2014年6月のサッカー

Index

  1. 06/01 ○ 鹿島3-0清水 (ナビスコ杯)
  2. 06/02 ○ コスタリカ1-3日本 (親善試合)
  3. 06/06 ○ 日本4-3ザンビア (親善試合)

鹿島アントラーズ3-0清水エスパルス

ヤマザキナビスコカップ・Aグループ/2014年6月1日(日)/カシマサッカースタジアム/スカパー!

 J1勢にとっては(おそらく)W杯前の国内最後の公式戦、ナビスコ杯のグループ・リーグ最終戦。
 アントラーズの入ったAグループは、ひと足先に全日程を終了したガンバ大阪が勝ち点12でトップ。2位がこの日の鹿島の対戦相手のエスパルスで勝ち点9、鹿島は勝ち点6で6位に沈んでいる。
 アントラーズがあと1試合でガンバに追いつくのは無理なので、この日の試合で清水に勝ち、勝ち点で並んだ上で得失点差で上回り、なおかつ他チームがこれ以上勝ち点を伸ばさないことに期待するしかないという苦しい状況。
 清水との勝ち点の差は6だったので、要するにこの日は3点差以上で勝たないと話にならないという、なかなかシビアな状況だったわけだ。
 でも若き今年のアントラーズは、見事にこのミッションをクリアして見せた。
 土居、赤崎のゴールで前半30分で2-0と勝ち越し、後半もなぜそれで決まらない?と不思議になるような怒涛の猛攻を仕掛けたあげく、最後の最後に昌子の果敢な攻め上がりから遠藤がゴールを決めて、ついに3-0としてみせた。あっぱれ。
 まぁ、ラッキーなことにノヴァコヴィッチは出場停止だったし、2-0としたあとに大前がPKを外してくれて、大いに助けられたってのはあるけれど──あれが決まっていたらまずかった──、こちらも後半には遠藤がPKをはずしているし、PK失敗1本ずつはおあいこ。3点差勝ちという困難なミッションに果敢に挑んで、最終的にはみごと達成して見せたヤング・アントラーズの試合ぶりは、とても頼もしかった。
 そうそう、きょうはスタメンも振るっていた。GK曽ヶ端だけが30オーバーで、あとは伊東、植田、昌子、山本、柴崎、梅鉢、遠藤、土居、豊田、赤崎と、フィールド・プレーヤーは全員20代以下、なおかつ外国人ゼロというメンツ。こんな顔ぶれで快勝してみせてくれちゃうんだからほんとすごい。今年のトニーニョ・セレーゾの采配にはケチのつけようがない。
 この日はゴールも土居の個人技による先制ミドル、柴崎のスルーパスを受けた赤崎の追加点、そして最終ラインからドリブルで攻め上がった昌子(!)のアシストによる遠藤の駄目押し弾と、どれも素晴らしいものばかりだった。
 まぁ、けっきょく神戸と鳥栖も勝ったので、鹿島は4位に終わって、残念ながら決勝トーナメント進出を逃すことになってしまったけれど、それでも最後の最後まで期待をもたせてくれたことに感謝している。ほんと、いい戦いっぷりだった。
(Jun 01, 2014)

コスタリカ1-3日本

親善試合/2014年6月2日(月)/タンパ(アメリカ)/NHK(録画)

