2004年5月のサッカー

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  1. 05/05 ● 浦和1-0鹿島 (J1・1stステージ第8節)
  2. 05/09 ○ 鹿島3-0大分 (J1・1stステージ第9節)
  3. 05/15 ○ 柏0-1鹿島 (J1・1stステージ第10節)
  4. 05/22 △ 鹿島0-0F東京 (J1・1stステージ第11節)
  5. 05/26 △ U-23日本1-1トルコ選抜
  6. 05/30 ○ アイスランド2-3日本

浦和レッズ1-0鹿島アントラーズ

J1・ファーストステージ第8節/2004年5月5日(水)/埼玉スタジアム2002/NHK

 前のナビスコカップの試合から2トップだけを入れ替えて臨んだレッズ戦。その2トップというのが本山とファビオ・ジュニオールだ。前節のヴィッセル戦では、増田がJ初スタメン初ゴールという結果を残しているので、いい感触を残したまま彼を使いたいという考えがトニーニョ・セレーゾにはあったんじゃないかと思う。でもやはり同じポジションならばまだまだ本山の方が上だろう。増田がどういう選手なのか、僕にはいまだにつかみきれない。
 トップに入ったその本山はあまりゲームに絡めていない印象があった。これだったらばやはり本山にはいつものポジションを任せて、深井を使って欲しいところだ。ただその深井は二試合続けてベンチ入りもしていないので、どこかを痛めていたりして、使えないんだろう。そうなると平瀬はあいかわらずいまいちだし、ファビオ・ジュニオールも信用できないしで、結局本山をトップに使うこの日のフォーメーションが、今のアントラーズにとっては最善ということになってしまうのかもしれない。
 浦和も田中達也を故障で欠き、いつもの攻撃力を欠いていたから、試合の方は一進一退の攻防が続いた。そして最終的には、懸命に押さえ込んでいたエメルソンに一度だけ突破を許してしまった鹿島が破れることになった。あそこで金古がタックルをかわされ、最後のマークについた大岩がエメルソンを止めきれなければ負けは必然。これで首位を走る磐田との勝ち点差は10と広がり、ファースト・ステージの優勝は早くも絶望的という状況になった。うーん。
 同じ日の東京V-市原戦で、東京ヴェルディの森本君がJ初ゴールをあげた。実に格好いいヘディングでのゴールだった。十六歳の誕生日を二日後に控えての快挙。彼が日本代表に選ばれる日が来るのが楽しみだ。平山、森本という若い才能の台頭に刺激されて、今の日本代表のFWたちがより奮起したプレーを見せてくれることにも期待したい。
(May 08, 2004)

鹿島アントラーズ3-0大分トリニータ

J1・ファーストステージ第9節/2004年5月9日(日)/カシマスタジアム/BS1(録画)

 怪我人続出のところへ来て、金古とフェルナンドが累積警告で出場停止。ということで前節の布陣からこの二人を除き、ルーキー岩政と3年目の大谷をスタメンに起用しての大分戦。
 前節、磐田を相手に善戦した大分だから、もしかしたらまずいかも、なんて考えは取り越し苦労だった。本人もびっくりという増田のミドルで前半も早い時間に先制すると、本山が個人技で作ったチャンスを小笠原が難なく決めて前半で2-0。後半は大分に攻められる場面もあったけれど、なんとか無失点でしのぎ、残り10分足らずで岩政がPKをもらって3点目。ひさしぶりの快勝だった。試合内容としては前節の浦和戦の方が全然濃かったけれど、やっぱりサッカーは応援しているチームが勝った方が楽しい。ひさしぶりに観戦後にすっきりした気分を味わわせてもらった。
 増田はこれでリーグ戦3試合で2ゴール目。いまだ僕には彼のどこがどういいんだかわからないけれど、少なくてもゴールをあげているのはいいプレーをしている証拠だろう。若い選手の台頭は喜ばしい限りだ。
 それにしてもファビオ・ジュニオールはどうにかならないものだろうか。
(May 10, 2004)

