2021年5月のサッカー
Index
- 05/01 ○ 横浜FC0-3鹿島 (J1・第12節)
- 05/09 ○ 鹿島3-0F東京 (J1・第13節)
- 05/12 ○ 名古屋0-2鹿島 (J1・第21節)
- 05/15 ○ 鹿島5-3横浜FM (J1・第14節)
- 05/22 ● 鳥栖2-1鹿島 (J1・第15節)
- 05/26 ○ 鹿島1-0C大阪 (J1・第16節)
- 05/28 ○ 日本10-0ミャンマー (W杯・二次予選)
- 05/30 ● 川崎2-1鹿島 (J1・第17節)
横浜FC0-3鹿島アントラーズ
J1・第12節/2021年5月1日(土)/ニッパツ三ツ沢球技場/DAZN
ここまで1勝もできずに下平監督が解任されて、現在は早川知伸という人が指揮をとっている最下位の横浜FCとの対戦。
やはり上田綺世は前節の怪我で全治3週間だそうで、この日の先発は、沖、常本、犬飼、町田、永戸、三竿、レオ・シルバ、荒木、白崎、土居、染野というメンバーになった。
対する横浜には伊藤翔、伊野波という元鹿島のメンバーがいたり、ほかにも六反、マギーニョ、小川慶治朗といった、知った顔ぶれがいたりして、意外と侮れない感じだった。
でもまぁ、今季背番号10を託した中村俊輔がベンチ入りしていないあたりで、方向性にぶれがある気がしてしまうのも仕方ないところ。去年のように走力重視の守備的なサッカーをするならば、俊輔にエースナンバーつけさせたりしないと思う。ベストメンバーで戦えない鹿島相手に3-0で負けてしまうあたり、やはり今年のJ1残留は難しいんだろうなと思わせた。
鹿島の得点は先制点が白崎。荒木が打ったシュートの跳ね返りを頭でゴールへと流し込んだ。白崎ってなにげにポジショニングいい気がする。
2点目は荒木がもらったPKを土居聖真が決めたもの。決めたというか、いったんは六反に止められたこぼれ球に反応してなんとか得点にした。キッカー務めるんならば、きちんと決めてくれないとなぁ……。とりあえず、外さなくてよかった。
聖真はこれが今季初ゴールとのこと。そうでしたか……。そりゃ鹿島が勝てないのも納得だって思ってしまった。
以上の2点が前半で、後半に入ってからの3点目は荒木のCKから町田のヘディング。その少し前にも犬飼のヘディングが六反のナイスセーブに阻まれたシーンがあったし、今年は両CBがセットプレーでこれぞ鹿島って仕事をしてくれている。
荒木はいちおう全得点に絡んでいることになるけれど、観ている分には不思議とそれほどの大活躍って感じでもなかった。最近はすっかり自身のゴールから遠ざかってしまっているので、そろそろゴールが欲しいことだろう。
以上の3得点に加えて、この日もクリーンシート。まぁ、対戦相手に恵まれた感もあるけれど、ザーゴのときには一度もなかった無失点試合が、相馬になってからすでに二度目ってあたりに鹿島らしさを取り戻しつつある感じがしないでもない。
あえて苦言を呈するならば、この日の不満は、後半の選手交替が遅かったこと。
ひとりめの白崎→松村こそ後半17分だったけれど、そのあとのディエゴ・ピトゥカ、遠藤、小泉、杉岡の投入は、43分過ぎだ。それはいささか遅すぎるでしょう?
