2011年6月のサッカー

Index

  1. 06/01 △ 日本0-0ペルー (キリン杯)
  2. 06/07 △ 日本0-0チェコ (キリン杯)
  3. 06/11 ○ 山形0-2鹿島 (J1・第14節)
  4. 06/15 ● 鹿島0-1甲府 (J1・第15節)
  5. 06/18 ○ 鹿島2-0磐田 (J1・第16節)
  6. 06/22 ○ 神戸0-1鹿島 (J1・第17節)
  7. 06/25 ○ 鹿島2-2川崎 (J1・第18節)

日本0-0ペルー

キリンカップ/2011年6月1日(水)/東北電力ビッグスワンスタジアム/テレビ朝日

 震災後のチャリティー・マッチ以来、およそ2ヶ月ぶりの代表戦。キリンカップも2年ぶり。去年はW杯のため、なし崩し的に開催されなかった(JFA、なってねぇ)。
 しかし、ひさしぶりの日本代表の試合だというのに、このところ、アントラーズの不調に悩まされているため、いまひとつ代表と聞いても気分が盛りあがらない。これがアジアカップやW杯予選ならいざ知らず、キリンカップだと、いくらタイトルがかかっているとはいえ、絶対負けられないという感じもしないしなぁ(去年やらなかったせいで、株が下がった気がする)。試合自体もスコアレス・ドローに終わってしまったし、鹿島から選ばれた3人の選手が全員ピッチに立ったにもかかわらず、僕個人としては、いつになくテンションの低い代表戦だった。
 この日のフォーメーションはザッケローニのお気に入りだという3-4-3で、スタメンはGK川島、3バックが栗原、今野、伊野波、右サイドがなんと西大伍(初代表!)、左サイドが安田理大{やすだみちひろ}(あれ、もしかして彼も初キャップ?)、ダブルボランチが長谷部と遠藤、3トップが岡崎、前田、関口という布陣。
 西や安田のスタメン出場を知って、おお~と思ったけれど、こうしてみると、意外だったのはそのふたりと、3バックを採用したことくらい。とくにセンターラインはCBに今野、ダブルボランチに長谷部とヤット、1トップ気味に前田で、固定感ありあり。飛び級で宇佐美を呼んだわりには使ってこないし、ザッケローニ、やはり手堅い。
 まあ、そんなわけで3バックなわけだけれど、僕はやっぱ4バックのほうが好きだ。日本人は基本保守的なので、最終ラインを3枚にすると、どうにも守りに入ってしまって、いいサッカーができない気がする。ということで、前半は積極的なプレスが効いていて、守備面ではよかったものの、攻撃はやや手詰まり感があった。
 0-0のまま突入した後半、ザッケローニが動く。西を引っ込めて(残念)、本田圭佑を投入。おぉ、昨日合流したばかりだというエース本田を使うってのは、こりゃもう勝つ気満々な証拠だろう。その後、同じく合流2日目の長友も出してきたし、ザッケローニ、手堅いわりには意外と負けず嫌いだと見た。
 ただ、試合はその後も動かなかった。後半の立ち上がりは本田を入れて4バックに戻した効果で、しばらくは攻撃が活性化したけれど、それも初めのうちだけ。結局、次第にスローダウンしてしまい、李、興梠、森脇、細貝らを入れるにつれて、だんだん誰がどこでなにをやっているのか、わからないような状態に。
 最後のほうはペルーの猛攻に攻め立てられ、川島のファイン・セーブ連発でなんとか黒星を逃れたって印象。いや、もしかしたらこの試合でいちばん盛りあがったのは、この最後のひやひやの時間帯だったかもしれない。いまにも負けそうなところを、間一髪で逃れているスリルがたまらなかった。今年の鹿島は失点が多すぎるので、スコアレス・ドローとはいえ、無失点で終わるのって気持ちいい……とか思ってしまった。
 それにしてもクラブでは不動のレギュラーといえない伊野波や西が代表に呼ばれるのって、ちょっと不思議だ。興梠にしたって、FWとしてはここまで結果が残せていないのに。そんな彼らを招集するザッケローニの選定基準って、いまひとつよくわからない。まあ、アントラーズ・サポーターとしては嬉しいんだけれど。
 あと、アウェイのペルーにこれくらいやられちゃうと、もしもこれがコパ・アメリカだったら、どれほど痺れるような試合ができたことやら……と、いまさらながら出場を辞退したのを惜しく思ったりもする。逃した魚は大きい。
(Jun 01, 2011)

