2017年12月の映画

Index

  1. ツイン・ピークス The Return
  2. スター・ウォーズ/最後のジェダイ
  3. キングコング:髑髏島の巨神

ツイン・ピークス The Return

デヴィッド・リンチ監督/カイル・マクラクラン/2017年/アメリカ/WOWOW(録画)

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 海外ドラマでは十年に一度の話題作じゃないでしょうか。デヴィッド・リンチ本人による『ツイン・ピークス』の新シリーズ。
 これはなんともいえない怪作。基本的には前作同様の群像劇をベースにしつつ、オカルト・タッチの作風から『Xファイル』的な超常ミステリへと微妙な方向転換を果たしている。オカルトはオカルトなんだけれど、前作にあった不気味さは薄れて、珍妙な間の困った笑いが全編に満ちている。舞台はツイン・ピークス以外の場所のほうが多いし、ストレートな続編でありながら、内容はちっともストレートじゃない。
 とにかくこの作品でもっとも印象的なのは、デヴィッド・リンチの演出による、絶妙な間合いの数々。なんでこの場面でこの沈黙、みたいなシーンのオンパレード。この人独特のこの妙な味わいが好きになったら、もう中毒患者になること間違いなしだろう。まぁ、僕はそこまでいってないけど。
 話題作だけあって、テレビ・ドラマとは思えないほど出演者も豪華だ。主演のカイル・マクラクランの続投はもちろん、有名どころでは女優陣にナオミ・ワッツ、ローラ・ダーン、ジェニファー・ジェイソン・リー、アシュリー・ジャド、アリシア・ウィット、モニカ・ベルッチなど。男優ではティム・ロス、ハリー・ディーン・スタントン、ジム・ベルーシ(ジョン・ベルーシの弟)などが出演している。日本からも裕木奈江が出演している(かなり不思議な役どころなので、そうといわれるまでわからなかったけれど)。
 ミュージシャンの出演者が多いのも音楽ファンにとっては重要なポイント。僕の知っている範囲ではナイン・インチ・ネイルズ、シャロン・ヴァン・エッテン(超かわいい~)、エディ・ヴェダー(パール・ジャム)、クロマティックス、スカイ・フェレイラなどが出ている。スカイ・フェレイラは俳優としての出演(謎の脇役)で、あとの人たちははバン・バン・バーでの演奏シーン。モービーもどこかに出ているらしいのだけれど、僕にはわからなかった。
 旧作のキャラクターのうち、重要な役どころだったドナとハリー・トルーマン保安官が出てこないのは残念だけれど、でもそれ以外のほとんどのキャラクターがなんらかの形で顔を出しているのが嬉しいところ。デヴィッド・リンチ本人が演じるゴードン・コールはあいかわらず珍妙だし、旧作ではクーパーの秘書(?)として名前だけの存在だった「ダイアン」が今回はちゃんと表舞台に出てくるのも重要な点だ。また、最後のエピソードではローラ・パーマー役のシェリル・リーが思わぬ形で再登場を果たしている。
 まぁ、なんにしろ最初から最後までよくわからない──それでいてなんとなくおもしろい──不思議なドラマでした。カイル・マクラクラン演じるクーパー捜査官ならぬダギー・ジョーンズの珍妙な立ち振る舞いがもうこれ以上見られないのかと思うとちょっとさびしい。
(Dec 17, 2017)

スター・ウォーズ/最後のジェダイ

ライアン・ジョンソン監督/マーク・ハミル、デイジー・リドリー/2017年/アメリカ/ユナイテッド・シネマとしまえん

スター・ウォーズ/最後のジェダイ (特典映像付き) (字幕版)

