2003年9月のサッカー
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- 09/07 ○ 市原2-3鹿島 (J1・2ndステージ第4節)
- 09/10 ● 日本0-1セネガル
- 09/17 ● U-22韓国2-1日本
- 09/20 △ 磐田1-1鹿島 (J1・2ndステージ第6節)
- 09/23 △ 鹿島1-1京都 (J1・2ndステージ第7節)
ジェフ市原2-3鹿島アントラーズ
J1・セカンド・ステージ第4節/2003年9月7日(日)/国立霞ヶ丘競技場/BS1
名将オシムのもとで躍進を見せたファースト・ステージに引き続き、セカンド・ステージでも三連勝と好調な滑り出しを見せたジェフ市原。対するわれらがアントラーズは、前節大分戦でキャプテン中田浩二が全治6ヶ月という負傷を負ってリタイアしてしまった。普通に考えたならばこれは非常に痛い。
けれどアントラーズには青木という将来性のあるボランチがいる。今まで浩二とフェルナンドの控えに甘んじていた彼にとってはこれは願ってもないチャンスだろう。ここで大きく伸びて、中田浩二が復活した折にはフェルナンドを追い出してしまうようなプレイヤーに成長を遂げてもらいたい。そもそもアントラーズには本田だっている。故障中の熊谷だっている。最近どこかへ消えてしまったけれど、クラウデシールだってまだ在籍しているんだろう。ボランチというポジションはチーム一の激戦区だ。ここでの競争に打ち勝てば日本を代表するボランチと呼ぶにふさわしい存在になるだろう。代表入りも目の前だ。いけいけ、青木。大いなる躍進に期待しているぜい。
さてそんなわけで序盤の天王山、ジェフ市原戦。個人的な一番の関心はひさしぶりに代表復帰を果たしたばかりの本山だった。個人的には今の本山はまだまだ日本代表のレベルではないと思っている。チームでもそれほどめざましい活躍を見せているわけではないし、ゲーム後半になると早々と交替されることもしばしばだ。ジーコが監督じゃなかったら、まず呼ばれていないだろう。
そりゃあ彼がとても素晴らしい才能の持ち主なのは確かだと思う。ドリブルの技術、パスのセンス、シュートの正確さなど、どれをとっても平均以上の力を持っている。そんな彼の能力をよく知っているジーコが自分のチームに呼びたくなる気持ちもわかる。
ただどう見ても今の本山は一国を代表するレベルのMFと呼べないように僕には思えて仕方ない。部分部分のプレーにはきらめきを感じさせながらも、総合的なプレイヤビリティで小笠原に見劣りしてしまう印象なのが何よりその証拠だ。
日本の選手がワールド・レベルで比較してまず指摘されるのが身体能力の低さだとするならば、本山こそまさにその象徴というべき選手のように思える。ジーコが指摘していた通り、とにかく倒れ過ぎ、あたり負けしまくりというイメージがある。しかも90分間コンスタントにプレーを続けるスタミナもない(さもなければあんなにも途中交替が多くなるはずがないだろう)。今のままではJリーグの中のそこそこ優れた選手というレベルで終わってしまうんじゃないかと心配でたまらない。
ジーコも同じように思うからこそ、今回代表に読んだのではないかと僕は邪推している。ワールドクラスのプレーヤーたちと接することで刺激を受け、より高いレベルを目指して成長してくれることを願って。本山の成長は鹿島のみならず、日本代表にとってもかけがえのない財産となるものだろうから。
なんにしろ代表復帰後の最初のこのゲームで、本山はそんなジーコの温情に感謝するかのように、それなりに溌剌としたプレーぶりを披露して、素晴らしいスルー・パスを何本か通して見せてくれた。ただ生きのいいプレーが見られたのは前半のみ。後半はほとんど存在感を見せられないまま、いつも通りに途中交替でピッチを去った。あれじゃあトニーニョ・セレーゾでなくたって替えたくなる。残念ながらやはりまだまだだと思った。
試合の方は鹿島優勢の内容ながら、阿部のFKで市原に先制を許す。ところが平瀬の思いっきりのいいシュートで同点とし(二試合連続ゴール!)、小笠原のシュートが相手のオウン・ゴールを誘って逆転して前半を終了(中西哀れ)。
後半、相馬がペナルティ・エリア内でサンドロを倒して一発レッドカードで退場、このPKをチェ・ヨンスが決めて同点に追いつかれてしまうものの、一人ビハインドの状態でセットプレーから秋田のヘディングで勝ち越すと、ついにそのまま逃げ切ってしまった。まさかの首位奪取だった。