日本0-0チェコ

キリンカップ/2011年6月7日(火)/横浜国際総合競技場/TBS

 キリンカップ2戦目となるこの試合も日本代表のフォーメーションは3-4-3。前の試合にくらべれば、それなりに出来はよかったと思うものの、基本的にこの日のメンバーはアジア杯を戦った海外組が中心。それを考えれば、フォーメーションがどうであれ、これくらいの試合はできて当然な気はする。
 ということで、この日のスタメンはGKが川島、3バックが吉田麻也、今野、伊野波、両サイドが内田と長友で、ダブル・ボランチにいつもの長谷部、遠藤、3トップが岡崎、李、本田という布陣(前田は足を痛めたとかで欠場)。
 11人中、じつに7人が海外組だ。でもって、後半途中からは遠藤と伊野波がひっこんで、家長と槙野が出てきたので、つまり9人が海外組。こうなるとそのうちにピッチに立っている全員が海外組なんていう日もそう遠くなさそうな気がする。Jリーガーにはもっと意地をみせて欲しいところではある。
 まあ、なんにしろやっているサッカーは悪くなかった。連係はペルー戦よりも格段にヴァラエティに富んでいたし、何度かはあと一歩まで相手のゴールを脅かした(でも相手のGKチェフの上手いこと)。それでもやっぱり、この試合でもゴールをあげることはできなかった。おかげで今回のキリン杯は3試合ともスコアレス・ドローで、3チームの同時優勝という結果に……。こういうのも珍しい。
 この試合で好印象だったのは、吉田麻也の積極的な攻め上がり。センターバックが終始あれくらい攻撃に絡めるならば、意外性があって3バックも悪くないと思った。でもまあ、CBの攻め上がりに期待するくらいなら、最初からもうひとり、攻撃的な選手を使ったほうがいい気がするけれど。
 あと、本田、遠藤のセンターラインの連係のよさも印象的だった。いまのチームは完全にこのふたりを中心に回っている。さばける遠藤とキープ力抜群の本田、彼らふたりが中盤を仕切っている状況は、かなり強力だと思った。彼ら自身もお互いにかなり信頼しあっている気がする。
 遠藤の後釜として期待される家長は、こうして見てしまうとまだまだ。運動量が少なすぎるし、なんだか借りてきた猫みたいだった。あれでは当分、遠藤の牙城は崩せそうにない。遠藤はこのまま怪我もなく、年齢に負けずに持久力を維持できるようだと、マジでブラジルまで行けちゃうんじゃないだろうか。
 まあ、なんにしろチェコの堅守に手こずってゴールは遠かったけれど、内容はまずまずだった。でもこのところ、アントラーズであまりゴールを見せてもらえていない身としては、代表くらいには胸がすくゴールを見せて欲しいところだった。
 FCバルセロナを応援している人がちょっと羨ましいきょうこの頃。
(Jun 07, 2011)

モンテディオ山形0-2鹿島アントラーズ

J1・第14節/2011年6月11日(土)/NDソフトスタジアム山形/スカパー!e2

 ACLで負けて、次の広島戦で負けて。2連敗で迎えるのが、現在17位のモンテディオ山形となると、これはアウェイとはいえ、勝ち以外は許されない。ここで勝てないようだと、今季は早くも黄色信号って印象だったので、勝ててなによりだった。まあでも、勝ててなによりってだけの試合だったとも思う。
 なんか本当に今年はここまでぴりっとしない。前回も書いたけれど、とにかくシュートが少なすぎる。この試合も記録上はわずか8本だ。17位のチームと90分戦って、8本しかシュートが打てないってんだから、観ていて楽しいはずがない。得点は両方ともセットプレーだしなぁ。なんかもう、マルキーニョスと本山がいない影響がありありで困りもん。
 いまの選手たちが嫌いなわけではないけれど、それでもやっぱこの試合のようなプレーではもの足りない。いまはとにかく、積極的にシュートの打てるFWと司令塔タイプのMFがいますぐ欲しい。それがないものねだりになってしまう現状が歯がゆい。
 この日のスタメンは曽ヶ端、西、岩政、中田浩、アレックス、増田、小笠原、野沢、遠藤、大迫、興梠の11人。
 故障明けの中田がスタメンに復帰して(伊野波の心中を察するに、やや複雑な気分ではある)、体調不良でベンチを外れた青木のところに増田が入った。あと、サブで田代が戻ってきた。田代は後半途中から出場。去年は山形でプレーしていた増田と田代が、かたや棚ぼた式のスタメン、かたや故障明けのひさしぶりの出場を飾るんだから、よくできた話だ(ふたりとも、そうとうブーイングを浴びたらしい)。
 いやでも、このふたりはよかったと思う。とくに増田は、ずいぶん成長して帰ってきた気がする。去年一年、山形の主力として活躍していたのはダテじゃない。
 あ、そういや山形には去年まで鹿島でプレーしていた船山がいた。山形で鹿島出身の選手といえば、まずは石川竜也だけれど、彼は故障とのことで欠場(残念)。後半途中から出てきた川島大地という若い子も、鹿島からレンタル移籍中らしい(出てきたときに野沢が「おっ」という感じで微笑んでいた)。なぜだか交流が深い両チームだった。もしかして東日本コネクションとかあるんでしょうか?
 試合は前半に鹿島がセットプレーから2点を奪い、そのまま逃げ切った形(得点は興梠と岩政)。後半途中からは大迫と交替で柴崎、小笠原と交替で伊野波が出てきた。伊野波はそのままボランチの位置でプレー。伊野波のボランチってのもひさしぶりに見た気がする。
 まあ、試合内容はいまいちだったけれど、今季初の完封勝利だし、その点はよかった(降格圏内も脱出)。次は開幕戦以来のカシマスタジアムでの試合だ。相手も甲府と、勝ち点が計算できる相手だし、今季初の連勝で勢いをつけて欲しい。
(Jun 12, 2011)