膠着した試合で選手を替えるのが難しい展開だったのならばともかく、前半だけで2点をリードしていたのだから、もう少し早めに動いて欲しかった。ピトゥカのJ1デビュー戦でもあったわけだし。わずか10分ばかりのプレーではモチベーションが上がらないだろう。観ているこちらも、いいも悪いもわからない。相馬さんにはもう少し積極的なベンチワークを見せてもらいたい。
さて、監督交替からここまでは比較的順調にきたけれど、次からはFC東京、名古屋、マリノスと強敵がつづく。真価が問われるのはここからだ。いい試合を期待している。
(May. 02, 2021)
鹿島アントラーズ3-0FC東京
J1・第13節/2021年5月9日(日)/カシマサッカースタジアム/DAZN
いやー、FC東京が弱いっ。ここのところ4連敗中だとは聞いていたけれど、この試合も見るも無残な内容だった。長谷川健太が鹿島の監督だったら、この日の黒星で絶対に解任まちがいなしだろう。序盤戦はそこそこいい成績だったのに、なんでこんなことになっているんだか。
この日の鹿島のスタメンはGK沖、DF常本、犬飼、町田、永戸、MF三竿、レオ・シルバ、松村、白崎、FW土居、荒木の11人。途中出場はファン・アラーノ、遠藤、ピトゥカ、上田綺世、小泉の5人だった。
途中出場だけれどファン・アラーノが復帰! そして綺世も腕の怪我から早々と復活! この二点がチームとしては朗報。エヴェラウドの復帰とカイキのデビューも時間の問題だろうし、ピトゥカも調子が上向きっぽかったし、ブラジル人クインテットが全員集合したらどんなサッカーを見せてくれるのか、いまから楽しみだ。
対するFC東京はなぜだかレアンドロと渡辺剛が不在。高萩もベンチで出番なしだし、10番の東は不出来で前半で交替させられちゃうし、まるでいいところがなかった。存在感があったのは、ディエオ・オリヴェイラと小川諒也、あとGKの波多野くらい(身長198もあんのね。でけー)。永井とか、レッズから移籍してきた青木とか、どこにいたんだかわからない。最終的にシュートはわずか2本、枠内にいたっては0というていたらく。なるほど、これでは連敗しているのも当然かもって思った。
そんな不出来なFC東京相手に、こちらは前半から主導権を握る。22分には荒木の左CKから町田がみごとなヘディングを決めて先制。45分には松村が思い切りよく打ったシュートが左ポスト直撃して追加点。松村はこれがJ初ゴール! そのゴールの場面以外はいまいちだったけれど、とりあえず積極的なプレーが結果につながってなによりだった。
後半の駄目押し弾は、途中出場どうしのコンビネーション。遠藤からのグラウンダーのクロスに綺世が右足ダイレクトであわせて、相手DFにあたったボールがゴールラインを割った。
ということで、気がつけばこの日のゴールはすべて五輪代表世代の得点。しかも綺世、町田、荒木が通算4ゴールずつでチームの得点王争いをしている状況だ。将来有望な若者たちが競いあってチームを勝利に導いてくれていて嬉しいよ。守備の面でも2試合連続のクリーンシートだし、本当になぜザーゴにはこういう戦い方ができなかったのやら……。
なんにしろ、ようやくこれで順位が一桁になった。前節までは鹿島、東京ともに勝ち点15で、10位と11位で並んでいたけれど――今年はそういう風に隣り合った順位のクラブと対戦することがやたら多い気がする――この日の勝利で勝ち点を18まで伸ばした鹿島が9位まで順位をあげた。勝ち点41と無敗で首位を独走する川崎の背中は遠くかすんで見えやしないけれど、とりあえず2位のグランパスになら追いつくのは不可能ではないくらいの距離感にはなったかなと。次節はその名古屋との再戦だ。きっちり前回の雪辱を果たして欲しい。
(May. 09, 2021)
名古屋グランパス0-2鹿島アントラーズ
J1・第21節/2021年5月12日(水)/豊田スタジアム/DAZN