柏レイソル0-1鹿島アントラーズ

J1・ファーストステージ第10節/2004年5月15日(土)/国立競技場/BS1

 中田浩二が259日ぶりの復帰を果たした記念すべき一戦。
 対戦相手は若手選手主体のチームへの切り替えで注目を集めつつ、4月以降白星なしで最下位に低迷している柏レイソル。本当に随分と戦力の入れ替えが進んでいるらしく、スタメンには加藤、大野、渡辺ら、一時期チームを支えた選手の名前が全然ない。馴染みのある選手は南、明神、リカルジーニョだけ。そこにA代表の玉田、永田、U-23代表の近藤、そしてF・マリノスから移籍してきた波戸といった選手が加わり、メンバーだけ見るとなかなか侮れないチームに思える。実際にこの日の試合を見る限りはどうして最下位に低迷しているのか不思議だった。ま、監督が試合を振り返って「今年一番の内容だった」と語っていたようだから、ようやく上向きになってきたということなんだろう。
 対するわれらがアントラーズは大黒柱・小笠原が出場停止。フェルナンドも試合直前になってどこぞを傷めたらしく欠場。ということでボランチには熊谷が、トップ下には野沢が入った。金古は岩政にスタメンを奪われることなく最終ラインに復帰。
 この試合では小笠原(とフェルナンド?)の不在の影響が如実だった。とにかくボールが落ち着かない。野沢はボールをキープできず、増田は疲れからかボールに触る回数が少ない。故障明けの熊谷は出来が非常に悪く、新井場もボランチとしてはいまひとつ。ファビオはあいかわらず中盤で後を向いてボールをキープするばかり。本山にいい位置でボールが入ることはほとんどない。ディフェンスラインには問題がないものの、攻撃陣がそんな状態ではまともに戦えない。せっかく昼間の試合で首位ジュビロが負けて追撃のチャンスだというのに、とても勝てる試合とは思えなかった。
 ところがこの展開が後半途中に中田浩二がピッチに立った途端に改善される。彼が中盤の底にどっしりと構えるようになって、ようやくゲームが落ち着くようになった。中田の投入に続いて増田を平瀬に代えたのも効いた。平瀬をトップに入れて本山を中盤に下げたことでようやく縦のラインが有効に機能するようになった印象だった。おがけでゲーム終盤は完全に鹿島の攻勢。それがロスタイムでのたたみ掛けるような厚みのある攻撃からの石川の決勝ゴールを生んだ。いやあ、貴重な一勝だった。
 中田浩二が交替する熊谷から渡されたキャプテン・マークを巻きながらピッチに駆け込んでゆく姿には胸が熱くなった。一人の選手の復帰にこんな風に感動したのは初めてのような気がする。
(May 16, 2004)

鹿島アントラーズ0-0FC東京

J1・ファーストステージ第11節/2004年5月22日(土)/カシマスタジアム/TBS

 中田浩二がキャプテン・マークをつけてスタメン出場。ひさしぶりに小笠原、本山と一緒にプレーするのが観られると、とても楽しみにしていた試合だったのだけれど、結果はスコアレス・ドローに終わってしまった。これで首位をゆくジュビロとの勝ち点の差は9。残り4節で挽回できるはずがない。やはり今年もファースト・ステージは駄目だった。
 この試合では中田浩二に続き、後半早々、名良橋もピッチに立った。とりあえずセカンド・ステージへ向けて徐々に戦力は戻りつつある。これであとは深井が戻ってくるなり、欧州リーグが終わった柳沢か鈴木隆行がチームに復帰するなりすれば、後半はそれなりに戦えるようになるだろう。
 それにしてもこの試合を裁いた柏原というレフェリーはひどかった。石川竜也がペナルティ・エリア内で倒された、誰がどう見たってPKというプレーを平然と流したのは一体なんなんだ。あれがPKじゃなかったら、PKなんて存在しないだろう。不用意なイエローも多かったし、あんな判定をする人がスペシャル・レフェリーだなんて信じられない。
(May 24, 2004)

