2016年2月のサッカー
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サンフレッチェ広島3-1ガンバ大阪
ゼロックススーパーカップ/2016年2月20日(土)/日産スタジアム
Jリーグ開幕一週間前(はやっ)ということで、今年のゼロックス杯は、広島とG大阪の対戦。
試合を観て思ったこと。広島、つえぇ。
森保体制も5年目だけあって、やってるサッカーにまったくぶれがない。優勝した前シーズンそのままの完成度の高さ。チーム得点王だったドウグラスが抜けた穴はウタカで遜色なく補えそうだし。これで今季から10番をつけた浅野が大化けした日には、手におえないんじゃないだろうか。
対するガンバも困ったもんだ。ただでさえ攻撃力のあるクラブなのに、そこにアデミウソンと藤本淳吾が加入って、そりゃちょっとないんじゃなかろうか。
まぁ、この試合の感じだと、アデミウソンはまだまだフィットしていないようだし、藤本も途中出場だったけれど、彼らがちゃんと機能し始めて、宇佐美やパトリックとスムーズに連携できるようになったら、とてつもなく厄介だ。
あと、この試合で印象的だったのが、両チームともディフェンスがしっかりしていること。攻めてよし、守ってよしの両チームだけに、さすがにいい試合になった。
塩谷からのクロスにピンポイントであわせた寿人の先制ゴールはさすがのひとこと。丹羽がハンドでPKをとられた2点目(誤審?)はともかく、宇佐美がめずらしく頭で決めたガンバの追撃弾、そのあと途中出場のウタカが決めた見事なボレーシュートと、後半だけで素晴らしいゴールが3本も観られて、幸先のいいシーズンのスタートだった。
そうそう、広島の森崎・青山、ガンバの遠藤という、Jリーグを代表するベテラン・ボランチと肩を並べて、19歳の井手口が堂々たるプレーを見せていたのも印象的だった。
なんにしろ、この2チームと戦うのは大変だわ。困ったもんだ。
(Feb 21, 2016)
ガンバ大阪0-1鹿島アントラーズ
J1・1stステージ第1節/2016年2月28日(日)/私立吹田スタジアム/TBS
2016年の開幕戦。アントラーズの対戦相手はガンバ大阪。
J1の開幕は前日の土曜日で、日曜の試合はこれひとつだったから、スカパーの独占放送だろうと思っていたのだけれど、優勝候補どうしの対戦というのに加えて、あらゆるところで絶賛されているガンバの新しい本拠地、吹田スタジアムでの初の公式戦という話題性もあって、TBSが放送してくれました。ありがとー、TBS。
さて、今季のアントラーズの話題といえば、本山の退団(涙)にともない、柴崎が背番号10を任されたこと。あと、一度は退団が発表された金崎が、開幕直前にサプライズで完全移籍してきたこと。永木、櫛引、三竿といった、即戦力として期待できそうな選手たちを獲得したのも気にかかる。一方で豊川が岡山にレンタルで移籍してしまったのが、個人的にはちょっと残念ではある。
ということで、この日のスタメンは、GK曽ヶ端、DF西、植田、昌子、山本、MF柴崎、小笠原、遠藤康、中村充孝、FW赤崎、金崎という布陣だった。
2月に入ってから虫垂炎の手術を受けたとのことで、欠場が噂されていた柴崎の名前があったのが嬉しいサプライズ。あと、ファン・ソッコが怪我で帰国中とのことで、植田に開幕スタメンのチャンスがまわってきたのも、五輪に向けていい巡り合わせだ。
まぁ、オリンピックや来年以降のことを考えるならば、櫛引にも開幕スタメンのチャンスをあげたかったところだけれど、これまでの曽ヶ端の貢献度を考えると、そう簡単に彼のポジションを奪うわけにはいかないのだろうし。石井監督が今後、櫛引をどう使ってゆくのかも要注目だ。