おー、2位の名古屋相手に快勝~。しかも3試合連続のクリーンシート。それまでは失点してあたりまえだったクラブが、なにをどうすればそうなるんだ? 相馬、もしかしたらすごいのかもしれない。
さて、リーグ戦としてはひさびさのウィークデイ開催で、前節から中2日だったこの日のスタメンは、沖、常本、犬飼、町田、杉岡、永木、ピトゥカ、遠藤、小泉、ファン・アラーノ、土居という11人だった。
ついにディエゴ・ピトゥカがスタメン初登場~。ファン・アラーノのスタメンも復帰後初だった。あと杉岡、永木、遠藤、小泉の計6名が入れ替え。レオ・シルバ、永戸、白崎はベンチにも入っていなかったし、中二日での3連戦ってことで、相馬はけっこう大胆にスタメンを入れ替えてきた。
でもって、この布陣がちゃんと機能するからすごい。とくに小泉が最高だった。トップ下でプレーしていた彼が効きまくり。攻撃で決定的なパスを通したりすることはなかったけれど、運動量豊富で前線の守備のキーマンとなっていた。相馬になってからは、サイドよりも中盤主体って印象だけれど、高い位置でもこんなにいいプレーを見せてくれるとは思わなかった。恐れ入りました。
噂のピトゥカもよかった。ちゃんと守備もするし――ってのはボランチならばあたりまえか――なによりパスの一本一本に味がある。後半はさすがに疲れたのか存在感がなくなったけれど、でもコンディションが上がればもっと凄くなりそう。これからが楽しみだ。
対する名古屋はフィッカデンティが新型コロナ陽性で離脱中。そんなときにACL出場による変則日程のせいで、最強王者・川崎とリーグ戦を2試合連続で戦わされて2連敗するという、なんとも気の毒なことになっている。
そういう意味では、このところすっかり調子が上向きの鹿島とこのタイミングで再戦することになったのもACLのせいだし――今回の試合は第21節が前倒しされたもの――名古屋もコロナの影響をもろにかぶったクラブのひとつなんだろう。ほんとお気の毒さま。
気の毒といえば、この日の先制点もそのひとつかもしれない。CKからの何気ないボールをランゲラックがファンブルして、目の前に詰めてきていた犬飼にぶつけてゴールラインを割ってしまうという、なにそれってゴールだった。
この日は犬飼の28歳の誕生日だったそうだ。犬飼、誕生日おめでとう! ランゲラック、素晴らしいバースデイ・ゴールのプレゼントありがとう!
後半42分の追加点は杉岡の移籍後初ゴール。キャプテン永木に途中出場の綺世、松村、荒木が絡んで、見事なパスワークからのゴールだった。永木の気のきいたスルーパスを荒木がワンタッチ、最後は荒木と交差するようにペナルティ・エリアに切れ込んだ杉岡が見事なシュートを決めてみせた。ゴールのあとベンチの選手たちにもみくちゃにされていて微笑ましかった。杉岡、おめでとう!
ということで、2点差として試合を決定づけたあとで永木を三竿に替えて、この日の試合はそのまま終了。今回はマテウスにも稲垣にもこれといった仕事をさせない完勝だった。この時期に2位のクラブ相手に対戦成績を五分に戻せたのはでかい。
次のマリノスも開幕戦の神奈川ダービーで川崎に負けてからは一度も負けていないそうなので難しい試合になるのは間違いなし。でもいまの鹿島ならきっといい試合を見せてくれることだろう。次の試合を楽しみに待てるのっていいよねぇ。
(May. 12, 2021)
鹿島アントラーズ5-3横浜F・マリノス
J1・第14節/カシマサッカースタジアム/DAZN
予想外のゴールラッシュとなったマリノスとの一戦。
こんなに点が入るとは思ってもみなかったけれど、でも振り返ってみたら、去年もマリノス戦では景気よくゴールが決まっていた。ポステコグルーとザーゴが志向したサッカーのベクトルが近いせいなのか、このところのマリノスとは思いのほか相性がいいのかもしれない。
この日のスタメンは6人を入れ替えた前節からもとに戻した形。つまり1週間前のFC東京戦と同じメンツだった。途中出場は綺世、アラーノ、ピトゥカ、小泉の4人。