 キックオフが日本時間では平日の午前10時だったので、録画で観ざるを得なかったアメリカのキャンプ地での親善試合。いよいよ本番まで残すところあと一試合。
 この日のスタメンは川島、内田、森重、吉田、今野、青山、山口、大久保、本田、香川、大迫の11人。
 大迫スタメンがまずはめでたい。そのほか、怪我で調整が遅れている酒井高徳のバックアップとして今野が左SBに入ったり、ダブル・ボランチが青山、山口の組み合わせだったり(なんと長谷部はベンチ外だった)。大久保が招集後、初のスタメンだったり。ザッケローニがいつになく活発に選手の入れ替えを行っているのを見ると、あぁ、本番間近なんだなぁと思う。
 午前中にあった試合を夜に録画で観ているので、3-1というスコアはすでに知っていた。本当は知らないでいたかったのだけれど、うっかりニュース・サイトやツイッターを開いてしまって、あ、しまったと思うもあとの祭りだった。
 さらに、せめて得点経過は知らないようにしようと思っていたのに、またもや、うっかり開いたスポーツ・サイトで、「香川逆転ゴール」やら「柿谷も決めた」やらという見出しが目に飛び込んできてしまう。
 ――ということで、コスタリカが先制したあと、香川と柿谷がゴールを決めるとわかって観ているので、気分的には盛りあがりはいまひとつだった。でも、前半を0-1で折り返して、後半だけで3得点とは思わなかった。
 それでも、前半の出来が悪かったとは思わない。惜しいシーンはいくつもあったし、先制こそ許したものの、内容的には押していたと思う。
 この日の試合を観たかぎりだと、コスタリカにはあまりW杯出場国としての凄味はなかった。エースFWが欠場していたとかいう噂だけれど、それにしてもこの程度で北中米予選2位抜けってマジですか?って感じ(というかメキシコがプレーオフっていったい……)。
 この国がイタリア、イングランド、ウルグアイと一緒のグループというのは、戦う前から結果が出ているようなもんでしょう。お気の毒さま。でもまぁ、どうせ3試合で消える運命ならば、その3ヵ国と戦えるのは願ってもない組み合わせだと思う。
 とにかく、コスタリカはたいしたことなかった。でもそのコスタリカに先制ゴールを許し、スコアレスのまま前半を終えてしまったのだから、日本も偉そうなことは言えなかった。
 失点のシーンは、カウンターから右サイドを崩されて、一気にシュートまで持っていかれてしまったもの。クロスもシュートもマークが外されて、ほぼフリーで打たれてしまっていた。あまりにもあっけなかった。恥ずかしいくらいイージーな失点。
 でも、そんな風に先制こそ許したし、そのほかにもあと2、3本ひやりとするシーンはあったけれど、この日の日本代表はけっこういい守備をしていたと思う。観ていて、あれ、意外と守備もよくなってきてない?と思った。
 もともと得点力のあるチームなので、これで守備が上向くようだと、本番はけっこういいところまで行けるかも……なんてのは、捕らぬ狸の皮算用か。
 後半は頭から青山にかえて遠藤、大久保にかえて岡崎を投入。さらには15分すぎに遠藤のゴールで同点にしたあとには、今野にかえて長友も投入、これでほぼいつものメンツとあいなった。
 遠藤のゴールは右サイドに開いた本田からのアシスト。前にいたウッチーが股のあいだをスルーしたボールを遠藤がどんぴしゃで決めたもの。
 なんでウッチー、そこでスルー?──と観ていたときには思わず笑ってしまったナイス・プレーだったけれど、でもあとで読んだニュース記事によると、あれはうしろから遠藤の指示があったらしい。あんな場面でうしろから「スルー、スルー」とか言われて、瞬時でちゃんとスルーできちゃうなんて、マンガみたいだ。ちょっと感心した。
 あの場面では本田のクロスの先に4人くらい日本の選手がいたし、厚みのある攻撃から生まれるべくして生まれた納得の1点だった。
 まぁただ、本田がいいプレーをみせたのは、この日はこの場面だけだった気がする。キプロス戦よりはマシだけれど、まだまだ本調子には遠い感じ。いまのままだと、どうにも大会初戦でピークを迎えられそうにない。優勝を豪語するくらいだから、それくらいでちょうどいいんでしょうか? ほんとに? ならいいけど。
 その後の逆転ゴールが生まれたのは、内田→酒井宏、大迫→柿谷と5人の選手を入れ替えて、残りも10分となってから。要するにずっとボールは支配していたけれど、80分間はドロー以下の状況だったわけだ。だからか、あまり快勝って気はしなかった。
 逆転の香川のゴールは、狭いエリアにドリブルで切れ込み、体勢を崩しかけて前のめりになりながらも、右足でボールをすくい上げるようにして打ったもの。じつに香川らしいシュートだった。
 柿谷はロスタイム、ゴール前でスライディング気味に体制を崩しながらも、しぶとくゴール右隅へとボールを流し込んだ。スタメンの大迫は惜しいシュートが2本ほどあったけれど、どちらも決めきれず。対する柿谷はわずか15分の出場で1アシスト1ゴールの活躍。うーむ、この分だとおそらく次は柿谷がスタメンでしょう。
 でもまぁ、それはそれでよし。あれだけの才能をベンチに置いておくのもなんなので。いつまでも日本に埋もれさせておくのはもったいない。柿谷にはこの大会で大ブレイクして、さっさと海外へ行っちゃって欲しい。
(Jun 04, 2014)