この試合における上川さんのジャッジにはかなり疑問が多かった。相馬のファールでPKを取られたのは仕方ないにしろ、レッドカードは行き過ぎだと思う。笛を無視して余計なシュートを放ったチェ・ヨンスに対する二枚目のイエローカードもちょっと厳しすぎる印象があった。この判定によりチェ・ヨンスが退場してしまった時点で勝負は決まったようなものだ。Jリーグではレフェリーのレベルにもまだまだ改善の余地があることを感じさせる一戦だった。
(Sep 10, 2003)
日本0-1セネガル
2003年9月10日(水)/ビッグスワン/日本テレビ
今回はいきなりジーコに対する不満から。
GKは曽ヶ端。ツートップのうち、先に交替したのは柳沢じゃなくて大久保。そして最初の選手交替でその大久保と入れ替わりにピッチに立ったのはFWの黒部でも期待の小野でもなく本山だった。こうしたジーコの鹿島贔屓にはアントラーズ・ファンの僕でもいい加減げんなりしてしまう。まあジーコにはジーコなりの言い分があるのだろうけれど、はたから見ていると単に身内を可愛がっているようにしか見えない。いい加減どうにかして欲しいものだと思わずにいられない。
確かに曽ヶ端はいまや日本でトップクラスのGKだろう。けれど彼が楢崎を越えて日本一のGKと呼べるほど成長したかというと、僕にはそうだと言い切れない。GKというポジションの性質を考えると、経験の豊富な楢崎に一日の長があるのではないかと思えてしまう。
同じように今日の柳沢と大久保を比べて、このところの全試合に出場していて、いまやFWの中心と言ってもいいはずの大久保よりも、代表に復帰して時間も短い柳沢を長くピッチに立たせる意味がわからない。今は大久保を少しでも長くピッチに立たせて、得点するチャンスを与えてあげるべき時じゃないのか。また本山の得点感覚は魅力的ではあるけれど、だからといって現時点の彼の能力が本職のFWを押しのけて最前列でプレーさせてもらえるほどに突出しているとは僕にはどうしても思えない。
そんな風に、僕にはジーコの采配が、慣れ親しんだ鹿島の選手に対する愛情によって、理不尽なものになっているように思えてならない。近いからこそ、かえって厳しく接しないといけないんじゃないのか。そうしないことには他の選手への示しがつかないだろう。今日の試合を見て、さすがに僕もそろそろジーコに代表を任せるのはやめた方がいいと思った。もっと曇りなき
とりあえずジーコ批判はここまで。
しっかし今日の試合は疲れた。歯ごたえのある相手とやるのはいいけれど、やはりスコアレスで負けると精神衛生上よろしくない。
スタメンはナイジェリア戦の時の布陣から、移動の負担を嫌って代表を辞退した高原を除き、代わりに大久保を入れた形。つまりあの試合の後半途中からのフォーメーションだった。試合は開始わずか6分でCKからMFディオプのヘディングが決まってセネガルが先制。いくら相手に高さがあるからって、なんでそんなに簡単に得点を許しちゃうんだと、あきれるくらいきれいに決められてしまった。マークについていた坪井には気の毒だったけれど、まるでCKの練習シーンのように見えた。
その先制点の時点で、もしかしたらと思いはしたけれど、その後ゲームは予想通りの展開に終わってしまう。いきなりCKからヘッドで先制点を許し、その後は再三のチャンスを決めきれず、0-1で負けるというパターン。これじゃあまるでW杯でトルコ戦と同じだ。日本はジーコが監督になって一年以上が過ぎても、やはり同じ問題を抱え続けている。
ただし。個人的な感触としては、内容的にあの試合よりは幾分マシだったという思いはある。セネガルの選手のスピードと身体能力の高さにやられまくる場面が多く、全体としてはやや劣勢な試合内容ではあった。左サイド、アレックスの側から何度となくピンチを迎えていたのなんかは、今の代表の弱点がもろに露呈したようなものだ。それでも完璧に崩されたという場面は(比較的?)少なかったし、反対に攻撃ではいくつか決定的なチャンスを作れていた。ジーコのサッカーが守備力のマイナスを覚悟で攻撃力アップを図るものである以上、それならば合格点だと僕は思う。
特に今回の試合では終盤、選手交替で小野伸二と黒部が入ってから、とてもリズムのある良い攻撃ができていた(最後の最後の稲本の攻撃参加はとても惜しかった)。選手交替で流れを変えられたことは、ジーコのマネージメント力に対する不信感を幾分解消してくれた。まあ最後にもうひとつくらいカードを切って、疲れの見える俊輔あたりを替えてくれればもっと良かったのだけれどね。
