2016年7月のサッカー

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  1. 07/02 ● 鹿島1-3G大阪 (J1・2ndステージ第1節)
  2. 07/30 ● U-23ブラジル2-0U-23日本 (親善試合)

鹿島アントラーズ1-3ガンバ大阪

J1・2ndステージ第1節/2016年7月2日(土)/カシマサッカースタジアム/BSスカパー!

 残念な結果に終わったセカンド・ステージの初戦。
 残念といえば、この試合と前後してカイオのUAEへの移籍が決まってしまったのが、なにより残念の極み。いずれは日本に帰化して代表でプレーしたいと本人が望んでいるという噂もあったのに、よもやオイルマネーに横取りされてしまうとは……。
 まぁでも、日本への帰化はその後国内に永住することが判定条件のひとつのようなので、カイオのように才能のある選手ならば、いずれはヨーロッパでプレーすることも視野に入れているのだろうし、帰化申請をしてもすんなり通るかどうかわからない(闘莉王が名古屋退団後に母国に帰ってしまったように、代表入りを望んで帰化した選手がそのまま日本に留まるケースは少ないし)。先行き不透明な日本国籍取得という希望より、目の前に差し出された億越えの年俸のほうが切実だったってことだろう。
 まぁ、仕方ない。いまのJリーグでは中東を超える契約はできないのだろうし。二十代前半で億を超える金が稼げるチャンスを逃す手はない。がっつり稼いで、いずれはブラジル代表に呼ばれるほどの選手になって欲しい。
 さて、そんなわけでカイオ不在でのぞんだこの試合。金崎も足の打撲とかでベンチをはずれたので、スタメンは曽ヶ端、西、植田、昌子、山本、柴崎、小笠原、遠藤、中村充孝、土居、赤崎という11人だった。
 で、終わってみれば、今季初の3失点をくらっての逆転負け。山本からのクロスを赤崎がみごとに決めて先制したまではよかったけれど、その直後に大森晃太郎に同点ゴールを決められ、さらには遠藤保仁のCKから今野と金正也{キム・ジョンヤ}(在日韓国人らしい)にゴールを決められ、万事休す。金崎とカイオ抜きで2点を跳ね返すパワーはなかった。
 セットプレーからの2失点はまぁ仕方ないと思う。さすがヤットだ。でも大森に決められた1点目は、シュート自体は弱かったし、曽ヶ端の手の届く範囲だっただけに、あれはぜひ止めて欲しかった。
 曽ヶ端にはこの責任をとってもらって、次節は櫛引スタメンで……といいたいところだけれど、櫛引は五輪(祝・代表選出!)で途中離脱するのが決まっているだけに、ソガのやる気を殺ぐような起用も考えものだ。なんかいろいろ難しい。
 なんにしろ、ファースト・ステージは泣かず飛ばずで終わったガンバに、セカンド・ステージでの巻き返しの機会を与えてしまったという点でも残念な黒星だった。宇佐美が二度目のドイツ移籍が決まってチームを離れた直後だけに、ここでたたいておけば、このさき楽になったのに……。
 裏では川崎がきっちり勝っているので、鹿島はわずか2節で年間順位の首位陥落。次はまた難敵・広島なので、下手したら開幕2連敗もあり得る。なんとかしのいで欲しい。
(Jul 03, 2016)

U-23ブラジル2-0U-23日本

親善試合/2016年7月30日(土)/セーハ・ドウラーダスタジアム(ブラジル)/BS1、テレビ東京(録画)