日本4-3ザンビア

親善試合/2014年6月6日(金)/タンパ(アメリカ)/テレビ朝日

 さぁ、この試合が終われば、いよいよ次はW杯本番!──というこの期におよんで。
 いったいなんて試合をしているんだか。
 ザッケローニが本番前の最後の親善試合に選んだ先発メンバーは、GK西川、DF内田、吉田、今野、長友、MF山口、遠藤、岡崎、本田、香川、FW柿谷という顔ぶれだった。
 要するに、川島、長谷部がスタメンをはずれたことを除けば、あとはおそらく本番でもスタメンに選ばれるだろうという面々。
 山口蛍はこれで6試合連続スタメンだそうで(そんなになるのか)、たしかにこの試合を観ていても存在感がハンパない。もやは中盤の底に欠かすことのできない戦力になっている感あり。遠藤と長谷部はどちらもフル出場させるには体力的な心配があるので、本番でもおそらくこのどちらかとペアを組むことになるんじゃないだろうか。初戦を守備的に入るならば、山口・青山のダブル・ボランチも十分にあり得ると思う。
 それにしても、ザンビアは思いのほか強かった。知名度が低いのであなどっていたけれど、十分すぎるほどに強かった。アジアでならば、まちがいなくトップレベル。予選敗退の国がこんなに強いとは、アフリカ恐ろしやと思った。
 でもいくら相手が強かったとはいえ、それ以前に日本代表の守備のもろさが洒落にならない。この日は全体的に出来が悪くて、前半は運動量が少ない上にパスミスが多かった。序盤からボールを保持できない展開で、予想外の劣勢を強いられたあげく、前半なかばであっというまに0-2のビハインドとなる。
 失点の場面では、ファーサイドに流れたクロスにウッチーが反応し切れずに許した1点目、コーナーキックからのトリック・プレーに引っかかって、フリーのミドル・シュートを許してしまった2点目と、どちらもマークずれまくりで守備がゆるゆる。全体でリズムよく守れているときはいいのだけれど、いざという場面での個の部分ではどうにも頼りなさが否めない。あぁ、最後の最後までこのチームの守備力のなさは変わらなかった。
 でもそこから追いつき追い越せてしまう攻撃力もまた、今回の代表の特徴。
 前半途中に岡崎が接触プレーで流血したりして(あとで5針縫ったらしい)、厭な空気が流れていたにもかかわらず、それをものともせずに2点のビハインドを跳ね返して逆転し、さらには土壇場でふたたび同点に追いつかれながらも、すぐさまもう1点取って、最終的に4-3で勝ってしまうなんて試合、なかなかできない。こんなドラマチックな試合が本番でもできたら、それこそ世界中から称賛されまくりでしょう? この勝負強さはいったいなに?
 この日は出来自体は決してよくなかったのに、それでもこういう勝ち方ができてしまうところに、日本代表の大いなる成長を感じる。昔はこういう風に強豪国相手に惜しい戦いをしながらも、土壇場で実力差を見せつけられて負けるパターンがよくあったけれど、いまやそれを日本代表が反対にやってみせる立場にあるんだから。いやはや、逞しくなったもんです。すげーや、われらが代表。
 まぁ、とはいえ同点に追いつくまでの展開は結果オーライなものだった。1点目は香川のクロスが相手のハンドを誘ってのPKだったし(キッカーは俺様が蹴って当然とボールを奪いとった本田)、同点ゴールはこれまた香川のクロスがGKの不意をつく形で、そのままゴールに吸い込まれたもの(ニアで相手DFと競り合った大久保が、ボールに触れこそしなかったものの、フェイントの役目を果たすことになった)。
 要するに同点になるまでの展開は過分に運に恵まれていた。
 それでも運も実力のうち。なによりその後の2ゴールは文句のつけようのないものだった。
 3点目の逆転ゴールは、ペナルティエリア内まで攻め上がった森重が見事な切り返しでDFを振り切って繰り出したグラウンダーのクロスを、ゴール前に駆け込んでフリーになった本田がスライディング・シュートで決めたもの。