あと、個人的には、この日はベンチにさえ入っていなかった土居聖真が今季どのように使われてゆくのかも気になるところ。土居には早く戻ってきて、遠藤や充孝とレギュラーを争って欲しいんだけれど……。
それはともかく。この日は対するガンバのスタメンにも驚いた。なんと、宇佐美、パトリック、倉田という去年のレギュラー陣が全員ベンチ。で、アデミウソンと藤本がスタメン。今野をボランチで起用して、ワントップには身長192センチの長沢という布陣。
まぁ、ACLもあって過密日程だから、宇佐美らのベンチ・スタートはターンオーバーを考えてのことなんだろう。勝負は後半、スーパーサブとして宇佐美を投入してからという計算がありありと感じられるスタメンだった。
ただ、そういう意味では、こちらにだってカイオがいるわけで(もったいないにも程があるが)。スーパーサブ勝負では決して引けを取らない。
果たしてこの日の勝負を分けたのは、そんな彼らふたりをスーパーサブとして起用した両監督の采配の成熟度だったと思う。
宇佐美を途中から使う効果はいざしらず、カイオについては昨年のうちから何度もあったパターンだ。かつての本山のそうだったけれど、鹿島には技術的に優れた選手を後半まで温存しておいて、ここぞの投入で流れを変えるという戦い方が伝統的に根付いている(それでいいのかは若干疑問だけれど)。さもなければ、カイオほどの選手をベンチに置いておけるはずがない。
カイオはなんだか去年よりひとまわり体幹がたくましくなった感じで、途中出場でピッチに立ってからはもう縦横無尽。同時に途中出場した鈴木優磨へのクロスで、見事決勝点を演出してみせた。相手DFふたりとの接触プレーをものともせずに決めた優磨のヘディングも見事だったし、若手ふたりによる、なんとも堂々たる決勝ゴールだった。鈴木優磨も今年はブレークしてしまいそうな予感。
ガンバは丹羽が前半途中にボールの競り合いで倒れたときに肩を痛めて途中交替を余儀なくされたのが不運だった(鎖骨骨折ですって。あいたた……)。
ゼロックス杯では井手口にボランチのポジションを譲ってCBを務めていた今野がこの試合ではボランチとして出場していたのだけれど(井手口はベンチ・スタート)、このトラブルにより、またもやCBとしてプレーせざるを得なくなった。まぁ、かわりに出てきた井手口はまたもや見事なプレーを見せてくれていたけれど(ほんとこの子はすごいや)、それでも交替カードを一枚余計に切ってしまった分の不利は否めなかったと思う。
まぁ、なんにしろ、アントラーズにとっては非常にいい内容の開幕戦だった。唯一惜しむらくは、イエローカードを5枚ももらってしまったこと(なんだ、あの今村とかいうレフェリーは)。それさえなければ、完璧といっていい試合だった。
あ、あと、時間稼ぎのために、最後わずか1分間だけの初出場となった三竿がセットプレーで相手に顔面を蹴られたのは、ちょっとばかり不憫でした。
なにはともあれ、中村充孝もこれまでに僕が観たなかでいちばんよかった気がするし、彼までがこの調子でチームに貢献してくれたなら、今年はまじで優勝が狙えそうな気がする。広島、ガンバ、FC東京と、ACL勢が軒並み黒星スタートってのも今後の混戦を予想させるし(広島はゼロックス杯ではあんなによかったのに、そのあとACLとJ1で2連敗って……)。今年もJ1はおもしろくなりそうだ。
それにしても、Jリーグの対戦カードはコンピュータで決めているという噂だけれど、Jリーグ屈指のこのカードとか、広島-川崎(通算ゴール数の新記録樹立をめざす寿人と大久保の対決)とか、磐田-福岡(名波と井原のフランスW杯代表選手どうしの監督対決)とか、開幕戦の組み合わせにあまりに気が効きすぎていて、絶対に誰かがコンピュータの中に入っているとしか思えない。
(Feb 28, 2016)