いまだにエヴェラウドが戻ってこないのが気になるけれど、なんでもチームに合流したのが1週間ちょい前という噂なので、いまだ病み上がりでコンディション不十分ってことなんだろう。
試合に関しては前半はほぼ互角――というか、マリノス優勢って印象だった。前田大然、オナイウ阿道の若きFWふたりが予想外に強力。仲川こそ離脱中だけれど、マルコス・ジュニオール(遠目に観ると前田大然と見分けがつかない)は気のきいたプレーを連発するし、新ブラジル人のエウベルも効いている。2節目以降は無敗というのもなるほどって充実ぶりだった。エウベルの右からの高速クロスをオナイウにどんぴしゃで決められたときには、相馬の無敗記録もここでおしまいかと思った。
でもこの日のサッカーの神様は鹿島の味方だった。前半のうちに同点に追いつくと、後半は怒涛のカウンター攻勢でマリノスを圧倒する。
前半の貴重な同点弾は40分。左からのCKをGK高丘がファンブルして、ファーに流れたボールを白崎がゴールラインぎりぎりでダイレクトに折り返し、そこから三竿が打ったシュートのリバウンドを土居がサイドバーにあてながら豪快に決めた。白崎、三竿、土居の波状攻撃が見事だった。これで1-1のまま前半は終了。
で、前半同様の拮抗した内容になるかと思われた後半は、開始から10分間で趨勢が喫してしまう。
鹿島の追加点は後半開始のわずか1分。センターライン付近で相手ボールを奪った白崎からのスルーパスを受けた土居がドリブルで駆けあがり、GKとの一対一のチャンスを冷静に決めきって勝ち越し。8分にはドリブルでペナルティエリアへ切れ込んだ松村がティーラトンにうしろからプッシングを受けてPK獲得。これを土居が決めてハットトリックを達成~。さらにその2分後には右からの崩しから最後は荒木が2ヵ月ぶりのゴールを決めて、あっという間に4-1というスコアになった。
そのあとオナイウに本日2ゴール目を許して2点差とされるも、こちらも途中出場の綺世が高丘のトラップ・ミスからボールをかっさらって無人のゴールへとボールを蹴り込んで5点目をゲット。
終盤に常本が2枚目のイエローをもらって退場してしまったのと、そのあと途中出場の天野にゴールを許して3点目を献上したのは余計だったけれど、でもこんな大勝にケチをつけたらバチがあたる。なにより両軍あわせて8ゴールなんて景気のいい試合はめったに観られない。それだけでも貴重な試合だった。
なんでもこの日はJリーグ元年にジーコがハットトリックを決めた伝説の開幕戦からちょうど28年目の同じ日だったのだそうだ。
その試合のスコアが5-0。クラブが常勝軍団としての歴史を刻みはじめた日からちょうど28年後に、くしくも同じゴール数をあげて、しかもクラブの生え抜きの土居聖真が自身初となるハットトリックを決めて鹿島が圧勝したという。
土居はこの試合が通算250試合目のメモリアル・マッチだというし、対戦相手はオリジナル10では鹿島をのぞけば唯一降格知らずのマリノスとくる。そんな展開に運命的ななものを感じるなっていう方が無理な話だ。
いやはや、なんともドラマチックな一戦だった。
それにしても自分がもう28年もサッカーを観ているなんてびっくりだよ。
(May. 16, 2021)
サガン鳥栖2-1鹿島アントラーズ
J1・第15節/2021年5月22日(土)/駅前不動産スタジアム/DAZN
相馬監督になって公式戦初黒星の相手はサガン鳥栖だった。
今年の鳥栖は好調で、現時点で3位という好成績を残しているけれど、勝因は失点わずか6という堅守にあると思っていたので、ルヴァン杯では1勝1分と、2戦合計で5点も取っている鹿島ならば勝てると踏んでいたのだけれど、大誤算。
いやー、鳥栖は予想外に強かった。この試合のボール保持率60%という数字が、鳥栖がたんに守備的なサッカーをしているわけではないことを示している。両サイドにきっちりボールが収まるし、プレスは厳しく、ミスも少ない。
