2019年5月の映画

Index

  1. アベンジャーズ/エンドゲーム
  2. デッドプール2
  3. ロッキー2
  4. ロッキー3
  5. ロッキー4
  6. ロッキー5
  7. ロッキー・ザ・ファイナル

アベンジャーズ/エンドゲーム

アンソニー・ルッソ&ジョー・ルッソ監督/ロバート・ダウニー・ジュニア、クリス・エヴァンス/2019年/アメリカ/ユナイテッド・シネマとしまえん

映画 アベンジャーズ エンドゲーム ポスター

 今年最大の話題作『アベンジャーズ/エンドゲーム』を公開二日目に映画館で観た。
 前作『インフィニティ・ウォー』の衝撃的な結末をふまえて、さてどう落とし前をつけてくれるのかが最大の注目だったこの作品――。
 オープニングからの三十分ばかりは見事に予想外の、「なにそれ?」って展開をみせる。そんなの観たかったわけじゃねー感がはんぱない。
 もちろん、これほどの話題作がそんなひどい出来なわけもないので、その後アントマンが復活したところから大いなる「アベンジ」が始まるわけだけれど、そこまでの展開――その予想外のインターバルの長さ――をどう受け取るかで、この映画への評価は大きく違ってくるのではと思う。僕個人はその部分が釈然としなくて、最後までいまいちすっきりした気分になれなかった。まぁ、ソーの変身ぶりはとてもおもしろかったけど。
 前作で姿を消したヒーローたちをいかに復活させるかって部分に関しては、まぁそれしかないよねって話で、過去作を生かしたストーリー展開は上手いと思った。シリーズのファンならば、ぐっとくること間違いなし。
 特に感心したのが、今回の完結編がほぼ『アベンジャーズ』第一作の主要メンバーを中心にした話になっていること。アイアンマン、キャプテン・アメリカ、ソー、ハルク、ホークアイ、そしてブラック・ウィドウ――。
 ニック・フューリーが不在なことを除けば、初代アベンジャーズのメンバーがほぼ全員無事だってことに僕は気がついていなかった。
 映画のポスターを観たときにはなんだか不思議な顔ぶれだと思っていたんだけれど、結局それは初代メンバーを生かすための伏線だったわけだ。ヒーローが増えすぎて収集がつかなくなってきたから、最後は初心に戻って、初代メンバーに活躍の場をあたえて、幕を引いてみせたと。そこんところはとても感心しました。
 まぁ、その分キャプテン・マーベルの存在感のなさとかなにそれって感じだし(あんなに強いのに……)、ディテールを見るとそれはどうなのってところも多かった。特にシリーズの最重要人物であるあの人とこの人が最終的にああいうことになってしまうのがどうにも残念だった。僕の趣味からすると、全体的にどうにも話がウェットすぎる。どうせならもっとただひたすらに痛快なアベンジャーズが観たかった。
 でもまぁ、みごたえのある作品であることには間違いなし。僕は土曜の朝いちにこの映画を観たら、それだけで午前中が終わってしまい、あまりの内容の濃さに一日分のパワーを使いきったような気分になってしまった。
 なんて濃厚な三時間だったことか……。
(May. 12, 2019)

デッドプール2

デヴィッド・リーチ監督/ライアン・レイノルズ、ジョシュ・ブローリン/2018年/アメリカ/WOWOW録画

デッドプール2 (字幕版)

