、それなりに楽しみにしていた試合だったのだけれど――。
試合前に今回のレギュレーションを知ってびっくり。なに交替枠11って。スタメン全員入れ替え可能ってことじゃん。
森保は「強豪のスペインとの貴重な対戦だから、ひとりでも多くの選手にそれを体験させたい」とかいっていたそうだけれど、直前なんだからこそ、ここ一番でのチームの完成度をあげるために選手は固定すべきじゃないの?
あー、もう本当にこの人とは意見があわない。この試合を最後に森保が率いる五輪代表を観ないで済むと思うと、正直気分すっきりだわ。
ということで、この日の五輪代表のスタメンは、谷、酒井、吉田、冨安、旗手、遠藤航、板倉、久保、堂安、相馬、林の11人。途中出場は大迫敬介、橋岡、町田、瀬古、三好、田中碧、前田大然(以上は後半頭から)、上田綺世、中山雄太の9人。さすがに交替枠すべては使わなかったけれど、この日は三笘が欠場したため、出てないのはGKの鈴木彩艶だけ。実質的にはほぼ全員を起用した形だった。まぁ、とりあえず綺世が怪我から戻ってきたのはめでたい。
対するスペインは僕などは知らない選手ばかりだったけれど、GKのウナイ・シモンという人は24歳にしてすでにA代表のレギュラーらしいし、そういう選手がけっこう多いようだった。OA枠も最年長で25歳の選手だし、30代の麻也らを擁する日本とは、やはり選手層の厚さが違うのねって思わせた。本当ならば五輪代表と兼任だった森保のところで、A代表もそういう風にU-24代表の若手中心にシフトすべきだったんじゃないかって思うのだけれどな。守備の安定に麻也、酒井、遠藤航の経験値を求めてしまうあたり、やはり森保は保守的だよなぁと思う。
まぁ、なにはともあれスペイン代表はうまかった。前半の日本はほとんどボールを持たせてもらえなかった。かといって特に崩されるでもない。互角というのはおこがましいけれど、かといって歯も立たないというレベルの差はなさそうだなと思ってみていたら、前半残り少ない時間帯に日本がよもやの先制。久保のくずしから、堂安が斜めに走り込んできて豪快なシュートを決める。堂安、得点の場面以外はなにやってたんだろうって感じだけれど、ここぞで結果を出すのはすげー。
もしやこの1点を守り切って日本が勝つパターンか?――と思ったけれど、そうは問屋が卸さない。後半から出てきたスペイン期待の十代ペドリ・ゴンザレス――実況の人が「市場価値百億」を連発していて鬱陶しかった――のスルーパスからの崩しでソレールという選手にポスト直撃弾を決められて同点。そのままドロー決着となった。
まぁ、前の試合でも書いたけど、大事な大会の直前には結果が出ないほうが本大会の成績がいい印象があるので、ここはドローで十分でしょう。スペイン相手に悪くない試合ができるチームが、本番初戦で南アフリカに負けるというのも考えにくいから、メキシコ、フランスと戦う二戦目以降がポイントになるんだろう。
ということで僕にとっての森保ジャパンU-24代表はこの試合でおしまい。
ばいばい五輪代表。健闘を祈っている。
(Jul. 18, 2021)
ガンバ大阪0-1鹿島アントラーズ
J1・第2節/2021年7月24日(土)/パナソニックスタジアム吹田/DAZN
シーズン開幕当初に新型コロナ陽性患者が出て、そこから半月分の試合が中止になった関係で、他のクラブより消化試合が五試合も少ないガンバ大阪。仕方がないから東京五輪の中断期間を利用してその分を消化することになったらしい。
ということで五輪開会式の翌日に開催されたガンバ大阪とのアウェイでの一戦。
この試合でまず驚いたのが、相馬監督が不在だったこと。試合前の監督インタビューをパシェコという小太りのブラジル人ヘッドコーチが受けているのを見てなにごとかと思ったら、相馬は体調不良で欠席だという(コロナ?)。
そんなパシェコ氏が(相馬の代理で?)選んだこの日のスタメンは、GK沖、DF常本、犬飼、関川、永戸、MF三竿、ピトゥカ、ファン・アラーノ、和泉、FW土居、エヴェラウドという構成だった。
三竿、関川がひさびさのスタメンで、和泉は今季初先発。ブラジル人コーチが指揮を取っているのに、ブラジル人のレオ・シルバではなく、三竿がスタメンというところに意外性があった。それが相馬の意向か、はたまたパシェコ氏の独断かはわからないけれど、三竿らの出番が減っているのが気になっていた僕としては、これはいい起用法だと思った。和泉も去年よりチームプレーに徹している感じがして好印象だった。
対するガンバは成績低迷の責任を問うて宮本ツネ様を解任して、現在は松波が指揮をとっている。
でも個人的にはこれは疑問。ガンバが下位に沈んでいるのは試合数が少ない影響がまちがいなくあったと思うし、去年好成績を残した宮本を解任するには早かったんじゃないだろうか。クラブのレジェンドなんだし、もう少しチャンスを与えてあげてもよかったのではと思った。
そもそも、宮本の後任が過去にJ2降格を招いた松波というのが不思議すぎる。毎回そんな場当たり的な監督人事をしているからチームが安定しないんじゃないだろうか。その点、あらかじめザーゴの後任候補として相馬をコーチに迎え入れていた鹿島はやっぱひと味違うなぁと思った。
なんにしろ、そんな監督人事のドタバタがあって、いまだに降格圏から脱出できていないガンバ大阪が相手だから、この日の試合は比較的楽に勝てるかと思ったら、やはりそうでもない。まぁ、ガンバがよかったからというよりは、主にこちらの問題という感じだったけど。このところの低調さはあいかわらずで、守備面では安定しているものの、攻撃が迫力不足。やっぱエヴェラウドの調子がいまいちなのが痛い。もとよりFW不足なので、今年の成績も結局エヴェラウドの復調次第って気がしてきた。
さて、そんなわけで出来がいまひとつだったこの試合を救ったのは、途中交替で後半20分から出場した荒木とアルトゥール・カイキだった。ひさびさに戻ってきた荒木が大仕事。見事なスルーパスからカイキの決勝ゴールをお膳立てしてみせた。なんか今年は荒木がいないと駄目な感あり。カイキもゴールのあと、家族の写真がプリントされた脛あてなんか見せちゃったりして。ごつい髭のわりには行動が可愛かった。
試合はその1点を守り切って勝ち。ロスタイムには三竿、ピトゥカを残したまま、レオ・シルバと松村を入れて、トリプル・ボランチで逃げ切った。でもこの選手交替は遅すぎでしょう。レオ・シルバを5分しか使わないなんてもったいなさすぎる。
ま、なんにしろこの日の勝利で順位は6位にあがった――とはいっても、FC東京とレッズとは勝ち点が一緒で、得失点差で上回っているだけなので、当分はこの辺の順位でアップ&ダウンを繰り返すんだろう。
次節は五輪閉会後の8月9日。オリンピック、さっさと終わってくれ。
(Jul. 25, 2021)