The Coward Brothers
The Coward Brothers / 2024
エルヴィス・コステロの最新作――とはいっても、2024年11月リリースだから、もう一年ちょい前の作品――はT・ボーン・バーネットとのスペシャル・ユニット、カワード・ブラザーズ名義でのカントリー系のアルバム。
去年はこのところの東高西低な音楽嗜好がもろに反映されてしまい、ついに洋楽について一本も文章を書かなかった。洋楽のライブも一本も観なかった。洋楽アーティストの来日がまったくなかったパンデミック期をのぞけば、そんなことは大人になってから初めてだった。
自分でもこのまま洋楽を聴かない人になってしまうのかも……と思ったりしていたんだけれど、こういう作品を聴くと、いやそんなことはないなと思う。やっぱYOASOBIのような打ち込みの音ばかり聴いていると、どうしたってこういうオーガニックな音が恋しくなる。やっぱ生演奏って大事だ。人が演奏しているからこその音の揺らぎや温かみ。それが好きなのはずっと変わらない。
このアルバムはコステロ名義での過去のT・ボーン・バーネットとのプロデュース作品と同じ系統で、ギターの弾き語りにちょっとだけペダルスティールやシタールで差し色を加えました、みたいなミニマムな音作りがほとんど。たまに速めでアッパーな曲があっても、ドラムやベースは決して表へは出てこない。
なので普段の僕の趣味からするとおとなし過ぎると思いそうなところだけれども――というか、一年以上放置してあったのだから、実際それほど強く感銘を受けたわけではないのだけれど――でも逆に最近の邦楽で、アタック音が激しいウェルメイドで人工的な音ばかり聴いているので、こういう手作り感がすべてみたいな音をたまに聴くと、あ、やっぱこういうのもいいよねぇって思う。
ウィキペディアではこのアルバムは『The Story of The Coward Brothers』という音声コメディのサントラだと紹介されていて、だからなのか、前半に『My Baby』で始まるタイトルの曲が三曲もあったりするし、ほかにも、Woman、Girl、Wifeなどの女性名詞がついたタイトルの曲だらけだったりする。どうやら「臆病者兄弟」の「臆病」のゆえんは女性に対してのことらしい。
詳しいことはわからないけれど、コステロ先生とバーネット氏とのコラボ作品は、過去作も演劇的な感触のある曲がけっこうあったので、今作はその方向性をさらに推し進めた結果の究極の形なのかもしれない。
まぁ、いずれにせよこういう作品をきっちりと楽しむには、僕の英語力では無理があると思った次第。
(Jan. 31, 2026)