 前作よりもグロさ倍増な印象の『デッドプール』の続編。
 とにかく今回は主人公が不死身だという設定をいいことにしたコミカルな残虐シーンのオンパレード。そもそもオープニングからデッドプールが自殺をはかってバラバラになっていたりするし。なんかなー。
 物語的にはギャングの襲撃をうけて最愛のヴァネッサ(モリーナ・バッカリン)を失ったデッドプールが失意のあまり自殺をはかって失敗、X-MEN(見習い)として再出発をはかったところで、炎を操るミュータント少年ラッセル(ジュリアン・デニソン)と出会い、その子を殺すために未来からやってきた男(もしかして『ターミネーター』のパロディ?――演じるのは『アベンジャーズ/エンドゲーム』のサノス役ジョシュ・ブローリン)との戦いに巻き込まれるというような話。まぁ、悪趣味なシーンだらけだけど、おもしろいっちゃぁ、おもしろい。
 全体的に前作よりもX-MEN的な世界観がより濃くなっているのが印象的だった。デッドプールが自らのオリジナル・チーム、X-フォースを立ち上げたりもする(すぐに全滅しちゃうけど)。
 そのメンバーの紅一点、ドミノ(ザジー・ビーツ)の特殊能力が「ラッキーなこと」ってのが最高だと思う。この映画のいちばんの見どころは彼女の存在。
(May. 12, 2019)

ロッキー2

シルヴェスター・スタローン監督・主演/タリア・シャイア、バート・ヤング、カール・ウェザース/1979年/アメリカ/Amazon Prime Video

ロッキー2 (字幕版)

 GW十連休の企画でロッキー・シリーズ全七作(含む『クリード』)をいっき見した。一作目と『クリード』は以前に感想を書いているので、今回は二作目から六作目まで。
 ということでまずは二作目。前作で一躍有名人となったロッキーが華々しいキャリアを歩み始める話なのかと思ったら、まったくそんなことはなくて。
 チャンピオン相手に健闘したとはいえ、負けたロッキーには栄光なんてない。コマーシャルへの出演依頼はあるものの、不器用さがわざわいして失敗に終わり、結局もとどおりの貧乏暮らしに戻ってしまう。
 アポロ(カール・ウェザース)からは再戦の要望はあるのだけれど、ロッキーの健康を心配するエイドリアン(本作の冒頭で結婚した)から反対されて実現にいたらない。さて、いかにしてロッキーはアポロとの再戦に挑むことになるのか──というのが今回のおはなし。
 まぁ、クライマックスは予定調和だし、そこまではずっと生活苦のすっきりしない話がつづくので、残念ながらおもしろさは前作にはおよばないかぁと思う──というか、一作目を別格として、それ以降の作品の出来はどれもそこそこだ(ちなみにこの作品からはシルヴェスター・スタローン自身が監督も努めている)。
 それでもこのシリーズを悪く思えないのは、ひとえにロッキーという人のキャラクターゆえ。
 かつて一作目を観たときにも思ったことだけれど、ほんとロッキーがいいやつなんだ。温厚で朴訥としていて。とてもボクシングなんて殴り合いの格闘技をしている人とは思えない。
 記憶にある限り、ロッキーが怒ったのって第一作で彼がアポロの指名を受けたとたんにトレーナーのミッキー(バージェス・メレディス)が態度を豹変させて近づいてきたときだけじゃないだろうか(そのときだってロッキーの側から折れて出てさっさと和解しちゃうし)。駄目男の義兄ポーリー(バート・ヤング)とは終始変わらず誠実につきあっているし、恋人のエイドリアンには浮気ひとつせずに誠実を貫いている。こんな人いるかよってレベル。ほんといいやつ。
 このシリーズの魅力はそんな主人公の人的魅力に負うところが大きいと思う。
 しかしまぁ、この作品でロッキーに現役続行を躊躇させる原因となった失明の危険があるかもって話はどこいっちゃったんですかね?
(May 18, 2019)

ロッキー3

シルヴェスター・スタローン監督・主演/タリア・シャイア、バート・ヤング/1982年/アメリカ/Amazon Prime Video

ロッキー3 (字幕版)