鹿島アントラーズ0-1ヴァンフォーレ甲府

J1・第15節/2011年6月15日(水)/カシマサッカースタジアム/スカパー!e2

 震災による被害の改修が済んだカシマスタジアムでの震災後初となるホームゲーム。そんなある意味メモリアル・ゲームで、よもや甲府に負けようとは……。今年はマジで駄目かもしれない。
 それにしてもいったいなにが悪いんだろう? さっぱりわからない。去年より極端にプレーの質が低くなったとは思わないし、思ったようにチャンスが作れないってのはあるけれど、それにしても勝てなさすぎる。なんか、悪い目、悪い目が出ている感じ。
 まあ、スタメンを固定できない(しない)がゆえに、なかなか連係が高まらず、結果としてそれがチャンスの少なさにつながり、鹿島を警戒して準備万端で臨んでくる相手の堅い守りにも苦しんで、現状のような低成績に沈んでいるってとこだろうか。うーん、まいる。
 そうそう、あとあれだ。考えてみれば、今季は序盤戦からずっと、野沢の決定力頼みとでもいった感があったんだった。野沢が活躍すれば勝つけれど、活躍しないと勝てない、みたいな。
 で、野沢くんの場合、時として天才的なプレーを見せるときもあるけれど、その反面、消えている時間帯も多い。この日の試合のように、最初から最後までどこにいるかわからないような試合もままある。要するに、オガサや本山とくらべると、出来不出来がはっきりしすぎていて、プレーに安定感がない。その辺は昔からの欠点だと思う。
 ということで、そんな頼りの野沢がまたもや不発に終わったこの試合。鹿島にとっては震災以来初となる、記念すべきホーム・ゲームではあったけれど、やはり勝ちきれなかった。それどころか、よりによって後半ロスタイムに、ハーフナー・マイクにまさかのゴールを許しての敗戦って……。
 いや、ハーフナー・マイク。昨季のJ2得点王だというので、一度ちゃんと見たいとは思っていたけれど、最後の最後になんて大仕事を……(後半はほとんど消えていたくせして)。それも持ち前の高さを生かしたヘディングではなく、普通に右足で岩政とソガの股間を二枚抜きしてのファイン・ゴール。これで今季早くも6点だって(一方でイエローもすでに4枚目で、次節出場停止ってのには笑ったけれど)。まあ、なんにしろ、まいりました。
 甲府にはハーフナー・マイクのほかにも、伊東輝と市川のエスパルス放出コンビや、阿部吉朗、途中出場で出てきたパウリーニョなど、見知った選手がいて、なおかつ監督の三浦さんも僕に年が近くて、けっこう親しみの持てるチームだった。ヒーロー・インタビューでマイクが「見ていておもしろくないかもしれませんが、一生懸命やっているので応援してください」てなことを言っていたけれど、決してつまらなくなんかなかったと思う。むしろ、まわせど回せどチャンスの作れない鹿島のサッカーのほうがよっぽど見ていてストレスがたまった。
 この日のアントラーズはひさしぶりに左サイドに新井場が入って、アレックスがベンチ。あと五輪代表のためにチームを離れた大迫に替わって、田代がスタメン。残りは前の試合と一緒。体調不良の青木はまだ戻ってこず、伊野波も疲労がたまっているとかなんとかで、ベンチ入りさえしてなかった。鹿島は福島原発に近いだけに、選手が体調不良を訴えていると聞くと、なんとなく不安になる。
 そうそう、この試合で個人的にいちばん盛りあがったのは、僕が前節で不在を嘆いていた本山が、ひさしぶりに途中出場ながらピッチに立ったこと。さらには彼につづいて柴崎が、そしてこれがJ1デビューとなるアルシンドの息子、イゴールが見られたこと(イゴール君はしもぶくれの、ちょっとおもしろい顔をしている)。
 3人ともそれほど目立った活躍はできなかったけれど、それでもこの3人のプレーを見られたことは、それ自体が新鮮な喜びだった。
 いまの僕は本山と柴崎がそろってスタメンでプレーするところがなにより見たい。
(Jun 15, 2011)

