2011年11月の音楽

Index

  1. ワインディングロード/東京からまんまで宇宙 / エレファントカシマシ
  2. 大発見 / 東京事変

ワインディングロード/東京からまんまで宇宙

エレファントカシマシ / CD+DVD / 2011

ワインディングロード /東京からまんまで宇宙(初回限定盤)(DVD付)

 音楽については、あまりに入ってくる量が多すぎるもので──でもって、それらすべてについてきちんとした文章を書くのはとうてい無理だし、ちゃんと聴いてもいない作品についてわかったようなことを書くのも失礼なので──、感想を書くのはしっかり聴き込んだ作品や、特別に感銘を受けたものだけにしよう……と決めたのがいつのことだったか、覚えていない。
 でもこれがどうやら間違いだった。気がつけば、いつのまにか音楽については、ほとんどなにも書かない生活が定着してしまった。
 でも、そんな中でたまに気合いを入れて書いた文章がいいかというと、そうも思えない。お気に入りのアルバムだからいい文章を……と力んだ結果、かえって冗長で気どった文章になってしまっているものも多い。これだったら、過去にちゃらっと書いた短い文章のほうが、よほどわかりやすく、気持ちが伝わってくる気がしたりもする。
 ということで、ここでもう一回、方向転換。やはり聴いた作品については、今後はなるべく多くを取り上げようと思います。やっつけ仕事上等。当面は質より量をモットーに。数をこなしているうちに、いずれ質がついてくるだろうことを信じて。聴いた回数よりも感じたことを第一に。あまり考えすぎず気楽に。日々の生活の中でこつこつと。エトセトラ、エトセトラ……。
 さて、そんなわけで心機一転、新装開店状態で取り上げるとなれば、まずはこれだ。エレファントカシマシの最新シングル、『ワインディングロード』と『東京からまんまで宇宙』の2曲。まだたいして聴いていないし、ボーナスのDVDも観ていないので、本来ならば書くべきじゃないんだけれど、だからこそ、このタイミングで取り上げるにはもってこいだろうってことで。
 両A面扱いのシングル2曲で、どちらも「光を目指せ」という最近の宮本らしいメッセージが前面に出たポップ・ソングだけれども、いかにもユニヴァーサル以降のポジティヴ路線って感じの1曲目よりも、エピック時代を思い出させる無骨さのある2曲目がいい。『東京からまんまで宇宙』という珍妙なタイトルといい、アグレッシブなギターのリフといい、独特の癖のあるメロディといい、宮本らしさ全開の、これぞ僕らの好きなエレカシってナンバーだと思う。個人的にはこっちが前に出ていてくれれば、なお嬉しかった。
 なんにせよ、このジャケット写真はここ数年来では最高傑作だと思う。
(Nov 21, 2011)

大発見

東京事変 / CD / 2011

大発見

 ひとつ前の『スポーツ』はオープニングを飾る『生きる』の人工的なアカペラ・パートがどうにも好きになれなかった。いまから聴きかえすと、アルバム自体の出来は決して悪くはないんだけれど(全体的なギターの音が好きだ)、入り口でつまずいてしまったせいで、なんとなく中へ入っていけなかった。
 今回の『大発見』はその逆。一曲目の『天国へようこそ』は配信シングルの時点ではそれほど好きな曲でなかったのだけれど、アルバムに収録された新バージョンは装いを変えて、歌謡ジャズ風だったものが、ベース・ラインで引っぱる抑え目のダンス・チューンへと変貌。歌詞も英語から日本語になっていて、印象が一変した。こりゃカッコいい。
 この曲の意外性にぐいっと引き込まれた上に、同じようにアレンジを変えてみせた『ドーパミント!』や、もとより好きだった先行シングル『空が鳴っている』など、プラス要素が多かったこともあって、今度のアルバムはとても印象がよかった。やっていることがそう大きく変わったとは思わないんだけれど、それでも、ほんのささいな違いで好きんなったり、なれなかったり。俺もリスナーとしていい加減だよなぁ、と思う。
 そういや、毎回、曲名の並びには異常なほどのこだわりを見せる椎名林檎さん。今回は全曲全角7文字しばりというのにトライしてます。『ドーパミント!』とか、『21世紀宇宙の子』とか、若干こじつけ気味の曲もあるけれど、それもまた楽し。
 その『21世紀宇宙の子』は亀田師匠の作曲で、このアルバムでももっともポップな曲のひとつ。亀ちゃんの曲はいつも80年代的に明るくキャッチーで、どのアルバムでもひときわ輝いているけれど、このアルバムでも例外じゃない。僕がこのアルバムでもっとも好きな曲はこれ。
 あと、やっぱり『空が鳴っている』がいい。導入部あたりはそれほど好きなタイプの曲ではないのだけれど、ドラマチックで刹那なサビのフレーズがひたすらせつない。
(Nov 28, 2011)