知っている選手はGKの
対する鹿島のこの日のスタメンは、前節のスタメンから出場停止の常本を広瀬に替えただけのメンツ(途中出場は上田、小泉、遠藤、ピトゥカ、杉岡)。
でもこの広瀬がよくない。特別どこが悪かったというわけではないけれど、いかんせん存在感がない。同点ゴールを奪われた場面でも右サイドからのクロスのマークについたのは犬飼だったし。ピンチの場面で仕事をしていない、攻撃でも目立たないではねぇ。ひさびさのスタメンのチャンスにこの出来では、常本にレギュラーを奪われるのも当然かなぁと思ってしまった。
試合は前半に鹿島が松村のゴール(積極的に打ったシュートが相手DFにあたって絶妙のコースへと飛んだもの)で鹿島が先制するも、後半に鳥栖の9番・山下
対する鹿島で残念だったのは、土居と永戸が前半と後半にそれぞれGKと一対一になるチャンスを得たのに、自らシュートを打たずにパスを選択したことでチャンスをふいにしてしまったこと。なぜに前が空いているのに自らシュートを打とうと思わないんだか。松村や鳥栖の若い選手たちが積極的にシュートを打って試合を動かしているだけに、その消極性が焦れったくて仕方なかった。
いやー、しかしこの黒星は痛い。勝てば鳥栖と勝敗数で並んで、ベスト3入りも近かったのに……。次週はいよいよ川崎との対戦だけに、そこまで無傷でいければと思っていたのに、捕らぬ狸の皮算用になってしまった。
残念ながらこの日の鳥栖のサッカーに太刀打ちできないようでは、とても川崎に勝てるイメージが湧かない。
(May. 22, 2021)
鹿島アントラーズ1-0セレッソ大阪
J1・第16節/2021年5月26日(水)/カシマサッカースタジアム/DAZN
難しい試合だったけれど、相手のミスから得たチャンスを荒木がしっかりと決めて勝ち点3をゲットしたホームでのセレッソ戦。
この日のスタメンは沖、常本、犬飼、町田、永戸、レオ・シルバ、ディエゴ・ピトゥカ、小泉、白崎、土居、荒木という顔ぶれだった。
水曜日ってことで、ピトゥカがふたたびスタメン出場。で、なおかつフル出場。あとアルトゥール・カイキも途中出場でピッチに立った(わずか5分ちょいだったけれど。カイキ、髭がすごい)。これであとはエヴェラウドと和泉が戻ってくれば、今年の鹿島はフルスペックだ。それにしても本当にエヴェはいつになったら戻ってくるやら……。
対するセレッソ大阪は、クルピ監督のもとリスタートを切った開幕当時は、古巣に復帰したばかり大久保がよもやのゴールを量産してなにごとかと思わせたものの、その後は大久保の怪我などもあってか失速。いつのまにか鹿島より下の順位に沈んでいる。
でもいざ戦ってみると、決して楽な相手じゃなかった。清武はあいかわらずおしゃれなボールタッチを見せるし、奥埜や坂元、原川、藤田らの移籍選手も質が高い。キム・ジンヒョンもいまだ健在だし、コロナで離脱していたという噂の瀬古歩夢もさすが去年のヤングプレーヤー賞って感じ。あと、シーズンインしてから獲得した元神戸のダンクレーもとても効いていた。この人邪魔って何度思ったことか。
両クラブとも積極的にハイプレスをかけて潰しあう互角の戦いが延々とつづいたので、こりゃスコアレス・ドローもあるなぁと思っていたんだけれど、均衡をやぶったのは相手のバックパスのミスだった。それを土居がかっさらい、DF二枚に潰されそうになるぎりぎりで逆サイドの荒木へスルーパスを通してみせた。そのボールを荒木は切り返して、絶妙なシュートを相手ゴールへと流し込む。これが決勝点となって鹿島が勝ち点3を得た。
注目のピトゥカは序盤こそエンジンがかからない感じだったけれど、時間とともにそれなりに存在感を増していった。最後まで運動量が落ちなかったし、あいかわらずパスのセンスに非凡なものを感じさせた。でも本領を発揮するのはもうちょっと先っぽい。
