2014年3月の映画

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  1. 裏切りのサーカス
  2. テッド

裏切りのサーカス

トーマス・アルフレッドソン監督/ゲイリー・オールドマン/2011年/イギリス、フランス、ドイツ/WOWOW録画

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 その邦題はちょっとないんじゃないかと思う映画は数あれど、これは極めつけ。なにゆえ『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』という素敵な原題を、こんな味もそっけもないタイトルに変えなきゃならないのか。変えようと思った人の気持ちが、僕にはさっぱりわからない。
 まぁ、内容を表しちゃいるけれども。でも「サーカス」がイギリス諜報機関の通称だなんて、ふつうの人は知らないでしょう? 観た人にしか意味が通じない。しかも語感がめちゃくちゃ凡庸だし。個性的なオリジナル・タイトルを捨ててまで、意味不明なうえに平凡なタイトルを用意する日本の配給会社の方針が、僕にはまったく理解できない。
 映画の出来自体はとてもいい。まぁ、もともと原作がさらっと読める本でもないので、ストーリーを知らないで観て、すべてが理解できるのか、さだかじゃないけれど、基本、物語は原作に忠実だし、落ち着いた映像と演出にも好感が持てた。
 まぁ、ゲイリー・オールドマンはスマイリー役にはスマートすぎる気がするけれど、映画なんだから、見栄えがよくてもノープロブレム。
 あとはもう、ただひたすら、その邦題はないだろうよと。この映画はとにかく、日本語タイトルのひどさを抜きにしては語れない。こんなタイトルをつけたら、けなされこそすれ、褒められることはまずないだろうに。そんなこともわからない人たちが、日本に入ってくる映画を牛耳っていると思うと残念でならない。
(Mar 01, 2014)

テッド

セス・マクファーレン監督/マーク・ウォールバーグ、ミラ・クニス/2012年/アメリカ/WOWOW録画

テッド [DVD]

 孤独な少年の「親友が欲しい」という夢がかなって、彼が大好きだったテディベアが命を持つという奇跡が起きました。さてそれから三十年が過ぎ、少年が大人になってもまだ、親友のテディベアは健在──しかしながら、すっかりエロ・オヤジ化していましたとさ、というコメディ。
 全世界の子供の人気者、テディベアがエッチでラリったオヤジ・キャラだったら──そんなワン・アイディアを膨らませただけの、たあいのない映画。まぁ、『フラッシュ・ゴードン』にまつわるオタク・ネタや、テッドの元カノ役でノラ・ジョーンズを実名出演させたりという小道具の使い方には気が効いていて、そこそこおもしろかった。
 でも『フランケンウィニー』とおなじく、これもクライマックスがお涙頂戴の感動ドラマになってしまっているのが、僕としては駄目。あまりにもありきたりで、気分が冷めてしまう。どうせならば、もっとバカっぽく攻めて、それなりに終わって欲しかった。最近のハリウッドの脚本って、みんな同じ人が書いてんじゃないだろうか。
 ということで、物語的にはあまり惹かれなかったこの映画、個人的な見どころは、ヒロインのミラ・クニス。彼女は2年前の『エスクワイア』英語版に「世界でいちばんセクシーな女性」として取り上げられていて、それ以来、どんなにセクシーなのかと気になっていたのだけれど、この映画ではそこまでセクシーな役どころではありませんでした。でもとてもキュートだというのには異議なし。
 ちなみに彼女、『ブラックスワン』でナタリー・ポートマンのライバルの女の子を演じていたとのこと。言われてみれば、そんな気がしなくも……。
(Mar 04, 2014)