U-23日本1-1トルコ選抜

2004年5月26日(水)/味の素スタジアム/TBS

 山本監督によると、この試合と次のマリ戦は、オリンピック本戦へ向けて、オーバー・エイジ枠を使用するか否かを見極めるための最終選考の意味を持った二試合らしい。本戦への登録選手は18人。OAを3人起用するとなると、残るはわずか15人。選手たちも自己アピールに懸命だ。そんな意気込みはそれなりに伝わってくる一戦だった。
 対するトルコは五輪代表より一世代上の、B代表とでも呼ぶべき選抜チーム。アナウンサーの話によると、欧州ではこの頃、A代表に入れない選手たちにもできる限り実戦経験を積ませようという意図で、こうした選抜チームを編成することが多いのだとか。それを聞いてようやくこの前のギリシャ選抜やこのトルコ選抜の意味がなんとなくわかった。
 しかしこのトルコが強い。さすがにA代表が前回W杯で第3位になっただけのことはある。パスの正確さやスピードには日本U-23チームより一つ二つ格上という感があった。ただあの時のA代表と同じで、パス回しは抜群なのにフィニッシュに至らないという、ある意味、日本と似たチームでもある。おかげでこの試合で五輪代表は引き分けに持ち込むことができたようなものだ。勿論、五輪代表選手たちの頑張りは賞賛に値すると思うけれど。
 この試合では怪我から復帰した闘莉王がセンターバックに入った。そして好調の阿部は本来のポジション、ボランチへ。でもって現状だと今野を外したチーム編成は考えられないので、そのおかげで五輪最終予選でキャプテンを務めた鈴木啓太は出番なしという結果になってしまった。なんとも競争が熾烈だ。
 GKが黒河というのもかなりテスト的な意味合いが強いのだろう。この日は強敵相手になんとか及第点の仕事をしていたと思うけれど、それでもこの時期になお黒河が試されているというのはかなり厳しい。このポジションはOAで曽ヶ端が呼ばれそうな感じがする。
 DFでは闘莉王と那須がアテネ確定。この試合では右ウィングに入った徳永も右サイドバックとの兼任で選ばれるのはほぼ確定的。DFではないけれど、右ウィングを徳永と争う石川は、怪我さえなければ攻撃のオプションとして呼ばれるだろう(この試合では後半から出場したにもかかわらず、足を傷めてすぐに交替してしまった)。この二人との兼ね合いで茂庭も多分OK。
 ボランチは今野、阿部で決まりの感がある。貴重な同点ヘッドを決めた今野は今やすっかりチームに欠かせない縁の下の力持ち的な存在となってしまっているし、この試合での阿部のFKの精度を見ていると、彼を使わないというのはちょっと考えにくい。二人にバックアップとして鈴木啓太が選ばれることになるんだろう。
 人材不足が如実な左サイドは今のままならば森崎弟で確定。サイドアタッカーとしてはもの足りないし、消極的なバックパスの多いプレー・スタイルは個人的にあまり好きではないけれど、彼の左足でのキックの精度の高さがチームの武器になっているのは確かだから。トータルで見た場合にはやはり根本よりも森崎になる。ただこのポジションには小野信二の起用が大いにありうる。
 トップ下は松井で決定。ただ現状だとやはりこのチームにおける彼の存在感はそれほど高くない。だから場合によっては平山、田中達也、大久保の3トップとして、松井が出番をもらえない可能性もかなり高いと思う。ただ、だからといって彼がアテネを逃すことはないだろう。逆に山瀬や前田はもうかなり厳しかろう。
 FWでは先にあげた三人は確定的。OA枠が検討されていた高原は、ここへ来て以前の血栓症が再発してしまったことで、おそらく登録の可能性はないと思われる。なのでこの日はいまいちだった高松と、逆にかなりいい動きを見せていた坂田が残りの枠を争うことになるんだろう。
 さて山本監督が一体どういう選考をして見せるのか。結論まではあと一試合だ。
(May 30, 2004)