 スター・ウォーズ新三部作の二本目。スター・ウォーズはできるかぎり早く観るのがわが家の習慣なので、今回はロードショー二日目に朝一の回を観た。
 前作のラストを受けて、今回はレイとルーク、そしてその両者とカイロ・レンとの関係が焦点になるのは最初からわかっていたことだけれど、その描かれ方はちょっとばかり予想外だった。
 その三者の関係以外でも、この作品はこちらの予想を微妙に裏切りながら進んでゆく。そうした意外性を楽しめれば勝ち。ただ逆にそれをファンへの裏切りだと思った人も多いみたいで、賛否両論あるのも納得の内容だった。
 僕自身はそれなりに楽しく観させてもらったけれど、じゃあ出来はどうだと問われるとちょっと首を傾げたくなる。少なくてもシナリオはいまいちだと思う。
 全体的に気になったのは、宇宙空間の描き方がいい加減な点。いきなり冒頭の戦闘シーンで宇宙空間で爆撃機が爆弾投下しちゃったりするし(無重力だろ)、着のみ着のまま宇宙船から放り出された人が無事に生還しちゃうし(フォースのご加護?)。終盤の宇宙戦艦による特攻シーンだって、あれだけの被害で済むのは納得がゆかない。
 最後の惑星では整備士だったはずの女の子が戦闘機を操縦しているし、説明もなしにいきなりレイがファルコン号に乗っていたりもする。そんなこの映画のシナリオは僕にはご都合主義だらけで幼稚(よくいえば無邪気)すぎるように思えた。そういう気になるところがあちこちにあって、僕はいまいち物語に没入できなかった。
 もうひとつ残念なのが、ローズというアジア系の新キャラに代表されるキャスティング。演じているケリー・マリー・トランという女優さんを悪くいうつもりはないけれど、でも彼女のポスターを部屋に飾りたいと思う人がどれだけいるのかって話で。どうせならばそこは『エージェント・オブ・シールド』のクロエ・ベネットみたいな可愛い女の子を起用して欲しかった。
 前作でアフリカ系のジョン・ボイエガを主要キャラのフィン役に抜擢したり、『ローグ・ワン』や今作では重要な役回りにアジア系の俳優を起用するなど、非白人系の俳優を積極的に起用している昨今のスター・ウォーズだけれど、でも白人以外の俳優って、失礼ながらあまり見ためがよろしくない。どうせ映画を観るならば、僕はもっと可愛い女優さんやかっこいいヒーローが活躍するところが観たい。
 レイ役のデイジー・リドリーや『ローグ・ワン』のフェリシティ・ジョーンズなど、主演の白人女優にはちゃんと美女が起用されているだけに、脇役がぱっとしないのはやはり残念だ。その差があまりに極端なので、まるで主演の白人を食わないようにと、非白人の脇役にはわざとルックスの劣る俳優を起用しているんじゃないかと思えてしまって、そういうのって逆差別じゃないかっていいたくなる。
 全員が美男美女ばかりの世界なんてないだろうというんならば、無重力で爆弾が投下されるような世界もないわけですよ。リアリティを追及するのならば、もっときちんとした脚本を用意して欲しいし、夢物語と割り切るのならば、もっと美男美女ばかりを揃えて豪華にやって欲しい。文芸映画ならばともかく、エンタメ映画は夢を売ってなんぼでしょう?
 というわけで、ラストシーンの少年の姿にはじーんときたし、そのあとのエンド・クレジットでいまは亡きキャリー・フィッシャーに捧げた「われらのプリンセスの愛すべき思い出に」という言葉にもうるっとさせられたけれど、全体的な出来栄えには疑問の残るエピソード8だった。
 ルークやレイアの活躍が観られる最後の作品がこの程度ってのは、やはりちょっと残念かなぁと思う。
(Dec 24, 2017)

キングコング:髑髏島の巨神

ジョーダン・ヴォート=ロバーツ監督/トム・ヒドルストン、ブリ―・ラーソン、サミュエル・L・ジャクソン/2016年/アメリカ/Netflix

キングコング:髑髏島の巨神(字幕版)

 この『キングコング』の最新リメイク版。世間的な評価はそれほど高くないのに、一部で熱狂的に支持されていると思ったら、観てみて納得。これは好きな人は好きだろうなぁって作品だった。かくいう僕自身が大いに気に入った。僕はこと「怪獣映画」と考えるならば、『シン・ゴジラ』よりこっちのほうが好きかもしれない。
 とにかくこの映画は怪獣の見せ方が素晴らしい。怪獣映画はかくあるべしって感じで、最初から最後まで惜しみなく見せ場がある。びっくり箱的な演出にもこと欠かないし、これぞまさにジェットコースター・ムービー。そう呼ぶにふさわしいと思う。
 まぁ、僕個人の趣味からすると残酷シーンが多すぎるきらいがあって、手放しで絶賛するにはいたらないのだけれど(軟弱者)、でもとにかくキングコングをはじめとしたクリーチャーの造形も見事だし、映像もとてもスタイリッシュだ。『マイティ・ソー』でロキ役を務めるトム・ヒドルストンはあの役のマイナー・イメージを感じさせない男っぷりだし、紅一点のブリ―・ラーソン(『ルーム』の主演の人とのこと)もなかなか魅力的。サミュエル・L・ジャクソン、ジョン・グッドマン、ジョン・C・ライリーら、脇をかためるベテラン俳優陣も豪華だ。
 ということで、映像・シナリオ・演出・キャスティングとすべて文句なしの素晴らしい映画でした。B級テイストのあるテーマを最上級に仕上げてみせたという点で、僕にとっては『ゾンビランド』と同じようなインパクトがあった。
 なお、Netflixで観たら、エンド・クレジットが途中で切れてしまったのだけれど、これはエンド・クレジットが終わったあとまでちゃんと観ないといけない映画だから要注意。僕はそこで大笑いさせていただきました。まさかキングコング映画の最後にあんなもの見せられるとは思わなかった。
(Dec 30, 2017)