2005年7月のサッカー
Index
- 07/06 ● 横浜M2-1鹿島 (J1第14節)
- 07/28 ○ 鹿島2-1マンチェスター・ユナイテッド
- 07/31 ● 北朝鮮1-0日本 (東アジア選手権)
横浜F・マリノス2-1鹿島アントラーズ
J1第14節/2005年7月6日(水)/日産スタジアム/BS1
長い中断期間をはさんで再開したJ1の、再開後の二試合目。2位に勝ち点10の差をつけて首位を走るわれらがアントラーズとJ1二連覇中のF・マリノスの対決だ。今後のリーグの行方を占う上で重要な一戦だった。
この試合、アントラーズは青木が、マリノスは松田が累積警告で出場停止。トニーニョ・セレーゾは青木のポジションに小笠原を下げ、トップ下に野沢を起用するフォーメーションをとった。けれど結果としてこれがあまり機能しなかったのが敗因だと思う。この日の野沢、そしてペアを組む本山はあまりに存在感がなさ過ぎた。特に本山だ。野沢は逆転されてから惜しいシュートを打つ場面を作って見せていたけれど、本山に関してはもうどこでなにをしていたかわからないようなプレーぶりだった。あれじゃ日本代表の肩書きがなく。なまじ小笠原が好調を維持しているだけに、本山の覇気のないプレーには失望が否めなかった。
試合の流れは、前半4分と早い時間に、相手の隙をつくような小笠原のCKから岩政がヘディングを決めて鹿島が先制。ただ先制こそしたものの、その後は中盤から前で厳しいチェックを見せる横浜に終始主導権を握られていた感じだった。とにかく横浜のプレスがシビアで圧倒されっ放し。結局、前半は大橋のクロスを大島に、後半はドゥトラのCKを中澤に、ともにヘディングで豪快に決められて、リーグ2敗目を喫した。
失点の場面、得点者の一番近くにいたのは、どちらも岩政だった。いい選手だとは思うけれど、やはりまだ2年目、経験値が足りないのだろう。彼自身、悔しい思いをしているに違いないから、その悔しさをバネにより上を目指して──当然いずれは日本代表だ──精進して欲しい。
ということで2位との勝ち点の差は7となった。リーグ序盤は低迷していたレッズ、マリノス、ジュビロといった実力のあるチームも順位をあげてきた。リーグが再び中断となるまであと4試合。鹿島の対戦相手は川崎、名古屋、大分、大宮と下位のチームが中心だから、ここでとりこぼしのないようにしたい。
しかし2ステージ制の時にあれだけファースト・ステージが苦手だったアントラーズが、1ステージ制になったとたんに序盤からこの快進撃ってのが皮肉だ。去年までだったらば、ファースト・ステージでの優勝は決まったようなものなのに。そう思うとちょっと残念。
(Jul 09, 2005)
鹿島アントラーズ2-1マンチェスター・ユナイテッド
2005年7月28日(木)/国立競技場/フジテレビ(録画)
東アジア選手権とW杯予選のため再度の中断に入るJリーグで、その中断前の最後の試合に臨むにあたって、本山雅志が頭を丸めたというニュースが伝わってきた。高校時代からまったく髪型を変えようとしたことのない彼(僕と同類)が、いきなり思わぬ行動に出た。これがやる気の表れでなくてなんだろう。その試合でアントラーズは彼の2アシストで快勝している。相手が大宮だったとは言え、いい兆候だ。
そしてこの試合。プレミア・リーグの雄たるマンチェスター・ユナイテッドを相手にして、本山は自ら2ゴールを叩き込み、チームを勝利に導いた。どちらも左サイドでディフェンス・ラインの裏へ抜け出して、利き足じゃない左で放った素晴らしいゴールだった。その他の場面では後半に惜しいシュートがもう一本あった以外、それほど存在感を感じなかったものの、これはもしかして本気で覚醒に向かったんだろうか? 東アジア選手権、そしてその後のJリーグ再開後の活躍がなんとも楽しみになってきた。
マンチェスター・ユナイテッドで印象に残ったのは、なんたって7番のクリスチャーノ・ロナウド。弱冠二十歳にしてあのスピードとテクニックは只者じゃない。あきれてものが言えないすごさだった。
まあ、なんだかんだ言いつつも、そんな化け物みたいな選手がいるチーム相手に勝っちゃうんだから、日本サッカーのレベルもかなり上がってきた証拠だろう。なんとも嬉しい白星だった。
(Jul 31, 2005)
北朝鮮1-0日本
東アジア選手権/2005年7月31日(日)/韓国・大田(テジョン)/テレビ朝日
期待なんてものは裏切られるためにあるようなものだから。
Jリーグとマンチェスター戦でブレイクの期待を抱かせてくれた本山君はこの試合の後半から出場の機会をもらったにもかかわらず、これといった仕事もできずに終わってしまった。先発出場の小笠原も同じ。司令塔という言葉にふさわしいプレーはできなかった。考えてみれば二人とも、マンチェスター戦から中2日だ。しかも韓国への移動というおまけつき。とてもじゃないけれどいいコンディションは期待できない。
と、じゃあこの二人を使わないとどういうフォーメーションになるんだと思って、初めてジーコが攻撃的MFをほかに全然招集していないことに気がついて愕然とする。ボランチはたくさんいるけれど、司令塔の位置に入れるのって、小笠原と本山だけじゃん。しかも本山はどっちかというとFW系。つまりトップ下は小笠原ひとりということだ。なんだよ、日本って中盤の人材不足? なんかすげー間違っている。
もしもジーコがこの大会に本気で優勝を考えているのならば、藤田なり、奥なりを招集すべきだったろう。基本的にジーコさんの辞書には体力の限界という言葉がないらしい。いくら疲れていても才能のある選手はない選手よりもいいプレーができるはずという信念があるに違いない。そう考えないと去年のアジアカップでの異常なまでのスタメン固定戦法とか、今回の攻撃的MFの駒不足とか、説明がつかなさ過ぎる。
なんにしろ日本は信じられないような、恥かしくなるようなミスを続けて北朝鮮に先制点を献上し、スコアレスのまま敗北を喫した。なんで敵にバックパスするかな、オガサ。なんで中澤ともあろう人が、ペナルティエリア付近にいる敵にクリアボールを渡しちゃうかな。そんなアマチュアかと思うようなミスが集中すれば、そりゃ負けるだろう。
そもそもこの試合に再び3-5-2で臨んだジーコの采配もわからない(スタメンは川口、田中誠、宮本、中澤、加地、福西、遠藤、アレックス、小笠原、大黒、玉田)。4バックで戦えることが証明された以上、3バックを選択する必要がないんじゃないか。とはいっても後半からは4バックに切り替えたけれど、それもなんだか付け焼刃な印象が否めなかったし。唯一この試合で納得がいったのは、初招集となった田中達也と巻誠一郎に出場の機会を与えてくれたことだけだ。
とりあえず韓国と中国が引き分けてくれたので、残ったその2チームとの対戦に勝ちさえすれば優勝は可能だ。次からはもっときちんとした内容の試合を見せてもらいたい。今日の試合を見た限りでは、より疲労がたまるあとの2試合の内容が良くなるとはとても思えないのだけれど。ああ。
(Jul 31, 2005)