2012年11月の本
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- 『盗まれた貴婦人』 ロバート・B・パーカー
盗まれた貴婦人
ロバート・B・パーカー/加賀山卓朗・訳/早川書房
いよいよスペンサー・シリーズもこれを含めて残り二作。
今回の依頼人は大学の美術教授。盗まれた名画を金と交換する際のボディガードを引き受けて欲しいという。いけ好かない男だなと思いながらも、その依頼を引き受けたスペンサーだったけれど、取引は悲惨な結末に……。プロとしてのプライドを傷つけられた彼が、よくあるパターンで自発的に事件解決のために調査に乗り出すというのが序盤のあらすじ。
その後、彼の介入を快く思わない何者かにスペンサーが命を狙われるという展開になる。で、ここで、いつものようにホークら助っ人の出番がないのが今回の特徴。なぜそうなのかはわからないけれど、スペンサーは今回に限っては、誰の助けも借りずに、危険に身をさらしたまま、単身で事件の謎を追い求めてゆく。なぜかわからないのは、単に僕の読みこぼしかもしれない。今回はあまりに読書に集中できずにいて、読み終えるのに三週間以上かかってしまったりしたので。
なんにしろ、今回の読みどころは、そんな危険と背中合わせのプライベート・ディテクティヴという、いかにもハードボイルドなシチュエーション。あとは、犬のパールに恋人(いや恋犬?)ができるという、なんだかよくわからないサブ・エピソードが印象的な一作だった。
あぁ、これでスペンサー・シリーズも残すところあと一冊。
(Nov 25, 2012)