鹿島アントラーズ2-0ジュビロ磐田

J1・第16節/2011年6月18日(土)/カシマサッカースタジアム/スカパー!e2

 この試合はエレカシのライヴと時間が重なってしまったため、生放送では観られなかった。
 なおかつ、スカパー!e2での放送はハイビジョンではなく、上下左右が切り取られた額縁放送(あとからBSでハイビジョン放送があったのに気がついて、しまったと思うもあとの祭り)。チームが低迷しているところへきて、録画の上に画質もいまいちでは、どうにも気分的に盛りあがらない。
 でもそんな消極的な気分は、録画を再生しはじめて、テレビにスターティング・イレヴンの配置図が映し出されたとたんに吹っ飛んだ。
 うぉー、柴崎先発! しかも、それと入れ替わりにベンチに下がったのは小笠原! これって、もしかしてアントラーズ史上に残る、とても重要な一戦なんじゃないか?
 ……と思いはしたものの、なんせ2時間半を超えるオールスタンディングのライヴのあとで疲れている。しかも飲んで帰ってきて、試合中も引きつづき飲みつづけている、となると、なかなか試合に集中できない。結局、最初から最後まで遠まきに眺めているような感じで、うまく試合に入り込めなかった。
 ということでこの日のスタメンは曽ヶ端、新井場、岩政、伊野波、アレックス、増田、柴崎、野沢、遠藤、興梠、田代の11人。増田、柴崎のダブル・ボランチ(このふたりは兄弟のように似ている)がやたらとフレッシュだ。
 途中出場は小笠原、中田、西の3人で、要するに交替枠を守備的なポジションの選手だけに費やせるような試合だった(磐田とはあいかわらず相性がいい)。序盤にCK4連発から興梠のゴールが生まれて、ひさしぶりの早い時間帯の先制点で、チームが落ち着いた。後半も田代がゴール前でフリーになっていたところへ棚ぼた式にボールが飛び込んできてのラッキーゴール(まあ、それを慌てずに決めた田代もえらかった)。2-0での危なげのない勝利とあいなった。これが今季カシマスタジアムでの初勝利。内容的にもひさしぶりに納得のゆく一戦だった。
 この翌日にはU-22代表のオリンピック二次予選(クウェート戦)があったのだけれど、こちらも佐野元春のライヴと重なってしまって、ちゃんと観れなかった(二日連続でライヴとサッカーが重なったのなんて生まれて初めてだ)。いちおう90分間、観るだけは観たけれど、食事をしながらだったし、もちろん飲んでいるし、なおかつ今回の五輪代表については、いまだ馴染みのない選手ばかりで、前日以上に集中できず。なのでそちらは感想は書かないで済ます(不徳の致すところ)。とりあえず大迫にゴールが生まれてよかった。
 五輪代表については、次のクウェートとのアウェイでの第二戦も、木曜日の深夜1時半くらいからの放送のようだから、ちゃんと観られそうにない。最近は体力の低下が著しくて、とてもじゃないけれどその時間帯の試合を生で観る気力が湧いてこない。駄目だなぁ……。
(Jun 21, 2011)