やはり日本代表の問題は、終始言われるとおり、フィニッシュの精度の低さにある。その問題がもっとも顕著なのが柳沢だ。シュートが下手なのは前からだけれど、今日は特にひどかった。どう見ても同点確実という場面で、FWがあんなシュート・ミスをしていたら話にならない。動きの質の高さを云々する以前に、あのシュート・ミスひとつで、もう交替だろう。大久保よりも長くピッチに立っている資格はないと思った。
それに彼の場合、今日は持ち前の回りを生かす動きをないがしろにして、無理やり自分でゴールを決めようというプレーをしていたのもいただけない。積極的にシュートを打つ姿勢を手放しでほめる人もいるだろうけれど、それだってケース・バイ・ケースだろう。苦しい体勢から強引なシュートを打つようなプレーをしてどうする。それは君のプレー・スタイルじゃないだろう。イタリアでなにを経験してきたのか知らないけれど、そうした経験を生かすならば、今までの自分のプレーをした上で、その上積みとしてではなくては意味がない。無理な場面で下手なシュートを打つ柳沢なんて僕は見たくない。まあ、ゴール前でパスを出すシーンも見たくないんだけれど。
ということでジーコと柳沢という、僕がサッカーにのめり込むきっかけとなった二人に対する不満ばかりがくすぶってしまった上に、負けたせいもあってなかなか気分が滅入る試合だった。全体的にはそれほど悪い内容ではなかったと思うのだけれど。特に短い時間ではあったけれど、小野伸二のプレーにはしびれた。やっぱり彼は日本代表に必要だ。さて今後の遠藤ヤット君の運命やいかに。
(Sep 10, 2003)
U-22韓国2-1U-22日本
2003年9月17日(水)/ソウル
全然駄目。個々の技術には申し分がないのに、なんでこのチームはこんなにも弱いのか。今日の試合は本当に見ていて全然おもしろくなかった。前半早々にセットプレーから先制され(先週のA代表のセネガル戦のリプレーのようだった)、前半のうちに2点目を奪われた時点でもう絶対勝てないという雰囲気がありありだった。よくも一点返したものだと感心してしまった(石川直のクロスに高松があわせた)。
どうにも山本昌邦監督のトルシエ的チーム作りがいけない気がして仕方ない。今日の試合の3バックは茂庭、那須、徳永なんていう初のメンツで(青木が見たかった)、山瀬をスタメンに起用して大久保のワントップ。でもって今までそれなりの活躍を見せていた(と僕は思っている)中山悟志はスタメンどころか代表落ちだ。確かに高さのある、高木二世といった雰囲気の高松(大分トリニータ)はよかったけれどさ。でもこの世代のFWの中では中山の得点感覚はかなり貴重な戦力だと思っている僕としては納得がいかない。
なんにしろチーム・カラーがちっとも見えて来ないのは、トルシエの方法論を踏襲してスタメンを固定しないのが悪いんじゃないかと思う。メンバーを動かさないからこそ、負け続けながらもそれなりに形の出来つつある印象のA代表とは対照的だ。
(Sep 18, 2003)
ジュビロ磐田1-1鹿島アントラーズ
J1・セカンド・ステージ第6節/2003年9月20日(土)/ジュビロ磐田スタジアム/TBS
前節、出場停止だった相馬に代わりスタメン出場した石川竜也の出来が良かったんだろうか。相馬の出場停止が解けたこの試合でも左サイドバックには石川が起用された。しかもなんと相馬はベンチ入りさえしていない。もしかしたらセレーゾも世代交代を意識しているのかもしれない。なんたってルーキーとはいえ石川は、小野伸二たちとともにワールドユースで準優勝を果たしたチームのメンバーだ。大卒でプロ入りが遅れたとはいえ、他の選手の活躍を思えば、いずれは代表を狙えて当然なレベルの選手なはずだ。
ところがそんな石川がグラウへの不用意なファールでPKを与えてしまったことで、チームはこの試合での貴重な勝ち点3を逃してしまう。石川の場合、フィードの正確さは魅力的なのだけれど、守備力に若干の不安を感じるなあと思っていた僕としては、まさに不安的中といったところだった。この失敗を糧に大いに成長してもらいたい。
それにしても相変わらず本山は動かない。たまにはおーっと思わせるプレーもあるのでプラスマイナス0というプレーぶりではある。でもそれくらいじゃあ小笠原の精力的な動きには遥かにおよばない。彼のプレーに注目してゲームを見ていると、結構いらいらさせられてしまう。
加えてベテラン秋田は凡ミスを連発する。青木、フェルナンドが意欲的に放つミドルは枠に飛ばない。攻撃は全然形にならない。結局得点は小笠原のクロスがそのままゴールインしてしまったという感じの一点のみ。後半途中からは早々と守備的な布陣を引いて引き分け狙いの試合運び。見ていてストレスがたまって仕方なかった。
