鹿島アントラーズ1-1サンフレッチェ広島
J1・第20節/2025年6月14日(土)18:00/カシマサッカースタジアム/DAZN
代表ウィークを挟んで二週間ぶりのJリーグ。
実際には水曜日に天皇杯の二回戦があったので、中二日での試合だったけれど、それでも怪我人続出の折、このタイミングで十日ばかりブレイクが入ったのはありがたい。おかげで離脱が心配されたレオ・セアラも無事スタメン出場を果たした。
あと、この中断期間中に鹿島は、小川諒也と
千田についてはこれまで知らなかった――東京V戦でスタメンだったらしいけれど、まったく記憶にない――のでなんともいえないけれど、小川の加入は確実にプラス。この日は残り10分強という時間帯に出てきて、セットプレーのフェイントに参加したりして、はやくもチームに馴染みつつあることを感じさせた。
それにしても、両サイドに小池・小川という代表歴のあるSBを補強できたのは、レオ・シルバの獲得と並んぶ今季最大の収穫だ。安西だって代表歴はあるし、濃野だって去年のベストイレブンだから、このまま順調にいけばいずれ代表に呼ばれるだろうし。つまり、いまや両SBに代表レベルの選手が四枚もいることになる。いやはや、贅沢この上なし。
この試合では濃野がようやく故障から戻ってきて、津久井もベンチ入りしていたので、DF登録の選手がベンチに四人もいた(反対にFW登録はゼロ)。
まぁ、小川と千田は新加入後の顔見世的な意味で登録されたのだろうから、今後もこういう体制になることはないんだろう。そもそも植田とキム・テヒョンのコンビが安定しているので、CBの千田にはスタメンの機会があるかもわからない。津久井も本来はCBなのに、今季はSBとして起用されているわけだし。キム・テヒョン、千田、津久井によるCBのレギュラー争いも後半戦のちょいとした見物だ。
さて、そんなわけで心配だった最終ラインの駒不足も解消されて、大いなる期待とともに再開したリーグ戦後半の一発目。対戦相手は難敵・サンフレッチェ広島。
広島は現在5位だけれど、それは消化試合がひとつ少ないからで、それを勝つと仮定して勝ち点3を加えると、2位の京都を上回る順位になる。要するにこの試合は実質的には暫定1位と2位の戦いといっても過言ではなかったわけだ。
ということで、(仮)がつくとはいえ、さすが首位決戦。締まった試合になる。
なによりやっぱり広島が強い。ポジショニングが的確なのか、パスを通す隙がない。日本代表のGK大迫に、塩谷、荒木、佐々木の3バック(ここもなにげに全員代表歴ありだ)、川辺と東峻希のダブル・ボランチに、右が中野就斗、左が今季注目度ナンバーワンのルーキー中村草太、二列目に前田直輝とジャーメイン良、そしてワントップが柏から移籍してきたばかりの木下という布陣。
僕にとって馴染みがないのは中野だけで、ほかには代表級の選手がずらり。
そんな選手たちがJリーグアウォーズですでに二度も優秀監督賞を受賞しているスキッベ監督のもと、堅牢な守備ブロックを敷いて挑んでくるのだから、強いのも道理。
前回の対戦時には移籍してきたばかりの前田にしてやられたけれども、今回も移籍直後の木下がちゃんと戦力として存在感を発揮しているのを見て、あぁやっぱスキッベはすぐれた監督なんだろうなぁと思った。
この試合では鹿島のボール保持率63%という数字が示す通り、終始こちらがボールを回す展開がだったものの、なかなか崩すにはいたらなかった。
そうこうするうちに、広島に一瞬の隙をつかれて先制を許してしまう。
左サイドでの競り合いからこぼれ球を拾って深い位置へと侵入した中村が、そこから蹴り込んだマイナスのクロスに、東が飛び込んできてヘディングを決める。ボランチの攻撃参加をマークしきれなかった。みごとな崩しにお手上げ。
まぁ、その得点場面以外にはとくに危なかったシーンは記憶にないから、ほんとあれだけ。あとは攻め込んでは、相手の守備に跳ね返されるシーンばかりだった。
鹿島のスタメンは、早川、小池、植田、キム・テヒョン、溝口、三竿、船橋、松村、チャヴリッチ、優磨、レオ・セアラの11人。なぜか荒木は欠場だった。
後半は22分に船橋&松村→樋口&濃野という交替を行い、その後に小池&溝口の両サイドSBと三竿を、小川、柴崎、ターレス・ブレーネルに一気替えした。
濃野は最初は高い位置でプレーしていて、小池が下がってから本来のSBのポジションに移動した。ひさびさの出場だったけれど、攻撃的なセンスのよさが随所に発揮されていてよかったと思う。こういうプレーがつづけば、今季初ゴールが生まれるのもそう遠くないだろう。とはいえ残念ながらこの日はノーゴールに終わった。
敗色濃厚だった試合を引き分けに持ち込んだ貴重な同点ゴールが生まれたのは後半ロスタイム。樋口の左CKを植田がファーで折り返し、そのこぼれ球をゴール前の密集地帯にいたレオ・シルバが押し込んだ。今季12点目! 依然得点王ランキングトップ!
セットプレーから植田がファーで折り返したボールを中で決めるという得点パターンもすっかり確立されていきた感がある。逆にいうと、なぜ敵のチームは警戒していないんだって話だから、今後は厳しいマークにあうかもしれない。
なんにしろ、この1点でなんとか勝ち点1をもぎとり、広島の勝ち点2を削りとった。ここで優勝争いのライバルに差を縮めさせなかったのは大きい。
まぁ、広島には今季の負け越しが決まってしまったけれど、もしかしたらまだ天皇杯で雪辱のチャンスがあるかもしれないので、次の機会に期待しよう。
それはそうと、今季はアクチュアル・プレーイング・タイムをプレミア並みにしようとかいって、微妙なファールを流すことが多いけれど、この日の谷本主審のジャッジはいろいろ難ありだった。レオ・アラがペナルティエリア内で倒されたのにPKにならないし、そのことに抗議した曽ヶ端にはイエローカードを出したりするし。試合終了後には鬼木がわざわざ審判団のところへ話しにいっていた。ポジショニングが悪くて、プレーの邪魔になるシーンもあったし、あれでは批判されても致し方ない気がする。
(Jun. 17, 2025)