ヴィッセル神戸0-1鹿島アントラーズ

J1・第17節/2011年6月22日(水)/ホームズスタジアム神戸/スカパー!e2

 前の試合では柴崎を初スタメンに起用して快勝。さあ、中3日のこの試合はどうする、と注目していたこのヴィッセル戦。オリヴェイラ氏はあっさり小笠原をスタメンに戻してきた。あらら。
 しかもオガサだけではなく、中田浩二と西も、ひと試合休んだだけでスタメンに復帰。替わりに伊野波、新井場がベンチにさがった。どうやら今年はオガサ、中田、新井場ら三十代グループには無理をさせず、若手とローテーションでまわしてゆく腹積もりらしい。
 そんなうまくゆくもんかなぁ……とちょっと疑問に思っていたものの、アウェイのこの試合も1-0での完封勝利。なんだかんだいいつつ、ここ4試合で1失点しか許していない。ようやくディフェンス力が安定してきたみたいだ。しかも、そんな風にスタメンを若手とベテランでローテーションさせつつだから、ある意味じゃすごい。この調子でこれから先もやってゆけるようだと、終盤戦でやたらとおもしろいことになるかもしれない。
 この日はスコアこそ1-0と地味だけれど、ひさしぶりにシュートの数は多かった。その点は好印象。ここ2試合で確実に内容は上向いている。
 虎の子の一点は、左サイドで相手のボールを奪い取った遠藤が、果敢なドリブルから蹴りこんだグラウンダーのクロスを田代が決めたもの。アシストのボールがややそれたため、田代は体が開き気味になって、シュート自体は当たりそこないって感じになってしまったけれど、逆にそのおかげでボールが絶妙のループシュートのようになり、相手GKの頭上を越えていった。田代君、2試合続けてのラッキーゴール。でもまあ、運も実力のうちというし、結果オーライ。この場面では遠藤が左サイドでボールを奪ってからのカウンターが、まさに電光石火ってイメージで見事に決まったこともあり、とても痛快だった。
 まあ、チャンスの多さのわりには1点しか奪えなかったし──興梠は芸術的なボレーシュートがオフサイドで取り消されたり、一方でどフリーでのシュートをふかしたりと大活躍──、無失点に抑えたとはいっても、危ないシーンはけっこうあった。吉田孝行に個人技からあわやというシュートを2本も打たれているし、後半途中からポポが出てきてからは、かなり相手に押し込まれてしまっていた(遠藤に替えて伊野波を入れて、守備固めしたにもかかわらずだ)。なので、一歩まちがっていれば、悲惨な結果になっていた可能性もあったと思う。そういう意味では、まだまだ安心はできないかなぁと。ましてや次の相手が苦手のフロンターレだからなぁ……。しかも中2日でとくる。次の一戦はとても重要だ。
 そうそう、あとこの試合では心配なことがひとつ。後半途中から小笠原と交替で出てきた柴崎が、わずか10分程度プレーしただけで、足を痛めて交替してしまったんだった。怪我をしたシーンは見ていないけれど、退場するときの表情はそれほど深刻そうではなかったから、大事には至らないとは思うけれど。ちょっと心配。
 というわけで、そんな柴崎と入れ替わりに出てきたので、この試合では本山のプレーが見れても、あまり気分が盛りあがらなかった。まあ、十分足らずじゃなぁ……というのもある。彼にも早くスタメン出場できるくらい、元気になって欲しい。
(Jun 22, 2011)