 森重、なぜそこに?
 しかも、とてもDFとは思えない見事なターンからのアシストだし。いやぁ、これには笑った。森重すげー。本田もあいかわらず出来はいまいちながら、あそこで得点に絡んでみせたのは偉かった。とはいえ、9割がたは森重の得点といってもいいゴールだった。
 でも、さらに笑ったのは、そのあと同点に追いつかれてから奪い返した決勝ゴール。
 3-3とされた同点ゴールは、相手の打ったミドルシュートが山口の足にあたってコースが変わって、西川の手が届かないところへと飛び込んでしまったもので、あそこでミドルを打たせてしまったのが問題かもしれないけど、まぁそれ自体はアンラッキーだった(あそこで失点してしまうこと自体が失笑ものだったけど)。
 でもそこからふたたび決勝ゴールが決まるまでの流れがアンビリーバブル。
 同点にされてすぐに、ザッケローニは遠藤にかえて青山を入れた。
 時はすでにロスタイム。ピッチに立ったばかりの青山に、さっそくGK西川からのパスが渡る。青山はそこから得意と言われているロングフィードで、最前線へ斜めに駆け込んでいった大久保へ縦パス一本。大久保は相手DFと並走しながら、それを見事なトラップで受けて、左足を一閃! ドーン!
 一瞬でスコアは4-3!
 同点にされてから、ふたたび突き放すまでわずか2分。それが途中出場で出てきたばかりの青山のファーストタッチから生まれちゃうんだから、これはもう笑わずにはいられない。逆転してからは、もう笑いっぱなしの島(@メスカリン・ドライブ)。
 僕を含め、これまでザッケローニが試合を打開する効果的な選手交替のカードを切れないことに不満を持っていた人も多いと思うのだけれど、ザック氏は本番直前最後のこの試合で、まさかというような劇的な采配を見せてくれたわけだ。
 考えてみれば、後半に奪った2点目以降のゴールにはすべて途中出場の選手が絡んでいる。香川のゴールは後半頭から柿谷にかわって入った大久保が相手DFと競り合ったことから生まれたものだし、3点目は今野にかわって入った森重のアシスト。そして4点目も青山のアシストと、後半はサブのメンツの活躍がものすごい。
 まぁ、大迫も後半15分くらいから出番をもらってワントップに入ったのだけれど、これといった見せ場は作れず。香川にかわって最後の15分だけ出てきた齋藤学も持ち味は出せずだった。ウッチーとかわった酒井宏も特に印象には残っていないから、全員が活躍したってわけでもないんだけれど、でも途中交替選手の得点関与率5割はすごい。
 ずっとメンバー固定で変わり映えのしない印象だったザック・ジャパンなのに、ここへきて大久保、森重、青山らの活躍や、故障者の多さで、いまさらながら本番のスタメンが読めなくなってきた。
 そうそう、途中出場といえば、清武は最終選考に残ったにもかかわらず(なおかつ怪我をしていないのにもかかわらず)、結局この3試合で一度も出番がもらえなかった。この分だと本田や香川が怪我でもしない限り、本番でも出番があるとは思えないし、このまま一度もピッチに立たずに終わるのは、さすがに不憫だなぁと思う。ドイツ大会で唯一出番がもらえなかった遠藤がいまや代表キャップ歴代一位となっているという事実を励みに精進してもらうっきゃない。
 まぁ、なんにしろ、よくも悪くもおもしろい試合だった。本大会前の最後の試合がこんな内容でいいのかと思わないでもないけれど、前大会のようにつまらない試合をして、がっかりして本番を迎えるよりは、どれだけマシかわからない。
 不安要素はたくさんあるけれど、期待値も過去最高というのが今回の代表の印象。十分に力を発揮できさえすれば、きっと世界を驚かせることができると思う。こんな風に思いながら臨めるW杯はこれまでで初めてでしょう。いやぁ、本番が楽しみになってきた。
 初戦のコートジボワール戦まであと一週間。いざ、ブラジル。待ってろ、世界。
(Jun 08, 2014)