 オリンピック代表が本番前の最後の親善試合を、ホスト国ブラジルを相手にアウェイで戦うという願ってもないシチュエーションの一戦。
 五輪代表とはいえブラジル相手の一戦だからと、午前4時半キックオフの試合をリアルタイムで観るべく早起きしたはいいけれど、前夜の酒が抜けきらず、前半だけで2-0という内容にもめげて、後半はうつらうつら。結局二度寝したあとで録画で観なおす羽目になってしました。早起きした甲斐なし。あぁ、やれやれ。
 スタメンはGK中村航輔、DF室屋、植田、塩谷、藤春、MF遠藤航、原川、矢島、中島、南野、そしてFW興梠という布陣。
 当然ながらオーバーエイジで選ばれた興梠、塩谷、藤春の3人はすべてスタメンに選ばれている。このほか、最終的に五輪代表に残ったのは、櫛引、亀川、岩波、大島、井手口、浅野、久保の全18人。ただし、久保はクラブはクラブからこの土壇場で招集を拒否されて、現在交渉中とのこと(一生に一度の大会なのに、出られなかったらかわいそう)。
 正GKは、やっぱJでの実績からして中村か~、櫛引残念……と思ったものの、その櫛引も後半の頭から出番をもらっていた。前半中村が2失点しているのに対して、櫛引は無失点で終えているのが、ささやかなセールス・ポイントかなと。まぁ、ファイン・セーブは中村のほうが多かったし、後半のブラジルは無理をせず無難なプレーに終始していたので、五分では比較できないけれど。
 櫛引のみならず、サブの選手は後半に全員出番を与えられていた。それどころか、小川とか、富安とか、誰だそりゃって選手まで出てきたのにはびっくりだった。
 どうやら今回の大会では選手登録が18人しか認められていないため、その人数では紅白戦もままならないからと、大会には出ない5人の選手をトレーニングのためだけに帯同してきているらしいのだけれど、それにしたってそんな選手たちをこの局面で使うか?
 彼らは東京五輪世代の有望株なのかもしれないけれど、リーグ戦のさなかにブラジルまで来られるってことは、現時点ではクラブにとっていなくても支障のないレベルの選手だってことでしょう?(その割にはふたりともけっこう堂々とプレーしていて、ちょっと感心したけれど) なぜそんな選手たちのために貴重なプレー時間を割く? いまは本番に出る選手たちに少しでも多くの実戦経験を積ませるべき時期じゃないの? ただでさえ、興梠たちオーバーエイジで参加している選手たちは一緒にプレーした時間が短いのだし。そもそも相手のブラジルにだって失礼だろうに。
 手倉森、なに考えてんだろう。この選手起用にはすごく疑問をおぼえた。交替したのが遠藤と中島というキーマンふたりだったので、なおさら違和感があった。
 そんなわけで最後の選手交替のせいで、なんだかなぁって気分になってしまったこの試合。内容的にも前半はただひたすら守備に追われるだけの不本意な出来だった。
 まぁ、このチームは耐え忍ぶのが個性みたいなもんだから、このままちゃんと守り切れれば立派とか思っていたのだけれど、前半30分に給水のブレイクがあったことで、ちょっと集中力が途切れてしまったのか、その直後にブラジルの9番、ガブリエウ・バルボーザという19歳のFWにいとも簡単にゴールを許してしまう。さらにそれから10分もせずに、今度はCKから追加点を献上。
 まぁ、最初の失点はシュートがブロックに入った植田にあたってコースが変わってしまったのが不運だったし、セットプレーに弱いってのは、べつに五輪代表に限ったことではないので、この2得点は致し方ないかなと思う。
 それよりは、問題は無得点に終わってしまったことのほう。前半はまったくいいところがなかったし、後半はいくらか攻撃の形がつくれるようになったけれど、それでもここぞで決めきれず。とくに興梠が中島へのラストパスで決定機を作った場面では、自分で打たなかった興梠にも、フリーのチャンスを決めきれなかった中島にも、ちょっとそりゃないんじゃないのと思わずにはいられなかった。
 浅野も後半頭から出てきたけれど、きょうくらいのプレーしかできないんならば、アーセナルでレギュラーを取るのはとうてい無理でしょう。
 ……とまぁ、悪いことばかり書いてしまったけれど、それでも後半を無失点で終えたのは収穫。あと、ある程度はいい形でパスをつなげることができたのも。ブラジル相手でも、いくらかは自分たちのサッカーが通用することが実感できたとしたら、それはけっこうプラス材料じゃないかと思う。
 それより、この試合を観て本番に不安を感じたのは、どちらかというと日本人よりもブラジル人のほうじゃないかという気がする。おいおい、ホームで日本を相手に2点しか取れないの?って。しかも後半は無得点だし。ネイマール無得点だし(やっぱ上手かったけど)。ブラジルのメディアはきっとこの試合のことをよくは書かないだろう。
 今回のオリンピックは日本にとって、自分たちのサッカーがこのさき世界でどれくらい上まで行けるのか判断する上で、ひとつの分岐点になるのではないかと思っている。というのも、今回集まった選手たちは全員がJリーグが誕生したあとに生まれた初めての世代だから。物心ついたときから、プロサッカー選手となることをあたり前のように思ってプレーしてきた日本人が、本気で上を目指したら、いったいどこまでたどり着けるのか──。
 日本サッカーの世界への挑戦はこの大会から本格的に第二章に入るんだぜって。
 それくらいの心づもりで本番を見守ろうと思います。
 まぁ、といいつつ一、二戦目は平日の午前中の試合らしいので、録画でしか観れないのだけれど。
(Jul 31, 2016)