アイスランド2-3日本

2004年5月30日(日)/マンチェスター/日本テレビ(録画)

 フォーメーションは3-5-2、楢崎、坪井、宮本、中澤、加地、稲本、小野、アレックス、俊輔、久保、玉田というメンバーで望んだ、欧州チームとしてはやや力の劣るアイスランド戦。ま、力が劣るとはいっても、そこは欧州人が相手だ。敵はでかい。あまり上手くはないけれど、日本人と比べるとあきらかにでかい。そのでかい相手をいかにかわして、自分たちのサッカーをするかが勝負の分かれ目となる。
 という意味ではこの日のゲームはあまりいい出来ではなかった。とにかくペナルティ・ボックス付近でのぶざまなファールが多過ぎた。チェコ戦ではあれだけ見事なディフェンスを見せていたのに、この試合でのファールの多さはどうしたことだ。もしかして宮本たちより田中誠や茶野の方が上かと思ってしまう。とにかく不用意なファールからセットプレーを与え、前半後半にそれぞれ1点ずつを献上した。1点目に関しては楢崎がパンチングしたボールが詰めていた相手FWの頭にあたってシュートになってしまうという不運な部分もあったけれど、いずれにせよその前のファールが余計だった。
 とはいっても、それでも勝っちゃうあたりがこの頃の日本代表のたくましさだ。特に久保の決定力には頭が下がる。前半のみの出場での出場で2得点はお見事の一言。しかもどちらもFWとしての才能を感じさせる惚れ惚れするようなゴールだった。長いこと決定的なチャンスを逃しまくるFWばかり見てきたあとだから、代表での4試合連続ゴールというこのところの彼の見事な活躍ぶりにも、なんだかまだ信じられないような心持ちがしてしまう。玉田もあいかわらずいい感じだし、ことFWに関しては海外組優先という状況は既にないと見た。
 決定力ということで言うと、この2トップが下がって柳沢、鈴木隆行の元アントラーズ・コンビが入った後半のサッカーは長年僕らが慣れ親しんだ、あのもどかしいことこの上ないサッカーだった。とにかく決定的なチャンスがことごとく決まらない。攻撃的な中盤には小笠原と本山が入り、前方の四人は鹿島のメンバーばかりで連係には問題がない。だからいくつかはこれは見事というチャンスを演出して見せてくれはした。でもそれが得点に結びつかないんだ。ああ、これだこれ。長いことこんなサッカーばかり見せられてきたんだ。こういうのはもういい。残念ながらもう柳沢の時代は終わったと見た。これからは久保だ、玉田だ。オリンピックが終わったら大久保だって田中達也だって呼べるんだ。こんなに期待のできるFWが揃っているなんて嘘みたいだ。柳沢と隆行のコンビが最善の選択だった02年のW杯の時点から見ると、隔世の感ってやつがある。やはり前の人間はゴールに向かってくれていた方が断然気持ちがいい。高原が病に倒れた今、日本のエースは当面久保で決まりだろう。積極的にそう決めちゃって欲しいと思う。
 守備の面でもジーコは後半動く。坪井を下げて4バックとしてきた。これまで{かたく}なに宮本と坪井のコンビにこだわってきたジーコがはじめて宮本と中澤というコンビを試してみる気になったことには大きな意味があると思った。まあ彼らのコンビ以前に4バック自体の出来はとてもじゃないがよくなかったけれど。
 その他、ボランチ二人も福西と遠藤に入れ替え、最終的には17人の選手をピッチに立たせたことなどでも、ジーコの姿勢が随分と変わってきたことがわかる。試合は後半になって一度は同点にされたものの、その後間もなく隆行がもらったPKをアレックスが決めて、これが決勝点となって勝利を収めた。先制されたあとに逆転し、同点に追いつかれても突き放すことができるなど、日本も随分としぶといサッカーができるようになってきた。ようやくジーコのサッカーに期待してもいいのかもと思えてきた今日この頃だ。
(Jun 01, 2004)