そういや、きょうは三竿が途中出場だったので、キャプテンマークはレオ・シルバが巻いていた。なんか意外。でもレオ・シルバも今年でもう5年目だというしなぁ。言葉の壁こそあれ、いまやキャプテンを任せてもなんの不思議もないんでしょうかね。
それにしても、小泉は中盤でプレーさせると、あいかわらず運動量が半端ない。常本もずいぶんプレーが安定してきて、きょうは安心して見ていられた。永戸のプレーにもすっかり慣れて、いまではけっこう好きになっている。白崎は毎回存在感はいまいちだけれど、積極的にシュートを打つ姿勢がいいと思う(決まらないけれど)。その点は綺世も同じ。やっぱシュートを打てる場面でちゃんとシュートを打つ人のほうが観ていて気持ちいい。土居聖真にももう少し積極性があればいいのになぁと思う。
さて、ということで次節はいよいよ王者・川崎との対戦。ここまで無敗の絶対王者に対して、いまの鹿島のサッカーがどれだけ通用するのか楽しみだ。
(May. 26, 2021)
日本10-0ミャンマー
FIFAワールドカップ二次予選/2021年5月28日(金)/フクダ電子アリーナ/日本テレビ
駄目だ。代表戦にまったく気分が乗らない。Jリーグは地域密着の営利活動だから、がんばってやって欲しいと思うけれど、代表はオリンピック同様おまけのようなものなので、こういう非常事態時には中止にして欲しい。ただでさえ森保ジャパンは楽しくないのに、こんな状況下で特例で外国人を招いて試合するのは見たくない。
しかもこの日の対戦相手はミャンマー。軍部がクーデターで政権を奪ったまま、数ヵ月が過ぎようとしている。民主主義の世界において、武力による政権略奪なんて暴挙が許されていいはずがないじゃん。スポーツには政治は持ち込まないという建前があるにしろ、そういう状況の国を相手に、のほほんとサッカーをやるってのがどうにも納得がゆかない。
なんでも今回のミャンマー代表には、現在の母国を代表してプレーなんてできないといって、ボイコットした選手もいるそうじゃないですか。始まる前からフェアじゃない。日本代表もミャンマーの軍事政権に抗議をする意味で、試合をボイコットして不戦敗になるくらいの気概をみせてもよかったのではないかと思う。一敗したところで予選突破は確実なんだろうから。まぁ、森保にそんな反骨心があるとも思えないけれども。
というわけで、個人的にはこんな試合してもなぁって思ったミャンマー戦。結果は大迫がまさかの5ゴール、南野2ゴール、守田、板倉、鎌田が各1ゴールずつで、計10点を奪って日本が圧勝した。むごい。実力差がありすぎた。
今回の出場選手は先発が川島、酒井宏樹、吉田麻也、板倉、長友、遠藤航、守田、伊東純也、鎌田、南野、大迫の11人、途中出場が室屋、植田、原口、橋本拳人、浅野拓磨の5人だった。
なんでこのタイミングでGKが川島なんだか。いまさらこんな試合にベテラン中のベテランを使う意味がわからない。その一方で、遠藤航や森田の台頭があったとはいえ、コロナ前には重用していた柴崎はいつのまにか戦力外だし。久保建英も使わないし。
久保は今回が十代最後の代表戦だったそうだ。なのに、前半だけで4-0と勝敗が決したも同然の試合で、そんな話題性があって見たがっているファンがたくさんいる選手を使わないで済ませてしまうなんて、森保ってほんとなんてつまらない人なんだろう。
ここまで気分が冷めたままの大勝も珍しいよ。これから半月ばかりのあいだに、A代表と五輪代表の試合があと6試合もあるなんて。ちっとも嬉しくない。
(May. 29, 2021)
フロンターレ川崎2-1鹿島アントラーズ
J1・第17節/2021年5月30日(日)/等々力陸上競技場/DAZN
敗因は単なる運じゃん!――という後半ロスタイムの決勝点で、王者に負けたアウェイの川崎戦。
ここまで無敗で連勝街道ばく進中の川崎との対戦ってことで楽しみにしていた試合だった。加えてようやくエヴェラウドが戦線復帰! さすがにいきなりのスタメンはなかったけれど、エースの復活には否応なく期待が高まった。