鹿島アントラーズ2-2川崎フロンターレ

J1・第18節/2011年6月25日(土)/カシマサッカースタジアム/スカパー!e2

 あぁ、痛恨のドロー劇……。
 この試合、前半に関しては今季最高の内容で、2-0とリードして折り返し、なおかつ後半15分ほどで相手に退場者が出る展開に、さすがにこりゃ勝ったも同然だろうと思ったら、あにはからんや。そこから相手の猛攻を受けて、ついにはロスタイムに同点に追いつかれて引き分けって。それはいったい……。
 この日のスタメンは曽ヶ端、西、岩政、中田、新井場、増田、伊野波、野沢、遠藤、興梠、田代。またもや両サイドをローテーションさせつつ、怪我をした柴崎のところには、意表をついて伊野波を起用してきた(オリヴェイラさんにはもう中3日で小笠原をつかう気がないんでしょうか?)。
 でもこの増田、伊野波のダブル・ボランチが想像以上によかった。攻守のバランスが取れた増田と、つぶしがきく守備力抜群の伊野波。このふたりで中盤は安定しまくり。ジュニーニョを完ぺきに抑え込み、相手につけいる与えなかった。
 一方、攻撃面でも前半だけで2点を奪ってみせる。
 1点目は田代の個人技。センターライン手前でのFKからのロングボールをゴール横で受け取ると、マークについた相手DFを見事にかわしてのシュート! 田代はこれで3試合連続のゴール。あっぱれ。
 2点目は右サイド深くからのFKから。野沢の蹴ったボールが相手にはじかれてファーサイドに流れたところで、中田浩二が左足一閃! 豪快なボレーシュートを相手のゴールマウスに突き刺してみせた。すんごいいいシュートだった。浩二もあっぱれ。
 ということで、前半は完ぺきな内容。で、後半に入っても、序盤は好調。ついには興梠の突破を止めようとした川崎のDF薗田が2枚目のイエローで退場してしまう。
 そういやこの試合の川崎はCBの井川が出場停止で、替わりに出場した横山という選手も序盤で足を痛めて交替。その代役がこの薗田だった。せっかく出番がまわってきたのに、田代の高さと興梠の素早さに苦しみまくった挙句、30分強のプレーで退場になってしまったという。敵ながら、ちょっとかわいそうだった。
 まあ、なんにしろ鹿島側からみれば、井川が欠場という時点で、この試合はつきに恵まれていたんだった。そして残り30分で数的有利になる。これで勝てなきゃどうかしてるって……。でも勝てないんだから、ホントどうかしている。
 まあ、1点目は仕方ない。稲本──いやぁ、この日はとても出来がよかった。まいった──に中央突破を許したと思ったら、そのイナが右サイドを上がってきたサイドバックの田中祐介に絶妙なラストパス。これを田中がDFとは思えぬ見事なトラップから豪快に鹿島ネットに突き刺してみせる。あちゃー、やられた。
 これが退場劇から10分後のこと。スコアは2-1となる。
 問題はこのあとだ。1点差に追いつかれるとオリヴェイラさんは即座に動き、小笠原と本山を入れてくる(アウトは遠藤と田代)。残り20分を切った時間帯に、アントラーズの顔ともいうべきベテランふたりが出てくるんだから、こりゃ盤石な手……だったはずなのだけれど。
 これでどうにもチームのバランスが崩れてしまう。フォーメーションは小笠原をボランチに入れ、増田をひとつ上にあげて、興梠のワントップという形。でもこれが駄目だった。最前線でためを作っていた田代が抜けたことで、ボールの収まりが悪くなり、本山と増田がボールに触る回数も少なくて、後手後手となる。
 さらに残り10分でオリヴェイラが打った次の一手が、この微妙なずれに拍車をかけてしまった。攻撃的なポジションにまわって以来、めっきり存在感がなくなった増田を下げて、アレックスを投入。つまり新井場、西、アレックスのサイドバック3人が同時にピッチに立つという、珍しい布陣に……。
 アレックスは左サイドウィングのような位置でプレーしていたようだけれど、こっから先、僕には鹿島がどういうフォーメーションで戦っているのか、さっぱりわからなかった。選手にも戸惑いがあったのではないかと思う。
 とにかく、この辺から先はもう防戦一方な印象になった。相手はひとり少ないはずなのに、とてもそうとは思えない劣勢。ついには、ラスト5分を切ってから出てきた、ここんところ川崎のラッキーボーイ的な存在だというプロ入り3年目の小林悠という選手(なんと現時点で7ゴールでJ1のゴール・ランキング4位タイ!)に、ゴール前の混戦から2度までゴールを決められる羽目に……。
 2度というのは、1度目のゴールがオフサイドで無効になったからで、それも1度はゴールが宣告されたあとで、鹿島の抗議を受け入れて取り消されるという、珍しいゴールだった。ふつう、あの展開でゴールが取り消されるってことはないから、気分的には3-2で負けたも同然……。しかも、その無効になったゴールってのが、小笠原の不用意なミスからピンチを招いてしまったのが最悪だった。
 まあ、最初のゴールが取り消されていなければ、2度目のゴールもなかっただろうから──その際のどたばたのためにロスタイムが4分に増えて、同点ゴールはそのロスタイムの最後の最後のCKからだった──、さすがに負けはしなかったと思うけれどなぁ……。いやぁ、それにしてもまいった。
 この日のドローと、先日の甲府戦での黒星。どちらもロスタイムのラスト・ワンプレーで勝ち点3を逃している。特にこの試合は途中までは勝って当然という展開だっただけに、ダメージがでかかった。ここで川崎に勝っていれば、序盤の出遅れを取り戻して、よし行けるって気分になっただろうに……。
 うーん、今年の最後になって、「ああ、あの日のドローが痛かった……」とか思うことになりそうな。そんな一戦だった。あぁ。
(Jun 26, 2011)