最近はアントラーズが終始こんな調子だし、日本代表やU-22も出来が今ひとつだから、サッカーを見ていてもちっとも楽しくない。なんだかヨーロッパ・サッカーが好きな人たちの気持ちがわかって来てしまった。好きなチームの不甲斐ない戦いぶりを見せられるよりは、愛着はなくても素晴らしいプレーが満載されたゲームを見ている方が余程楽しいかもしれない。うーん。
対する磐田は高原に続き、藤田がオランダへ移籍。加えて故障中の中山と出場停止の西を欠くのだから、やはり戦力ダウンの感は否めない。絶頂時の圧倒的な強さは感じられなくなっている。それでも持ち前の華麗なパス回しは健在で、まだ今の鹿島のサッカーよりは魅力的に思えた。
磐田の穴はやはりGKで、先日スタメン落ちに腹を立てたヴァンズアムが造反して戦力外になったとかで、この試合では山本がゴールを守っていた。ただ言っちゃなんだけれど山本君くらいでは、やはり磐田ほどのチームにとっては駒不足だろう。この日の試合だって、あんな形で得点を許してしまうようではGKのミスだと言われても仕方ない。
やはり磐田もその問題は懸案だったようで、ついにコンサドーレ札幌で控えに甘んじていた元鹿島の佐藤洋平を呼び寄せることになったそうだ。いいぞ、磐田。元鹿島の選手の活躍は個人的にはどのチームのことであっても嬉しい。佐藤にはぜひがんばって、ジュビロが優勝争いに絡めるような活躍を見せて欲しい。
なんにしろ鹿島が持ち前の守備力を発揮して引き分けに持ち込み、とりあえず首位を死守したという一戦だった。ああ、つまらなかった。
(Sep 21, 2003)
鹿島アントラーズ1-1京都パープルサンガ
J1・セカンド・ステージ第7節/2003年9月23日(火)/カシマスタジアム/BS1
トニーニョ・セレーゾが世代交替を狙っているかもという僕の勘繰りはまちがいで、相馬はたんに故障中なんだそうだ。左膝捻挫で全治4週間とのことで、当然この試合も欠場。代わりに左サイドバックに入ったのは前節の石川に代わって内田だった。やはりあのPKがよくなかったのか、石川はベンチ入りさえなしだ。なんだかなあ。
まあそれはともかく。
今日の試合、前半こそ1点のビハインドで折り返したものの、後半は圧倒的に鹿島のペースだった。本山のクロスから平瀬のヘッドで同点に追いついた場面以外にも惜しいチャンスはいくつもあった。ところが、それらのチャンスがことごとく点にならない。エウレルに一時の決定力がなくなっているのが気がかりだ。平瀬も同点ゴールこそ決めてくれたものの、まだまだって感じだし。
注目の本山は今日はそこそこ良かった。運動量が足りない印象はあいかわらずだけれど、その代わりとばかりに素晴らしいスルーパスをいくつも通して、決定機を演出しまくっていた。このところの彼はパスセンスに磨きがかかったように感じる。これで持ち前のドリブルを生かす場面をもっと作れたり、自ら持ち込んでシュートを打つことができたりすれば代表入りにケチをつける気もなくなるのだけれど。それこそ、今日みたいな試合を自分で決めてしまえるようになって欲しい。今後の活躍に期待。
この試合では富山第一高校出身で柳沢の後輩だというルーキーの中島を初めて見られた。本山と交替で入ってくるなり、いきなりエウレルへのロングボールで決定機を演出して見せ、その直後には自ら積極的にシュートを放っていた。当たりも強そうだし、期待のできそうなルーキーが登場してきて、ちょっとうれしい。おかげでベンチ入りを逃した深井は強力なライバルの登場で気が気じゃないだろうけれど。二人にはエウレル退団後にもう外国人のFWは要らないと思わせるような成長を見せて欲しい。
あともうひとつの朗報が熊谷の戦線復帰。中田浩二が出られない状態だけに、彼の復帰は大きい。今シーズンはボランチ偏重型の戦い方を好んでいるトニーニョ・セレーゾもきっと大喜びだろう。
相手方のパープルサンガでは、黒部のヘディングの強さに感銘を受けた。一点目だってほとんど彼の得点のようなものだ。後半はチームが劣勢だった分、目立っていなかったけれど、全体としていいプレーをしていたと思う。代表入りも当然だ。日本代表のFWは当面、高原、柳沢、大久保、久保、黒部の5人で決定じゃないかという印象。
反対に松井大輔の目立たなさが、かなり気になった。あの程度のプレーしかできない選手じゃないと思っているんだけれど。
(Sep 23, 2003)