ということで、この日のスタメンは沖、常本、犬飼、町田、永戸、ピトゥカ、レオ・シルバ、小泉、荒木、土居、上田の11人だった。
上田綺世がひさびさのスタメン! あと、ダブル・ボランチがブラジル人コンビで、トップ下が小泉という布陣。驚いたことに三竿はベンチ外だった。
このメンバーで不安があるとすれば、運動量が売りの小泉が、中3日での連戦でも存在感を発揮できるか、だろうか……と思っていたら、やはり不安的中。この日の小泉は前節ほどの活躍を見せられず、前半だけでお役御免となってしまった。
いやしかし、やっぱ川崎は強かった。とくに前半の20分間――先制ゴールを許すまで――はまったく勝ち筋が見えなかった。相手にいいようにボールを回され、チェックにいっても簡単にかわされる。いやちょっと待て、こりゃ格が違うかもしれん――とマジで思った。でもって、山根の素晴らしいスルーパスから、レアンドロ・ダミアンに完璧な先制ゴールを許してしまう。
ああ、こんな調子では90分で何点取られることやら……と思っていたけれど、その後はなんとかしのいで前半終了。
で、後半になって相馬がすぐさま動く。小泉をさげて白崎を投入。これが流れを変えた――のかどうかはわからない。
それでも、小泉の先発起用がまずは守備からという意思表示だったとすれば、白崎の投入はとにかく1点返すぞという決意表明だろう。でもって実際に後半の鹿島は、試合の均衡をほぼ互角といっていいくらいに持ち直した。そして白崎→荒木→上田綺世という見事なパスワークから同点ゴールが生まれる。
上田のゴールは最初、線審にオフサイドの判定を受けたのが、VARでくつがえったもの。オフサイドラインをぎりぎりで抜け出してループ気味に決めた綺世のシュートが素晴らしかっただけに、あれが誤審で取り消されなくて本当によかった。福岡戦で最悪なゴール取り消しを受けて以来、VARには反感を持っていたけれど、こういうことがあると、ちょっと認めてもいいかなって気になる。
この同点ゴールのあとは土居→松村、上田→エヴェラウド、ピトゥカ→永木の3人を交替させ、勝ち越しを狙うも果たせず。でもこの展開ならば負けはないかと思っていたのに、最後の最後に、途中出場でロスタイムもほとんど時間がなくなってから出てきた小林悠によもやの決勝ゴールが生まれてしまう。
でもあれは運だよねぇ……。左サイドからのクロスがファーに流れた先にいた小林悠に、町田がワンタッチしたボールがつながってしまうなんて。町田が触らなければオフサンドじゃん!
――と思ったのだけれど、リプレイをよく見たら、小林悠はクロスが出た時点ではオフサイド・ポジションではなかった。つまりあれは、町田が触らないでも、町田と競っていた誰かさんが触らないでスルーしていれば、そのまま小林悠に渡って、同じ結果になっていた可能性が高い。要するに小林悠のポジショニングがあまりに素晴らしかったのかと、この文章を書くためにハイライト映像を見ていて思った。
いやでも、町田のヘディングがもうちょっと深くあたっていれば、ボールは違う方へ飛んでいた可能性だってあるわけで。やっぱあれは運だよなぁ……。
ということで、首位・川崎の連勝は止められず。8位に順位を落とした鹿島と川崎の勝ち点差は24なんてことになってしまった。3試合少ないとはいえ、シーズン半ばにしてもうどうにも話にならない状況に……。
でもまぁ、救いがあるとするならば、負けはしたものの、まったく太刀打ちできないほどの差ではなかったこと。エヴェラウドも帰ってきたし、彼が完全復調して、ピトゥカがチームにフィットすれば、次回の対戦時にはもっといい試合ができるだろう。
そういや、鬼木はこれが監督としてJリーグ通算100勝目だそうだ。はからずもこの試合は、鹿島でプロデビューした鬼木と、川崎で監督をつとめたことのある相馬の先輩・後輩対決だったんだよな。現役時代は相馬のほうが華々しかったけれど、ここまでの監督としてのキャリアでは鬼木の圧勝だわ。恐れ入った。
(May. 31, 2021)