 前作でヘビー級チャンピオンとなり、破竹の勢いで防衛を重ねていたロッキーの前に、傲岸不遜なチャレンジャー(ミスター・T)が立ちふさがる。タイトルを奪われてミッキーをも失い、失意のどん底に落ち込んだロッキーに助けの手を差し伸べたのは――。
 次の四本目でソ連の選手と戦うのは強く印象に残っているけれど、この三本目はどんなだか、ぜんぜん印象にないなぁと思いながら観始めてみると、冒頭でいきなりかかるのがサバイバーの『アイ・オブ・ザ・タイガー』。あぁ、この曲の映画かっ!――と思いました。当時は大ヒットしたよねぇ。好きじゃなかったけど。あぁ、懐かしい。
 懐かしいといえば、序盤ではロッキーとハルク・ホーガンとの異種格闘技戦なんてエピソードもある。おー、ハルク・ホーガン!
 いたねぇ、そんなレスラー。あったねぇ、異種格闘技戦。中学生のころはプロレスを観ていたので、そのエピソードもやたらと懐かしかった。
 サバイバーの主題歌はこの映画のシナリオの上でも大きくフィーチャーされている。裕福になってハングリー精神を失ったロッキーにアポロが「虎の目をしていたころの自分を取り戻すんだ」「虎の目だ!」を連発するのだった。これもうおかしくて、おかしくて。
 ロッキーって若いころから朴訥としていて、まるでハングリー精神なんて感じさせないキャラクターだと思うんだけれどな。そんな彼にアポロが「虎の目」「虎の目」を連発して、しかもBGMであの曲がかかると。これはもう苦笑なしには観られない。
 そんなずれた熱血シーンも加わって、僕らが十代なかばだった時代の空気感をたっぷりと含んだ、やたらとノスタルジックな気分をあおられる作品。
(May. 19, 2019)

ロッキー4

シルヴェスター・スタローン監督・主演/タリア・シャイア、バート・ヤング/1985年/アメリカ/Amazon Prime Video

ロッキー4 (字幕版)

 ソ連からやってきた無敵のボクサーとロッキーが国の威信をかけて戦うシリーズ第四作。
 前作につづいて、これも音楽であー、と思った。そうだ、ジェームズ・ブラウンの『リビング・イン・ザ・アメリカ』が主題歌のやつか。それも単に曲が使われているだけではなく、JB御本人が出演して、パフォーマンスを披露している(ほんのちょっとだけど)。
 この曲、大好きだったんだよねぇ。でも当時はお金がなくて、この曲の入ったアルバム『Gravity』を買えなかった。その後、社会人になってからCDで買ったけれど、そのころにはもう当時のような興奮は味わえなくて、さびしい思いをしたんでした。やっぱ80年代の音楽は打ち込みを多用したせいで古びるんだよねぇ……。
 映画自体はロッキーが星条旗を背負って戦っちゃうあたりに、部外者としてはちょっとこそばゆい思いを否めない。
 ソ連がスポーツ科学の最先端を注ぎ込んで生み出したサイボーグのようなボクサーに、昔ながらのレトロなトレーニングだけで挑むロッキーを対比させてみせたのはおもしろいけれど、そのせいでソ連側に血の通わない非人間的なイメージを押しつけているのはどうかと思う。ロシア人の描き方もやたらと紋切り型だし。まぁ、ゴルバチョフのそっくりさんも出てくるし、これも前作と同じで、その時代の空気のなかで必然的にこうなったって作品なのかなと思う。
 なんにしろ、この作品でロッキーはアメリカを代表してソ連に乗り込んでいっちゃうわけで。ことロッキーの戦歴で考えると、シリーズの頂点ともいうべき作品。
(May. 19, 2019)

ロッキー5

ジョン・G・アヴィルドセン監督・主演/タリア・シャイア、バート・ヤング/1990年/アメリカ/Amazon Prime Video

ロッキー5 (字幕版)

 前作から五年のインターバルをへて、再び第一作の監督ジョン・G・アヴィルドセンがメガホンをとったロッキー・シリーズの最終作。
 このシリーズの特徴のひとつは必ず前作の結末の部分をリプレイして始まること。なので今回のようにシリーズ全作品をつづけて観ていると、同じシーンを繰り返しみることになって、やや冗長に感じられてしまう。
 でもそれはビデオが普及して自宅でお手軽に映画が観られる現在だから思うことで、映画館でしか映画が観られなかった当時は、前作の感動を思い出してから本編に入るこの演出は有効だったんだろう。
 ということで前作のロシア人ボクサーとの試合を振り返って始まるこの作品。どうやってあの激闘を上回ってみせるのかと思ったら、はなからロッキーは引退状態。みずからは第一線から身を引いて、若手ボクサーを育てるという話になっている。
 要するに最近の『クリード』と同じような話なわけだ。いちばんの違いは、この時点ではまだエイドリアンが健在で、息子や娘と一家そろって暮らしていること。息子のロッキー・ジュニア役の子はなんとスタローンの実際のお子さんだそうだ。それとロッキーに弟子入りするトミー役のトミー・モリソンは本物のプロ・ボクサー(しかものちのヘビー級チャンピオン)だとのこと。へー。
 この映画でロッキーはポーリーのせいで全財産を失い、ふたたび貧乏生活を強いられることになる(困った義兄だ)。でもって有名人の息子として不自由なく暮らしてきた息子は、激変した環境に悩まされ、弟子ばっかりかまって自分に見向きもしない父親に反発するようになる。この子とロッキーとの親子の葛藤を描いてみせているのがこの映画のポイント。
 ボクシング映画としては、あきらかにドン・キングとマイク・タイソンがモデルだろうってキャラが登場してロッキーに挑戦を挑むところに時代色が強く出ている(なんとタイソン本人が別のところでカメオ出演している)。でも、すでに一線から身を引いたロッキーはその挑発に取り合わない。
 さて、この人たちとロッキーとはどういう形で決着をつけるんだろう――とか思っていると、この映画は思いがけない形で終わってみせた。なるほど。そう来たか。
 あまり評判はよくないようだけれど、僕はこの映画、けっこう好きだった。
(May. 19, 2019)

ロッキー・ザ・ファイナル

シルヴェスター・スタローン監督・主演/バート・ヤング、ジェラルディン・ヒューズ/2006年/アメリカ/Amazon Prime Video

ロッキー・ザ・ファイナル (字幕版)

 前作からじつに十六年ぶりとなるシリーズ番外編。
 スタローンは1946年生まれだそうだから、この年でちょうど六十歳。還暦を迎えたロッキーがいまさら現役に復帰して世界チャンピオンと戦うという、なにそれって話になっている。でもまぁ、このシリーズは一作目からしてなにそれって話だったので、ある種のスポーツ・ファンタジーとしては、これもありなんでしょう。
 あまりに強くてあっという間に試合が終わってしまうのでつまらないと評判の世界チャンピオンが、人気者のロッキーが現役復帰すると知って、話題づくりのために試合を申し込むという展開も、おそらく第一作を踏襲しているんだろう。チャンピオン役のアントニオ・ターバーという人も本物のヘビー級チャンピオンなんだそうだ(本物のボクサーを起用するのも、何気にこのシリーズの伝統?)。
 あと、エイドリアンを失い、レストランを経営しながらひとりさびしく暮らしているロッキーが親しくなる女性(ジェラルディン・ヒューズ)が第一作にちょい役で登場した少女だったって設定がいい。親しくはなるけれど、一線は越えないところもいい。それでこそロッキー。
 ずいぶんと老けたポーリー(あいかわらずの駄目っぷり)やトレーナーのデューク(トニー・バートン)らの懐かしい顔ぶれも出てくるし、ロッキー・ジュニア(今回は実の息子さんではないマイロ・ヴィンティミリアという人)も成長した姿で出てきて、あいかわらず悩んでいる。そういうおなじみのキャラのその後の姿が見られるのがシリーズならではの魅力だ。
 五作目では描かれなかったボクサーとしてのロッキーの最後の勇姿もたっぷりと描かれているし、これはこれでなかなか捨てがたい一遍だと思う。
(May. 19, 2019)